概要
コナミの『悪魔城ドラキュラ』シリーズで有名なIGAこと五十嵐孝司がプロデュースした横スクロール型2DアクションRPGで、2019年6月18日に発売。開発はIGAが創業したArtPlayが担当し、505Gamesから発売された。また、音楽プロデューサーには『悪魔城ドラキュラ』シリーズとの関わりが深い山根ミチルが参加している。
IGAが2014年にコナミを退社した後、クラウドファンディングサイト「キックスターター」で資金を集めることで制作が実現した。2015年5月29日にキックスターターで制作資金を募集し、最終的には目標であった50万ドルを大きく上回る550万ドルが集まった。ちなみに当時のキックスターターにて最も多く資金を集めたゲームソフト作品だが、現在(2022年1月時点)は『シェンムー3』に抜かれて2位となり、総合9位となった。余談だが、3位は本作と同じく元コナミスタッフが制作を手掛けた『百英雄伝』である。
『Bloodstained: Ritual of the Night(ブラッドステインド:リチュアル・オブ・ザ・ナイト)』は本編であり、『悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲』のようなサイドビューの探索型アクションゲームとなる。
一方、『Bloodstained: Curse of the Moon(ブラッドステインド:カース・オブ・ザ・ムーン)』はスピンオフ作品であり、FC版『悪魔城ドラキュラ』や『悪魔城伝説』のようなステージクリア型のアクションゲーム。更に2020年には続編となる『Bloodstained: Curse of the Moon2(ブラッドステインド:カース・オブ・ザ・ムーン2)』が発売されており、『Curse of the Moon』、『Curse of the Moon2』の2作を一つにした『Bloodstained Curse of the Moon Chronicles』も発売。
以下、発売順(『Curse of the Moon』→『Ritual of the Night』→『Curse of the Moon2』→『Curse of the Moon Chronicles』)に作品を解説していく。
Bloodstained: Curse of the Moon
2018年5月24日に本編に先駆けて発売された前日譚/外伝。
『Bloodstained: Ritual of the Night』の10年前の世界が舞台となる。
本編の主人公はミリアムだが、本作では東洋の侍「斬月」が主人公となっている。
なお、本作について五十嵐氏は本編に繋がる正史になるかは曖昧な表現もしており、ゲーム内にも本編に繋がらないであろう結末も存在する。
キックスターターでのクラウドファンディングの際にストレッチゴール(大雑把に言えば追加特典)の一つとして設定されていたもので、探索型アクションの本編とは異なり、レトロ感あふれるステージクリア型の8bit風アクションゲームとなっている。
ゲームシステムも『悪魔城ドラキュラ』を踏襲したものとなっており、被ダメージ時のノックバック(吹っ飛び)も再現。プレイヤーストック(残機)は操作可能なパーティが全滅することで減少する方式となっている。アクションゲームが苦手なプレイヤーのための「カジュアルモード」もあり、これを選択すると被ダメージ時のノックバックがなくなり、プレイヤーストックも無制限となる(ペナルティは一切なし)。
序盤の3ステージをクリアするごとに共に戦うことになる仲間と邂逅するシーンがあり、仲間に加えると以降はボタンでキャラクターを随時切り替えることができるようになる。なお、彼らを仲間にするか否かはプレイヤーの判断に委ねられており、無視して素通りするのも斬り殺すのも自由。行動次第では新たな能力が使えるようになる場合もあり、結末も通常とは異なったものとなる。
対応プラットフォームはPS4、PSV、Switch、3DS、Xbox One、PC(Steam)。
価格は980円(税込)、Xbox One版は1,080円(税込)。
2020年に続編『Bloodstained: Curse of the Moon2(ブラッドステインド:カース・オブ・ザ・ムーン2)』が発売された(後述)。
ストーリー
かつて悪魔によって、月の呪いを受けた男がいた。
その男 -斬月-
紅蓮の衣を身にまとい、燃えるような目をしたその男は、
自身に呪いをかけた 悪魔を討ち、全ての悪魔を斬り滅ぼすため闇から闇へと旅をしていた…
ある夜、男は大いなる悪魔の気配を感じ取る。
全ての悪魔を滅せよ…
抜いた刀は 月に照らされ、悪を食らえとむせび泣く。
今宵、男が斬るのは 月か 悪魔か。
関連動画
余談だが、『Curse of the Moon』にも「ホァイ!」な移動方法が見つかっている。
ちなみに、本作の「ホァイ!」によるフリーズや強制終了といった情報が見られないため、8bitゲーム機時代のバグ技をオマージュして「意図的」に実装したイースターエッグ的なものと思われる。ただし、場所によっては「バグ画面」からの脱出が不可能(※)になったり、「ホァイ!」した先が落とし穴の真上だったりするため、その点には注意が必要。
