概要
『闘将アスラ』という血統の三世であり、800年もの時を生きてきた吸血鬼。通称は『緋眼のゼルマン』。世界でも有数の古血(オールド・ブラッド)であり、その実力は特区内でも一二を争うほどに高い。
来歴
4月1日生まれのポーランド出身。十二世紀末頃に吸血鬼の牙を受け、以降はずっと世界を転々としていた。現在は日本の特区をねぐらにしている。特区という場所自体は気に入ってるが、「人間(レッド・ブラッド)と吸血鬼(ブラック・ブラッド)の共存」という特区の理想には斜に構えた態度をとる。安定志向の特区の現状には辟易としており、そのためトラブルの種になりそうな賢者の血統の二人、望月ジローと望月コタロウの来訪を歓迎している。
立場
特区に住む吸血鬼勢力は、欧州系の血族、大陸系の血族、それ以外の血族の三つに大別される。それ以外の血族たちは『夜会(カヴン)』と呼ばれる集団を作っており、ゼルマンはそこの頂点に位置する吸血鬼である。夜会は自身たちを優良種と見なす吸血鬼たちが多数所属する危険な集団だが、ゼルマン当人はあまりそうした種の優劣に関心はない。また極度の面倒くさがり屋でもあるため、夜会の者には放任主義の態度をとる。
そんな彼だが夜会では絶対的と言っていい立場にいる。圧倒的な強さを誇りながらも飄々と生きる彼に、カリスマを覚える夜会のメンバーも少なくない。
血統
闘将の名の通り、この血統は戦いを宿命としている。吸血鬼となることは人をはるかに超える力に目覚めることと同意であるが、始祖『闘将アスラ』の血を継ぐということは、その中でも特別な意味を持つ。この血統に属する吸血鬼はその宿命ゆえ戦いを渇望し、またそのための力を『闘将アスラ』の“血”より授かるのだ。ゼルマンはその血統の三世であり、その血を―――宿命と力を色濃く受け継いでいる。
視経発火(アイ・イグナイト)
視線を介して、炎を発生させる魔術。この力を有する血統は世界でも稀で、中でも『闘将』のそれは『螺炎』と称され、特別視されている。古代において『螺炎』はその凶悪な破壊力から、「アグニの火矢」とも呼ばれ、恐れられていた。現代においても『螺炎』は闘将の力の象徴であり、ゼルマンの操る炎もまた火の神アグニの名を冠するに相応しい力を持つ。
戦闘能力
ゼルマンは上記の視経発火を極めており、遠距離戦では無類の強さを誇る。また力場思念※1や視経侵攻※2など他の魔術や、格闘戦にも秀でるなど、どの距離にも対応可能な器用さも併せ持っている。圧倒的な火力、多様な戦闘技術、緩急をつけた戦術、敵の弱点や技の欠点を見抜く観察眼など、戦士として必要な要素をすべて兼ね備えている。しかし、理想的な戦士ではあるが吸血鬼としては決して最強とは言えず、特区内には彼以上の化け物が一人存在している。
※1 力場思念(ハイド・ハンド)=思念によって力場を形成する魔術。汎用性の高い念動力。
※2 視経侵攻(アイ・レイド)=自身の目を、対象の目と合わせることで精神干渉を行う魔術。
容姿
外見年齢は15,6歳ほど。「緋眼のゼルマン」の名の通り、燃えるような赤の瞳と髪が印象的な美少年。切れ長の眼、引き締まった顔つき、しなやかな四肢、無駄のないその容姿はさながら豹のようであり、肉食獣めいた危うさを秘めている。
服装はニット帽に有名ブランドのジャージ、ゴールドのピアスで耳を飾るなど中々にオシャレ。とは言っても、これらは彼の従者である白峰サユカのコーディネートであり、当人はむしろ漢字や浮世絵などがプリントアウトされた柄の、いかにも外国人が日本の観光でお土産で買っていきそうな服を好んでいる。だがそうした服を購入してもサユカに捨てられてしまうため、諦めて上記の服装で通している。
人物像
飄々とした態度、気だるげな表情、からかい好きな性格、その絶大な力ゆえ何者にも縛られない自由な吸血鬼。だが一方で己の永遠の生に退屈しており、どこか虚無的な側面も持つ。快楽主義の戦闘狂であり、激情を失った老賢人でもあるが、その本質は純朴な少年のままという、ちょっと多面的で、実際は結構シンプルなキャラクター。
関連人物
・龍王セイ。『真祖混沌』の直系で、数千年の時を生きる特区最強の吸血鬼。その徳の高さで有名な古血(オールド・ブラッド)でもある。秩序を嫌うゼルマンにとって相性の悪い相手だが、一方でセイの強さが彼にとっての救いにもなっている。
・白峰サユカ。ゼルマンの従者を務める人間の女性。クールビューティーの才媛だが、重度のゼルマン病にかかっている。恋は盲目を地で行く残念な僕(しもべ)だが、その愛の強さは本物で、このサユカの気持ちが後のゼルマンの希望となる。
・望月コタロウ。転生したてで子どもの姿をしているが、実は始祖『賢者イヴ』その人。天真爛漫な性格で、ゼルマンにも物怖じすることなく話しかける稀有な少年。基本的に馴れ合いを好まないゼルマンだが、コタロウには寛容で年長の古血(オールド・ブラッド)としての顔を見せる。
関連タグ
八田美咲※
※別作品「K(アニメ)」のキャラだが、能力・容姿・中の人など共通点が多い。このアニメの製作にはBBBの作者あざの耕平氏も加わっているが、このキャラを考案したのは壁井ユカコ女史らしい。