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GRIMM

ぐりむ

グリム(Grimm)は、主にドイツ語圏に見られる姓。ここでは海外ドラマ『GRIMM』について解説する。
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解説編集

アメリカ合衆国ダークファンタジーサスペンスドラマ

2011年から放送を開始し、2017年のシーズン6にて完結した。全123話。


ホラーとダークファンタジーの要素を取り入れた刑事ドラマであり、オレゴン州ポートランド警察署殺人課の刑事でグリム兄弟の子孫でもある主人公ニック・ブルクバルトが、人間社会に潜むヴェッセン(魔物)達の引き起こす様々な事件や、自身の血脈に纏わる歴史を解き明かしていく物語が描かれる。


毎回、冒頭にそのエピソードのモチーフとなる童話などからの一節が引用表示されるが、『グリム童話(ドイツ)』だけでなく『人間とハツカネズミ(アメリカ)』や『絡新婦(日本)』といった世界中のさまざまな文学・説話がモチーフとして用いられている。


基本的には童話本来のダークさをふんだんに生かした作劇でグロテスクなシーンも含むものの、ユーモアやギャグシーンも多いバラエティに富んだ内容の大人向けドラマである。


あらすじ編集

緑豊かなオレゴン州のポートランド市警察殺人課に務めるニック・ブルクハルト刑事はある日、人間の中に異形の顔を隠し持つ者たちが紛れ込んでいることに気づく。

癌で余命いくばくもない叔母のマリー・ケスラーから、彼らは『ヴェッセン』と呼ばれる魔物たちで、その真の姿を見ることができるのは、グリム一族の血をひく者のみだと知らされる。グリム一族は代々ヴェッセン達を狩ってきた魔物ハンターの一族であり、グリム童話は単なる伝説・説話ではなく、魔物との戦いとその攻略法の記録だったのである。

そして、ニックは死に際のマリーから、グリム一族に伝わるヴェッセン達と戦うための武器・書物・薬類などを保管してあるトレーラーを譲り受ける。


ニックはポートランド署の捜査パートナーであるハンクや、ひょんなことから知り合った善良なヴェッセンであるモンローといった仲間達と共に、ヴェッセンに纏わる様々な怪事件に挑んでいく。


主な登場人物編集

  • ニック・ブルクバルト

演:デヴィッド・ジュントーリ / 日本語吹替:花輪英司

ポートランド市警殺人課の刑事であり、グリム一族の末裔。

ある時から人々の中に時折、異形の顔を持つ者たちがいることを判別することができるようになったことから、彼らヴェッセン達との戦いに身を投じていくことになる。グリム能力に覚醒する以前から、人の本心を見抜くのが得意だった。


正義感が強く真面目だが、基本的には温厚で楽天家。かつてのグリム達が見境なくヴェッセン達を殺そうとしてきたのに対し、ニックはあくまでも警察官という立場で接し、人間社会のルールをきちんと受け入れて平穏に暮らしているヴェッセンには手を出さず、寧ろ彼らが苦しんでいたり困っていたりする時には可能な限り救おうと努力する等、優しい性格でもある。その姿勢と人柄ゆえにヴェッセンの中でも徐々に彼を慕い、協力する者も現れるようになる。

当初はヴェッセンの正体を見抜ける以外は普通の人間だったが、物語の進行と共に様々な能力に覚醒、獰猛な戦闘系ヴェッセンを複数相手取って打ち勝つほどの戦闘力を獲得していく。


  • モンロー

演:サイラス・ウィアー・ミッチェル / 日本語吹替:松本大

オオカミの特性を持つブルットバッドと呼ばれるヴェッセンで、いわゆる狼男

ヴェッセンの中でも特に高い戦闘能力と凶暴性を持つブルットバッドながら、平和的でひょうきんな性格をしており、しかもベジタリアン教会にも通い、ハロウィンといったイベントも全力で楽しむ。

「昔はそれなりにワルだった」らしいが、ブルットバッド特有の凶暴性を食事療法と日課のピラティスで克服して改心したとのこと。普段は時計技術者として生計を立てている。料理が趣味。


