概要
令和のダラさんとはともつか治臣による漫画作品である。大病を患い漫画家生命も危ぶまれたともつか氏の復帰作であり、氏曰く「自分の性癖の煮こごりのような女しか出てこない漫画」と答えているが、それがいい。
元は作者がTwitterやPixivFANBOXで公開していたとある都市伝説をモチーフとした漫画で、ニコニコ静画で2021年11月より個人連載として掲載開始。2022年3月よりコミックウォーカーにて商業版として連載が開始された(ニコニコ静画でも引き続きコミックウォーカー公式として新たに掲載)。
商業掲載化にあたっての変更点については余談に記載。
単行本が3巻まで発売中
作品解説
山村の一角の『忌み地』の封鎖がある嵐の夜に決壊した。近くに住む三十木谷姉弟はそこに足を踏み入れてしまう。そこには古より封印されていた恐ろしい存在がいた……のだが、三十木谷姉弟はケロっと受け入れてしまった。
怪異:屋跨斑(やまたぎまだら)。かつては付近一帯で畏れられた邪神の如き存在であったが、マイペースで肝っ玉がデカすぎる姉弟には調子を狂わされっぱなしで……?
登場人物
現代
CVは関連動画のボイスコミックでの配役
- ダラさん(CV:ファイルーズあい)
- 古来よりこの地に封じられていた、多腕の半人半蛇の姿を持つ祟り神。呼び名は色々あるが、村では〈屋跨斑(やまたぎまだら)〉との呼称が一番多かったが、現在は彼女の事情を知った三十木谷姉妹の提案から『ダラさん』の愛称で呼ばれるように。前後不覚だった昔はガチ目な祟りももたらしたが、現在は神域に近づいた者に(死なない程度に弱めた)祟りビームや、携帯パケ死など地味に恐ろしい祟りをもたらす。異形の外観に反し性格は理知的で温厚。おっぱいが大きい。もともと真面目な性格故、奔放な三十木谷姉弟に道理を説き無軌道な行動を嗜めるなど、常識を弁えた人格者。おっぱいがでかい(大事なので2回言いました)。
- かつては霊験あらたかな巫女であったが、家族からは容貌の醜さから疎まれていた。疎まれながらも慕い続けた双子の姉と守ったはずの村人らの裏切りにより瀕死の重傷を負い、絶望の中で蛇神の胴体と融合、荒れ狂う祟り神〈屋跨斑〉へと変じた。しかし、ダラさん曰く「恨みは消えなくとも怒り続けるのは疲れるし、儂個人の怨みは既に晴らした」上、蛇神をも調伏して本来の人格を取り戻してからは温和な性質に。
- 人であった頃より勤勉で何でもこなす器用さがあったため、劇画調イラスト(Twitter版ではいらすとや風イラスト)やだいぶ古い少女漫画の手法を会得したり、精巧な薫フィギュアやフォトフレーム、根付を作成する技術を持つなどクリエイター適性が高い。
- 三十木谷 薫(みそぎや かおる)(CV:寿美菜子)
- 度々ダラさんの常識を揺るがす、見た目は金髪美少女の三十木谷家長男。わぁい、だが男だ。ダラさんしゅきしゅきビームを常に照射している性欲に正直なムッツリスケベでおっぱい星人、腹黒魔性と属性過多な小学生男子。姉と同じく剛胆でマイペースな性格の持ち主だが、一方で優しく面倒見の良い面があり、老若男女問わず好かれている。日本人離れした容姿は父親(オーストラリア人)の遺伝であり、母親似の姉とは似ても似つかないが実弟である。
- よく女装をしているのは姉が着なかった女の子向けの服を、母親から「おさがり」として着せられていたためで、これによって着るものに頓着しない性格になり、男の子用の服も普通に着ている。なお水着は見た目の問題で「短パンはアウト」だと判断した日向の意向で、女の子向けのものを着用しているが、本人は学校指定のジェンダーレス水着があるので若干不服な模様。
