概要
2024年度前期放送予定の連続テレビ小説の作品。日本初の女性弁護士である「三淵嘉子」をモデルに激動の時代を生きるヒロインを描いた作品。
シナリオは吉田恵里香、主演は伊藤沙莉。主題歌は、米津玄師の「さよーならまたいつか!」
ナレーションは尾野真千子が担当しており、「主人公の心の声を別人が演じている」という特殊なスタイルになっている。
「女賢しくて牛売り損なう?」のように、各週のタイトルが女性差別的なことわざに「?」をつけたものになっている。
サブタイトル
第1週 女賢しくて牛売り損なう?
第2週 女三人寄ればかしましい?
第3週 女は三界に家なし?
第4週 屈み女に反り男?
第5週 朝雨は女の腕まくり?
第6週 女の一念、岩をも通す?
第7週 女の心は、猫の目?
第8週 女冥利に尽きる?
第9週 男は度胸、女は愛嬌?
第10週 女の知恵は鼻の先?
第11週 女子と小人は養い難し?
第12週 家に女房なきは火のない炉のごとし?
第13週 女房は掃きだめから拾え?
第14週 女房百日 馬二十日?
第15週 女房は山の神百石の位?
第16週 女やもめに花が咲く?
第17週 女の情に蛇が住む?
第18週 七人の子は生すとも女に心許すな?
第19週 悪女の賢者ぶり?
第20週 稼ぎ男に繰り女?
第21週 貞女は二夫を与えず?
第22週 女房に惚れてお家繁盛?
第23週 始めは処女の如く、後は脱兎の如し?
第24週 女三人あれば身代が潰れる?
第25週 女の知恵は後へまわる?
最終週 虎に翼
登場人物
猪爪家の人々
猪爪→佐田寅子(いのつめ/さだ ともこ)
演:伊藤沙莉
本作の主人公。大正3年(1914)五黄(ごおう)の寅年に生まれたため、こう名付けられた。あだ名はトラコ(トラ、トラちゃんとも呼ばれる)。女学校の卒業を迎えた年、お見合い結婚を勧める母親を振り切って、女性に法律を教える日本で唯一の学校への入学を決意。そこで出会った仲間たちと切磋琢磨し、やがて日本初の女性弁護士となる。「はて?」が口癖で疑問に思ったことは最後まで突き詰めないと気が済まない。世間知らずで自信家の所もあるが、全てに全力。弁護士として、裁判官として、一歩ずつ成長していく。しかし女性という理由からか「男性の弁護士に頼みたい」と1年半もの間弁護させてもらえなかった。
社会的信用を得るため、お見合いをするも幾度も破談の末、見兼ねた優三が寅子にプロポーズして結婚、昭和19年には長女の優未(ゆみ)を授かった。その後、社会の目に対するストレスなど様々な要因が重なり原因で弁護士を辞するが戦後は生活費を稼ぐため、そして法の社会に戻るために法曹界に復帰し司法省に勤めることになる。家庭裁判所の創立に尽力を尽くし法曹界では一角の人物として名前が知られるようになっていったが家庭の事は花江達に任せきりで娘がどういう状況なのかしっかり把握できておらず若手に「昔は大変だった」と語るなど煩いおばさんとなりつつあることに直面する。
そこで裁判官として、母としての土台を異動先の新潟で作り直し、さらに再会した航一と“永遠を誓わない愛”を育む。新潟での3年間を経て、東京地方裁判所へ赴任。さまざまな経験で得たものを糧に、さらなる飛躍を目指す。
並木佐江子から渡された美佐江の手帳を見てあと一歩だったのにと後悔の念に苛まれたが同時に美雪と向き合う糧にもなった。
最終回が1999年までとんでおり亡くなって15年経っているという初っ端からまさかの主人公ナレ死で始まった。が、優未について行っていたり「もし見えてたら変顔見せられるのに…」と生前と変わらず世話を焼いていた。
猪爪はる(いのつめ はる)
演:石田ゆり子
寅子の母。料理と整理整頓が得意で、猪爪家の家計も家事も完璧に管理するしっかり者。常に現実的で、寅子には早く結婚して欲しいと思っている。夢を語る寅子に厳しいアドバイスをすることもある。だが、寅子が桂場に「進学は時期尚早」「(女子部に行ったところで)泣いて逃げ出すのがオチだろ」などと言われたのを聞いた際には「お黙んなさい!あなたにうちの娘の何が分かるって言うんですか!?」と彼に強く反論し、当初呉服屋で振袖を買おうとしていたが、呉服屋に寄らず本屋で寅子のためにと六法全書を購入。家に帰った後も「ああ腹が立つ。知ったような口聞いて若造が!」と珍しく怒りを露わにしていた(これ以降桂場を見かけたり話に出てくると気まずそうにしている)。毎日手帖に日記をつけており、この手帖が夫の直言ら16人が逮捕起訴された共亜事件において無罪を裏付ける有力な証拠となった。初めて受けた高等試験に不合格だった寅子に苦い顔を見せるも「タダ飯食らいは許さない」と働きながら合格を目指すよう発破をかけた。
寅子がひょんなことで道男を連れて来た際には驚きつつも了承、居候させることにした(その際に「(戦災孤児の話を)寅子からいろんな話を聞いてたはずなのにどこか他人事だった」と話している)。だが、ある時道男が花江に取った態度が勘違いされ直人と直治に叩かれた際疑いの目を向けてしまったことで道男が家を飛び出してしまい、数日後に心労がたたり倒れてしまう。思い残すことはないと一度は言ったがどこか表情が曇っていたのを察した花江が寅子に道男を捜してほしいと言い寅子が道男を連れてくると彼を優しく抱きしめ「これでいい…」と嬉しそうにしていた。寅子と花江に「二人にならこの家のことを任せられる」と言っていたが子供のように別れを嫌がる寅子に呆れつつも猪爪家の写真を握りしめ息を引き取った。
猪爪直言(いのつめ なおこと)
演:岡部たかし
寅子の父。銀行に勤め、3人の子どもの父として猪爪家を支える。大抵のことは笑って許してくれる優しい父だが、妻のはるには頭が上がらない。法律を学びたい寅子の夢を応援する。
共亜紡績の不当な利益で起きた事件に巻き込まれ、贈賄罪で逮捕される(共亜事件)。取り調べに耐え兼ね罪を認め、家に戻った時には明らかにやつれていた。寅子らが聞いても「自分がやった」の一点張りだったが、寅子らが独自に調べはるの日記を証拠にして問い詰めると、何の罪も犯していないことを告白。それでも証言を覆すつもりは無いと言うが、裁判中に記者の竹中から自分の無罪を信じ奔走していた寅子が危険な目に遭ったことを聞き一転、自白を強要されたと証言、無罪を主張。結果的に自分を含む被告人16人全員無罪となった。終戦後は体調を崩しがちになり最終的には肺炎が原因で亡くなるが、亡くなる前に「共亜事件の時寅子がしつこくて腹が立った」「直明があまりにいい子だから本当に自分の子供なのか疑った」「猪爪家の中で花江が強くなってるから怖かった」…などなど”一生分の懺悔”をする勢いで墓まで持って言っていいような本音を次々言ったりしたが最終的には寅子と和解、決して不幸な最期ではなかった。
佐田優三(さだ ゆうぞう)
演:仲野太賀
猪爪家に下宿している書生。早くに両親を亡くし、弁護士だった父に憧れて大学に通うが、高等試験(現在の司法試験)にはなかなか合格できない。昼は銀行で働き、夜は大学で勉学に励む。緊張すると腹を下してしまう。寅子と一緒に受けた際1回目はどちらも不合格。2度目は筆記試験こそ合格だったが、口述試験で不合格。これを最後に試験を受けるのをやめた。
第7週で寅子と結婚、昔から彼女が好きだったことも明かした。第8週で終戦から1年以上経ってから直言によって戦病死したという告知書が半年近くもの間隠されていたことが分かった。
そして、自分が帰ってこられなかった場合を見越して寅子からもらったお守りに手紙を忍ばせていたことが分かった。
佐田優未(さだ ゆみ)
演:川床明日香(0歳:山中天喜・三上ひめな、2歳:斎藤羽結、6歳:竹澤咲子、中学生:毎田暖乃)
寅子と優三の長女。昭和19年の春生まれ。従兄にあたる直人と直治に可愛がられている。ずっと働きづめで自分にほとんど構ってくれず、テストで86点をとっても(実際は31点で寅子に褒めてもらおうと84点に偽装)褒めてもらえずちゃんと見ればわかる細工にも気づかれず落とした14点の方を注意されるなどをし寅子が知らぬ間に溝ができてしまっている。寅子が自分のどこが変わってしまったか教えてほしいと家族会議を開き最終的に新潟について来てほしいと寅子に言われた際「はい」と即答。それでも「スンッ」っとした表情のままだった。
新潟に来てからもその素っ気ない態度は変わっておらず寅子も戸惑っていたがまたテストの点を誤魔化そうとした時「おうちではできるのにテストになるとおなかがぎゅるぎゅるする」と告白。そう、彼女は優三に似たのだ。それ以外にも寅子が高瀬からもらったキャラメルを一人で食べても美味しくないからと寅子と一緒に食べたいと言ったりもした。逆に寅子にはあまり似ておらずおしゃべりで友達がたくさんいた彼女とは対照的に「学校に友達はいない」「一緒にいても疲れる」と小学生ながらかなり達観している。
再び東京に戻る時には小学6年生になっており、航一のアプローチにあまりにも鈍感すぎる寅子に少々呆れている。大学院で寄生虫の研究をしていたが、「この先にお前の席はない」と遠回しに言われているようで寄生虫研究を嫌いになりたくないと大学院を中退。現在は寅子達の弁当を作ったり笹竹や雀荘で働いたりしている。
