「マミヤ、どこまでも哀しい女よ………ならば、おまえのためだけに死ぬ男がひとりぐらいいてもいいだろう!」
「そのむくわれぬ愛のために…………」
「しあわせにな!」
CV:塩沢兼人(TVアニメ・劇場版、PS1、パンチマニアシリーズ)
千葉一伸(AC・PS2格闘ゲーム、パチンコ・スロットシリーズ、レジェンドリバイブ)
三木眞一郎(新OVA)
植木誠(NDS版ゲーム)
はらさわ晃綺(タイピングゲーム「激打3」)
森川智之(北斗が如く)
鳥海浩輔(イチゴ味)
緑川光(スマートショック)
【流派】南斗水鳥拳
【技】断己相殺拳、飛燕流舞、飛翔白麗など
南斗水鳥拳伝承者で、南斗六聖拳においては義星の宿命を背負う。ジャギにさらわれた妹のアイリを探している時にケンシロウと出会い、アイリとの再会後はケンシロウに協力。マミヤの村が拳王軍に襲われた際にラオウと対戦し、余命3日とされてしまう。残りわずかの命を愛するマミヤに捧げることを決意したレイは、マミヤを過去の因縁から解き放つべくユダに挑戦。ユダを撃破すると、ケンシロウたちに見守られながら天に旅立った。
南斗六聖拳「義星」の男であり、南斗六聖拳の中で最も華麗と言われている南斗水鳥拳の伝承者。
ケンシロウと共に長らく闘い続けた男で、ケンシロウの相棒的存在。
ラオウ・サウザーといった本作の主要キャラクターには、幹部や部下を数多く擁しているが、彼には仲間や家族、友達はいるものの組織を全く作っていないため、幹部も部下も全くいない。(もっとも、力づくで作ろうと思えば出来なくもないが、作中では全くやらなかった。)
登場時には、留守中に家族を惨殺し、妹・アイリを連れ去った「胸に七つの傷のある男(=ジャギ)」への復讐の念に凝り固まり、非道で孤独な旅を続けていた。
彼の所為もまた人の為に生き、人の為に死すという彼の「義星」という宿星からでもある。
普段は女を装い正体を隠し、野盗を誘うなどして、食料を確保していた。
マミヤ達の村へ最初は用心棒を装った牙一族のスパイとして訪れ、ケンシロウ達ともそこで知り合った。
当初はかなり荒んだ表情で、リンには「あの目は人を助けるような目じゃない」、バットには「大悪党なツラだぜ!」とまで言われ、ケンシロウも「自分の利益以外では動かぬ男」との人物評を下されるなど、哀しき悪役になりかけていた。
しかし後に、村人の前で弟の死にも冷徹さを貫く姿勢を見せながらも、陰でその弟の死を嘆き涙するマミヤの姿に動かされ、利害をやがて超えてマミヤ達のために戦う姿勢を見せる。
更にはケンシロウ達の協力で妹・アイリとの再会、救出を果たす。
アイリを救出したことが切っ掛けで本来の「義星」であるべき輝きを取り戻し、以降は無償の友情や愛のために奔走することになる。
マミヤと接し見守っている間に、いつしか彼女を愛するようになるが、マミヤがケンシロウに惹かれている事を悟ると、彼女を遠くから見守り、彼女の心の中に生きようとする。
そして、ラオウとトキとの戦いの最中にラオウから心中を指摘された際、「自分に愛というものを教えてくれた唯一の女」であると、秘めていたマミヤへの思いを告白した。
ラオウに秘孔「新血愁」を突かれて体が徐々に破壊され、苦痛に耐える中、マミヤの"死の運命"の鍵をも握る男であるユダの存在が発覚する。
マミヤのためにレイは、余命として残された時間をユダとの最後の戦いに賭け、自分の最期を飾ろうとする。そしてユダとの戦いに勝利し、秘孔「新血愁」の効果で死ぬ間際でも、彼はマミヤに「例え一瞬でもいい女として生きてくれ。女の幸せを求めるのだ。」と女としての彼女の幸せを最期まで懇願していた。
そして恩人のトキには感謝を、妹アイリには謝罪を、友であるケンシロウには死ぬな。と伝え皆に別れを告げ、砕けゆく体を見せないために荒屋の扉を閉めたと同時に肉体が砕けその生涯を終えた。
その後はケンシロウの強敵リストに載り、ラオウとの最終決戦時などで夢双転生の幻影として登場。技の一部もケンシロウに水影心により受け継がれた。
なお、レイ本人はラオウに全く手も足も出ず敗北したが、後にケンシロウがラオウと再戦した際、南斗水鳥拳で一矢報いている。