- 流石にダラさんの……を見た時は、羞恥心から顔を赤らめた(しかしテントはしっかり張っている)。
- 後にダラさんの協力を取り付け怪光線を撃てるようになった。ただし破壊力は皆無。
- 三十木谷 日向(みそぎや ひなた)(CV:豊崎愛生)
- 近くに住む山守の家系の長女。気安い距離感やいきなりぶっ込む下ネタで、度々ダラさんを混乱させる。囲碁将棋部所属のボーイッシュ少女。若干ブラコン気味であるため弟の薫と一緒に遊んでいる場面が多く、邪神であるダラさんにもやけに馴れ馴れしく絡んでいるフレンドリーな(図々しい)女の子。姉弟揃って肝っ玉がでかく、怪異そのものであるダラさんにも一切動じないマイペースぶりでダラさんを振り回す。三十木谷家は代々ダラさんが祀られている祠および、禁足地を管理してきた山守の家系であり、その意味でもダラさんとは縁が深い。
- 日向自身は「(過大評価気味に)自身のスタイルは良い」と思い込んでいるが、『新年のダラさん』の初詣の神頼みで一部の成長を望むなどある程度気にはしている模様。ただし公式から「母親のスタイルの良さを遺伝しなかった」と明言されている。
- 非常に高い霊力を持っているようで、通常触れないダラさんの蛇部分に触れる、完全に姿を消しているダラさんを視認できる、異界から現世へ干渉するなど時にダラさんを驚かせる場面もある。
- 尚、薫の女装癖を生んだ張本人である(日向はスカートを履くと死ぬ程落ち着かない性分の為、渡されたスカートを悉く薫に譲り、薫も衣服への拘りが絶無だった)。
- 三十木谷 兵吾(みそぎや ひょうご)(ボイコミに登場はしているが、日向の回想かつ日向が真似て喋るため未キャスト)
- 日向・薫姉弟の祖父。屋跨斑を封じてきた禁足地を代々守護してきた家系であり、屋跨斑にまつわる伝承もそれなりに知っている。嵐によって屋跨斑を祀っていた祠が倒壊、封印が解かれてしまい祠の修復と屋跨斑への対応に追われる。真っ当に怪異を畏れる普通の人であり、空回っているがダラさんを非常に恐れている。よく居る田舎の親父だが、優しく開放的な人柄もあって家族達からは愛されている。日向姉弟がダラさんに出会ったのも、元を正せば嵐の晩に家を出た兵吾を心配して探しに出たのが切掛であった。
- 三十木谷 千代(みそぎや ちよ)
- 日向と薫の母で兵吾の娘。オーストラリア人の夫を持つ。日向を成長させたような外観ながらおっぱいが大きい。右目の下の泣きぼくろと豊満なバストが特徴。薫によってダラさんに下着(ド派手なやつ)を貸し出された。下着はダラさんでも着用可能であるほどにおっぱいが大きい。見た目とは裏腹にパンクロックバンドのファンであり、私服は意外とパンキッシュ。専業主婦ではなく地元役場に勤めている。
- 娘が女の子の服を着るのを嫌がったにもかかわらず、諦めずに女の子の服を与えたため、結果的に薫の女装癖を産んだ張本人その2。
- 山の祠の守り人であり、祠に異変があった際には駆け付けて事態の収拾をしている。自身の山での恐怖体験もありかつては祟り神としてダラさんを恐れていたが、祠に祀られているものとダラさんの関係を知り、現在は「山や三十木谷家の守り神である」と(やや過剰に)信仰し、子供達にその加護があるように願っている。
- かつては高い霊能力を持っていたが出産するごとに霊を感知する能力を失っていき、今はほとんど霊感がない。ただし霊力自体は未だ高い模様。子供達が山に頻繁に出入りしている上に、ダラさんと交流を持っている現状を半ば黙認している。
