解説
その異常な繁殖力ととてつもなく永い寿命から「家畜の王様」「億年食える鳥」と呼ばれていた。サニー曰く「ブッサイク」な外見。
鳴き声は「ミヨミヨ」。捕獲レベル1以下。
いわゆるブサ可愛い外見と、食材としてのとてつもない有用性からコアな人気がある。
生態
弱く飛ぶことができなかったために天敵が多く、種を残す手段として襲われるたびに無限にタマゴを産み落とすという手段を会得した。
その上身は捨てる部位が一切なく、また栄養も抜群。高タンパクで程よい脂質を持つ肉は勿論のことながら、ビタミンやミネラルを豊富に含む羽毛は野菜の代用品として、滋養強壮に良い足は細かく砕いて穀物代わりに、爪はスパイスにもなり、血はタレにもスープにもなるという。
IGO会長一龍の人生のフルコースはすべてがこの鳥を現代に蘇らせるために必要なもの、いわばビリオンバード飼育キットとなっていた。
- ミリオンの種(前菜)を植え、エボシの涙(スープ)を与えることで急速成長させて木を作る。
- 別の土壌に姫ワラの種(サラダ)を植え、殿あられ(ドリンク)を撒くことで姫ワラを成長させる。
- 木の上に姫ワラで巣を作り、タマゴを置くと孵化する。
- 雛鳥にみたらし昆布(魚料理)を与えると、成鳥になる。
- 事無き虫(肉料理)にドライメロロン(デザート)を食わせることで成虫にする。
- 事無き虫の成虫をビリオンバードに食べさせるとアホ毛が∞の形になり産卵の準備が整う。
- あとは襲って脅かせば無数の卵を産み、こうして産まれた原種バードの卵はすぐ孵る。
これが会長(オヤジ)のフルコース!! 無限食材 ビリオンバードだ!!!!
なお会長のフルコースは一応それだけのものでは無く、一龍本人はフルコースのそれぞれをつまみのようにポリポリと食べていたらしいので、あまりに質素過ぎる……というより最早修行僧か何かの精進料理レベルと言える点を除けば食えなくもない模様。
絶滅の経緯
それほどまで捕食者にとって都合のいい生態を有していながら、その全てが不味いという欠点を持っていた事で、そのうち誰からも見向きもされなくなり、襲われなくなったが為にタマゴを産むことも無くなって次第に絶滅していった。
とはいえ、不可食と言えるほど味に問題があるなら前述のように食材としての有用性を評価されることはないので、あくまで美味な食材が溢れかえるグルメ時代においては「わざわざ食べるほど美味くない」「捨てる部位がないほど味と触感のバリエーションがあるため、調理なしで食べると全てが混ざってしまい味がとっ散らかって美味しくない」という意味だと思われる。
上述のそれぞれの部位の特徴と併せて考えればビリオンバードを工夫なく丸々食べるということは「ろくに味付けがされていない普通の肉とパサパサの野菜と乾燥穀物と計量していないスパイスをぶち込んだスープ」を食べるに等しいのかもしれない……
以前、グルメカジノにてこれのデータを取得したトリコがこれらを揃え繁殖に成功させたことにより、本来なら市場価値は無いも同然の味ではあったが、世界の名料理人たちの創意工夫により三虎の放ったメテオスパイスが原因の飢餓に悩まされていた人間界の群衆を救うこととなった(さすがに味はグルメ時代基準だと高い方ではないものの、1年ぶりの久々の本物の食材には料理人も含めて喜びをかみしめていた)。
なおアニメ版ではメテオスパイスで食材が枯渇せず、人間界の復興は順調だった為これを復活させる必要が無くなっているが、それはそれで一龍の「自身のフルコースメニューが誰からも必要とされない(誰も飢えていない)でほしい」という願いが叶ったといえる。
ビリオンバードの卵(特殊調理食材)
翼は退化していたが、小松のある行動により偶然にも特殊調理が成立。
最初に蘇生したビリオンバードが巨大な翼を生やし飛翔した。
ある行動とは、ビリオンバードに愛情を注いでやり、心から感謝すること。その心に感動したビリオンバードは、美しく輝く特別な無精卵を産み落とす(有精卵ではすぐにビリオンバードが孵ってしまうため卵としては元々食用にできない)。
その中身は透き通ったプリンのような弾力を持ち、黄身が拡散して金粉を散りばめたような見た目をしている。水飴のような、あるいは濃厚なジンジャーエールのような感覚で、飲むと口の中にスルリと入っていく。卵というよりはドリンクに近い喉越し。
ビリオンバードの持つ途方もない生命力を感じる美味さに、髪と睫毛が急速に成長して乙女チックな外見になってしまう。また、胃も心も洗濯されたようなすがすがしい気分を味わう。
その生卵は一龍の遺志を継ぐという意味も含めて、トリコの人生のフルコースのドリンクに選ばれる事となった。
そしてリンとの結婚披露宴ではメロウコーラと混ぜ、メロウドリンクとして出された。
余談
無精卵を取得する際の一連の流れが「捕食者の傲慢」「サイコパス」などと茶化されることがある。
実際「食べ物に感謝する」点はともかく「自分の産んだ子孫を食べていることを親に感謝」しその上で「その親がその感謝を喜ぶ」という一連の流れはその点だけを取り出してみれば確かに不気味に見えなくもない。
が、トリコ世界は「食われることを前提とした生態」を獲得(これ自体はここまで極端ではないが現実の寄生虫の一部も会得しているし、そもそも果物は美味しくなる事で喰われて種を運んでもらうという生態を獲得している)したり、優れた料理人に出会った結果「この料理人に料理されたい、食べて欲しい」と自分から料理されにくる程に「食」が生きることだけでなく生き方や在り方にすら絡んでいる世界である。
更にいうならビリオンバードはその生態上誰かに求められさえすれば決して絶滅しないはずなのに、絶滅してしまうほどに誰にも求められなかったという襲われる=食べられる事を前提とした生態を得た生き物として最悪の屈辱を味わわされた経験がある。
そんなビリオンバードにとってみれば、誰もが涙を流すほどに自分を求めてくれるというのはこの上ない幸福であり、求められることこそが彼らの繁栄につながるのだから作中の反応も至極当然と言えるのではないだろうか。
関連項目
トリコのフルコース
前菜 | BBコーン |
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スープ | センチュリースープ |
魚料理 | オウガイ~遠い海の記憶~ |
肉料理 | 完象-エンドマンモス- |
メイン | GOD |
サラダ | 食宝エア |
デザート | 虹の実 |
ドリンク | ビリオンバードの卵 |