米谷→猪爪花江(よねたに/いのつめ はなえ)
演:森田望智
寅子の女学校時代の同級生で親友。女学生のうちに結婚することが夢で、寅子の兄・直道と結婚。妻として必要なものを全て習得し、家庭で一番になりたいと願う。寅子の親友から、家族となった。直道が一目惚れしたものと思われていたが、実は先に惚れたのは彼女だった。実家の両親は空襲で亡くなり、直道も戦死した。優三の戦死通知書を半年近く隠していた直言に関して「お義父さんがやったことはとんでもなく酷いと思う。怒ってもいい、罵倒してもいい、トラちゃんはきちんと伝えるべきよ…お義父さんとは生きてるうちにお別れできるんだから」と両親とも直道ともお別れができなかった彼女だからこそ寅子は直言にきちんと自分の想いを伝えるべきだと訴えた。はるが亡くなった後一人で家事をしていたがなかなか上手くいかず思い悩んでいたが梅子に「いい母親でいる必要なんて無いわ、自分が幸せじゃなきゃ、誰も幸せになんてできないのよ」と言われ子供たちに手抜きをさせてほしいとお願いする。それ以降は1人で全てこなそうとは思わず可能な限り直明や子供たちに手伝ってもらっている。第15週で寅子が新潟に異動が決まった際優未を連れて行こうと考えていた寅子に仕事ばかりで家のことを顧みないため優未は置いていくように言う。
最終的に優未を連れて行った寅子にたびたび手紙を送っているが挨拶の後の文章は毎回彼女にネチネチ説教するような内容でイマジナリーの花江が寅子の隣に登場している。優未や猪爪家の一件で揉めてからは正直に意見するようになり事あるごとに直道の「俺には分かる!」とは対照的に「トラちゃんはなんにも分かってない」と言うようになった。
最終回時点でも存命でありひ孫も優しく見守っている(最終回の時点で84か85歳である)。
猪爪直道(いのつめ なおみち)
演:上川周作
寅子の兄。人が良く、妹思い。寅子の親友・花江に一目惚れし、婚約。「俺には分かる!」が口癖(ただし信憑性はあんまりない)。寅子の結婚を心配しているが、好きなことをして欲しいとも思っている。問題が起きた際彼が丸く収めると寅子(&本編を観ている視聴者)に毎回心の中で「いやなんでお前がまとめてんだ…」とツッコまれている。第7週に召集令状が届き出征の際花江にのみ「俺寝られるかな…花江ちゃんが隣にいなくて」と不安を吐露していた。第8週で戦死したことが明かされた。
猪爪直明(いのつめ なおあき)
寅子の弟。純粋な性格で家族想い。責任感が強く、家計を支えるため自分を犠牲にしようとするような一面も。親元を離れて岡山で寄宿舎生活を送っていたが終戦後猪爪家に戻り大学へは行かず働くことを決断。しかし学びたい思いはあるようでそれまで持っていた本を売って、岡山からの切符代にしていたがアルフレッド・アドラーの著書『問題児の心理』だけはどうしても売れなかったという。家庭を支えるために大学進学を諦め働いて家庭を支える予定だったが再び法律の世界で身を立てる決意をした寅子の反対から大学に進学し必死で勉強をする決意をする。
非行青少年たちの保護と更生を目的とした学生たちによるボランティア団体「東京少年少女保護連盟」に所属し、この生みの親である多岐川を強く尊敬している。その純粋な思いを聞いた寅子に少年審判所と家事審判所の合併の説得を頼まれ、これを仲間たちと共に見事成功させるファインプレーを成し遂げた。大学卒業後は中学校の教師をしている。寅子と子供たちとの溝に関して寅子に自分は何がいけなかったのかと聞かれた際には「いけなかったわけじゃないけど小さな違和感はいくつもあって自分たちが受け流せばいいと僕もみんなも思って、気づいた時にはおかしなことになってた」と話し、優未のことに関しても「(寅子が優未に)手のかからないお利口さんを求めてなかった?」と核心を突き花江と同じく新潟へは寅子1人で行くべきだとした。
寅子が東京に戻った際には結婚後同居するか否かで花江と1か月以上揉めていた。
ちなみに直明を演じている三山凌輝氏は7人組ボーイズグループBE:FIRSTのメンバー、RYOKIである。
猪爪直人(いのつめ なおと)
直道と花江の長男。昭和10年生まれ。父:直道の「俺には分かる」を受け継いでいた(信憑性があるかどうかは分からないが…)。
寅子らが東京に戻った時には大学で法律を学んでおり、利発でしっかり者。母・花江の幸せを願っている。寅子と同じ法曹の道を志し、一浪ののち、司法試験に合格。横浜家裁の判事補をしている。大学の同期だった瑞穂と結婚、長男・直寅を授かる。
猪爪瑞穂(いのつめ みずほ)
演:佐々木春香
直人とは大学の同期で、弁護士をしている。長男・直寅を授かる。
猪爪直寅(いのつめ なおとら)
演:濱田碧生
直人と瑞穂の長男。唐揚げが好物。
猪爪直治(いのつめ なおはる)
直道と花江の次男。直人より3歳年下。
寅子が東京に戻った時には高校3年生になっており、ジャズに憧れを持ち新聞配達のバイトで稼いだお金でサックスを買い度々河原で吹いている為花江を困らせている。高校卒業後は、ダンスホールで働きながらサックスの演奏を続け、その努力が実を結びサックス奏者となり、全国を飛び回っている。
田沼→猪爪玲美(たぬま→いのつめ れみ)
演:菊池和澄
直明の妻。学生時代に直明と同じ団体に所属し、家庭裁判所設立も手伝っていた。直明と同じ教職に就いており、花江に負けず劣らず気が強くおしゃべり。結婚後は猪爪家でともに暮らし、長男・直正を授かる。
猪爪直正(いのつめ なおまさ)
演:平野絢規
直明と玲美の長男。だし巻き卵が好物。
稲(いね)
演:田中真弓
花江の実家・米谷家で働く女中。花江と寅子を母のように見守る。故郷の新潟に帰った後も、寅子との縁が続いていく。新潟編で再登場し優未の面倒を見ている。寅子から「自分たちはずっとこちらにいるわけではないからどうか涼子達を手伝ってあげてほしい」と言われライトハウスにお手伝いするようになった。
そして、寅子が東京に戻る前に皆に見守られながら息を引き取ったことが明かされた。
重田(しげた)
演:緒方賢一
共亜事件の後に直言が起こした会社「登戸火工」に勤める老人。戦後、寅子と直明のマッチの製造を手伝う。
明律大学の面々
明律大学は三淵が在学していた明治大学がモデル。
女子部法科
新設されたばかりの学科。男子とは違い女子部で3年、本科で3年、卒業まで計6年かかる。文字通り女性のみの学部で寅子が在籍する二期生は60名。しかし、男尊女卑の色濃かった時代ゆえか男子学生に魔女部と揶揄されるなど世間的にも好奇の目で見られることも少なくない。が、それでもそれぞれの理由はありつつも法律を学びたいという同じ志を持った所謂”地獄を共にする者達”である。
山田よね(やまだ よね)
演:土居志央梨
颯爽とした男装の女性。同級生の中でも教卓のすぐ前の席に座るくらいには人一倍やる気があるが群れたがらず、呑気に見える寅子たちに強く当たる(初対面の時点で寅子に対し「お前みたいにヘラヘラしてる奴がいるから女はなめられるんだ」と言った)が、寅子に褒められた際は「…あほか」と若干デレを見せている。女子に弁護士資格を与える法改正が延期された際「この法改正が10年後、20年後となれば話にならない」と穂高に熱弁していることから女性の社会進出に強い信念を持っていることが窺える。新聞で明律大学女子部設立の記事を見て「舐め腐った奴らを叩きのめす力が欲しい」と猛勉強して女子部に進学した。
彼が婚約者と共に現れたのを見た時には、後日彼を呼び出し轟と共に彼を非難し「どうせお前なんか、あいつと到底釣り合わない」と切り捨てた。講演会の前に倒れたことや、妊娠していることなどを一切言わず全部一人で抱え込んでいた寅子に「いちいち悲劇のヒロインぶりやがって」「こっち(法曹)の道には二度と戻ってくるな」と怒りを露わにし喧嘩別れしてしまう。戦後は居候していたカフェー『燈台』が焼失。終戦後に寅子が立ち寄った際「そこの店の人なら、空襲で亡くなったそうですよ」と言われたが亡くなったのは彼女ではなくマスターの増野だった(彼女の腕に火傷の痕があったことから増野に庇われた可能性がある)。法律相談紛いのような仕事でどうにか食いつないでいたらしく、それでも自分1人では限界があると轟と共にカフェー『燈台』の跡地に”轟法律事務所”を創立。親を失った子供たちのために炊き出しなどをしていた。が、スリをはたらいた道男を追いかけた寅子とばったり再会した時には嫌悪感を露わにしていた。寅子が新潟に行っている間に司法試験に合格し司法修習も終えていた。その為どちらの苗字を先に事務所の名前に入れるか真剣にじゃんけんしており、最終的によねが勝ち山田轟法律事務所と名を改めた。
ちなみに演者の土居志央梨女史は直道役の上川周作氏と大学の同級生である。
桜川涼子(さくらがわ りょうこ)
演:桜井ユキ
華族のお嬢様。ファッションや行動が雑誌で取り上げられるほどの有名人。海外で過ごした経験もあり英語が堪能で、成績優秀。いつも玉というお付きの女性を伴って登校している。