- 三十木谷 ウィリアム(みそぎや 〃)
- 千代の夫で日向と薫の父親。第14怪に妻と通話する形で初登場した。オーストラリア生まれで家族とともに7歳の頃に日本に帰化したため若干の訛りがあるものの日本語はペラペラ。眼科医。
- 妻とは大学で知り合い結婚。霊感が低く妻の禁足地でのお勤めも詳しく知っているわけではないが、非常に協力的。
- 筆木 直道(ふでぎ なおみち)
- 薫のクラス担任。小太りの中年男性で見るからに怪しげな容貌だが、真心のある優しい先生であり、なんだかんだで子供達からは慕われている。コスプレ衣装を作るのが趣味であり、年中全裸のダラさんを見かねた薫の頼みで、ダラさん専用の服を仕立ててくれた。劇中屈指の善人である一方、副業禁止の教職にありながらコスプレ衣装の制作・販売を手がけるなど、割とグレーな行いもやっている欲望に正直な人。美和の従兄弟でもある。
- 容姿で損している人その1。
- 薫のサキュバス仮装を身を挺して阻止し、性癖大量破壊を未然に防いだ功労者。
- 五十子 美和(いらこ みわ)
- 三十木谷家の近くに住む野暮ったい女性(26)。個人サークル『ダイデンブハウス』で同人活動を行い、それを通じて交流がある薫に対し、ねっとりとした好意を寄せるショタコンだが、理性はしっかりしているのでダラさん判定ではギリセーフ。薫と仲良し(?)になったダラさんを警戒していたが、(人としての享年だが)ダラさんと同い年だと知ってからは普通に話せる仲になった。ダラさんに負けず劣らずの巨乳(ただし、腰はややゆるい)であり、故あってダラさんにブラジャーを貸した仲でもある。
- 容姿で損している人その2。
- 実は薫の射程圏内。
- 梛(なぎ)/二十尋 佐恵子(はたひろ さえこ)
- 祠を祀る梛と呼ばれる巫女。山の麓にある平尋神社で巫女をしており研鑽を積んだ儀式や神事の腕前は確かながら、霊感ゼロの疑惑がある金髪・ツーブロック・パンクファッション巫女女子高生。丸眼鏡。ダラさんの神域で日向からスタンド攻撃を受けてしまう。柄の悪い見た目はともかく役目には実直であり、怪異としての屋跨斑を警戒している。
- 祠を管理する関係上三十木谷家とは交流があり、特に千代とは同じロックバンドのファン仲間でライブにも一緒に行く仲。
- 後述の理嗣と行動を共にするのは、彼の外見が梛のどストライクだった為と、上記の筆木先生と負けず劣らずの欲望に忠実な少女。
- 二十尋 理嗣(はたひろ としつぐ)
- 佐恵子の叔父。梛の後見人兼世話役。プラモ積みや昆虫採集が趣味の少年の心を持つ男。神域から大量のカマキリを持ち帰る。その只ならぬ物腰からダラさんには「霊能力を持っている」と誤認されてしまうも、(多分)雰囲気だけで佐恵子と同じく霊感は無さそう。
- 十御田 柑奈(とみた かんな)
- 薫の同級生のツインテール女子。薫に対しては当たりが強めのツン多めツンデレ女子。薫に向けた好意が読者にも伝わりやすい親切設計。薫ガチ恋勢の一人。将来の夢は『人妻』。
- 彼女の家が管理している土地(恐らくは卯駒山の全体ないし大部分)にある墓地にはダラさんと彼女に縁深い人物が葬られており、現在は弔われた人については家の誰も知らぬまま毎年祭祀を行っている。
- 篠原 小梢(しのはら こずえ)
- 薫の同級生の物腰穏やかな長身女子。柑奈とは仲良し。恋愛関係の話が創作・現実問わず好物。薫しゅきしゅきビーム放散中の柑奈から栄養を摂取できたり、そんな柑奈と美和との水面下の小競り合いに顔芸並に表情を崩す様子などから、愉悦部員の素質を持つ女子。
