概要
1986年3月8日に公開された映画で、当時放映中だったTVアニメ『世紀末救世主伝説 北斗の拳』の劇場版。配給は東映で、同時上映は『ジャッキー・チェンの醒拳』。
内容は原作序盤からケンシロウとラオウの最初の対決までを再構成したものだが、下記のとおり設定は大きく異なる。更にTVでは公開できない程スプラッタ・グロテスクな描写が多い。
原作者武論尊は当初は絵コンテを見て「素晴らしい」と評したそうだが、公開が近づくにつれてだんだんジャンプ巻末でのコメントが不穏になってきたのは有名。
本作の終盤は映画公開時とビデオにおいて展開が異なっているが、これは続編の製作中止が決定した為である。
その後、原作・アニメ完結後に制作されたOVAや真救世主伝説シリーズとは繋がりが無いパラレル設定になっている。
原作との相違点
- 北斗四兄弟の次兄トキが登場しない。
- シン、レイ、ユリア以外の南斗聖拳の人々は登場しない。
- リンを助けた時のケンシロウがメイン画像のように髭を生やしている。
- 一部キャラクターのカラーリングが原作ともアニメとも違う。
- シン率いるサザンクロスは拳王軍により滅ぼされ、ユリアは投身自殺未遂を行わず逃亡中にラオウに攫われ、シンはケンシロウと再戦する前にラオウとの戦いで致命傷を負った。ケンシロウに一撃食らった後にその事実を明かしてラオウとユリアの行き先を告げ、「死ぬならお前の手にかかって死にたかった」と原作とは正反対の遺言を残して絶命。
- カーネルがシンの部下なのはTV版同様だが、ケンシロウと戦わずシンの逆鱗に触れ粛清される。
- 原作やTV版でシンの部下だったハート様や、原作では独立勢力でTV版ではシンの部下だったウォリアーズのジャッカルとフォックスはジャギの部下として登場。
- アイリを攫いレイを操る悪党は牙一族ではなくジャギに変更。
- 牙一族は特に悪事を働くこともなく拳王軍に蹂躙される。
- カサンドラが拳王府も兼ねており、ウイグルは獄長ではなくラオウの側近。
- 原作では見ることもかなわなかったウイグルのムチ裁きをレイが余裕で見切り、撃破。しかし、ラオウとの戦いに敗れた後、原作の様に三日の命を与えられることなくその場で絶命。
- 前述の通りトキがいないためケンシロウは実力でラオウを黒王号から降ろさせるが、劇場公開版では激闘の末敗北。リンが戦いを止める様ラオウに嘆願したおかげでとどめを刺されずに済んだ。
- ユリアがケンシロウとラオウとの戦いで生じた闘気の嵐に巻き込まれて吹き飛び消息不明となる。
…その他、挙げていけばキリがない。
登場人物及び声の出演
太字はTV版から変更されたキャスト。
- ケンシロウ:神谷明
- ユリア:山本百合子
- ラオウ:内海賢二
- ジャギ:大塚周夫
- リュウケン:千葉順二
- リン:鈴木富子
- バット:鈴木みえ
- シン:古川登志夫
- レイ:塩沢兼人
- アイリ:安藤ありさ
- ウイグル:郷里大輔
- 牙族長:渡部猛
- ジード:柴田秀勝
- カーネル:矢田耕司
- ハート様(※予告編ではエレファントと表記):滝口順平
- ジャッカル:大竹宏
- フォックス:青野武
- ガルフ:八奈見乗児
- ジードの手下:銀河万丈、田中康郎、田中亮一
- 十字剣ヌンチャクの男:屋良有作
- リンの村の長老、老人:宮内幸平
- レイに鋸で殺されたモヒカン男:千葉繁
- ナレーター:石田太郎
余談
実はTV版『北斗の拳』はビデオ化されておらず、総集編が少し出た以外は本放送を確認するのが非常に困難であった。2001年にDVD化されるまではそれらとこの劇場版しか映像ソフトが無かったため、現在でもカラオケ映像などではこの映画の動画が使用されている。