概要だよ、宋江アニキ!
プロフィール
あだ名は黒旋風。鉄牛というあだ名もあり李鉄牛とも言われる。天殺星の生まれ変わりで、梁山泊での席次は第二十二位の好漢。
梁山泊では歩兵軍の頭領の一人となった。
生い立ち〜梁山泊入り
沂州沂水県百丈村董店東の農家出身で母と李達という兄と暮らしていた。
同郷の朱貴が言うには小さい頃から暴れ者で知られていたがふとしたいざこざで人を死なせてしまい逃亡した。その後、江州牢獄の下級役人として院長の戴宗に仕えるようになり、閻婆惜殺しの科で宋江が流されてきた際に、戴宗の紹介で引き合わされたのが出会いの始まり。
宋江をもてなす費用を得るために博打で勝とうとするが大負けしてすってんてん、喧嘩して殴った相手の治療費を宋江に払わせてしまう。名誉挽回すべく御馳走を用意しようと訪れた魚市場では開店時間を待ちきれずに暴れてしまい、市場の責任者・張順と大喧嘩をして溺れるなど、初っ端からトラブルメーカーぶりを発揮する。
だが、彼がその本領を発揮するのは江州で起きた謀反騒動だった。酔いに任せて謀反を匂わす詩歌を料理屋の壁に描いた宋江が、悪人として有名だった黄文炳と言う役人OBに訴えられて死刑判決を言い渡され、梁山泊と結託して偽装を行った戴宗も同罪として公開処刑されることになってしまった。それを聞いて憤慨した李逵は、防具もロクにまとわぬ半裸で刑場に殴りこみ、斧で無差別殺戮を起こす。梁山泊の晁蓋・花栄・黄信らの救援、和解した張順や兄の張横さらに李俊や穆弘らこの地区の好漢たちの助力も得た李逵は黄文炳を凌遅刑にして江州を逃走、梁山泊に入る。そして晁蓋や宋江の元で李逵の大暴れは続いていく。
梁山泊入り後
公孫勝が里帰りし、宋江が父・宋太公や弟・宋清と再会したのを見て羨ましがり、「俺もお袋さんを連れてきたいよ!」とわんわん泣き出すし、晁蓋や宋江ら一同の不安を他所に無理を言って沂州へ行く。自分の偽者が現れたり、息巻く李達をあしらって逃げるが、母を虎に喰い殺される悲劇に見舞われるがその際にも偽物とその妻を始めとした地元の小悪党、官軍の捕り手を殺しまくり、李雲と朱富を仲間に加わった。続く祝家荘との戦いでは祝龍・祝彪兄弟を斬り伏せるが、扈三娘の実家・扈家が不戦協定を申し出たにもかかわらず暴れ込んで壊滅させてしまう。宋江の役人時代の同僚だった雷横が白秀英を殺してしまった時、もう一人の同僚である朱仝が彼を庇って流刑にされてしまう。これを機に朱仝を梁山泊入りさせようと謀った際には、朱仝に懐いていた朱仝の上司の子を殺してしまう。いずれも殺しを平然とやってのけ、被害者や仲間が抗議すると逆ギレをしたため親梁山泊派の貴族で宋江や林冲の恩人である柴進に預けられた。のち柴進の叔父・柴皇城をいじめ殺したチンピラの殷天錫が柴進の土地も奪おうとしたため柴皇城の報復も兼ねで殺すが、彼が高俅の親族にあたる知事の高廉と義兄弟だったことから柴進が身代わりに捕まったためまたも。このことでその償いのため、李逵は戴宗と共に各地で様々な大騒動を繰り返し、最終的には柴進を救出する。
その後も歩兵軍頭領の一人として呼延灼との戦いなどでも活躍した。
晁蓋が曾頭市で横死し宋江が新頭領になってからも北京大名府との戦いなどで手柄を上げ、108星集結後は歩兵軍隊長の一人となる。のち梁山泊を恐れた朝廷が帰順を求めようものなら「誰が朝廷なんぞに!」「宋江のアニキが帝になりゃいいんだ」と毒づくが、宋江に従って官軍として戦い遼・田虎・王慶・方臘征伐戦で活躍した。その後は立身したものの宋江や戴宗と別れることになり鬱屈とした日々を送る。
しかし、この暴れん坊にも悲劇的な末路が待ち構えていた。朝廷を牛耳る悪党・高俅一味に騙されて毒酒を飲んでしまった宋江は、自分が殺されたのを知れば我の強い李逵が謀反を起こして朝廷への忠義・民衆救済の理想が損なわれると考え、李逵を道連れにすることを決めたのだ。毒入りの酒を与えられた後で宋江が詫びると、
「よくぞ俺を選んで下さった。アニキ…俺様はあの世でもお前さんの子分だぜ!」
そう言って李逵は死を受け入れ、誰よりも敬愛した宋江と共に世を去ったのだった。
俺様の戦歴だぜ!
