レディ!!
れでぃ
秋田書店の漫画雑誌のひとつであった「ひとみ」にて1986年から1991年8月号にかけて連載された。
作者は英洋子。
異国人との混血児であるイギリス人少女のリン・ラッセルの、その生い立ち故に見舞われる苦悩や苦闘、さらには挫折とそこからの復活などを描いた。
物語の中盤以降およびアニメ第2シリーズ(後述)では乗馬競技も題材としている。
単行本は全12巻だが、最終12巻に関しては全編書き下ろしとなっている。これは「ひとみ」が1991年8月号限りで事実上廃刊になってしまい、その時点で11巻分しかストックがなかったため。
続編として祥伝社の季刊「ロマxプリ Romantic Princess」創刊号より連載の『レディ リン!』(単行本全2巻)と、英洋子自身が同人誌として発表している『リンのこどもたち&ぴぃたぁぱん』がある。
1987年10月から1988年3月まで、TBS系列局で「レディレディ!!」というタイトルで放送された。
単行本2巻までをベースにしている。
「キャンディ・キャンディ」の再来を切望していたバンダイの要請が基で実現された。
だが「めぞん一刻」(フジテレビ系列、ただし系列局によっては放送時間繰り上げまたは放送日時差し替え)と連想ゲーム(NHK総合)と「あぶない少年」シリーズ(テレビ東京、テレビ大阪、テレビ愛知、テレビせとうち)の凄まじい視聴率争いの前に完全に埋没、結果半年で放送終了となった。
そのせいか、居場所がなくなってしまったリンが(逃げるような形で)極東の島国に渡る(件の島国は母親の出生地ではあるが)という、原作に準拠しているとはいえ何ともスッキリしない締め方となった。
その一方で映画版も作られ、1988年3月12日公開の「東映まんがまつり」の一遍として聖闘士星矢、ビックリマン、仮面ライダーBLACKの劇場版と共に同時上映された。
その後1988年5月から1989年1月にかけて、続編「ハロー!レディリン」が、テレビ東京、テレビ大阪、テレビ愛知、テレビせとうちで放送されている。
また、KBS京都に加えてテレビ朝日系列局約3局やフジテレビ系列局約1局でも放送されたことがある。
関連商品の売れ行きが良かったが故にその製造・販売元であったバンダイの要請で急遽作られたものであった。
物語の内容は「レディ!!」をベースに、「レディレディ!!」の3年後、結局はイギリスに舞い戻ったリンの様子を描いた東映動画(あるいはバンダイ)オリジナルストーリーとなっている。
放送局が変更となった上で設定上の時間経過を考慮したからか、キャスティングが大幅に入れ替わっている。なお、その声の出演は西原久美子ほか。
いずれもアニメーション製作は東映動画。また、メインスタッフは2作共通(プロデューサー:横山和夫、監督{シリーズディレクター}:設楽博、キャラクターデザイン:越智一裕、脚本のメインライター:馬嶋満)。音楽担当は田中公平。
補足(と言う名の蛇足)
企画
実は「レディレディ!!」は、元々は別の企画を通すための比較対象として作られた、いわば当て馬であった。本企画の原案を作ったのは当時まだ東映動画企画部の非正規アルバイトから正社員昇格を果たしたばかり(扱い的にはバイト時代とそう変わってない)であった関弘美である。
ところが当て馬企画だったはずの「レディレディ!!」にバンダイが食いついた結果、アニメ化が実現したのは良かったのだが、企画を作った関は、まだ入社してあまり時間が経っていなかったうえ、そもそも当て馬だったはずがアニメ化されてしまったため、しばらくの間リンよろしく東映動画では居場所がなかったらしい。
このあたりのいきさつは外部リンクも参照までに。
なお、関は後に「題名のない音楽会」前座枠作品(例えば「ママレード・ボーイ」や「おジャ魔女どれみシリーズ」など)や「題名のない音楽会」と真裏の番組枠作品(例えばデジモン4部作や「金色のガッシュベル!!」など)のプロデューサーとして辣腕を振るい、プリキュアシリーズの超ロングラン化にも尽力し、のちには「ニチアサの女帝」「ニチアサの母」とまで呼ばれる人物となった。