しかし、2度目の高等試験前に父の侑次郎が芸者と駆け落ちした。このため結婚までが急務となり試験を諦めざるをえなくなった。
その後しばらく動向が分からなかったが航一の行きつけの喫茶店『ライトハウス』にて偶然にも再会。その際涙を流していた。寅子の計らいで2人で腹を割って話すことになり玉が「自分がいなければもっと自由に生きられたのではないか」と言うと「おぞましいことを仰らないで!」と丁寧な口調はそのままに珍しく声を荒らげた。その後2人は和解し主従関係ではなく友達として接することとなった。現在は『ライトハウス』を含めた二つのお店を経営している。香淑に触発されて司法試験に挑戦し、晴れて合格した。
大庭→竹原梅子(おおば/たけはら うめこ)
演:平岩紙
寅子の同級生で一番年上の学生。弁護士の夫がいる。家庭では3人の息子の母親でおっとりとした落ち着きのある話し方をする。「若いとお腹がすくから」が口癖で、毎日のようにおにぎりを作ってきてくれる。良妻賢母として、夫が妾を持つのも長男が姑に取り上げられるのも我慢していたが、成長した長男が夫そっくりの顔つきと言動で自分を見下すようになったことに気が付き、下の子の親権を取って離婚するために女子部に来たことを寅子達の前で告白。
寅子の家に届いていた手紙で妾の若い女と再婚するからという理由で試験直前に夫から離婚届を出され、末っ子の光三郎を連れて家を出たことが分かった。「どうか私のような立場の女性を守ってあげてください」と寅子たちに想いを託す形で受験を断念した。…はずなのだが、第12週の最後には大庭家に戻っており、第13週で本格的に再登場。夫の遺産相続の件で家裁を訪れていた。試験を受けるのをやめても法律の勉強自体はしていたようで『遺言書がある場合でも遺族は遺産の2分の1を遺留分として請求できる』という内容を光三郎に耳打ちしていた。皆性格に難があるがそれでも3人に均等に割り振られてほしいと考えている。
実は家を出たものの10日も立たぬうちに見つかり連れ戻されておりその時点で離婚届も出されていなかった。夫が倒れ一命をとりとめたが麻痺が残り介護が必要な状態になり10年以上もの間彼を介護していたことが分かった。
光三郎がすみれと惹かれ合っていたことが分かり怒りの様な悲しみの様な感情が入り乱れてか泣きながら高笑いし「もうダメ、降参。白旗を振るわ。私は全部失敗した。結婚も家族の作り方も息子たちの育て方も妻や嫁としての生き方も全部!もう全て放棄します。相続分の遺産も、大庭家の妻も、あなたたちの母としての務めも!ぜーんぶ捨てて…私はここから出ていきます!」と宣言。
以降は轟法律事務所に居候しながら竹もとで働きたびたびよね達におにぎりを差し入れたりしている。そして竹もとの味を受け継いでほしいと竹もとの味を最も愛していると言っても過言ではない桂場に度々審査してもらいなかなか上手くいかなかったがようやく合格をもらう。笹寿司を畳もうと考えていた道男に「一緒に店をやらないか」と提案し現在は『笹寿司』と『竹もと』から1文字ずつ取った『笹竹』を営んでいる。最終週時点で「この所なんにもできなくなっちゃって…」と自虐していたが大五郎に「梅子さんはここにいてくれるだけでいいんだよ!」と言われていた。
崔香淑→汐見香子(さい こうしゅく/チェ ヒャンスク→しおみ きょうこ)
演:ハ・ヨンス
朝鮮半島からの留学生。法律を学んだ兄の勧めで明律大学女子部に進学した。日本語が堪能で、寅子たちともすぐに打ち解ける。
2度目の高等試験を受けようとしていたが兄:潤哲が思想犯の疑いをかけられていることから特高に目を付けられていた。この為彼女の身も危なくよねからも「(国に)帰るなら今だ」と言われたことから受験せず、祖国に帰った。が、酔いつぶれた汐見を寅子が家まで介抱した際、汐見の妻:香子として現れ「ヒャンちゃんだよね…?」と言われると「その名前で呼ばないで」と冷たくあしらった。
彼女は国に帰った後兄が逮捕され、その事件の予審判事を務めたのが多岐川で、兄は幸い罪には問われず兄を通じて朝鮮で法律を学ぶ学生たちの手伝いを彼女に頼んだ。そこで汐見と共に働くうちにお互い惹かれ合っていったが、お互いの家族は2人の結婚に猛反対。結局結婚を認めてはもらえず2人とも勘当されてしまったという。その後、戦争が終わり汐見と多岐川が日本に帰ろうとした際に彼女もついて行った。これを機に香子と名乗り日本人として生きることにした。汐見を通じて「崔香淑のことは忘れて、私のことは誰にも言わないで。トラちゃんはトラちゃんの仕事を頑張って」と伝えた。のちに汐見との間に子供が生まれ薫と名付けた。
寅子を冷たくあしらってしまったが梅子が作ったとされるおにぎりを寅子経由で圭から渡された際には泣きながらほおばっていた。その後新潟へ異動となった寅子の壮行会で寅子とじっくりと話すことができた。子育てが落ち着き法律の勉強を再開。司法試験に合格し、弁護士となる。
久保田聡子(くぼた さとこ)
演:小林涼子
寅子の先輩となる女子部一期生のリーダー的存在。率直な話し方でとっつきにくそうだが、後輩の面倒見は良い。高等試験で寅子と中山と共に合格し日本初の弁護士となった。女性弁護士で初めて法廷に立ったが、これまで使っていた男言葉をやめさせられ「結婚しなければ半人前、結婚したら弁護士の仕事も家のことも満点を求められる。満点なんて取れないのに…!」と涙ながらに寅子に苦しみを打ち明け、夫の実家の鳥取に行き、弁護士もやめると思うと彼女に告げた(学生時代に比べると心なしか髪のボリュームも減っている)。
直明が寅子と航一なりの”結婚”を祝いたいと竹もとに集まった。実はあの後鳥取で弁護士を続けており家族も移り住んでいるという。
モデルは、鳥取県弁護士会の会長になった中田正子と思われる。
中山千春(なかやま ちはる)
演:安藤輪子
聡子と同じ女子部一期生。人当たりが柔らかく涙もろい(それ故かよねから寅子とともに「めそめそヘラヘラ…お前ら辞めちまえ!」と先輩であるにも拘らず怒りをぶつけられた)。3年生に上がった時点で久保田と2人だけであり、授業中にも泣いていたが、2人とも本科まで残り卒業。高等試験で寅子と久保田と共に合格し日本初の弁護士となった。産休に入るといい、これが図らずも寅子を追いつめる原因となってしまう。
直明が寅子と航一なりの”結婚”を祝いたいと竹もとに集まり、現在は検事となっている。どうやら夫に「法律に携わっている時の君が素敵だ」と言われたそう。
本科の面々
花岡悟(はなおか さとる)
演:岩田剛典
社交的で学生たちの中心的な存在。轟とは旧友。女子部卒の学生たちにも心を開き、轟をいさめながら寅子たちと行動を共にする。女性から大人気で、寅子にとっても気になる存在。が、それは仮の姿であり彼も女性蔑視のような一面があり「女は優しくされるとつけあがる」と発言していたり「男と同様に勉学に励む君たちを最大限敬い、尊重している!どこまで特別扱いを望むんだ?」と言った際には寅子に「私達は特別扱いされたいんじゃない!」と反論され崖から落ちてしまう。命に別条はなく病院に見舞いに来た轟に「寅子を訴える」と発言したが「思ってもいないことを言うな」と叱られ改心。退院後、帝大を出て弁護士になるつもりだったが思うようにならず、女子部を内心妬んでいたことを梅子に打ち明けて謝罪。寅子とも和解する。共亜事件が起きた際穂高に直言の弁護を頼んだり、轟と共に予審の際の膨大な調書の書き写しを手伝ったりと協力的になる。高等試験に一発合格し、その後裁判官の試験にも合格(ただし、桂場には「裁判官に向いてない」と言われている)。寅子にお祝いを「二人でやりたい」と言うもプロポーズすることはなかった。次に寅子らに会った時にはなんと婚約者と共に現れたことで寅子を困惑させよねと轟の怒りを買うことになった。その後は婚約者と結婚し娘と息子が一人ずついると明かした。その後主に食糧管理法違反の事件を担当する判事という立場があってか闇市の食べ物の一切を拒否し栄養失調で亡くなったことが分かった。後に妻の奈津子から「家族がいくら言っても食べようとしなかった」「(寅子が分けてくれた)チョコレートのおかげで久しぶりに家族が笑顔になれた」と話していた。
地元が佐賀であることや、在学中に高等試験に合格したこと、そして栄養失調で亡くなったこと、その際に書かれた新聞の見出しの文面が完全に一致していることから山口良忠がモデルと思われる。
轟太一(とどろき たいち)
演:戸塚純貴
寅子たちが女子部から法学部へ進学した際に出会う男子学生。男は強くあるべしと努めて男らしく振る舞う。女子部卒の学生たちに対し警戒心を持っているように見えるが、小橋や稲垣が直言らが絡んだ共亜事件を機に学校に来れなくなった寅子のことを「明律の恥晒し」「さっさと退学しろ」など心無い言葉を漏らした途端彼等を殴り「それ以上言ったら殴る…!」と怒っていたり崖から落ちた際寅子を訴えると言い出した花岡を叱り「あの人たちは漢(おとこ)だ」「俺が漢の美徳と思っていた強さ、優しさをあの人たちは持っている」と言っていることから彼女らを認めていることが分かる。