- その容姿と空気から『校内で1番、全学年の生徒から「お母さん」言われ間違えられてしまった生徒』の評価に困る記録の持ち主。
- 谷跨斑(やまたぎまだら)
- かつて付近の山に君臨していた巨大な蛇神にして、荒ぶる悪神。〈谷跨斑〉の称号は本来この悪神のモノである。数百年前に巫女の一家によって首と胴体を分かたれ、山を隔てた祠にそれぞれを封印された。後に胴体の封印が破られるも、駆け付けた巫女姉妹によって再び退治されているが、その際に姉が妹を謀殺。突然の裏切りに絶望した妹の怨念と混ざる形で胴体は屋跨斑に変じた。ややこしいので、こちらは”おろち”とも呼ばれている。一人称もおろち。
- 首の谷跨斑の封印は今も尚、途切れずに続いているが、谷跨斑は虎視眈々と封を破る機会をうかがっている。自分の霊力を分けた分身を生み出して封を破ろうとしたものの、元が悪神故にくじ運が悪かったのか、転生ガチャでイシガメばかりをピックアップしてしまい、三百年を無駄に過ごす。
- 後に転生ガチャは諦め、霊力の強い人間に分霊を憑依させて使役しようとするも、憑依先の器が未熟だったため意識を失ってしてしまう。ため込んだ力を使って無理矢理成長させたはいいが大半の力を失ってしまう事態に。さらに憑依させた人間が色々とアレだったのであんまりうまくいってない。
- 改心こそしていないが、彼も数百年にわたる苦労によってだいぶ丸くなったのか、ダラさんと同じく過去編のヘビーな展開とはかけ離れたコミカルなキャラクターに変貌しつつある。
- 某ファミコンソフトのパッケージイラスト風の重厚な見栄を切ったり、イラストや風のコミカルタッチに描かれたりと、大妖ムーブとゆるキャラ化の落差が大きい。
- 初瀬川 周(はせがわ あまね)
- 謎めいた雰囲気の高校生を思わせる程に背丈(とおっぱい)が大きい転入生。日向に怪しい視線を向けグイグイ迫る。その正体は超常の存在ながらも、イシガメピックアップから逃れられなかったおろちが分霊の転生を諦め、代わりに憑依を行うに辺り、優れた霊的素養から依代に選ばれてしまった少女。おろちの意向で日向から情報を引き出さんと接触を図る……かに見えたが、人恋しさや後述の日向への(暴走気味の)思慕から色々と距離感がバグっており、おろちからは若干心配されている。
- 憑依の直後はその影響で生死の境を彷徨ったが、おろちが自らの力に耐えられるよう、強引に周の肉体を急成長(約15歳相当に)させ現状に至った。上記の肉体改造におろち自身の霊的リソースを割かざるを得なかった事情から、精神への直接的な影響が少なく済んでいる。
- 感情が高ぶると「ゲヘヘ…」という得も言われぬ笑いが漏れ、おろちからはかなり心配されている。
- 上記の通り周自身は日向に対し個人的な好意を寄せている(曰く「幼稚園の時 七度も救われた 御恩はいまだ 忘れません」)。百合。尊い……(もっとも、当初の周は日向を男の子と勘違いしていたが、日向への好意から敢えて性別を不問にした)。
- 幌主 水樹(ほろぬし みずき)
- 黒ギャルのような風体。軽率な言動もあるが性根は素直な少女。名前に「主」「水」が含まれているため、八丁堀のあだ名で呼ばれる(そもそもキャラクター紹介欄では八丁堀表記になっている)。
- ダラダラダラさん
- 現金が必要になったダラさんを一般人に変装させるために、日向がダラさんの散髪をした際に出た髪を薫がかき集め、筆木先生に依頼して作ってもらったダラさんを模した抱き枕に詰め込んだもの。ただでさえ神格化している大妖怪の、それも念がこもり易いとされる髪の毛の束を詰め込み名を与えると、誰がどう見てもやばい経緯で生まれたため「何かあったらすぐにもってこい」とダラさんにも念を押されている。
