概要
ルパン三世の偽物。
主人公の偽物が登場する展開というのは、それ程珍しい訳ではない、ある種お決まりのパターンといえる。
よき古き昭和ムーヴを受け継ぐ長期作品の『ルパン三世』ならなおさらの事で、同じ怪盗ものの怪人二十面相や、そもそも原典のアルセーヌ・ルパンにもそういった話が存在する。
ただ、ルパンの出自時代が多くの謎を含む上、作品ごとに語られる過去も根幹から全く違う為、そういった意味では下記の面々も「ルパンになり得た」可能性の一つと言えるのかもしれない。
漫画(モンキー・パンチ作品)
原作(無印)漫画のエピソードでも偽ルパンが登場。
『ルパン三世颯爽登場』
原作第1話。ルパン三世の容姿は連載開始まで読者へ明かされておらず、銭形ら作中人物だけでなく読者もルパンの容姿を知らない状態で物語が始まる。
読者のミスリードを誘う偽ルパンも登場し、第1話終盤になって例の猿顔男が本物だったと明らかになる。偽ルパンは外国のスパイで、ルパンを騙ることで凶行をルパンの仕業にみせかけようとしていた。目的の設計図が描かれたマイクロフィルムを手に入れるが、そこへ現れた本物に殺害されフィルムも横取りされる。顔は全く本物と似ていない。
『ルパン殺し』
服装から体格に加えて、整形をしたのか容姿も本物と全く同じ。使用拳銃も本物と同じワルサーP38である。しかし、性格は非常に残忍で、刑事などはおろか無関係の一般人でも容赦なく暴行をしたり殺害したりする他、本物と違い予告状を使って脅迫や殺害予告まで行う。
本物のルパンの手口を研究したのか、同様にトリッキーな仕掛けや罠なども使うのだが、単純な戦闘も含めて本物には遠く及ばず、作中では終始圧倒され続けていた。最期は本物のルパンが銃に仕掛けた罠に逆にはめられて死亡。銭形にも最初から偽物だと見抜かれていた模様。
『ジキル・ルパンとハイド・ルパン』
下記「二つの顔を持つルパン」の原作漫画版。詳しい記述は同項参照。
TV第2シリーズ
第16話『二つの顔のルパン』
ルパンの予告状に先回りしてお宝を強奪する事件が発生。犯人はルパン三世を名乗るも、その方法はルパンが最も好まない強盗殺人であった。
第一の犯行の時には銭形はその凶行に激昂。一方、第二の犯行が発生した後、次元と五右ヱ門は、ルパン2世とも親しかった精神科医ノーミル博士に、ルパンの様子がおかしいと話しかけられて相談する。
ノーミル博士はマジックミラー越しにルパンを観察させる。すると、突如容貌が変わり、性格も残忍なものへと変貌してしまっていた。精神科医として世界的権威であるノーミル博士は自分が発見した「変身病」であると説明する(現実の「解離性同一性障害、所謂多重人格のそれに近い)。
ルパン自身も自己不信に陥り、就寝前に寝室にビデオカメラをセットして撮影する。しかし、その映像の中ではルパンが女性を連れ込むが、同じように別人格へと変貌し、強盗どころかシリアルキラー化してしまっていた。ルパン自身もノーミル博士にビデオテープを持って受診するが、ノーミル博士には「治療法はない……」と言われてしまう。
その後も「ルパン」の凶行は続き、ノイローゼになりかけたルパンは自殺を試みるも、不二子がそれを止める。不二子はルパンを椅子に縛り付けつつ、症状が現れるという午前0時を待つが、結局ルパンは変身しなかった。変身病自体は、ノーミル博士がはめるために相棒をルパンに仕立てて犯行をさせたでっち上げであった。
それを盗み聞きしたルパンは、トリックフィルムでノーミルたちを嵌めて報復した。
29話『電撃ハトポッポ作戦』
とあるシンジゲートのボスバロンが部下に次元と変装させて、X8号と不二子に差し向けた刺客。
これによってX8号に、ルパンへの復讐心を植え付けたがルパンに真相を明かされたX8号は報復に行く(ここでX8号はフェードアウトするため結末は不明)
声は山田氏が担当。
第65話『ルパンの敵はルパン』
詳細はミスターX(ルパン三世)を参照。
第155話『さらば愛しきルパンよ』
詳細は当該記事へ。
偽ルパン一味が登場してしたが、正体は永田重工の御曹司とその舎弟達であり、父と共謀して悪事を働いていたただのドラ息子。使用拳銃も本物と同じワルサーP38で、声も当時のルパン三世と同じく山田康雄氏が演じた。
2021年10月15日の『みんなが選んだルパン三世』で本エピソードが放送された際は、字幕放送でも黄色字幕が使われていた(黄色字幕は正体発覚までで、発覚直後に白字幕に変更)。