2度目の高等試験で寅子達と共に合格し久保田が勤務する法律事務所に就職。花岡が婚約者と共に現れた際には、後日よねと共に彼を呼び出し「もっと誠意のある伝え方があっただろ」「お前のやっていることは、猪爪も奈津子さん(花岡の婚約者)も侮辱する行為なんじゃないのか?」と非難し、花岡を殴ってしまうのではないかと思わせるくらいに憤りをみせていたよねを止めていた。第8週で召集令状が来たため佐賀に帰ることを寅子たちに明かした。戦後の動向はしばらく分かっていなかったが、第11週で生きていたことが判明。花岡の訃報を知り深いショックを受け吞んだ暮れていたところをよねと再会。カフェー『燈台』の跡地で「花岡に惚れていたのではないのか」と聞かれ自分にも分からないとしつつも、「彼奴がいなかったら弁護士を目指すことは無かった。彼奴が判事になって兵隊に取られずに済むと思うと嬉しかった、彼奴のいる日本へ生きて帰りたいと思えた。でも俺がずっと知ってる真面目で優しくて不器用が過ぎる花岡ならばやりかねんと、彼奴らしいと…」と彼の死を強く嘆いていた。この言葉だけでも彼の人生の中で花岡の存在がいかに大きかったのかがよく分かる。後日よねから一緒に弁護士事務所をやろうと誘われ再起、轟法律事務所を設立。寅子や小橋らと再会した時はよねとは対照的に「同窓会みたいだな」と喜んでいた。
その風貌から2019年大河ドラマ「いだてん」に登場した天狗倶楽部を連想した視聴者が続出した。
小橋浩之(こはし ひろゆき)
演:名村辰
男子学生。女子部の生徒をよく思っておらず彼女らを『魔女部』と揶揄し、法廷劇をやった際、女子部の学生達に対して執拗に罵声を浴びせ中止に追い込み怒ったよねに股を思いっきり蹴られた。共亜事件の影響で学校に来れていなかった寅子のことを稲垣とけなした際には彼共々轟に殴られ「これ以上言ったら、殴る…!」と言われ「もう殴ってる!」と言い返しており、寅子が久しぶりに登校したときには大人しくなっており爽やかな笑顔を見せていた。
第10週の予告で彼が生存していることが判明。なんと裁判官にもなっており、寅子の同僚に。その嫌味ったらしい物言い(寅子の心の中では『失礼垂れ流し野郎』と呼ばれている)とはねた髪は相変わらずであり寅子との言い争いが絶えない。が、彼の下世話によって光三郎とすみれが通じていることが判明するというある意味ファインプレーを演じた。また、離婚調停となった不倫した側の福田瞳に寅子が襲われそうになった時には腰を抜かしながらもケガはないかと心配していた。昭和45年6月時点では、鹿児島家裁所長になっている。そして公式の紹介文で周囲の優秀な人間と比べられることに苦しみ続け、減らず口をたたいていたことが分かった。
稲垣雄二(いながき ゆうじ)
演:松川尚瑠輝
男子学生。小橋とつるんで女子を見下していた。昭和12年の高等試験で花岡と共に合格する。
裁判官編では彼も裁判官になっており小橋とは違い、寅子に優しく接する。仲が良い小橋より先に出世し、東京家庭裁判所少年部部長を経験している。昭和45年6月時点では、岡山家裁所長になっている。
桜川家
桜川寿子(さくらがわ ひさこ)
演:筒井真理子
涼子の母。夫・侑次郎を婿に迎え、桜川家を存続させた。娘・涼子にも自分と同じように婿を取り、家を守ってくれることを望んでいる。夫の駆け落ち後はショックで酒浸りになった姿を娘と寅子たちに見せてしまう。戦時中に亡くなったことが玉の口から明らかになった。
桜川侑次郎(さくらがわ ゆうじろう)
演:中村育二
涼子の父。桜川家への入婿であるためか、寿子より立場が弱い。涼子の将来には放任主義の姿勢を見せる。「お前も好きに生きなさい」と涼子に言っていたが、なんと高等試験直前に責任やらなんやらを全部娘に押し付けて芸者と駆け落ちした。
玉(たま)
演:羽瀬川なぎ
桜川家のお付き。涼子を敬愛し、いつもそばにいるため、寅子たちとも親しくなる。
新潟編で涼子と共に再登場した時には空襲で脚を悪くしており車椅子生活をしている。自分のせいで涼子が離婚することになったと思っており「自分がいなくなれば、お嬢様は自由になれる」と生活を支援する更生指導所に入れるよう、寅子に協力を頼んだ。
その後寅子の計らいで涼子に「お嬢様(涼子)が離婚したのは自分のせいではないか」と言うと「あの人は気立ての良い方だった。だけど最後まで本当の意味で夫婦になることはできなかった」とし玉の所為ではないことが明かされた。
英語で「貴方無しの人生は考えられない。私と親友になってくれますか?」と言うと「もう親友ですよ」と英語で返され和解。それからは彼女の事は『お嬢様』ではなく『涼子ちゃん』と呼ぶようになった。
岸田(きしだ)
演:奥田洋平
桜川家の執事。涼子の監視に猪爪家まで来ていた。交友関係について口出しし、更にはお付きの玉に難癖をつけた際には涼子に怒られている。空襲で亡くなったことが玉の口から明らかになった。
大庭家
悪い意味で昭和の名家の性質が強く出ている一家で、家長の徹男の傲慢な振る舞い(あるいはそう教育した、そうなった徹男を容認した親世代の振る舞い)が影響したのか、梅子以外の全員が何かしらの形で自己中心的振る舞いに走りがち。
徹男の死後の遺産分配で家族間の軋轢が更に強くなり、最終的に梅子が実質的絶縁を選ぶことになる。
梅子の嘆きを目の当たりにしたことで三兄弟が己を顧みたのか、遺産の等分分配で決着することになるなど、改善の兆しが見られるようになる。
大庭徹男(おおば てつお)
演:飯田基祐
梅子の夫。職業は弁護士。妻の梅子を見下しており、謙遜するために梅子を人前でも平気で貶す。穂高から特別講師として招かれ、寅子たちの前に現れる。第12週の最後に亡くなったことが明かされた。浮気相手に遺産を全額相続させるという遺言書を残した(が、これはのちに偽物と判明)。実は彼が倒れ麻痺が残ったことで介護が必要な状態になり梅子との離婚を取り消し、光三郎と一緒にいてもいいと条件を付け梅子に介護されていたことが分かった。
大庭徹太(おおば てった)
演:見津賢
梅子の長男。帝国大学在学中。父親と同じく母を見下している。
10年後には帝大を卒業し、父と同じ弁護士となっていた。だが、改正された法律を理解していないなど至らない部分が目立つ。父の生き写しのごとくプライドが高く、態度がふてぶてしい。すみれが持っていた遺言書が無効となり遺産を全部自分のものにしようと弟二人に「家でずっと食っちゃ寝してる奴に渡す金はない」※「学生のお前に大庭家の金の管理は無理だ」とそれぞれ理由をつけ相続放棄しろと言い出し調停に入っても自分の意見を一切曲げなかったことで調停委員を困らせていた。
※徹次の現在がかなり情けないことになっているのはその通りではあるが、徹太は名家の長男で現在は弁護士、という肩書から戦争に行っていないことはほぼ確実であり、戦争で心身をすり減らした徹次を軽々に詰れる立場でもない。
大庭徹次(おおば てつじ)
演:堀家一希
梅子の次男。戦地で脚を負傷し、復員後は何年も働かずに大庭家に甘えている。
酒に溺れ、ひねくれている。また、カッとなりやすい性格なのか遺言書の内容を聞いた時すみれに手をあげようとしていた。徹太に相続放棄しろと言われ激昂、梅子だけ相続放棄すればいいと言い出し、自分が「梅子について行きたくない」と言ったにもかかわらず「梅子が自分を捨てた」※と言う本当にどうしようもない奴である。
※切実な背景があったとはいえ、一桁年齢の子供に『実家を捨てて母親と一緒に逃げよう』と迫った梅子も非常識であり、一度の拒絶で本当に家を出奔した梅子が『徹次を捨てた』と罵られても仕方の無いことである。
大庭光三郎(おおば こうさぶろう)
梅子の三男。ハイキングの際梅子と共に来ていた為寅子らとも面識がある。徹太とは違い梅子の味方。現在は法律の勉強をしている大学生。お人好しすぎるところがある。祖母の常をいたわったり、徹次がすみれに手を挙げようとした際にすぐ止めに入るなど途中までは兄弟3人の中では一番まとも…と思われていた。常が突然扶養に入るとしたら光三郎がいいと言い出すもこれを「お母さん(梅子)に意地悪をしないこと」を条件に承諾。が、彼がすみれと逢引していたところを寅子に見られてしまう。「すみれさんはこうしなきゃ生きられなかった」「お父さんがすみれさんを縛ったのが悪いんだ」と他の家族同様悪いことを人のせいにした。
大庭常(おおば つね)
演:鷲尾真知子
徹男の母で梅子の姑。弁護士一家としての大庭家の誇りを守ることを第一に考えている。
梅子の長男・徹太も自ら育てあげ、梅子には子育てをさせなかった。いつも威厳を保ち梅子や孫たちに厳しくあたることも。徹男が亡くなった際「泣くんじゃありません、しゃんとなさい」と感情を一切見せていなかった。徹太を彼女に預けてから母である梅子を見下すようになったり、あの梅子に「姑の小言が存在が本当に嫌」と言われていたのを察するにまともな思考を持っていないのが分かる。当初は遺産が徹太一人のものにすることに賛成していたが一転、「梅子の躾が悪いから静子(徹太の妻)が自分を馬鹿にしている」「徹太夫婦の世話になりたくない」と言い出し遺産は光三郎に多く割り振られるようにしてほしいと意見した。が、その光三郎がすみれと通じていたことが分かり梅子が大庭家から出ていくと言った際には「私を捨てるのかい?」とこの期に及んで被害者面した。