- 当然のように夜中家を這いずり回る怪異となっているのだが、元になったのがダラさんの髪の毛であるため三十谷家にはクソ甘であり、持ち主への害はない模様。なんなら害をなす妖に対するセキュリティのようにもなっている。
- 尚、本来隠すべきのところ母の千代に見つかったが、推しの話で盛り上がった末に千代も欲しがっている。薫『かっこええやろ?』千代『かっこええよね!!』
ゲストキャラクター
- 久砂葉エル(くさは える)
- 第14怪に登場。無職期間を経て迷惑系の道へ進んだ動画配信者。ワイヤーカッターなどガチめの道具を使って、ダラさんの禁足地に踏み込み封印されていた祠を暴く罰当たりを行った為、祠に祀られていた呪物に触れた末に、カメラマンの男共々呪われてしまった。祟りに遭い手足を潰されていたところ、駆け付けたダラさんによって異界へ隔離され死亡。証拠隠滅の後、遺体は異界の蟲によって処理され、その魂は『深部』での百鬼夜行に加わっていた。
- 異界に紛れ込んだ人間の屍肉を食うタイプのやつ
- 第15怪に登場。カマドウマかコオロギ系の虫に似た腹部に似た腹部と、1対の脚を持つ異界の屍肉食性の存在。前話に登場の配信者の遺骸を齧っていた。第30怪で再登場した際にはバッタのような翅に、人間に似た頭髪のある頭部及び2対の腕が確認できる。恐ろしげな外観ながら穏やかな性質なのか、三十木谷姉弟と共にトナカイ役としてダラさんハウスを訪れた。
- 新田家
- 第23怪に登場。三十木谷 兵吾の妹・静江の嫁ぎ先で基本は夫の伸二と2人暮らし。
- 息子夫婦はやや離れた地域に過ごしているが、孫娘の冬子は海恋しさ(?)から頻繁に祖父母の家に厄介になっている模様。
- 柳 友隆(やなぎ ともたか)
- 家族旅行の折りに日向が出会った少年。ひいお祖母ちゃん子であり、曾祖母から聞いた土着の神〈ワタガメ様〉に強い関心を抱いている。
- 祖母以外との家族とは折り合いが悪い。
- 筆木 アラレ(ふでぎ アラレ)
- 筆木直道が飼うトラ縞の猫。第3巻収録の『オマケのダラさん』に登場。加齢によるものなのか内臓の病気で死が迫っていた。ダラさんの妖力を与えられ化け猫へと変化し復調する。気を利かせネコミミ巨乳美少女に変身するが直道の好みからは外れており、空振りに終わった。
- オスである。
- 大型犬
- 単行本2巻表紙裏に登場。レギュラーキャラ陣がこたつを囲むイラスト内で小梢にじゃれつかれている。犬種はバーニーズ・マウンテン・ドッグかと思われるが不明。
過去
- 妹巫女
- 過去編に登場する人物。谷跨斑を封印した祓屋一家の双子巫女の妹。名前は塗りつぶされているため不明。蛇か蛙かと例えられる容姿で両親からは差別され姉からもぞんざいに扱われていた。名目上『おろちの胴体の封印の管理する』形式で独立させられ、経済的にも貧しい東側の集落のあばら家に居を移した。
- 真面目かつ勤勉であり、なんでもそつなくこなす器用さや医の心得があったため、東の集落ではすぐに村人に溶け込み、その評判は西の集落にも届くほど。良くも悪くも純粋で人がいいため悪心に察せられず、それ故に卑劣な罠にかかり命を落とした。享年26歳。
- 後のダラさんである。
- 巫女としての才能は姉に劣るものの、身体強化術と荒事を姉に押し付けられていたゆえの豊富な知見と戦闘経験も相まって、その能力は姉をもしのぐとされる。この身体強化は符を貼ったり墨で前もって直接肌に書いても効果が得られるが、紙は貴重品でありおいそれと使えず墨は即応性に欠けるため、小刀で肌に刻み付ける方法を取っていた。そのため彼女の両腕両脚には何度も刻まれケロイドが残っている。
