※ 「さくら」で「驀進」ですがメイン画像の子は特に関係ありません。
概要
東映製作の鉄道映画。1960年11月公開。長崎行寝台特急「さくら」を舞台に車内で発生するトラブル、列車の定時運行を妨げる自然災害、そしてそれらに立ち向かう国鉄職員の姿を描いた作品。
国鉄全面協力の下で撮影されたため、当時実際にさくらに使われていた20系客車を使用してロケ列車を仕立てている。
なお女優の中原ひとみが本作で食堂車の給仕係役として出演し、撮影のためにさくら号の食堂車に居た所をたまたま乗り合わせた日本食堂の営業部長が自社の社員と勘違いし「ウチにあんな派手な化粧をする娘が居るのか!」と怒鳴ったという逸話が残る。
東映チャンネルでは2007年と2009年に放映されていたことからフィルムないしテープが東映に残ってはいたがソフト化には長年恵まれず、初ソフト化は2012年発売のDVDとなった。
本作の監督を務めた関川秀雄は新幹線の開発に関わった関川行雄の実弟で、当時の東映社長の大川博も国鉄OBといずれも国鉄に縁があった。
大いなる仲間たち
同じく関川秀雄監督・三國連太郎主演の鉄道映画としては本作の約半年前、1960年3月に公開された『大いなる旅路』がある。
2作は国鉄労働組合の家族らを中心に大好評となり、東映は1967年-1968年に渥美清主演の鉄道映画シリーズ「列車シリーズ」3作品を製作した。
いずれも東映のそれまでのヤクザ路線からの脱却を図った作品ではあったが、東映はお家騒動を経て結局ヤクザ路線へ回帰。その果てに出来上がったある映画でとうとう国鉄を怒らせるに至ってしまった。
余談
- 作中に登場する寝台特急「さくら」の牽引機はEF58(東海道本線)→C62(山陽本線)→EF10(関門トンネル)→C59(鹿児島本線)→C61(長崎本線)と変わっているが、途中の山陽本線内で登場した「C62 1」と「C62 17」はそれぞれ京都鉄道博物館とリニア・鉄道館で静態保存されており、今でもその雄姿を拝むことができる。
- また、崖崩れの反対側で緊急停車する貨物列車の牽引機「D52 72」は現在、御殿場線御殿場駅前で静態保存されている。
- 作中では「三原西方約2km」で崖崩れが起きたシーンは、御殿場線山北駅付近の「箱根第1号隧道」で撮影されており、「さくら」の牽引機は尾久機関区所属の「C62 47」。反対側で急停車する貨物列車の牽引機は国府津機関区所属の「D52 72」が使用されている。
- 作中のC62には3桁の番号(12X)を持つものが登場しているが、実際のC62は49両しかない。故に問題の機関車は存在するはずのない機関車であったりする。テレビアニメ版「銀河鉄道999」(C62 50。こちらは東映動画が手掛けた)じゃないんだから。
- 一説には撮影の都合上1両の機関車だけで撮影することが出来なかったため、前述の17号機が記録した時速129kmにちなんで架空の「129」にしたといわれている。
- 作中で「さくら」をC61が牽引しているが、C61の「さくら」は1960年内のごく限られた期間でみられた運用であり貴重な映像である。