大庭静子(おおば しずこ)
演:於保佐代子
大庭家の長男・徹太の妻。義祖母・常との関係があまり良好でない。
元山すみれ(もとやま すみれ)
演:武田梨奈
長年、梅子の夫・徹男の妾をしていた。徹男が残した遺言書を理由に、遺産をすべて相続する権利を主張。横暴で自己中心的な性格をしており「自分も被害者」と言い出す。が、のちに轟とよねがこの遺言書に記されていた立会人らの住所に向かうも全くの別人が住んでおり無効、遺産を受け取る権利は無くなった。が、光三郎と通じていたことが分かり駆け落ちまで考えており、悪びれる様子もなく「ごめんなさいね?いつもあなたから大切なものを取り上げてしまって」と梅子にほくそ笑んだ。
寅子の運命を変える人々
笹山(ささやま)
演:田中要次
いわゆる「傍聴マニア」で寅子たちと法廷でたびたび顔を合わせる。「笹寿司」の主人で寿司職人。寅子を娘のように思い、応援している。寅子が初めて法廷に立った際は涙を流しており裁判終了後にご時世柄いい魚や米が手に入らず店を畳んで田舎に帰ることを伝えた。
第12週で家庭裁判所は傍聴できないのかと職員に聞いていたところを寅子と再会。また店を開くそうで、一時的に猪爪家で引き取っていた道男を雇いたいと願い出た。
竹中次郎(たけなか じろう)
演:高橋努
ゴシップ記事のネタを常に探す新聞記者。女子部の寅子たちのことも皮肉に書き立てる。各界に通じている事情もあり、時に寅子に忠告することも。共亜事件について無罪を信じ奔走する寅子を暴漢が襲おうとした際は体を張って追い払い「首をつっこむな」と忠告。そして彼女と花岡に「内閣を総辞職させたいやつらが共亜事件をでっちあげた」と教えたり、公判中に倒れた直言に「また足突っ込むぞ?娘さん。あんたがそんなんじゃまた襲われるぞ?」と焚きつけるように言い、直言の奮起を促したため一概に悪い人間というわけでもない。また、寅子が弁護士となった際の建前無しの思いっきりしらけた会見を唯一記事にした(後輩から「竹中さんってあんな記事書く人でしたっけ?」と言われていた)。女性初の弁護士の裁判が行われた際は寅子に女性弁護士は戦争で人材不足の現状、見世物扱いされている女性弁護士の現状を教えるなど相変わらず皮肉屋なところを見せた。
戦後はフリーの記者になっており、家庭裁判所で働く寅子に密着取材した際には寅子がほとんど家事をしていないことを見抜いていた。その後原爆裁判の際雲野からこの裁判を記事にして欲しいと頼まれ第1審から傍聴席にいた。
水沼淳三郎(みずぬま じゅんざぶろう)
演:森次晃嗣
貴族院議員。検事の日和田と通じている。竹中から共亜事件をでっちあげた黒幕を疑われているがうやむやになった。が、その後A級戦犯になったことが久藤の口から明かされた。
日和田(ひわだ)
演:堀部圭亮
共亜事件を担当する検察官。威圧的な物言いをする。しかし、共亜事件の裁判中に直言への革手錠は「看守が安全のため自らの判断でやった。あの暴れようは鮮明に覚えている」と主張したが、【監獄法施行規則 第四十九条】「戒具は典獄、刑務所長の命令あるにあらざれば之を使用することを得ず(原則として、刑務所長の命令がなければ戒具を使用できない)」という条文を寅子が思い出しそれを穂高に問い詰められ「(革手錠使用の指示については)記憶が定かではない」と言った途端、先ほどまでとの言葉のブレが生じたことで穂高から「随分都合よくお忘れになられるもんですなぁ」と皮肉られ(「革手錠一つで鬼の首を取ったように…」と愚痴をこぼすと桂場から「検察は聞かれたことに答えるように」と言われた)、のちにこの革手錠が世間で波紋を呼ぶことになった。水沼と共に桂場に圧力をかけたが一切屈することは無く被告人16名は全員無罪、桂場が書いた判決文にも『あたかも水中に月影を掬(すく)いあげようとするかのごとし』と事件そのものがでっち上げであるという旨を皮肉たっぷりに書かれた。
モデルは、共亜事件の元となった帝人事件で検事を務めた枇杷田涼介(びわだりょうすけ)。ちなみに外見もモデルそっくりである。
武井吾郎(たけい ごろう)
演:平田広明
直言が巻き込まれた共亜事件を担当する裁判長。検察側が提示する証拠は信憑性に乏しいと認め、直言を含む被告人16人全員に無罪判決を下した。
雲野六郎(うんの ろくろう)
演:塚地武雅
寅子が働くことになる雲野法律事務所の代表。人情に厚く、いつも依頼をタダ同然で受けてしまうので事務所の経営は苦しい。共亜事件では穂高と共に弁護人を務めた。挨拶の時は声が大きい。戦後も無事弁護士を続けてるようだが相変わらず利益度外視で依頼を受けており、寅子が辞めた後常盤やよねにもやめてもらったと語った。
その後、原爆裁判を起こし「もし自分に何かあったら岩居君を支えてやってくれ」と頼み、やっと裁判まで漕ぎ着けた矢先に突然倒れ亡くなってしまう。
桂場等一郎(かつらば とういちろう)
演:松山ケンイチ
司法の独立を重んじる気鋭の裁判官。堅物で腹の内を決して見せないため、周囲の人々も彼をつかみきれない。寅子に対して、女性が法律を学ぶことに疑問を呈する(が、純粋な疑問をぶつける寅子を馬鹿にしたように嗤った男子学生達に対しては「何がおかしい?彼女は分からないことを質問しているだけだ」と一喝していた)。
「法の世界」の手ごわい先輩だが、実は甘党でよく竹もとで団子を食べている(なのだが食べようとしたタイミングで突然現れた寅子に声をかけられはるに怒られたり、共亜事件の裁判長となった武井(演:平田広明)に声をかけられたりなどことごとく食べ損なっている。ちなみに甘味の種類は問わないようで久藤がクラッカーにジャムを乗せた途端それを口に放り込み「おかわり」と言っていた)。共亜事件の判決文では事件そのものがでっち上げであるという事を強調するべく「あたかも水中に月影を掬(すく)いあげようとするかのごとし」という言葉を用いた。その判決後甘味屋『竹もと』で待ち伏せしていた寅子に「女子部にきた当初法律は弱い人を助ける盾だと思っていたが、絶対に濁らせてはいけない清らかな水のようなものだと思った」という彼女の持論を聞き「君は裁判官になりたいのか?」と疑問を投げかけていた。
竹もとで久保田の苦悩をたまたま聞いていた為か、講演会に来た寅子に直後に倒れるのを予見していたかの様に「怒りが染みついてるぞ」と忠告した。戦後は司法省の人事課長になっており一度は弁護士を辞した寅子に難色を示すが採用する。戦後、再会した寅子の裁判官への道を手助けし、土台作りのための新潟異動を命じた。酒に弱いようで穂高の葬儀の後「皿くらい食わせろ!」と酔った勢いで皿を食おうとしていた(この時使われた皿は本物の皿ではなく皿の様に作られたクッキーであることが公式から明かされている)。最高裁人事課長、東京地方裁判所長を経て、第5代最高裁判所長官に就任。司法の頂へと登り詰める。が、周りの批判や少年犯罪の活発化などで激務になっているのか、梅子に団子の合格を告げてからは竹もとに1度も足を運んでいないことが梅子から明かされている。
モデルは、第5代最高裁判所長官を務めた石田和外(いしだかずと)。
穂高重親(ほだか しげちか)
演:小林薫
高名な法学者。女子教育に熱心で明律大学女子部の立ち上げに尽力し、教鞭をとる。優三に弁当を届けようとしていたらたまたま聞こえた「女性は無能力者」という言葉に疑問を抱いた寅子に対して「言いたいことがあるなら言いたまえ」と彼女の話を遮らずに聴いていた。おおらかで何事にも動じないが、飄々としてお茶目な一面も持つ。「法の世界」における寅子にとっての「生涯の師」。共和事件の際は直言の弁護人を務めた。寅子が怒りで自分を見失い弁護士を辞めた際には流石にショックを受けていた。民法改正審議会の委員を務め時勢に合った新しい家の在り方を求めている。退任祝賀会で自分の事をかつて寅子に言った「雨垂れの一滴」と表現したことで再び彼女を怒らせてしまう。翌日家裁へ赴き本音をぶつけ合うことで和解。その後亡くなったことが明かされた。
モデルは、「日本家族法の父」といわれる穂積重遠(ほづみしげとお)。
裁判官編から登場する人物
久藤頼安(くどう よりやす)
演:沢村一樹
民法調査室室長。司法省への就職を希望する寅子の就職を(GHQへのご機嫌取りもかねて)後押しした。
自らの名前の読み方をアメリカ風に「ライアン」と周囲に呼ばせたがる(寅子を「サディ」、小橋を「ハーシー」、多岐川を「タッキー」と呼んでいる)アメリカかぶれの変人で人当たりがよくフレンドリーな性格をしている。アメリカへの留学経験もあり海外に精通している。世が世ならお殿様という家系の生まれで部下からの通称は「殿」。寅子の上司として民法改正を主導したのち、最高裁秘書課長、司法研修所所長を経て、東京家庭裁判所長に就任。
モデルは、弁護士としても活動し、多摩美術大学学長や学習院院長を務めた内藤頼博(ないとうよりひろ)。「ライハク」と呼ばれていたらしい。
多岐川幸四郎(たきがわ こうしろう)
演:滝藤賢一