バット・リン編でもバットの口から名前だけ登場。
髪は長髪で、前髪を一部残して残りの髪を全て後ろに流している。髪色は原作では黒、アニメ・AC版では緑がかった水色になっている。瞳は原作は黒、アニメでは紅、その他メディアでは青。
長い放浪の影響なのか、目の下に濃いクマがある。
作中きっての美形で、初登場時はマントを羽織り女装し、野党を騙すなどしてみせた。
…と、思う方も多いだろうが、幕末としては長身(174cm)の”逃げの桂”こと桂小五郎(木戸孝允)も
「女装して逃げるのが一番楽だった」と述べてるように、遠くから見れば案外わからないものである。
服装は、襟に猛禽類の爪のような装飾が施されたの衣装を身に纏っている。例のごとく肩パッドが付いているが、初期と後期でそのデザインが異なる。
また、カラーリングも原作漫画版では黒髪に青紫の服だったが、アニメ版では水色(ライトブルー)のイメージカラーに変更され、髪も服もこの色に揃えられている。
彼の拳はその名の通り、水面に浮かぶ水鳥のように優美にして華麗であり見るものを魅了する。
しかし、その美しい動きから恐ろしい威力を誇る瞬速の手刀・爪での斬撃により相手をバラバラに斬り裂く殺人拳である。特に空中戦を得意とし、奥義には空からの奇襲技が多く見られる。
彼と対峙した者の中にはその拳の美しさに見とれてしまう者もおり、特にナルシストで美に対して異常に執着する南斗六聖拳「妖星」のユダは、レイの拳を目の当たりにし一瞬魂を奪われた。
この事実をきっかけにユダは、己より美しい拳を使うレイに激しい嫉妬の心を抱き、後にマミヤの運命を賭けて戦う事になる。
原作の前日譚を描いた「レイ外伝 蒼黒の餓狼」では、修行時代~ケンシロウと出会うまでのレイの動向が明かされた。修行時代は先代伝承者・ロフウの下で修行に励んでおり、シュウやその弟子でもある南斗翡翠拳のカレンとの交流が描かれた。水鳥拳伝承の最終試験の最中(原作での断崖絶壁の谷に立てられた柱の上で立ち続けるもの)、同じく水鳥拳の伝承権を狙うアミバにボウガンで妨害され谷底に転落。しかしそれを救助した、ロフウの妻で南斗水鳥拳“女拳”の達人でもあったリンレイから手解きを受け、後日再開された試験にて見事合格した。
その後は原作同様留守中に家族を殺害された上にアイリを誘拐され、餓狼のように荒んだ心のまま荒野を放浪。ひょんなことから助けることになった少年ユウに導かれ歓楽街『アスガルズル』へと赴くが、突如巻き込まれた女王エヴァ殺害事件と、それを好機に動き出したユダ率いるUD軍、さらには事件の黒幕でもある変貌したロフウとの戦いを繰り広げることになる。
アスガルズルでの多くの出会いと別れとを通して、餓狼が如き荒れた心は再び人らしい心に戻ることとなる・・・。
空中必殺技が豊富で、3段ジャンプもできる。デフォルトのカラーはアニメ版よりも濃い青だが、漫画版のもの及びアニメ版のライトブルーも別カラーで用意されている。
攻撃力・機動力ともに非常に高く、スーパーアーマーや無敵の付いた優秀な技を数多く持つ。
トキのバグ的な強さとは違い、制作陣によって意図的に強くされており、特殊勝利メッセージも豊富。
対戦相手によって技の演出やその際のセリフが変化することもある。
通常投げでは、「七つの傷がある男」「それ以外」「半裸」「マミヤ」の4パターン。
更に一撃必殺奥義でも、通常バージョン・対マミヤ(後述参照)・対ユダ(原作再現)の3バージョン揃えており、
相当思い入れを込めて作られたことがうかがわれる。
また、必殺技「南斗撃星嚇舞」を使った一撃必殺技と同等レベルのバグ技も発見されている(通称バグ昇竜又はその際のレイの台詞からトベウリャとも)。
この技を使うと相手を殴り上げつつ画面上へ飛んで行ってしまい、相手のライフが無くなっても永久に殴り続けてしまう。
止めるには店員に筐体をリセットして貰うか、使用者がブーストボタンを押して中断させるしかない(なお、リアルで相手の後ろに回り込みブーストボタンを押した中野TRFの有名プレイヤーもいる)。