- 尚、劇中で火車(ほぐるま)と呼ばれる移動速度強化の術を使っていたが、原理が倒した妖怪の妖力自分の体内に蓄積して放出する術であるため、外法の一種であると考えられる。
- 椿(つばき)
- 過去編に登場する人物。谷跨斑を封印した祓屋一家の双子巫女の姉。妹と違い容姿端麗で両親の寵愛を一身に受けて育った。おろちを封印した後『おろちの頭の封印の管理』を行うため、西の集落に両親と共に居を構えていた。住居兼神社の建立に携わった1人の大工の青年に想いを寄せるが、大工の青年は自分に尊敬以外の念を持たず、見下していた妹に懇意を向けている場面を目撃して以降、「見下していた妹に負けた」と逆恨み、激しく嫉妬する。
- しばらくして、おろちの頭の呪いが井戸に染み出て疫病が流行。責任問題に発展して矛先が自分達に向く事態を恐れた彼女は、呪いの解決と妹の始末を同時に行う方策を思いつき、そしてそれを成就させるために言葉巧みに両親や村民を扇動していく。
- おろちの胴体の封印を解き、異変を察知した妹をおびき寄せるとまずはともに胴体を退治し、疲弊させたところで村人達に妹を襲わせその四肢を奪い、最後は自らとどめを刺した。しかし、己の溜飲を下げるため自らの手で妹のトドメを刺したのが仇となり、妹の怒りと絶望がおろちの怨念と混ざり合って〈屋跨斑〉として変容。自身も四肢を奪われ妹と同じ姿になり果て死亡した。
- 巫女としての才能は妹よりあるものの、自分の体に傷をつけるのを嫌っていたため、荒事は妹に押し付けて自分は地鎮や祭事を主に担当していた。ただし戦闘能力がないわけでもなく、おろち胴体との戦いでは本気を出して妹と共に戦いつつも、巧みに妹への負担が増すように動くなど狡猾。またその後口封じに村人を襲った際も武装した村人数人を相手にしながらも、式神を巧みに利用して寄せ付けず圧倒している。
- 双子巫女の両親
- 過去編に登場する人物。谷跨斑を封印する以前から美しい姉の椿だけを偏愛し、妹巫女を「椿と違って醜いお前を視界にも入れたくない」と常に口にする程に疎んじるなど、夫妻そろって親としての適性が著しく欠いた難物。
- そんな歪な関係もあってか、椿のおろち調伏(=妹巫女殺害)計画を嬉々として受け入れていたが、最終的に椿同様の末路を迎えた。
- 十郎太(じゅうろうた)
- 過去編に登場する人物。谷跨斑を封印した祓屋一家の神社を建立した若く精悍な大工の青年。妹巫女の評判を聞き、彼女のあばら家を修理するために足しげく姓東の集落へ通い、家の修繕だけではなく共に農作業を行うなど親交を深めていくが………。
- 観重(けんじゅう)
- 過去編に登場する人物。双子巫女の師匠に相当する老人。著名な陰陽師の弟子であったが、見境なく外法に手を染めたために破門され姓も捨てた。かつては呪術で人を殺める仕事をしたこともあったという。
- 破門された身ながらも十郎太の話を真摯に受け入れる、老体ながらも「弟子の不始末は師匠がケジメをつける」として十郎太の村へ自ら出向く等々、人間性は真っ当であり外法に手を染めたのは知識欲求ではないかと推測される。
- 巫女姉妹が程度の差はあれど外法の行使に躊躇しないのは、この師匠の影響が強いと思われる。
- みつ
- 過去編に登場する人物。観重が連れている幼子。人見知りが激しいのか、初対面の十郎太を快く思ってなかった。