李逵は基本的に戦闘スタイルは力押しであり、凡庸な兵士や武装した民間人、猛獣ならば圧倒的な強さでねじ伏せることが可能。だが、本格的な武芸を修めていないため達人クラスには度々不覚を取っている。技術や知力に秀でた相手(保護者的な存在の戴宗を始め呉用・林冲・燕青など)には手も足も出ないことがある。
- 張順:魚市場の責任者。陸では李逵に勝てなかったが、水上戦では李逵を圧倒。宋江に諌められて和解し、刑場破りにも協力した。
- 李鬼:「俺が黒旋風鉄牛だ」と自分の名を騙って沂州で追い剥ぎをしていた男。本物の李逵相手には勝てず、「病気の母ちゃんに薬を買ってやりたかったんだよ!」と命乞いし、同情した李逵に許され、お金まで貰う。だがそれは嘘であり、たまたま李逵がご飯を食べるために立ち寄った山小屋で妻を相手に話したために発覚。首を切り落とされた。
- 虎4匹:夫婦の虎とその子供2匹。李逵の母を喰い殺したため、激怒した彼(武器は粗末な護身用の朴刀だけ)によって皆殺しの憂き目を見た。
- 李雲:朱富から先生と慕われる武芸師範。地元の顔役である曹隠居と李鬼の妻の通報で李逵を酔わせて生け捕るが朱富と彼の兄である朱貴に李逵を逃がされる。のち李逵と朴刀で打ち合うが配下の兵士と曹隠居、李鬼の妻を殺されたことや天涯孤独の身であること手伝って、李逵と朱富の説得に応じ梁山泊へ同道した。
- 扈成:扈三娘の兄で、和解の証として妹の許婚でもある祝彪を捕えて話し合いに来たが祝龍を倒しても暴れ足りない李逵に襲われる。捕虜を殺されてしまい、自分も命からがら逃げ去った。
- 朱仝:朱仝を仲間入りさせるべく、呉用・雷横と共に滄州へ乗り込み、相手が言うことを聞かないと見るや、お世話をしていた坊っちゃん(長官の末子)を殺害。水滸伝におけるみんなのトラウマと言うべき事件を起こした。
- 殷天錫と高廉:柴進の叔父・皇城から屋敷を奪うべくリンチしていじめ殺したチンピラとその義兄。天錫が喪中の柴進に暴行したため李逵に鉄拳制裁されて死亡したのを知った高廉は柴進を捕えてしまい、梁山泊と全面対決に発展した。
- 羅真人:公孫勝の師匠に当たる道士で、神仙の術に通じている。公孫勝を迎えに来た李逵をすげなく断ったため、彼の怒りを買うが反対に魔法で懲らしめる。李逵が天殺星の生まれ変わりで、この世の悪人を消すためにいるのを知っており、最終的には和解して公孫勝に術を授けて下山させる。
- 焦挺:相撲(日本の大相撲とは別物)をこなす格闘家。李逵を軽々と打ち負かし、鮑旭共々仲良くなって梁山泊入りする。李逵ストッパーでもある燕青も彼と同じく相撲に通じた格闘技の名手。
- 段鵬挙:官軍の将で、宦官軍人・童貫の部下。上司の童貫を逃がすのに成功するが、李逵の斧にかかって呆気なく絶命した。
- 兀顔光:遼の統軍大将(総司令官)として皇帝耶律輝に仕える知勇優れた武人。混天象陣なる戦法で李逵を生け捕るが、最後は関勝・花栄・張清に討たれた。
- 喬道清:田虎配下の妖術使い。その妖術で李逵を始め魯智深や武松らも捕虜になってしまう。のち公孫勝に敗北し最終的には梁山泊軍に投降し王慶戦で活躍した。
- 石宝:方臘の太子・方天定配下の司令官。李逵と仲が良く李逵チームの副将の鮑旭や二人の援護役である項充・李袞を戦死に追い込んだ。おかげで李逵は以前ほど活躍出来なくなってしまう。ちなみに方天定は張順の霊魂が乗り移った張横に討たれ、方臘は最後魯智深に捕まって都で処刑された。
俺様が出てるその他の作品だ!
小説
既に死んでいるのだが、載宗の夢枕に立ち、彼が官軍の使い走りをしていることを叱責する。
北方謙三氏の歴史小説。人気が高いキャラの一人。
漫画、OVA
「鉄牛」と呼ばれる色黒で筋肉質な大男。凶暴で過激だが真っすぐな性格をした愛すべき馬鹿。宋江の朝廷帰順にも賛成だが、また大臣達が悪さをしたら再反乱すると皇帝を一渇した。『ジャイアントロボ』にも載宗や呉用らと共に横山水滸伝から出演している。
ゲーム
コーエーのゲーム。「勇気」「腕力」がダントツで高く、典型的なパワーファイターとして登場する。知力もかなり低いが仁愛値の低さが祟って仲間集めに苦労する。