放置していると熱等で筐体が止まってしまう可能性もある。
さらに世紀末ゲームであるアーケード版にしてはかなり簡単に発動出来てしまう。
対戦相手としては不愉快極まりない負け方となるだけでなく、インカムや店側への作業負担など迷惑極まりない行為となるため、使わないようにしよう。
現在は中野TRFを始め闘劇などの大会では使用禁止となっている他、家庭用では修正されて使えなくなった。
コーエーの無双シリーズとのコラボタイトル『北斗無双』シリーズにも初期から登場。
他のキャラクターたち同様、衣装は本作に合わせてアレンジが加えられており、レイの場合は和のテイストが強調されたデザインとなっている(「斬撃」「放浪」の要素から侍に重ねたのだろうか)。
知らずの内に相手を斬り伏せる極意から、作中でも特にスピード感のある性能設定が為されており、特にコンボ攻撃による奥義が多く実装されている一方、断己相殺拳や飛翔白麗などの一撃必殺の高火力技も存在するなど、ケンシロウと並び奥義の数ではかなり優遇されている。
声を担当するのは、これまで北斗関連作品ではOVA『新北斗の拳』でケンシロウを、パチンコ版『蒼天の拳』で流飛燕を演じていた子安武人氏。とくに後者は容貌や技の性質がレイと似ている要素が多く、pixivでも両者を題材にしたイラストがいくつか投稿されている。…一方で、レイが愛した女性マミヤの声を進藤尚美氏が担当していたことで、両者のやりとりの場面に演者二人が過去に共演していた某作品が頭を過ってしまうという報告がユーザーから僅かながらに上がっていた(何気に件の作品も北斗のオマージュ要素を多分に含んでいたりする)。
サザンクロス編以降オリジナルストーリーが展開される本作では、原作同様にアイリを探して放浪していた道中、本作の舞台でもある近代都市『エデン』に“胸に7つの傷を持つ”ケンシロウがいるという噂を聞きつける。街に滞在するケンシロウに言伝を送り、誰もいない夜のコロシアムで1対1の対決を挑んだ。家族の惨殺とアイリの誘拐について詰問するレイに対し、当然ながら身に覚えのないケンシロウは説得を図るも聞き入れられず、結局両雄は拳を交えることになる。いよいよ最後の一撃で勝敗を決しようとしていたところに南斗五車星“風のヒューイ”が乱入し二人を制止する。同時に、“炎のシュレン”に連れ添われて現れたアイリと再会を果たすことになる。
実は、レイをケンシロウに挑ませたのは、他でもない五車星たちの計略であった。
かつてシンに惨敗しユリアを奪われたケンシロウの実力を疑っていた“海のリハク”は、改めて彼の実力を見定めようと、シンと同じ南斗六聖拳の伝承者レイと闘わせることを考えた。そしてケンシロウがレイの家族を奪った“胸に7つの傷の男”ではないことを代弁し、ケンシロウたちにも自身らの正体と今回の一件の全貌を説明。その上で、現在スフィアシティの超技術による肉体の治癒のために眠りについているユリアのことを改めて託し、彼らの前から姿を消した。
その後、家族殺し・妹誘拐の真犯人であるジャギもまた、憎悪するケンシロウを追って同じくエデンに潜入。凶王軍幹部のタルーガと結託したジャギは再びアイリを誘拐、それにより手出しができなくなったレイも秘孔縛で拘束し、ケンシロウと闘うための人質として利用されることになる。不利な条件で決闘を強いられたケンシロウであったが、ジャギやタルーガが目を離しているすきに、レイたち兄妹は何者かによって解放される。万全のケンシロウによって打ち負かされヘルメットが砕かれたジャギへの追い打ちに、レイは彼の頭の拘束具を破壊し引導を渡した。
作中でレイは、南斗水鳥拳による鋭い斬撃で人前でありながらマミヤの着衣を切り裂きパンツを残してほぼ裸に剥いて胸をあらわにしてしまうというとんでもない行動をしている。
この行動は「女を捨てた」と言い張り弟の仇である牙一族との戦いに身を投じようとするマミヤのことを思ってのことであり、咄嗟に乳房を隠すマミヤに「女でなければ胸を隠す必要はない」と、彼女が戦い続けることを諦めさせたのである。そして、レイは彼の妹が付けるはずだったケープをマミヤに被せ、「帰ってきたら純白のケープをプレゼントする」と発言している。