- 十郎太の村へ出向く観重に留守番を頼まれるも、彼から離れたくない一心から最終的に旅の動向を許される。
設定
オカルト
- 上梛の祠(かみなぎのほこら)
- ダラさんが三十谷姉弟と出会うきっかけになった禁足地にある土砂崩れで損傷した祠。見た目こそ簡素な祠だが、物々しくワイヤー入りの注連縄と錠できつく封印されている。普段のダラさんはこの祠に人が近寄らないように怪奇現象で脅したり、弱めの祟りビームでキャンいわせていたのだが、まったく動じなかったのが三十谷姉弟である。胆力ぅ……
- その中身は板に打ち付けられたダラさんの元となった巫女の左腕。裏切った村人達に切り落とされた後、巫女が屋跨斑へと変異したと同時に呪物と成った。元の持ち主であるダラさんの制御を離れているため見境なく呪いを放ち、祟られると手足を螺旋を描くように捻り潰して命を奪うに止まらず、縁を伝って呪いが伝播する呪いのビデオさながらの呪物となっている。
- 数百年も経った今も腐らず朽ちず切断された当時のままの姿を保ち、血も滴る。迷惑系動画配信者によって祠が暴かれた際に曝露し、その呪力をもって配信者2人を呪殺した。
- しかしその本質はその呪力によって、谷跨斑の頭の封印を強固にするための楔。またダラさんとは別に長く祀られてきたため、本体とは別に神格化している。
- 平尋神社
- 山の麓の町にある神社。二十尋家が神職をしている。ダラさんが感心するほど霊的にも物的にも管理された神域をもつが、本来は拒否されるはずの妖の身でもあるダラさんをすんなり受け入れたため、ダラさんを困惑させた。
- 異界
- お守り
- ダラさんが日向の誕生日にプレゼント代わりに手渡したお守り。中にはダラさんの舌の肉が入っており、危機的状況下においてこれに血や唾液を含ませると一時的に贄を捧げたと見なされ、ダラさんの勢力圏内ならダラさんを召喚、圏外ならば使用者の霊力を消費してダラさんの力を顕現も可能の代物。さらっと渡されたわりにかなりヤバめなアーティファクトであったため、日向が若干引いていた。
- 当然のように薫にも催促されたため渡している。
- 綱守(つなもり)
サブカルチャー
本作品は劇中劇などのサブカルチャーの設定がとにかく豊富なのも特徴。単行本で解説されている作品は以下の通りである。
- 単行本第1巻
- 『バ美肉マン』:バ美肉した56歳男性がネット犯罪と戦うアクションロマン。週刊少年ボイーンで連載中とされる設定の劇中劇。作者のツイッター上には第17巻の表紙が存在する。
- 『異界戦線』:36体の異形が争う格闘ゲーム。豊富なシステムを備えるが煩雑過ぎて、売上が芳しくない。
- 『グランオリジンアークカイブ娘パズルストライク』:ソシャゲ(※厳密には説明はされていないが、一応記載)
- 『超可動美少女プラモ DARA-SAN』:単行本2巻表紙裏に登場。いわゆる美プラ(メガミ◯バイスなど)。メーカーは「BANG DEAD」。薫の妄想の中での商品化。あくまでもおまけ内でのネタであり必ずしも本編とは整合しないと思われる。
- 単行本第2巻
- 『地獄大脱出ゲーム』:いわゆる人生ゲームの亜種のボードゲーム。
- 『HumanHunter』(ヒューマンハンター):迫害により辺境に追いやられた怪物達が人間に反旗を翻すハント&クラフトゲーム。「人狩り行こうぜっ!」のキャッチフレーズを含めると、元ネタはどう考えてもこの作品と思われる。
- 『MEGA LADY』(メガレディ):元は日本のゲーム『アニー・メック』を海外ローカライズした作品。名称や設定から元ネタはどう考えてもこの作品と思われる。