家庭裁判所設立準備室・室長。寅子の上司となり、共に家庭裁判所の設立準備に邁進する。かなりの変わり者で、寅子をあきれさせるが、家裁への情熱は誰にも負けない。アメリカのBBS運動(ビッグブラザーズアンドシスターズムーブメント)を手本とする、非行青少年たちの保護と更生を目的とした学生たちによるボランティア団体「東京少年少女保護連盟」の生みの親で直明らからは強く尊敬されている。自身が死刑判決を下し、実際に執行される様子を見てから凶悪事件を担当しなくなった過去がある。寅子が新潟に異動することを知った際は家裁の仕事が山積みなのに寅子がいなくなったらあまりにも大きい痛手になると怒りを露わにしていた。寅子が新潟から戻った際には東京家庭裁判所所長に就任していた。現在はがんを患い、治療に専念するため休職。少年法厳罰化に反対する意見書を桂場に家まで取りに来させたがそんな時間はないと突っぱねられ「このドケチ!仏頂面野郎!」と電話越しに罵った。その後程なくして彼は亡くなり、彼の意見書は桂場の元に届きイマジナリーの彼が「頼んだからな、桂場!」と意見書越しに彼に少年少女の未来を託した。
モデルは、「家庭裁判所の父」と呼ばれた宇田川潤四郎(うだがわじゅんしろう)。七三分けや鼻の下のちょび髭もモデルに準拠している。
汐見圭(しおみ けい)
演:平埜生成
家庭裁判所設立準備室・室長補佐。上司である多岐川に右腕となり、家庭裁判所設立のために奔走する。優しい性格のため、気弱に見えるが、実は破天荒な多岐川をしっかりフォローしている。寅子が新潟から戻り配属された東京地裁民事第二十四部の裁判長となり、原爆裁判では裁判長を務めた。その後は最高裁事務総局事務次長として、司法行政事務を担当している。香淑を支えるため、裁判官を辞めて弁護士となることを決意。
汐見薫(しおみ かおる)
演:池田朱那
汐見と香淑の長女。大学生で学生運動に没頭している。香淑の生い立ちを隠されていたことでぶつかるが、和解。
漆間昭(うるま あきら)
演:井上拓哉
寅子、汐見と同じ東京地裁民事第二十四部に所属している裁判官。仕事に対して真面目でひたむきな青年。
音羽綾子(おとわ あやこ)
演:円井わん
大学で児童心理学を学んでいた。 常に冷静沈着で、仲間意識が苦手。
神保衛彦(じんぼ もりひこ)
演:木場勝己
帝国大学教授。政治学の権威で、桂場の恩師。民法改正審議会の委員を務めるが穂高と意見が対立する。良くも悪くも保守派で古い考え方の持ち主。
道男(みちお)
演:和田庵
戦災孤児でスリをはたらく少年。
東京大空襲が起きたときに一緒だった母親が父親を探しに行ったが、その大空襲で母親を失い戦災孤児となった。それゆえか轟やよね以外の大人を心底嫌っている。だがひょんなことで寅子と口論になり、その成り行きで猪爪家に居候することになる。花江にとった態度が誤解され、1度家を飛び出してしまう。その後、倒れてしまったはるの心残りを無くすべく道男を捜しに轟法律事務所まで来た寅子の必死の説得で猪爪家に戻りはるの最期を見届けた後、家庭裁判所で更生の余地があると認められて不処分となった。その直後、東京で寿司店を再度始めた笹山の元で住み込みで働く事となった。それでも猪爪家には顔を出してるようで2ヶ月後には猪爪家の面々とも仲良くなっており優未を妹の様に可愛がっていた。夜遅くに寅子が帰ってきた時他の面々が遠慮して言えなかったことをズバズバと言い途中止められるも「いいや黙らないね」「いいや良くない!」とはっきり言ったことで家族会議をすることができ直人らが意見を言いやすくした。
笹山がほぼ寝たきり状態になったことで笹寿司を受け継いでほしいと言われるも断り、店を畳もうと思っていると寅子に話すがその話を聞いていた梅子に「一緒に店をやろう」と提案され快諾。
現在は『笹寿司』と『竹もと』を合体させた『笹竹』を営んでいる。
大五郎(だいごろう)
演:増田怜雄
家庭裁判所の補導委託先となった「笹竹」の見習いで、道男が引き受けた少年。かつての道男のように修行を積んでいる。
茨田りつ子(いばらだ りつこ)
演:菊地凛子
家裁広報月間の一環として行われる”愛のコンサート”の出演者としてまさかの登場(梅丸少女歌劇団や福来スズ子の名前は出てきていたが実際に登場したのは初めて)。毒舌は相変わらずであったが久藤とは昔馴染みだったようで愛のコンサートの出演及び家庭裁判所のポスターのモデルも快く承諾した。
星家の人々とその関係者
星朋彦(ほし ともひこ)
演:平田満
初代最高裁判所長官で航一の父。司法界の頂点に立つ身分でありながらも謙虚で威張らない温厚な人物。寅子にも好意的に接する。寅子の判事補登用の辞令を自ら伝えた。自分や穂高のことを、人生を頑張りつくした“出がらし”と表現し「出がらしにだからこそできる役目があるのでは」と自身の著作の改稿作業を寅子と航一に頼み、改稿した本の序文を『竹もと』で読み上げその場にいた者たち皆の胸を打った。が、彼はこの本が出版される前に亡くなった。彼が長年、病と戦い続けていたことは近しい僅かな人間にしか知らされていなかったという。
星航一(ほし こういち)
演:岡田将生
最高裁初代長官・星朋彦の息子。横浜地裁で判事を務めている。温和な性格だが掴み所が無く笑顔の奥の本心は誰にも分からない。「なるほど」が口ぐせ。病気で失った妻との間に、二人の子どもがいる。横浜地裁で判事を務めていたころ、朋彦の著書改稿作業がきっかけで寅子と出会う。その後、新潟地方裁判所・刑事部に配属され、寅子と再会。温和な性格だが笑顔の奥の本心は誰にも分からない。その信念に寅子と通じ合う部分がある。洞察力が鋭く寅子が昨夜泣いたことに気づいたり、娘との溝を埋めたいという寅子に「僕はどちらかというと溝を作りに行くので」と言っていたり、死を知るのと受け入れるのは違うと達観した部分があったりどこか取っつきにくい。が、優未に対しては一瞬で溝を埋めており寅子に嫉妬されるほど。優未を見て太郎が泣いた際、何故か彼も泣いていた。寅子に「戦時中になにかあったんですか?」と聞かれた際には口元に人差し指をあて「秘密です」と言った。
ライトハウスでかつて総力戦研究所という所にいたことが判明。そこで机上演習と呼ばれる日米戦争を想定したシミュレーションが行われた。何度も試したうえで『日本が負ける』と結論が出たにもかかわらず当時の総理や陸軍大臣は「実際の戦争と机上の演習は違う」と一切意に介すことはなく、原爆が落とされること以外はほぼ机上演習通りの結果となった。「もしかしたら戦争を止められたかもしれない」という自責の念に駆られていたことを寅子達の前で明かした。互いにひかれ合い、“永遠を誓わない愛”を育む。戦時中の経験から自責の念に駆られており、心に蓋(ふた)をして生きてきたが、寅子の影響で変わっていく。最終回時点でも存命であり彼女が唯一見えていた。
星百合(ほし ゆり)
演:余貴美子
初代最高裁長官・星朋彦の再婚相手で、航一の継母。夫亡き後も星家を守っている。穏やかな性格で、航一の子どもたちをかわいがっている。
寅子と航一の結婚自体は素直に祝う心があるが、当時の名家の人間らしく『家紋・長男・家督』に強い拘りを見せており、航一が『結婚したら自分は佐田航一になる』と宣言した際は激しく動揺した。
2人が婚約しないことになり”夫婦の様なもの”になることを決めてから、だんだんと認知症が進みのどかの名前が出なかったり、夜中に買い物に行こうとしたりなどがあったが最後は家族に見守られながら息を引き取った。
星朋一(ほし ともかず)
演:井上祐貴
航一の長男。法律の勉強をしている大学生。成績優秀で、手先が器用。時折、寅子たちに怒りを露わにしてしまう子どもっぽい一面も。大学で法律を学んだのち、司法試験に一発で合格。手先が器用。長崎地裁の判事補を経て最高裁事務総局に配属され、汐見の部下として熱心に働く。まじめすぎる性格がゆえ、視野が狭くなっていることを航一は心配している。真紀という女性と結婚し、長男・朋成を授かる。が、不当な判決を出したことに憤り意見書を出したが家庭裁判所に異動を命じられ自分と同じ勉強会の面々も支部の異動になっており事実上の左遷のような扱いをされてしまう。それでも家庭裁判所に異動になってもへこたれることなく熱意をもって仕事をしていたが、真紀に離婚を言い渡され裁判官をやめようと思っていると話した。その後法曹の道から離れ家具職人になった。最終回時点でものどかからテーブル作ってよと頼まれ「良いけど高いぞ?」と話していたことから生計を立てられていることが分かる。
星→吉川のどか(ほし→よしかわ のどか)
演:尾碕真花
航一の長女。ちょっとひねくれたところがある、朋一の妹。兄妹そろって義理の祖母・百合に甘えている。表面上は子どもっぽい兄をたしなめ、明るく振る舞っているが寅子と優未ばかり可愛がられたことで2人に嫉妬し、同居をなかなか受け入れられなかったものの、家族とぶつかり、和解。大学の英文科を卒業後、銀行に就職する。本当は美大に行きたかったそうで航一と朋一が不平等とも取れる判決に関して言い争いをしていた時に建築の本を読んでいた。芸術の道を志している誠也と結婚。
吉川誠也(よしかわ せいや)
演:松澤匠
