バラクラッシャー
ばらくらっしゃー
登場話数:第4話「怪奇!! 鉄人パパ」、第33話「5大ロボ大暴れ」
マシン帝国バラノイアが開発したマシン獣の一体。
二~三頭身ほどの体型と、両肩から生えている多数の排気パイプ、それに赤い角等といった特徴的な部位を備えているが、それ以上に目を引くのが胴体前面の大部分を占める凶悪な顔である。
「クラッシャー」の名の通り、その顔面に備わった鋭い牙による噛み付き攻撃は強力で、あらゆる物を噛み砕いて粉砕するのが得意である。
そしてもう一つ、バラクラッシャーに備わる能力として、体内から吐き出す「金属アメーバ」を人間の体内に注入することで、その人間を自分と同じ姿へと変貌させるというものがある。
金属アメーバはバラクラッシャーの分身とも言うべき存在で、有機生命体の体内に入り込むと、その内部で増殖・成長する事によって宿主の肉体を金属に変え、最終的に元のベクター(感染症における媒介者の意)と同じ存在へと作り変えてしまうという、極めておぞましい特性を有している。作中ではこの能力を駆使し、人間達を次々と自分と同じバラクラッシャーに変えて行く「人間マシン獣作戦」に従事した。
一方で、火に対して異常なまでに弱いという弱点も抱えており、金属アメーバを注入された人間もその影響で火を見て苦しみながらバラクラッシャーへ変貌し、運良く元に戻れても変貌時の記憶は全て欠落してしまう。
バラノイアが地球制圧の足がかりとして、まず四方を海に囲まれた日本を手中に収めるべく、隕石にカモフラージュして地上へと降下。しかしとあるビルの地下にて、隕石から抜け出ていったマシン獣の痕跡を追っていた吾郎達に捕捉されてしまい、闇討ちをかけようとするも失敗して交戦状態に突入してしまう。
戦いの中で発生した炎を避け、逃亡した先でその場に居合わせた大谷巡査の腕に噛みつき重傷を負わせたものの、程なく超力変身した5人からのバトルスティックによる集中攻撃、そしてキングスマッシャーによる一斉射撃を喰らい破壊され、残骸は超力基地へと回収される事となった。こうして一件落着かに思われたこの事件だったが、この時点でバラノイアの本当の狙いと、この後起こる奇怪な事件を誰一人知る由もなかった。
翌日、U.A.の情報部からの報告で、前日の晩から5人の少年少女が相次いで行方不明になっていることを知った吾郎達は、その中に大谷巡査の息子である宏少年がいることに気づき連絡をとったものの、当の大谷巡査からは「自分は見てないんですが、目撃者の話によりますと、どうも昨日、皆さんが倒した怪物とそっくりなんです」という、不可解な答えが返ってくるのみであった。
やがて、回収されたバラクラッシャーの残骸から金属アメーバが検出され、その恐るべき性質が明らかになると同時に、先の大谷巡査の証言内容から、子供たちを誘拐したマシン獣の正体が「傷口から金属アメーバを注入された大谷巡査」である、との結論に達した。
実のところ異変は既に前夜より現れており、宏が何気なく点けたガスコンロの火に反応して大谷巡査はバラクラッシャーへと変貌。宏も含めた子供達を誘拐した後、その間の記憶が欠落した状態で元の姿に戻ってしまっていたのであった。
そうとも知らず、普段通り勤務についていた大谷巡査であったが、交番で同僚が点けた煙草の火に反応し、再びバラクラッシャーへと変貌。口から金属アメーバを吐き出して同僚を襲った後に行方を晦ましてしまう。
一方で大谷巡査の所在を追っていた吾郎達は、樹里から交番付近の廃工場でマシン獣を見たとの証言があったと報告を受け、直ちに現場へと急行。果たしてその廃工場では、今にも金属アメーバによってマシン獣に変えられようとしていた宏達、それにバラクラッシャーやアチャの姿を発見。既に大谷巡査としての意識を失っていたバラクラッシャーやバーロ兵がこれを妨害するも、宏の制止や自らの攻撃による引火によって自我が蘇ってしまい、子供達を解放した後宏を連れて逃亡を図った。
程なくして、再び元の姿に戻った大谷巡査は、息子から事の顛末を聞かされ、警察官としての責任感から自殺しようとするが、すぐにまたバラクラッシャーに変貌してレッドに襲い掛かる。一連の戦いで相手の弱点が火であると見抜いたレッドは、大谷巡査の口から金属アメーバを吐き出させ、キングブラスターで焼却。これにより大谷父子は無事救われ、「人間マシン獣作戦」もここに挫かれる結果となった。
その後、物語後半にて巨大な姿で修復され、さらにマグマからの無限のエネルギーによってパワーアップした「超マシン獣」軍団の一体として再登場。バラミサイラー等と共に、人間への「神様からのプレゼント」である巨大な象形岩の拿捕の強奪に従事したが、その正体であるブロッカーロボによって作戦は頓挫。
やむなく崩壊するアジトから脱出し、イエローブロッカー・ピンクブロッカーと相対するが、2大ロボの連携の前には為す術もなく、イエローライトニングフラッシュとピンクインパクトウェーブの同時攻撃を受けて敗北した。
デザインは大畑晃一が担当。前述の通り巨大な顔面が特徴なバラクラッシャーではあるが、デザイン段階では一見するとどこが顔であるか分からない、顔のように見えるがその実パーツの一部、というイメージで描かれたという。この他、肩や腹回りの内部メカが剥き出しになっているような部位については、初期のマシン獣のコンセプトである「スチームパンク」を意識したものとなっている。
「明確なモチーフを定めつつも抽象的かつ無骨なデザイン」「自律行動はするものの言語能力は備わっていない」という、マシン獣の最初期の路線はこのバラクラッシャーで一段落がつけられており、続くバラカクタス以降はモチーフをより具体的に押し出したものや、人間や幹部クラスのマシン等と同様に流暢に喋る個体等が主流となっていくことになる
超力戦隊オーレンジャー マシン帝国バラノイア マシン獣 金属性
アズキアライ(カクレンジャー):『忍者戦隊カクレンジャー』に登場する敵怪人の一体。バラクラッシャーと同様に、第4話に登場し警官の親子に絡んだエピソードが展開された、という共通項を持つ
ウシオニ(カクレンジャー)、アナザーアギト(2019) :いずれも方法こそ違えど、人間を自分の同類に変えて行くと言う恐ろしい能力を持つ
超力鬼:『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』に登場する敵怪人の一体。オーレンジャーをモチーフとした怪人で、こちらも第4話に登場し人間が怪人へと変貌したという共通項を持つ
特救指令ソルブレイン:同作の第3話「父は天使か怪物か」と、バラクラッシャーが登場した本作第4話とのストーリー展開の近似性から、後者が前者のリメイクではないかと一部で指摘されている(いずれも脚本は杉村升の手による)。