- 『星渡りのハバキリ』:劇中に登場する人気ロボットアニメシリーズ機動殻身ティタニカの12作目のタイトル。正式には『機動殻身ティタニカ 星渡りのハバキリ』。同人イベントで薫がコスプレをして美和の同人誌の売り子をしていたり、日向がダラさんとプラモデルを作成している。また映画も公開されている。シリーズ展開やプラモデルの発売元の名前がヴァンガイであるなどの設定から、元ネタはどう考えてもこの作品と思われる。
- JUNGLER(ジャングラー):通販会社。大空に聞くと名前を答えてくれるかもしれない。
- 『ハリウッド版』:--『THE AMAZING DARA-SAN』の題でハリウッドで展開された実写版(?)準拠のコスチューム。ぴっちりスーツやアーマー、尾の先端のビーム砲口などスーパーヒーロー風にアメリカナイズされている。あくまでもおまけ内でのネタであり必ずしも本編とは整合しないと思われる。
- 『都市伝説TRPG シャレクァスーレ』:単行本2巻表紙裏に登場。レギュラーキャラ陣がこたつを囲むイラスト内で美和の傍らに置かれている。元ネタは『洒落怖』スレだろうか。
- 単行本第3巻
- 『G.K.P.』:ヴァンガイが近年発売した萌え系プラモの総称。元は競合他社の1社が廃業し溢れた職人達を、ヴァンガイが一斉雇用したのに合わせ、新設された部署から発売された。
- 『激昂無頼 ガン・バルゼー』:本編から約40年前に放送されたロボットアニメ。バルゼーヒート、バルゼーフーガ、バルゼーミードの3機のマシンが合体しガン・バルゼーとなる。約40年前の作品故にコンプライアンスの緩さから、残酷な描写の多さに保護者から苦言を呈されていた。本編から10年前にリメイクし人気が再燃した模様。タイトルはこちらに近いが元ネタはあちらと思われる。
- 『尿意マン』:昭和末期に放映された特撮番組。活動期間は膀胱が限界を迎えるまでと、下ネタ全開の作品に見られがちだが、制作サイド曰く「学校などでトイレに行きたくても行けず、我慢しなければならない風潮に対する警鐘」として作成されたらしい。
- 『血と定規のカトラス』:ハラスメント被害で自殺した女性が悪霊と化し、自分と同じ被害者に憑依し加害者を惨殺する内容の成人マンガ。
- 『アール・セブン』:パッと見ロボット物に見せ掛け、身寄りのない少女を生け贄に運用するグロテスクなメカアクションの成人マンガ。
余談
- ツイッター上で連載されていた当初はとある怪談都市伝説をモチーフにしており、ダラさんの名前もそれに準じたものであったが、書籍化にあたり権利関係の諸問題を避けるためオリジナルのものに改められた。また祖父が確認しようとした封印の内容が変更され、日向が怪談の初出に言及する場面も、三十木谷家に伝わる古文書に差し替えるなどの改変がなされている。
- ファミコンのような家庭用ゲーム機も名称がファンコンとなっていたが、商業連載にて『ファミコン』の名称で収録された。
- 現在もTwitterでは投稿が続いており、これらに修正やページの追加がされたものが正式なものとして商業版として掲載されている。設定も商業版と統合されている。
- 単行本化にあたり改稿が行われた他、カバー裏には描き下ろし漫画と描き下ろしイラストが収録。
- 発売後好評を博し、2022年11月30日重版が決定。
関連動画
KADOKAWA公式ボイスコミック
関連イラスト
関連タグ
ヤマタノオロチ:変更後の名称の元ネタと思われる。
……:ある意味で物語の根幹となっている要素。
関連リンク
- 旧設定版(姦姦蛇螺)
- 商業連載版