島原城

しまばらじょう

島原城とは、肥前国島原市城内に存在した日本の近世城郭である。

城の概要

長崎県島原市に存在した城。別名は森岳城、高来城。

5層の天守閣を持つ連郭式平城で天守閣の高さは熊本城や姫路城に匹敵し雲仙普賢岳を拝め有明海を一望できたとされる。戦後に復元された現在の天守閣からも見ることができる。島原の乱の舞台の一つとなった。

歴史

島原地区は戦国時代においては肥前国高来郡有間庄の日野江城を拠点としたキリシタン大名有馬氏の領土だった。戦国時代末期の有馬家当主だった有馬晴信は島津家久の援軍を得て沖田畷で龍造寺隆信を討ち取っている。その後、晴信は江戸時代になり初代日野江藩主となるが岡本大八事件や長崎奉行・長谷川藤広暗殺計画露見の責任を取らされ死罪になってしまい、徳川家康に仕えていた嫡子・直純が継承。しかしキリシタンの弾圧に嫌気がさした直純は転属を申し出て日向国縣藩(延岡市)に国替えされた。ちなみに有馬氏はのち越後糸魚川藩→越前丸岡藩に移されたものの無事に明治維新を迎えている。

代わって大和の大名だった筒井順慶・定次の旧臣で五条二見城主だった松倉重政が封じられた。重政は連郭式平山城である日野江城の手狭さを嫌い、幕府から一国一城令が発令されたこともあり日野江城と原城を破却し新たな城を築く事を決意し幕府に許可された。重政は森岳城があった場所に約6年の年月を掛けて近世風の城を完成させた。当時の日野江藩改め島原藩は4万石程度の小大名であったものの立派な5層5重の白亜の天守と多数の櫓を備え、高い石垣を誇る頑強な城であり、藩の規模をはるかに上回るモノであった。普通の外様大名ましてや小藩の大名ではまず許されないだろうこれだけの城の築城を幕府が重政に許可したのは九州の抑えとして期待されていたからだとされる。

重政は南蛮貿易に目を付けており南蛮貿易の利潤で築城費用を賄うつもりだったともされキリシタンにはむしろ寛容な姿勢を取っていたが、幕府からの圧力もあり弾圧に踏み切った。

またルソン遠征を計画し費用をねん出するために重政は苛酷な税の取り立てを行い人々を苦しめた。更に度々噴火した普賢岳からの火山灰や溶岩流によって構成された土地での農業は捗らなかった上に築城などの土木作業は難しく、労働に駆り出された人々の負担は大きかった。

1630年に逝去した重政の跡を継いだ長男の松倉勝家はさらに苛酷な統治を行い、限界を迎えた農民は1636年に反乱を起こした。そして、かつての領主の有馬氏に仕えていた浪人たちや弾圧されていたキリシタンと手を組み反乱を起こす(島原の乱)。島原の一揆勢は勢いに任せ島原城下に押し寄せ、城下町を焼き払い蔵から略奪を行った、一揆勢は堅牢な城を落とす事は意図せず、天草諸島(ここでは関ヶ原の戦いで滅亡した肥後宇土城のキリシタン大名小西行長の遺臣や子孫である浪人たちがキリシタンと結びつき反乱が発生していた)の一揆勢と合流し原城跡に立て籠もった。

島原の乱の終結後、勝家は苛酷な統治の責任を取らされ当時としては異例である斬首刑(通常問題がある場合切腹となる可能性が高い)となり、松倉家は断絶した。その後は天領を経て浜松から高力忠房が赴任し荒廃した状況を立て直したものの、その長男である高力隆長は財政立て直しのため重税を課し、領民の訴えにより改易された。徳川譜代(家康の長男・松平信康の女系子孫)の大名である小笠原氏の小倉城と共に九州における要地であったことから戸田氏や深溝松平氏といった譜代大名が藩主となり、島原城も藩政の拠点として廃藩置県まで使用された。

明治時代に廃城令が出され、肥前の場合陸軍が新たな拠点を作るため、この城は廃城となった。特に城を残そうという動きはなく、土地などは一般人にはらいさげられ、豪華な造りであった天守閣などの建物は取り壊されてしまい、本丸は畑に、三の丸には学校が建設された。

よって現存する遺構はや石垣、堀などしかなかったものの、昭和30年代以降、天守閣や建物の一部がコンクリートで復元された。城内には松倉氏時代のキリシタン弾圧・苛酷な税の取り立てや雲仙普賢岳の噴火による被害を伝える資料館が存在している。

関連項目

城　日本史　江戸時代 島原の乱

深溝松平家−島原藩主。五代藩主の時に一度宇都宮藩に転封されたが、六代目以降再び島原城主となり、十三代にわたって島原を治めた。

外部リンク、参照

島原城ポータル

wikipediaの同項目