『ルパンVS複製人間』
正確には偽物ではなく、ルパン三世のクローンが登場する。
本作の黒幕のマモーが、ルパンの思考や行動を研究する為に、オリジナルのルパン三世から入手した体細胞から作ったクローン。クローンである為に当然ながら外見はオリジナルと全く同じであり、その手口や言動もオリジナルと全く同じであったらしく、銭形ですら「あれは本物のルパンだった」と断言する程である。
物語開始前に逮捕されて本編冒頭で処刑されており、その為に本編の時点では既に故人だが、その存在はオリジナルのルパンを大いに混乱させた。遺体は、冒頭でルパンの死を受け入れられない銭形が遺体にトドメを刺そうとする場面で登場したが、直後に調査に来ていたらしいオリジナルのルパンによって爆破された。
「処刑されたのはコピーの方さ!君は確かにオリジナルのルパンだ。安心して死ぬがいい!」
『GREENvsRED』
ルパン三世を名乗るキャラクターが無数に登場するシリーズきっての怪作。ある事件を皮切りに世界各国からルパン三世が集まり、誰が本物かを巡って混沌とした争いが始める。
その中には、それまでのテレビスペシャルに登場したルパン三世と同じデザインのルパンも存在している(ただし、実際に全員集合した場面では全員一律で同じキャラデザに修正されている)。
- ヤスオ…スリルを求めてスリを始め、ワルサーP38を入手したことでルパン三世(緑ジャケット)となる。声は片桐仁(ラーメンズ)。
- ルパンK…コンビニの万引きで捕まってしまった残念なルパン三世。ルパンAに助けられてからは巨大ロボットを使いヤスオを助ける。声は粟野史浩。
- ルパンA(タカシ)…ルパンKを助けたルパン三世。ただし、その為に他の偽ルパン三世達から捕まってしまう。声は酒井相一郎。
青山剛昌作品
作者の青山自身が好きなこともあり、パロディとしての登場もあるが、その後、クロスオーバー作品が作られるまで知名度を持つことになる。
『まじっく快斗』
2巻収録の「彼から手をひいての巻」では、生徒がするコスプレ姿の中にルパン三世が描かれている。
ちなみに、レギュラーキャラクターの快斗・青子・紅子は別のコスプレをしており、白馬は登場前のため、主要キャラの誰かによるコスプレではないと思われる。
『名探偵コナン 紺碧の棺』
ルパン三世の覆面をしていた強盗犯。作品の冒頭に登場し、「ジョリーロジャー」の言葉を残し気絶した事で本編の事件へ繋がっていく。ちなみに本作はクロスオーバー作品ではない。声は黒田崇矢。
『ルパン三世VS名探偵コナンTHEMOVIE』
冒頭でルパンは怪盗キッドに変装してお宝を盗み出したが、ラストで向こうも意趣返しに先回りして獲物を盗み出してしまう。
なすりつけられたルパンは服部平次や銭形に追われ、「俺じゃない」と言うも全く信じてもらえなかった。
その他(偽ルパン三世以外)
偽ルパン三世には分類されないものの、ルパン三世と共通する技術を持つ者。
ルパン三世と共通の手口
ルパン三世の手口は、元々ルパン一世(アルセーヌ・ルパン)が編み出して残した「盗術」を元にしている(現在はそれにアレンジを加えている可能性もある)為に…つまり伝承できる手口であるが故に、手口が共通する者が多数登場している。
- ???…『ルパン三世 ワルサーP38』に登場。ルパン三世の昔の相棒。ルパン三世の当時の愛銃のシルバーメタリックのワルサーP38を、ルパン三世から盗み使用。
- 賊族島の住人…原作漫画『ルパン三世 新冒険』に登場。ルパン一世の本「盗術」により、島の全員がルパン三世並みの腕前を持つ。
- カトリーヌ・ランバート…『ルパン三世 盗まれたルパン 〜コピーキャットは真夏の蝶〜』に登場。駆け出しの頃のルパン三世の相棒。通称「キャット」。
- レベッカ・ランバート(ベッキー)…『ルパン三世 盗まれたルパン 〜コピーキャットは真夏の蝶〜』に登場。上記のカトリーヌの娘。
- ルパン小僧…漫画『ルパン小僧』に登場。ルパン三世の子供とされ、母親から「盗みの術」を習っている。
ルパン三世に近い特徴
- ナザロフ…『ルパン三世 愛のダ・カーポ〜FUJIKO'S Unlucky Days〜 』にて登場。過去にルパン三世が着ていた緑ジャケットに近い服装をしている(その作品でのルパン三世は赤ジャケット)。変装も得意で、作中も様々な変装を披露している。声は千葉繁。