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概要編集

1984年8月11日公開。

原作は柳田邦男の同名のノンフィクション作品。

原作は表題通り零式艦上戦闘機に携わった開発関係者、搭乗員、指揮官などさまざまな立場の人物の視点で描かれたノンフィクションだが、映画は太平洋戦争の開戦から終戦までをふたりの若者を中心にして描くフィクションとなっている。

ちなみに映画の公開当時原作は未完であり、1987年に完結している。

主人公浜田正一のモデルは杉田庄一であり、ラバウルまでの経歴や撃墜数は一致するが、あくまでも零戦を主体にした映画のため第343海軍航空隊に転属することはなく、水島から紫電改への乗り換えを打診される描写にとどまっている。


連合艦隊』に次ぐ東宝8.15シリーズとして製作された東宝が昭和期に手掛けた最後の特撮戦争映画であるが、監督は日活出身の舛田利雄、脚本は東映出身の笠原和夫と他社出身のスタッフが中心となっており過去の東宝戦争映画とは毛色の異なる作風が特徴。


あらすじ編集

昭和14年、横須賀海兵団で訓練に励んでいた浜田正一と水島国夫は、厳しい体罰に耐えかねて脱走を試みていた。

そんな中ふたりは下川万兵衛大尉と出会い、大尉に連れられた追浜の格納庫で開発中の新型戦闘機を目の当たりにする。厳しい訓練を越えた先でこの新型機に乗ることができると下川に説得され、ふたりは脱走を思いとどまり猛烈な体罰を耐えしのいだ。

昭和16年12月8日、浜田は零戦の搭乗員として高雄基地を飛び立ち、フィリピン・クラークフィールド基地でP-40戦闘機を撃墜する戦果を挙げる。

その後も東南アジアで連合軍機と激闘を繰り広げた浜田は、南太平洋の激戦地ラバウルに赴任する。

水島は整備兵となり、浜田の零戦の整備に携わる。高等科整備術練習生教育のため名古屋へ飛んだ水島は、曽根嘉年の行きつけの店で働く吉川静子と出会う。彼女の父は零戦の製造にかかわっていた技術者だった。

浜田を交えた3人でつかの間の平穏を過ごす。しかしそこでふたりは不時着した零戦が米軍の手に渡ったことを知る。

ミッドウェー海戦の敗北を経て、ふたりの任地であるソロモン海域は厳しい戦いを強いられる。そんな中連合艦隊司令長官・山本五十六が前線視察に訪れた。

浜田はブーゲンビル島へ向かう山本長官の護衛任務を担うが、米P-38戦闘機に待ち伏せされ山本長官の乗った一式陸上攻撃機は撃墜されてしまう。

護衛任務にあたった浜田たち6人の搭乗員は連日の出撃が命じられ次第に消耗していく。浜田もF4U戦闘機と死闘を繰り広げ大火傷を負って後送された。

水島たちから訓練教官としての後方勤務を要望される浜田だが、なおも前線にこだわり続ける。それはまるで死に場所を求めているかのようだった。


スタッフ編集

監督:舛田利雄

製作:田中友幸

原作:柳田邦男

脚本:笠原和夫

音楽:伊部晴美

特技監督:川北紘一


キャスト編集

下川万兵衛加山雄三

浜田正一:堤大二郎

水島国夫:橋爪淳

吉川静子:早見優

小福田租:あおい輝彦

宮野善治郎目黒祐樹

森崎武中尉:おりも政夫

東條輝雄宅麻伸(友情出演)

曽根嘉年大門正明

空技廠担当官:森次晃嗣

航空艦隊参謀:御木本伸介

航空本部担当官:中山昭二

横山保大尉:五代俊介

辻野上豊光一飛曹:福田浩(福田健次

ダグラス・マッカーサーウィリアム・ロス

サザーランド:ジャック・デービス

ブレリートン:ステファン・ブロクター

P-40のパイロット:チャーリー・フォンタナ

米軍通信将校:レオ・メンゲッティ

喜代:真木洋子

軍医:佐藤允

宇垣纏加藤武

軍令部参謀:神山繁

小沢治三郎青木義朗

浜田イネ:南田洋子

堀越二郎北大路欣也(特別出演)

山本五十六丹波哲郎


小沢治三郎は当初平田昭彦が演じる予定だったといわれている。


主題歌編集

主題歌「黎明(れいめい)」

作詞:阿久悠

作曲:三木たかし

編曲:若草恵

歌:石原裕次郎

挿入歌「北斗七星-乙女の神話-」

作詞:阿久悠

作曲:三木たかし

編曲:若草恵

歌:石原裕次郎


余談編集

東映色の強かった脚本第1稿編集

舛田利雄&笠原和夫コンビといえば『二百三高地』、『大日本帝国』、『日本海大海戦海ゆかば』など1980年代の東映の戦争映画を多数手がけたコンビである。田中友幸プロデューサーもこの実績を買ってふたりを起用したが、ふたりの作風は過去の東宝戦争映画のそれとは異なり、軍隊批判、天皇批判を前面に押し出した作風だった。

笠原は当初より杉田庄一を主人公のモデルとし、ボクサーのような零戦の搭乗員がストイックに強大な連合軍機と闘っていく物語として構想していた。しかし東宝側から連合艦隊司令部などの描写も盛り込んでほしいとの要望があり、山本五十六ら連合艦隊上層部も描写することになった。

こうして完成した脚本第1稿は東映での笠原の作風に近い軍隊批判色の強い脚本だった。

浜田と水島が海兵団時代になにかと因縁を付けられ殴られるという展開を執拗に繰り返し、海軍上層部は無謀な作戦を次々と立案する。

そして海軍上層部の無謀な作戦を批判する人物として当時自身が指揮した芙蓉部隊の成果を喧伝していた美濃部正が登場していた。笠原も美濃部本人に取材し、当時美濃部が主張していた「試しにこれからわたしが零戦1機だけで箱根の上空で待ってますから、みなさんで赤とんぼに乗って攻めて来て御覧なさい」と幕僚を一喝したという逸話も脚本に盛り込まれ、浜田が夜襲部隊で戦果を挙げるという描写もあった。

しかし脚本の改稿の中で軍隊批判の描写は薄くなり、序盤の横須賀海兵団の描写と水島の「海軍の伝統で死なれてたまるか」という台詞にとどまることになり、美濃部正は登場すらしなくなった。


れいせん編集

原作の読み仮名は「ぜろせんもゆ」であり、本作自体もそのように呼ばれることが多いが、劇中では零戦は「れいせん」と呼ばれている。


零戦の実物大模型編集

本作の撮影用に総工費7000万円で零戦の実物大模型を製作している。実機と同じくジュラルミンで作られ、撮影後は岩国基地で保管され現存している。


特撮編集

特撮は川北紘一が手掛け、『大空のサムライ』同様ラジコンを使用している。

終盤のB-29との空戦は複数の方向から模型を吊るしてカットを繋げるという手法で撮影しており、後に『ゴジラVSキングギドラ』でも活かされている。

また本作は樋口真嗣が撮影所の見学をしながら手伝いで特撮に関わったと語っている。撮影後の飲み会で酔いつぶれた挙句特殊効果の久米攻の車で嘔吐してしまった樋口は、お詫びとして特殊効果部で1ヵ月タダ働きしたという。

本作のB-29の模型は現存しており、樋口監督作品『ローレライ』で使用されている。


関連タグ編集

戦争映画 東宝 零式艦上戦闘機

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