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大まかな概要編集

1993年に当時の営団地下鉄有楽町線用の07系と共に製造した車両。

設計に際し07系と共に21世紀の地下鉄車両の基本モデルと位置づけられ、車両に関わる全ての環境に配慮した車両となっている。元々93年3月ダイヤ改正で千代田線の増発を行った際に増えた営団地下鉄持ちの1運用増加を賄うために製造された車両なので10両編成1本のみの製造に終わり、6000系車両の置き換えは16000系が担うこととなった。

2015年8月に綾瀬検車区から有楽町線新木場CRに回送され、廃車になった。


「21世紀の地下鉄車両の基本モデル」編集

この06系(と07系)。営団に限らず、これまでの車両とは大きく異なる点がいくつもある。


ドア配置の変更編集

乗務員室のスペースを大きく確保するために、座席の定員を3・7・7・7・3人(従来車や16000系などの民営化後に製造されたほぼすべての車両が該当)から4・6・7・6・4人に変更。全部の窓のピラーをなくし、窓自体も拡大。しかし、双子の兄弟車である07系以外は05系にしか全く波及しなかった。そして、この05系(第19~33編成の14編成がこのドア配置を採用)の存在がのちに07系の運命を大きく左右することになる。


IGBT素子を使ったVVVFインバーター制御の採用編集

あまり知られていないが、現在主流となっているIGBT素子のVVVF制御装置を「日本で初めて」採用したのはこの06・07系である。

なお、同じVVVF装置を05系第19~24編成でも採用していたが、2018年から2024年にかけてB修され16000系4次車以降と同じ音になったため、ほぼ同一の音を聴くことはできなくなった。(変調タイミングが異なるものであれば223系1000番台W2編成やV4編成で似たような音を聞くことが可能。)


モニタ装置(TIS)の改良編集

運転台に設置されたモニタ装置は07系と同様、日立製ATI(但し、営団・東京メトロでは「TIS」と呼称されていた)を採用している。今までのモニターは表示が単色で、床下機器のモニタリング(故障状態などの把握)や空調の設定といった、使用できる機能が極めて限定的なものに絞られていたが、この車両ではカラー画面になり、力行や制動など走行に関連する指令の伝送や、車上検査やそれに関連する記録などの機能が運転台のモニターに統合された(但し、車両導入時点で放送機能や行先設定の機能は有していない)。画面上の見た目は、他社とはかなり異なるデザインとなっている(07系は見た目は東武30000系のものに似ているが、下のメニューボタン付近が従来車と似通ったデザインになっている。走行中は下半分に大きく種別が表示されるが、東西線・東葉高速線で誤通過防止のブザーが鳴っても種別が点滅しなかったりする。ちなみに画面そのものは、運転台コンソールがL字型になっている関係上、90度直角に曲がっているので見えないが、トンネル内や夜間はガラスに反射するので、窓越しに見ることができる)。


ちなみに、自動放送や行先の設定もできるようになったのは、三菱製モニタ装置(TIS)を設置した9000系から。


その他、あまり目立たないが、営団の従来車と比較して大きく異なる部分がある。


スカートを“正式に”採用編集

営団で最初にスカートを採用したのは6000系だが、試作車しか装着しなかった挙句、その試作車も綾瀬~北綾瀬で営業運転を始めたころにはすべて「外された」ため、最初から「装着している」状態で営業運転を始めたのは06系である。


乗務員室のカラースキームの変更編集

今までの車両は薄い緑をベースに、運転台が紺の寒色系だったが、アイボリーに運転台をグレーに変更。2023年現在最新鋭の18000系も踏襲している。


ブレーキハンドルの固定化編集

たとえ電気指令式ブレーキでも、ワンハンドルマスコンの8000系とブレーキハンドルが横軸式の01系02系以外の車両は全てブレーキハンドルを取り外し式。方向転換の際にはマスコンキーと一緒にブレーキハンドルを持ち歩く必要があったが、固定式にし、方向転換の際にはマスコンキーだけで済むようになった。見た目は小田急2000形遠州鉄道2000形の第1編成、阪神5700系に近い。しかし、その後開通した南北線副都心線ではワンハンドルマスコン、既存路線でも05系や16000系がワンハンドルマスコンを採用したため、06系以外では07系全車・05系第19~24編成・03系第26~42編成しか採用されなかった。


モノリンク式台車の採用編集

1000系13000系などの自己操舵台車を除いて、現在でもメトロが多用しているモノリンク式台車を営団で初めて採用。


運用。そして思わぬ運命編集

こうしてデビューした06系だが、前述の通り増発目的のために1本しか製造されなかった。その後はATCの更新などを行って、6000系と一緒に過ごしていた。しかし、故障による休車と同時にメトロの事業計画にて、千代田線のホームドア設置が決定し、車両を全て16000系に統一する方針を発表。16000系はもとより6000系ともドア配置の異なる06系は真っ先に廃車の対象になってしまった。2008年度の副都心線開通時、同じドア配置であった07系も有楽町線を追われる身となったが、東西線に前述の05系第19~33編成がいたことと、当時5000系が在籍していたことで、それを置き換える形で転属。結果、東西線で生き延びることができた。しかし、06系の場合はそうはいかず、東西線は既に15000系の追加投入が決まっており1編成だけの06系を将来的にB修した上で東西線に転属させる意義は薄かった。他社への譲渡や保存もなく、2015年8月にその生涯を閉じた。享年22。これにより「ゼロシリーズ」としては一足早く形式消滅となった。07系や先輩05系ワイドドア車と比べ、あまりにも短すぎる命だった。


運用路線編集


関連項目編集

千代田線

07系→双子の弟といえる車両

05系03系→同時期に作られた編成はVVVF装置や台車など、彼らと似ている点がある

横浜市営地下鉄2000形神戸市交通局3000形10-000形→彼と同じく、ホームドアそのもの、またはそれに付帯する設備・機器を搭載できないことが原因で引退した地下鉄車両。

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