スタッフ
実は本作に参加したアニメーターの中に、当時にはまだ新人(水村十司の弟子)だった、四コマ漫画家の水城まさひと(タマ・プロダクション所属)がいた事でも知られる。しかも水城にとっては数少ない国産アニメ作品への参加であった。(当時のタマプロはディズニーやハンナ・バーベラを相手とした海外提携に比重を置きはじめていた)ただし本作に参加していた頃の水城は本名名義だった(「水城まさひと」はアニメーター引退後に漫画家として活動する際に名乗った名義)ためスタッフの誰が水城だったかは(よほどの事情通でない限りは)不明とされている。
なお、水城は上述の通り四コマ漫画家になっており代表作『エン女医あきら先生』の上梓により、のちの芳文社「まんがタイム」系列誌の歴史において新たなるストリームを起こすきっかけとなった人物のひとりである。
「レディレディ!!」の主題歌について
「レディレディ!!」の主題歌を少年隊が担当したのは既述の通りであるが、具体的に言えば、少年隊の8枚目シングルであった「LADY」がそれ(ちなみにA面曲の「LADY」がオープニングテーマ、B面曲である「ふたりだけのセレナーデ」がエンディングテーマ)。
少年隊にとっては前作(7枚目シングル)「ABC」のリリース(11月11日)からわずか19日(11月30日)で発表したシングルであったため当時のファンは(主に金銭面で)追いつけず、しかもアニメ主題歌であったためジャケットがリン・ラッセルをメインとしたものとなり多くの少年隊ファンが少年隊のシングルだと気付かなかったこともあってかオリコンランキング最高5位に終わった(それまで少年隊はオリコン最高位1位の常連で2枚目シングルの「デカメロン伝説」のみが最高2位だった)。その一方で当時のアニソンでオリコン最高5位は、快挙と言えば快挙ではあったがそちらの面では当時はそれほど注目されてはいなかった。
なお「LADY」は2020年に発売された少年隊35周年記念アルバムに初めてアルバム収録されたが、ここで初めて「LADY」が少年隊の曲だと知り仰天した(そしてオリジナルを買わなかった事を後悔した)ファンもいたとかいなかったとか。
ちなみに「レディレディ!!」のサントラを手掛けた音楽ソフトメーカーは当時少年隊が在籍していたワーナーパイオニア(現在のワーナーミュージックジャパン)ではなく日本コロムビアだったため、サントラなどでは代理歌手が「LADY」の歌唱を担当しており、このカバー版が主題歌の廉価版として日本コロムビアからシングルカットされていた(そのため本作のリアルタイムファン層の購入もワーナー(少年隊)版とコロムビア(代理歌手)版で需要の分裂を起こした)。なお似たような事は、本作以降もジャニーズアニソン(あるいはジャニーズタレントによる特撮番組の主題歌)にはよく見られた事象である。ただし近年は需要分裂の弊害が目立つようになった事でジャニーズ側の音源管理が緩和されたため、こうした事例も収まりを見せている。
さらにその絡みで当時日本コロムビアに在籍していた島田奈美(後に歌手活動から身を引き、本名の島田奈央子名義で音楽ライターに転職している)が挿入歌を担当している。
なお少年隊に主題歌を歌ってもらう事を提案した(企画書にそう書いた)のも関弘美である。関本人としては蹴られる事が前提ゆえに企画書に「乙女の夢を採算度外視でブチ込んでいた」だけであったため、企画が本採用になっても「まさか実現しないだろう」(いくらスポンサーでも、そこまで金は出さないだろうし、そもそも先方事務所がストップをかけるだろう)とか考えていたのだが、それが実現した事で財団Bの本気を垣間見て思わず戦慄したという。
クレヨンしんちゃん:実はこの作品もまた当て馬企画から出世したもの。
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