最初は正体を見抜いたニックに連続殺人犯と勘違いされて逮捕されかけたものの、その後、意気投合。魔物社会の事情に詳しいことから、しょっちゅうニックに協力や助言を求められるうちにグリムとしての彼の相棒的な存在となり、やがて互いにかけがえのない親友となる。

基本的に争い事は好まない一方で、腐ってもブルットバッドなので、その気になれば人間を簡単に引き裂いてしまうだけの力を発揮する。


  • ハンク・グリフィンー

演:ラッセル・ホーンズビー / 日本語吹替:志村知幸

ポートランド市警殺人課の刑事で、ニックの相棒。

屈強な肉体と豪放磊落な性格の持ち主だが、数度の離婚歴がある。

当初はニックの能力を知らされておらず、なぜか頻繁に発生する怪死事件にニックとともに挑む。

シーズン2でヴェッセンやグリムについて知った後は頼もしい存在となる。


  • ジュリエット・シルバートン

演: ビッツィー・トゥロック / 日本語吹替:長尾明希

ニックの恋人で、獣医

ニックのグリムとしての活動のせいでたびたび危険な目に会うことがある。ニックの様子が最近になって変わったことに気付き、隠し事をしているに違いないと思い悩む。


  • ロザリー・カルヴァート

演: ブリー・ターナー / 日本語吹替:村井かずさ

キツネの特性を持つフクスバウと呼ばれるヴェッセンの女性。

一族の家業である薬剤師を継ぐのが嫌で家族から離れて暮らしていたが、ポートランドでヴェッセン用の生薬や素材も売買していたスパイス店を経営していた兄がヴェッセンの強盗犯に殺害された後、彼の店を引き継いだ。

魔物に関する知識も豊富で薬の調合にも長けており、解毒剤を調合したり問題解決のヒントを見つけ出すなどしてニックとモンローに協力するうち、モンローと良い仲になっていく。


  • ドリュー・ウー

演:レジー・リー / 日本語吹替:永田昌康

ポートランド市警の巡査部長。フィリピン出身。ハンクとは呑み友達。

情報収集能力に長け、ニック達の判断を仰いでから、さまざまな手配をテキパキと行う有能な人物。コンピュータにも強く、パスワード解読などによって手がかりを掴むこともある。


  • ショーン・レナード

演: サッシャ・ロイズ / 日本語吹替:木下浩之

ポートランド市警殺人課警部で、ニックとハンクの上司。

ニックの能力について早くから知っているが、気付かないふりをし、ある目的のために暗躍する。


  • アダリンド・シェイド

演:クレア・コフィー / 日本語吹替:志田有彩

ヘクセンビーストと呼ばれるヴェッセンの女性でいわゆる魔女。普段は弁護士として活動している。

ショーンと裏で繋がっており、彼の目的のために暗躍する。


  • バド

演:ダニー・ブルーノ

ビーバーの特性を持つアイスビーバーと呼ばれるヴェッセンの中年男性。

アイスビーバーの種族的特性である手先の器用さを活かして修理店を営んでおり、ニックの家の冷蔵庫を修理しにきた時に彼と互いの正体に気づいた。

それからしばらくはニックのことを恐れていたが、彼が噂に聞いていたグリムとは違うことを知り、たびたび彼に助けてもらううちに友人として彼を慕うようになった。


作中用語編集

  • グリム

グリム一族の血を受け継ぐ者たちで、普通の人間には見ることが出来ないヴェッセンの素顔を見破る能力を持つ。

代々ヴェッセン退治に従事しており、その記録を残している。さまざまなヴェッセンに対応した武器や道具も受け継いでいる。


魔物たちが人間に恐れられるように、グリムもヴェッセンたちの間では自分達を殺しに来る恐ろしい存在として語られてきたため、ニックは初対面のヴェッセンには怖がられることが多い。

グリムの子孫だからといってグリム能力に覚醒するとは限らず、どちらかというと女性に顕現しやすいことが語られており、ニックは非常に珍しい存在らしく、歴代でも特に強い力を持っているとのこと。


  • ヴェッセン

魔物たちの総称。

普段は人間と変わらない容姿だが、感情が高ぶったり驚いたりすると魔物としての本来の姿が現れる。普通の人間にはその正体を見破ることは出来ないが、意図的に見えるようにすることもできる。