弟を失っても気丈に振る舞うマミヤに自身を重ねたレイの優しさを垣間見る奥の深い名シーンではあるのだが…読者の多くにとっては「衆人環視の中で女性の衣類を強引に剥ぎパンツ一丁にする」というレイの行為(及びマミヤの肉感的な肢体)のインパクトの方が強く伝わってしまったのか、度々ネタにされるようになり、「セクハラ」という不名誉な諢名を拝領するに至ってしまった。
なお、このシーンは前述のアーケード版の対戦型格闘ゲームおよびPS2移植版『北斗の拳 〜審判の双蒼星 拳豪列伝〜』でも再現されている。
レイの一撃必殺技でマミヤを倒すと直後彼女が起き上がり、原作同様にレイがマミヤの衣服を切り刻みパンツ一丁にする。そして、胸を隠すマミヤに向かいレイが「マミヤ、お前は女だ」と発言する。
またマミヤとの初対面時においても、水浴びする彼女とリンの元に現れ、撃退しようとするマミヤの攻撃をいなしてタオルを剥ぎ取り、しばらくじっと見つめたりしていた。
なかなかのスケベである(その時の彼に対するリンの「ケンと同じ優しい目だった」という発言から、彼女への愛おしさから見惚れていたとも考えられるが)。
スピンオフである『レイ外伝 蒼黒の餓狼』ではこうした描写がかなり誇張されており、行く先々で女性の衣類を剥いでいる。もはや服を剥ぐ=彼なりの挨拶とすら呼べるレベルである。
ケンシロウに最も協力的な相棒であり、南斗の中でも最速の拳法の持ち主であると称される
…にもかかわらず、活躍の場が異様に少ない。
北斗神拳のように一人一人秘孔を突かなければならない技よりも、すれ違いざまに相手を次々に薙ぎ倒すことができる水鳥拳のほうがモブ処理に向いていたためか、本編では「雑魚散らしはレイ、親玉はケンシロウ」という構図がいつの間にか形成されていってしまった。カサンドラでは門番のライガ・フウガの放った二神風雷拳の初手を許した瞬間に、ケンシロウから選手交代を宣言されるなどの雑な扱いを受けている。なおレイの保身として供述すると旧劇場版ではジャギに雇われた拳法殺しハートに1度秘孔への打撃を脂肪により無効にされ地面へ叩きつけられたケンシロウに「おいどうした、俺がやろうか」と交代を持ち掛けている。これは南斗聖拳であれば外部からの斬撃で瞬殺できる為。その後の原作・アニメでケンシロウが鞭を食らい、蒙古覇極道で気絶までさせられたウイグル獄長戦でも鞭を物ともせず、水鳥拳の技で瞬殺している。
ラオウの本編初登場時には彼の対戦相手を務めるが、完全に格下扱いにされ騎乗する黒王号から降ろす事が出来ず闘気に圧倒され、相打ち覚悟の究極奥義を繰り出すがラオウの放ったマントで視界を奪われ、さらに指一本で戦闘不能にされてしまうというパワーインフレの犠牲にもなってしまった。これは原作担当の武論尊氏も失敗したと言っている。
ちなみにTVアニメ版ではレイが究極奥義を繰り出した際にラオウが切り刻まれる自分の姿をイメージしており、レイの究極奥義はまともに受ければラオウと言えど相打ちとなってしまうためマントで動きを封じた事が示唆されていた。
原作では秘孔により3日間の命を与えられ、ユダとの対決というまともな見せ場をもらえたが、旧劇場版ではマミヤもトキも登場せず本編も終盤に差し掛かっていたため、その一撃で死んでしまうというラオウの引き立て役となってしまった。
OVA『ユリア伝』では、放浪中にユリアの配下である南斗五車星のシュレン・フドウ・ヒューイの襲撃により捕らえられる。そしてユリアによりケンシロウと出会うキッカケを与えられる。
このシーンに関しては「六聖拳より格下の五車星に捕えられるなんて…」という声もあるが、そもそも五車星は南斗聖拳とは別流派であること、ラオウも怖じる怪力と巨躯を持つフドウや炎を操るシュレンのような奇拳使い、水鳥拳と同じく真空波による斬撃を有するヒューイといった拳士たちが、不意をついて3人がかりで襲いかかるのだから、捕縛についてならそこまで不自然さはないだろう。