新宿西口駅
しんじゅくにしぐちえき
「おれは今新宿ダンジョンをほんのちょっぴりだが体験した
い⋯いや⋯体験したというよりはまったく理解を超えていたのだが⋯⋯
『おれは新宿駅の乗り換え階段を降りていたと
思ったらいつのまにか新宿西口駅に着いていた』
な⋯ 何を言ってるのか わからねーと思うが
おれも何をされたのかわからなかった⋯
頭がどうにかなりそうだった⋯
催眠術だとか超スピードだとか
そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ
もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ⋯」
場所的にはJR新宿駅の北西側、小田急ハルク〜思い出横丁〜新宿大ガード西側の交差点付近の道路下に存在する。同時に新宿駅の地下街の中でも、北西の方角に位置する。
駅番号はE-01と一見大江戸線の起点に見えるが、実際は隣の都庁前駅が運行上の起点駅となる。
この駅名でありながら、JRをはじめとする各線の新宿駅と地下構内で繋がっており、特に丸ノ内線の新宿駅とはメインの出入口が近接している。
さらに大江戸線自体も別途に新宿駅が存在するという非常にややこしい駅である。
特に新宿駅到着後すぐ目の前に改札があるため西口に乗降客が殺到しやすい小田急線、小田急新宿駅と並行する位置に本線の改札がある京王線、果ては大江戸線と一緒に乗り換え案内されている丸ノ内線ユーザーが上記のようなポルナレフ状態に陥っている。各線の駅構内やコンコースの案内標識の方も、丸ノ内線の新宿駅が新宿西口駅と一緒くたに案内してたり、逆も然りだったりという有様なので余計に混乱を引き起こしやすい。
なお混乱の一因である都営大江戸線の新宿駅は、JR新宿駅からみれば南西側の、京王新線改札のすぐ隣(京王線・新線とは改札内でつながっている)にあるため、逆に都営新宿線及び京王新線ユーザーと、JR駅の2階部分にある南口(甲州街道側)から下車した場合、さらに新南口やその上に存在するバスタ新宿を利用した場合、(当然東京の交通機関に不慣れな人が多い)どこに新宿西口駅があるのか分からないという真逆の現象が発生する。
「新宿西口ってどこよ⋯!!」
JR線の場合はどの改札を利用したかに左右されるが、西口(と中央西口)以外は分かりにくい上に、大きく迂回しなければならないおまけが付く。
都営大江戸線は案内上、隣の「都庁前駅」を起点に、「新宿西口」~「飯田橋」、さらに「両国」や「汐留」、「六本木」を経て近接する「新宿」を通り、再び「都庁前」で接続して、「東中野」~「練馬」、そして終点の「光が丘」に至るコースで運行されている。(光が丘発の場合も、同じコースで都庁前に戻る)
そのためお互いが独立した駅である「新宿西口駅⇔新宿駅」の乗換は不可(初乗り運賃を再徴収されてしまう)である。そのため、当駅から六本木方面に向かう、あるいは都営新宿駅から大江戸線で飯田橋方面に向かう場合は都庁前駅で一旦乗り換えなければならないというトラップもご丁寧に用意されている。(もっとも、時間に余裕があるなら、大回りして乗り通すこともできるが⋯)
これは経路自体が都庁中心的である問題もあって、JR山手線と違い環状運転自体が不可能という、大江戸線最大の泣き所でもある。
おまけに丸ノ内線新宿駅の隣駅には、この都庁前駅、さらには都営新宿駅と地下通路で繋がっている西新宿駅というこれまたややこしい駅が(以下略
さらに余談ではあるが、大江戸線(当時は12号線)の計画・建設中の時点では当駅は「北新宿駅」と仮称されていた。しかしながら新宿区内に北新宿という地域が、遠く離れたJR中央線の大久保~東中野駅間の近隣に存在するため、現在の駅名に落ち着いたと思われる。
上述したように丸ノ内線とは距離がかなり近いが、大江戸線ホームの階層が地下深い(B4F)こともあり、B4F(大江戸線ホーム)→B3F(大江戸線改札)→B2F(大江戸線駅構内コンコース)→B1F(丸ノ内線改札・小田急ハルクB1F)→B2F(丸ノ内線ホーム)という激しいアップダウンを要求されるため決して乗り換えやすいというわけではない.
また、丸ノ内線乗り場で(六本木などの)切符を購入しても、会社が異なる大江戸線には当然ながら乗車出来ないので注意。
さらに新宿西口駅自体が上記のように非常に複雑な構造をしているので、慣れない人は予め出口や経路を調べてから利用することをお勧めする。
混乱を招いているのは鉄道だけではない。
出口によっては新宿駅西口に位置するものもあるにはあるのだが、駅自体は新宿駅舎よりやや北に逸れている位置にあるため、出口を誤ると駅外れの小田急ハルクや、大ガード脇の商店街(思い出横丁)などに出てしまう。
その新宿駅西口に近い出口も丸ノ内線除く他社路線からは北に外れており、階層も全く異なっている。
※メイン画像は新宿西口駅ではなく新宿駅西口だが、迷わなければ2分ほどで辿り着くのでまあマシな方である。ただし、迷わなければ。
一方この駅が(あくまでも直接乗り換える場合に限り)便利な位置に存在しているのが丸ノ内線新宿駅と西武新宿駅である。西武新宿駅の場合、小滝橋通り沿いのD5出口から出るとガードを挟んでほぼ斜向いにあるため、さほど歩くこともなく乗り換えできる。ただし、小滝橋通りに面する入り口は遠目には分かり辛い。
なお、大ガードを挟んだ地下街(新宿サブナード)とは直接つながっていない。(一応丸ノ内線側のメトロプロムナードから迂回はできるが、かなり遠回りになる)
なお、JRその他の新宿駅からD5出口に向かうには、深い位置にある改札階まで下りる必要があり、意味のない遠回りでしかない。
極め付けが新宿を代表する商業施設の一つヨドバシカメラの位置関係である。
その本店は社歌の「新宿西口駅の前」の歌詞が有名ながら、この駅とは逆に「都営新宿駅」の近辺に位置している。(大江戸線からヨドバシに行く場合、当然新宿駅の出口からの方がずっと近い。
もっとも現在、ヨドバシカメラの店舗は都内だけで数店を擁し、また送料無料の通信販売も充実しているため、ヨドバシ目当てでわざわざ新宿まで出かける必要性は薄れているのだが・・・
なお、新宿西口駅にもっとも近い家電量販店は、皮肉にもそのライバルのビックカメラ(小田急ハルク)であり、しかも地下直結である。さらに昔にはさくらや(現:ユニクロ)とも直結していたというもっと酷いことになっていた。
なぜこの駅名にしたのだろうか?
なお、ヨドバシカメラ社歌は旧・国鉄(現・JR)の山手線と中央線(快速)の事しか歌ってない。これは、社歌が遥か昔に出来上がったのが理由であり、当時は都営大江戸線がまだ開業していなかった(2000年になってからである)。したがって社歌の意味するところは「『新宿西口駅』の前」ではなく「『新宿(駅)』西口(から見た)駅の前」であり、大江戸線開業後に上京して、特に「新宿西口駅という存在を知った」人にとって逆に混乱する結果となったのである。