のどかの夫で芸術の道を志している。のどかと結婚するため一度は夢を諦めかけるが、のどかに背中を押され、諦めずに結婚。彼の作品を気にいった人がいてニューヨークで個展をするとのどかの口から明かされた。
新潟で寅子に関わる人々とその関係者
深田仁助(ふかだ じんすけ)
演:遠山俊也
新潟地家裁三条支部の主任書記官兼庶務課長。東京から来た寅子を温かく迎え入れる。周囲との波風が立たないよう、常に相手の顔色をうかがい、気を遣っている。太郎が優未をみて孫娘の面影を重ね感極まって泣いたにもかかわらず「杉田弁護士を”泣かせた”そうじゃないですか」と事実を改変したり尾ひれをつけたりと良くないことをしていた。
高瀬雄三郎(たかせ ゆうざぶろう)
演:望月歩
新潟地家裁三条支部の書記官。気弱な性格のため、周囲から揶揄されることも。読書好きなところが直明に似ていて、寅子は親近感を覚える。だが、山の境界線をめぐる現地調停で森口に亡くなった兄の話をされたことで彼の逆鱗に触れてしまい掴みかかってしまう。(杉田)太郎がどうにか双方を取り持つことで穏便に済ませようとしていたが寅子が「きっちりと処分する」と譲らなかった。のちに寅子から「穏便に済ませたりしてああいう人達に借りなんて作って欲しくない。私がいなくなったあともこの件に縛られないようにしたいようにできるように怒りたい時に怒ることが出来るように」と処分した理由を聞き、涙を流した。それ以降寅子に対しては本音を言えるようになった。
小野知子(おの ともこ)
演:堺小春
新潟地家裁三条支部の庶務課。深田の部下。不愛想だが、自分の意見を正直に言える性格で、寅子や深田にも物怖じしない。スマートポール場放火事件の裁判で傍聴しており同じく傍聴していた被告人の弟広洙が「兄さんは無実だ」など声を荒らげ裁判長を務めていた航一に「これ以上騒ぐようでしたら退廷を命じますよ」と警告された際韓国語を話し彼を落ち着かせた。実は彼女は過去に朝鮮人と交際していたが双方の家族から猛反対され別れることになったという。
入倉始(いりくら はじめ)
演:岡部ひろき
航一の部下で、新潟地方裁判所・刑事部で判事補を務めている。偏見と憶測で物事を判断するところがあり、しばしば寅子と対立する。スマートポール場放火事件の際朝鮮人への偏見もあってか被告が放火したと決めつけていた。しかし被告人の犯行の証拠が不十分で無罪となり朝鮮人への偏見で犯行を決めつけてしまったことを反省。寅子に誘われ航一と3人でライトハウスに行った際「自分は朝鮮人に何もしていないのに彼奴らは俺を睨んでくる」と葛藤があったことを告白。寅子に「それでもあなたは踏みとどまれてるじゃない」と言われる。
ちなみに演者の岡部ひろき氏は猪爪直言役の岡部たかし氏の実の息子である。
杉田太郎(すぎた たろう)
演:高橋克実
新潟県三条市の弁護士。同じく弁護士である弟とともに、地域の事件を多く引き受けている。裁判所の職員とも懇意にしており、幅広い人脈を持つ。東京からやってきた寅子にも愛想よくふるまう。あらゆることに関して穏便に済ませようとするが高瀬が森口に掴みかかった際は寅子にきちんと処分すると言われそれ以降笑顔で舌打ちすることが増えた。
のだが、寅子が優未と共に現れた際には優未を見た途端に泣き出した。彼は空襲で一人娘と孫娘を亡くしておりそれらが優未に似ていたという。
杉田次郎(すぎた じろう)
演:田口浩正
新潟県三条市の弁護士。同じく弁護士である兄とともに、地域の事件を多く引き受けている。裁判所の職員とも懇意にしており、幅広い人脈を持つ。兄・太郎のことを慕い、よく気にかけている。
森口(もりぐち)
演:俵木藤汰
三条の大地主。高瀬の亡くなった兄のことをよく知り、気弱な高瀬と比較しては活を入れたがそれが地雷となり掴みかかられてしまう。容姿端麗で優秀な娘がいる。
森口美佐江(もりぐち みさえ)
演:片岡凜
三条の大地主・森口の娘。喫茶『ライトハウス』で玉の英語の授業を受けている、高校三年生。成績優秀で、東京の大学入学を目指している。法学部志望ということもあり、寅子と親しくなり「先生は私の特別です」と寅子にも赤いビーズの腕飾りをプレゼントするのだが、市内で頻発していたひったくり事件で自首してきた者達が皆寅子にプレゼントしたものと同じものを付けていた。そのことに関し寅子に問い詰められるが笑みを絶やさず寅子が外していた腕飾りを引きちぎるサイコパスっぷりを見せていた。「自分なりに答えが出せますか?なぜ人から物を盗ってはいけないのか、なぜ体を売ってはいけないのか、なぜ人を殺してはいけないのか」と普通の顔をして聞き寅子を怯えさせた。後に東大に合格した。
だが、美雪が3歳の時に車にひかれて亡くなったことが佐江子の口から明かされた(後述の手帳に記された文言をみるからに単なる事故ではなく自ら道路に飛び込んだと思われる)。最期に記した手帳には、「美雪。愛してあげられなくてごめんね」「私は確かに『特別』だった。私が望めば全てが手に入った。全てが思い通りになった。けどこの東京で私は『ただの』女に過ぎず掌で転がすはずが知らぬ間に転がされていた。身籠れば特別な何かになれるかと期待したが無駄だった。私の中に辛うじて残る『特別な私』が消える前に消えるしかない。あの人を拒まなければ何か変わったの?あの人は私を特別にしてくれたのだろうか?」と特別であることに強くこだわっていたこと、東京に出た途端自分が井の中の蛙だったと痛感したことが記されていた。
並木美雪(なみき みゆき)
演:片岡凜
前述の美佐江にそっくりな学生(のちに美佐江の娘と判明)。寅子は彼女に声をかけられた時少し怯えていた。駅の階段で男子学生を突き落としており、その事件で家庭裁判所に来ていた。母が遺した言葉が書かれた手帳を大切に持ち歩いている。あの腕飾りがトラウマになっているのか美雪らが帰ってから寅子は慌てて音羽の手首を確認した。彼女はやっていないと言っていたが、寅子が聞き取りをした際は泣きながら(泣きの演技をしていたと思われるが)、「大切にしていた自分の手帳を返してくれなかったから突き落とした」と認めこれが事実確認も取れたため不処分となった。
が、なんと美佐江の生き写しが如く窃盗教唆、売春を他人にやらせたことで補導されており自分がやったと認め美佐江同様「どうして人を殺してはいけないのか」尋ね寅子なりの答えを聞き「そんな乱暴な答えで母は納得するだろうか」と言うが寅子に「私はあなたの質問に答えています。お母さんの話はしていません」と言われナイフを取り出し責め立てるも自身の美佐江への接し方や行動を全て間違えたと認めたうえで、「あなたのことは諦めたくない」と自分に真正面からぶつかろうとする寅子に狼狽えてしまいナイフを投げ捨て部屋から去った。
その後試験観察で民間の施設に半年間生活することになり施設でも問題を起こさず、同じような境遇の子とも仲良くしていたという。少年審判で「おばあちゃんは私といると心が休まらないと思う。お母さんを思い出し続けるのも可哀想だし、一緒にいない方がいいんじゃないかな」とまだ施設にいたいと言うが寅子に「あなたの本心は?あなたはどうしたいの?」と聞かれ佐江子の本心を聞き「おばあちゃんと一緒にいたい」と涙ながらに本音を打ち明け不処分となった。
最終回では社会人となっており突然クビを言い渡され途方に暮れていたが、たまたま話を聞いていた優未に突然クビを言い渡すのは法律違反だと言われ弁護士に相談してみてはと提案され「佐田優未から紹介されたと言えば分かると思う」と事務所も紹介された(この際「佐田…?」と彼女が寅子の娘であることに勘づいているような動きを見せていた)。
並木佐江子(なみき さえこ)
演:辻沢杏子
美雪の保護者。美佐江の母であり、美雪の祖母で保護者。美佐江が亡くなった事と亡くなる前に書いたとされる手帳を寅子に渡した。「美雪に美佐江と同じ末路を辿って欲しくない」「どうか美雪を助けてほしい」と寅子にお願いした。少年審判で「おばあちゃんは早く一緒に暮らしたい。離れて暮らしてホッとしたのは事実。でもこの半年、どんどん面談の日が楽しみになった。毎日頑張ってる姿が伝わったから」と本心を打ち明け、美雪も「おばあちゃんと一緒にいたい」と本音を言うことが出来た。美佐江の母であるならば苗字は森口のはずだが、美佐江が亡くなったことで何かあったのかもしれない。
用語
物品引渡請求ノ訴
寅子が学校を出ていったよねを追いかけ初めて傍聴した裁判。原告・東田峰子は7年前に被告・東田甚太と結婚したが、暴力に耐えかね実家に戻り離婚裁判を起こし勝訴。すぐ被告は控訴しており係争は続いているが、これとは別に原告が嫁入りの際に持参した物品返還を求めて起こした裁判。
特に亡き母親の形見である色留袖の返還を求めている。(当時の)民法第801条第1項では夫は妻の財産を管理すると定められており、女子部の面々も「恐らく着物は返ってこないだろう」と思われたが、裁判官は上述の法律はあくまでも夫婦関係を円満にするためのものであり今回の場合夫が妻への嫌がらせ目的で「権利の濫用」しているとし原告の主張を認め着物を返すよう勧告。原告の訴えが認められた。判例の「物品引渡請求事件」を参考にしている。