様々な種族がおり、人間との間だけでなく同じヴェッセンでも種族間の確執といったトラブルが多く存在する。


かつての時代とは違い、現代の大多数のヴェッセン達は人間社会のルールにそれぞれ適応して溶け込んだ状態にあり、人間を敵対視する者はほんのごく一握りとなっている。

特に自分の正体を人間を出し抜くのに意図的に晒すことはヴェッセン社会では固く禁じられており、ヴェッセン社会の脅威と看做された悪質な違反者には死の制裁が待っている。

しかし、どうしても種族的性質や倫理観が人間とは相容れないヴェッセン達や、古い慣習を捨てきれないヴェッセン達も存在し、中には自分の性質を受け入れることができずに苦しんでいる者もいる。

ちなみにサンタクロースもヴェッセンらしい。


ブルットバッド

オオカミの特性を持つ種族。童話によく登場する「大きな悪い狼」は彼らのこと。匂いに敏感で、ヴェッセンの中でも特に強靭な体力と高い戦闘能力を有する。赤い色を見たり、満月の夜には凶暴になりやすい。粗暴な性格の者が多いが、凶暴性は食事療法と筋トレやピラティスで抑えられるらしく、モンローのように人間社会を満喫している者も少なくない。

極めて稀に、満月の夜になると自分の意思と関係なく変身して暴走する「ライカンスロープ」と呼ばれる遺伝性疾患を持つ個体が生まれることがあり、これは同じブルットバッドの間でも忌み嫌われている。


フクスバウ

キツネの特性を持つ種族。高い知性を持つ商才に長けた種族で、種族的特性を窃盗や詐欺、闇取引といった犯罪行為に悪用する者もいるが、現代の人間社会においては企業家として社会的に成功している者も多い。


アイスビーバー

ビーバーの特性を持つ種族。臆病でおっちょこちょいだが温厚かつ好奇心旺盛で、何でも仲間内で投票して決める民主主義的な種族。手先が器用で、修理や工芸、料理がとても得意なため、おとなしい性格も相まって現代の人間社会に上手く適応している者が非常に多い。


ヘクセンビースト

魔女のような、銀髪で腐敗したような素顔を持つ種族。男性はザウバービーストと呼ばれる。

人間の状態では美形の者が多く、冷徹かつ狡猾。強力な念動力を持ち、戦闘能力も高め。魔術や魔法薬の調合、策謀を得意とする。


ローウェン

ライオンの特性を持つ種族。総じて強力な身体能力と強いリーダーシップ、高いプライドを持つのが特徴。特性を活かして軍などにおいて優れた指揮官として活躍する者もいるが、犯罪組織の頭領に収まる者もいる。


ライニゲン

ネズミの特性を持つ種族。ヴェッセンの中でも特にひ弱で臆病な種族で、他のヴェッセンだけでなく、正体を知らない人間からもいじめられていることが多い。


リーパー

グリムリーパーとも呼ばれる種族。死神のような姿を持つ種族で、巨大なを武器とし、グリムを狩ることを生業とする。


ジークバースタ

いわゆるに似た姿を持つ種族。走る列車の衝突にすら耐えうる強靭な身体強度を有し、格闘戦においてはヴェッセン中最強格。何かと暴力沙汰を起こしがちで、危険な乱暴者が多い。そういった性質から人間社会に上手く適応することができず、現代ではかなり個体数が少ない。


デーモンフュアー

ドラゴンの特性を持つ種族で、現代では絶滅寸前の激レアヴェッセン。体内の脂肪を化学変化させて噴霧し、金属すら溶融させる高熱の火炎を吹く能力を持つ。光る物が大好き。


コヨータル

コヨーテの特性を持つ種族。群れる習性を持ち、粗野な性格の者が多いことからモンローには「ヴェッセン界のチンピラ」と評されている。繁殖の際、群れの結束を強めるために若い女性のコヨータルを近親者で輪姦する儀式を伝統的慣習として持つが、現代ではこれを野蛮として嫌うコヨータルも増えている。


フューリス・ルビオン

赤く角ばった肌と角を持つ悪魔のような容姿の種族。見た目は怖いのだが、全く凶暴性は無く、実際には温厚な性格の者が多い。かつてはローマ教皇が教会の権威を高めるために利用したこともあるという。


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