毒饅頭殺人事件
寅子たちが大学祭で上演した法廷劇。学長が判例から選び、涼子が台本を執筆した。女給甲子は7歳年下の医学生乙蔵と甲子のアパートで同棲し結婚を約束していた。甲子は乙蔵が実家に戻ってからも5年以上生活費を援助していたが、医師になった乙蔵は甲子に別れを告げ、乙蔵の両親からも拒絶される。甲子は防虫剤入りのまんじゅうで乙蔵一家殺害を計画。まんじゅうを食べた乙蔵と両親は重体、乙蔵の祖父が亡くなった(本編では寅子の脳内でこの事件の再現がコミカルに描かれている)。
しかし寅子たちの検証で饅頭に致死量(作中では80匁、約3.75g)の防虫剤を仕込むのは不可能と判明。実はこれは女性の興味をひく為に学長が改変したものであり、実際は甲子は乙蔵の両親から一度結婚の許諾を受けており、乙蔵に婚約不履行の裁判を起こして勝訴し慰謝料7000円を受け取っている。また甲子の職業は女給ではなく医師、饅頭に入れたのは防虫剤ではなくチフス菌だった。
共亜事件
共亜紡績の株価が高騰することを知って政財界に不正に得た利益がばらまかれたとする汚職事件。帝都銀行が株の取引実務を行い、直言は高井理事と共謀して賄賂を贈った容疑で逮捕された。現職の若島大臣ら16人が逮捕され、藤倉内閣は総辞職した。裁判では予審で許可なく革手錠を使用し自白を強要させたことや贈賄の事実がない証拠が次々突きつけられ、16人全員が無罪となった。
史実の『帝人事件』を参考にしている。
予審
予備審問。本格的な裁判の前に行われる審判。予審判事によって取り調べが行われ、弁護士は同席も傍聴もできない。ちなみに現在はこの予審制度は行われていない。
大庭家の遺産相続問題
梅子の夫大庭徹男が亡くなったことに伴う遺産相続問題。妾のすみれが持っていた遺言書には『すみれに全額譲渡する』という旨が記されていたがのちに偽物と判明。正式な相続人のみとなったが今度は長男の徹太が自分が全額相続すると言って譲らず、梅子の姑常が末っ子の光三郎に多く分けられるようにしてほしいとも言い出しなかなか進展しなかった。のだが、その光三郎がすみれと通じていたことが分かり手塩にかけて育てた光三郎に裏切られた梅子が相続の放棄及び大庭家から出ていくと宣言。
その後、大庭家は梅子が遺産を放棄し家から出ていった途端に息子たちが3人で分けることで合意したという。白旗を振るとは言ったが『彼女の望み通り息子3人が平等に遺産を分けた』『自身が大庭家から出ることができた』という点から見れば梅子の大勝利といえるだろう。
三条市内で起きたひったくり事件
三条市内で頻発していたひったくり事件。犯人は7人の少年達だった。しかし彼らは裕福な家庭で学校も違い何のつながりが無い。が、全員赤いビーズの腕飾りを付けており動機に関しても「すっきりさせたかった」と皆答えている。寅子は美佐江が事件に絡んでいるのではないかと疑ったがそれらしい証拠は見つからずじまいであった。が、美佐江が遺した手帳に自分がやるように仕向けたことが記されていた。
スマートボール場放火事件
スマートボール場の倉庫に何者かが火を点け火事となった事件。幸いにも死傷者は出なかった。被告人として逮捕されたのはスマートボール場の経営者である朝鮮人の金顕洙(演:許秀哲)。借金を抱えていたことと事件前に火災保険に入っていたことで放火と詐欺の疑いで起訴された。
証拠として弟の広洙に宛てた手紙を検察側が提示したが、この手紙に誤訳があったことが判明。一転、手紙が証拠にはならないとなり、火を点けられた使われたとされるのが植物油で倉庫にあったのは鉱油だったことも分かり被告人は無罪となった。
原爆裁判
広島と長崎の被爆者が日本政府を訴え、アメリカによる原爆投下が国際法に違反しているとし、その損害の賠償を求めた裁判。寅子は東京地裁の判事としてこの事件を担当することになった。判決まで実に8年もの月日を要したが、国側の勝訴となった。
尊属殺人事件
よねと轟が弁護を担当する父親を殺した女性の事件。被告人は斧ヶ岳美位子。彼女は父親から暴力や性被害を受け2人子供を産まされ幾度も流産を経験。結婚を約束した人もいたが父親がそれを知り怒り狂い家に閉じ込め暴力を振るった。とうとう耐え切れなくなった彼女は酔って眠った父親を絞め殺した。この当時尊属殺人罪は無期懲役または死刑のみと、刑罰の下限が高く、より重いものになっていた。1度は違憲ではないと結論が出たが、23年の時を経てこれが違憲であるとし、原判決を棄却。美位子は懲役2年6ヶ月、3年の執行猶予となった。
余談
役者繋がりのネタ
何故かフジテレビ系列で放送されている水10ドラマ『新宿野戦病院』との共通出演者が多く、ゲストも含めると7人。そのため、「転生先」と専らネタにされている。
だが、これは意図的なものではなくたまたま起こった偶然の産物。
水沼役の森次と若島武吉役の古谷はかつて『ウルトラセブン』の主人公のモロボシ・ダン役とアマギ隊員役としても共演し、古谷は初代ウルトラマンのスーツアクターも演じており、ネット上ではファンから「ウルトラマンコンビですね!」「お二人とも、まだまだ現役でご活躍。いいですね」「アマギを守れよダン!」とコメントが寄せられた。
劇中内の音楽
寅子が結婚披露宴で歌った曲はモン・パパという曲。歌詞は恐妻家の話なので、披露宴で歌うのに相応しい歌とは言い難いが、少なくとも猪爪家は女性の方が強い節があるので全く相応しくない曲というわけでもない。回想シーンでは寅子のアカペラバージョンが使われ、BGMのみのバージョンも登場した。
優三の出征するシーンや、寅子が河原で一人焼き鳥を食べながら優三の死と向き合うシーンで劇中歌として流れていた「You are so amazing」は音楽を担当する森優太氏が〈全ての女性と、生きづらさを抱えている人たちに送る曲〉を目指し書いたという。そして作った後ふと「世界で一番歌ってほしい人は誰だろう」と考え、浮かんだのがベルセバことベル・アンド・セバスチャンのリードボーカルであるスチュアート・マードックだったと語っている。
前作『ブギウギ』との繋がり
当初から前作『ブギウギ』の梅丸少女歌劇団や福来スズ子の名前は出てきていたが、第64回にブウウギの茨田りつ子がまさかの登場。演者も『ブギウギ』同様菊地凛子女史である。ちなみに連続テレビ小説での同名キャラの2作品出演はオードリーとカムカムエヴリバディの「モモケン」がいる。ただしこの例はスターシステムみたいものなので「同一人物の複数作登場」とは若干異なる。オードリーは「桃山剣之助」、カムカムは「桃山剣之介」で漢字が少し異なる。
時代の価値観と、現実の制度の変遷
新潟編から当時は馴染みが薄かった精神病や同性愛や妻の姓を名乗る事に理解がある夫等、令和時代の価値観を先取りした展開が見られ「モデルがそうなら兎も角、当時の価値観的にそんなことはないだろう」と賛否がある。
- 当時はそういった人達は肩身の狭い立場に立たされていた。同性愛者に対する世間の扱いは時代によって変遷しているものだが、精神の病は昔から偏見と差別の対象だった。
- なお別に「妻の姓を名乗る事に理解がある夫」は婿入りなら別に戦後の昭和当時でもおかしい事ではない。2019年度後期連続テレビ小説『スカーレット』でも主人公川原喜美子(長女)のもとに十代田八郎が婿入りし「川原」姓になっている。(そして離婚後「十代田」姓に戻っている。)
主人公のモデルとされる三淵嘉子は生涯に2回結婚しているが、その度に夫の姓に変更しており三浦本人は良くも悪くも当時の価値観に生きた部分も大きい人物であったことは留意すべきである。
- 作中重要視されているのは当時の裁判官が仕事上旧姓を使えないことであり、「裁判官が判決文や令状に旧姓を使うことが認められるのは平成29年のことです」とのナレーションが入る。作中から62年後に制度改正が起こっていることも踏まえて脚本が書かれていると思ってよい。(参照記事(iza!・2024/8/21))
- 『判決文や令状、旧姓OK 裁判官や書記官』日本経済新聞・2017年6月28日
モデルとなった事件の脚色
作中で出てくる事件はモデルのあるものもあるが実際の事件とは異なるよう脚色されている。
また、後に日本国憲法初の最高裁違憲判決が出される尊属殺人事件のモデルとなった事件の実在の担当弁護士達は男性の父子であるなどドラマと史実と大きく異なる点もあり、実在の事件の裁判に関わった人物からはかなりのアレンジをされている点が多々ある。
寅子たちが大学祭で上演した法廷劇の毒饅頭事件もモデルの事件とは異なる脚色をされており、学長が元の事件を脚色し、かわいそうな女性を女性たちが弁護しているように見えるよう改変していたことに虎子達が憤るシーンは「実際の人物をモデルにした物語を『朝ドラ向け』に改変している連続テレビ小説自体に対する皮肉ではないか」とSNSで話題になった。
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虎に翼:タイトルの語源になった言葉。「鬼に金棒」などと同義。元より強い者がさらに勢いを増すこと。「為虎添翼」とも言う。