その様子((最初のホァイは1:04近辺)⇒youtubeへの外部リンク
※この場合、PAUSE画面内メニューのCURSE OF THE MOONでそのステージの進行前に戻るか、同じくEXIT GAMEでタイトル画面に一旦戻ってからやり直す必要がある。
Bloodstained: Ritual of the Night
対応プラットフォームはPlayStation 4、Nintendo Switch、Xbox One、PC(Steam)。
Wii U、PlayStation Vita版の発売も予定されていたが、WiiUとPSVitaの生産終了により、開発中止を発表した。
シングルプレイヤーストーリーに加えて、発売後にはオンラインおよびローカル協力(Co-op)モード、対戦モード、ローグライクモード、ボスラッシュ、カオスモード、ナイトメア難易度など、多数のDLCが無料アップデート・リリース予定。
2020年6月に全世界販売本数が100万本セールスを達成した事が公式で発表された。また、『Curse of the Moon』も本作の半分の50万本近いセールを達成している。
発売日
2019年6月18日からPC版(SteamおよびGOG)全世界リリースを始め、海外ではPS4、XboxOne版も同日に販売された。Switch版は海外で先行発売、6月25日からNintendo eShop経由で先にリリースされ、パッケージ販売は6月27日から海外主要小売店で発売。
日本では6月18日からPC版Steamで利用可能となり、CS版の発売日をPS4、XBone版は6月18日、Switch版は6月25日に予定していたが、予期せぬ物流の問題で日本のみ発売を2019年秋に延期している。
ストーリー
18世紀終わり、急激な科学の進歩は魔術を非科学的なものとして世界は物質的なものに傾倒していった。
科学と魔術を融合させた研究でその地位を確立していた錬金術ギルドは、自分たちだけが持つ利益を失うことを恐れて精神世界を失うことは悪魔を呼ぶことだと流布する。
しかし、それでも止まらない科学の進歩は錬金術師たちを暴走させる。
身よりの無い子供たちを集め、魔力と融合する魔道人間を作りそれらを生贄に地獄をこの世に召喚を試みる。
実験は成功するものの、その1年後ギルドは突如壊滅する。
それから10年の時が流れ、その跡地に巨大な魔力と共にまがまがしい城が現れる。
それと同時に、儀式の生贄として使われる予定だった女性ミリアムが昏睡状態から目を覚ました。 ミリアムは、自らの結晶化の解決と、人類を救うために戦いに身を投じた。
登場キャラクター
(CV:小清水亜美 / エリカ・リンドベック)
18歳。錬金術師に拾われ、悪魔の力を取り込んだ結晶「シャード」を体に埋め込まれた子供の一人。秘術の影響で10年前に昏睡したため、地獄召喚の生贄には駆り出されなかった。
昏睡期間中、時が止まっていたことと長く眠っていたため記憶が曖昧になっている。
自分の意思を持っている女性で、若さゆえに素直で直情的な部分が見えることもある。困った人は助けずにはいられない性格。
孤児でつらい思いをした過去から自分の仲間が人々に不幸をもたらしていることに心を痛めている。
- ジーベル
(CV:白川周作 / レイ・チェイス)
30歳。かつて地獄召喚の生贄とされ、唯一生き残った男。シャードに侵食されており、身体の半分は結晶化している。
仲間と自分の復讐のためにギルドを壊滅させる。
復讐は果たされるが、同時に自分が人でないことを理解し、この世に自分の居場所を作る為に地獄から城を呼び出し、城を起点にこの世に地獄を侵食させようとしている。
本当はミリアムの居場所を作る為に城を構築しているのだが、結晶の侵食による影響で当初の目的を忘れており、人類への復讐とミリアムの同胞化を企む。
まったくの余談だが、一部のメディア記事では不憫なことに「ゲベル」と誤植されている。
- ヨハネス
(CV:興津和幸 / ベン・ディスキン)
30歳。滅んだ錬金術ギルドの錬金術師。ジーベルの親友。
ギルドの中で唯一地獄の召喚に反対しており、地獄召喚の儀式には立ち会わなかった。
自分たちが犯した過ちの懺悔と、ジーベルを止めたい気持ちから、研究を続けている。
出現した城を地獄へ戻すための錬成式と理論を構築している。ミリアムの結晶の進行を止めているのは彼の術式によるもの。
このタイミングでミリアムが目覚めた事が、地獄の城と連動していることを薄々理解している。
楽天家に見えるが、内心は直情的でおよそ研究家に向かない情に厚い男。
(CV:安元洋貴 / デイヴィッド・ヘイター)
「斬月刀」という刀を振るう東洋の侍にして悪魔と錬金術を憎む退魔士で、ドミニクと共にこの地に派遣された。「空即是色」というどこかで見た気がする技を使うことが出来る。
クリア後には一部のモードでプレイヤーキャラとして操作できるようになる。
(CV:水橋かおり / フライダ・ウォルフ)
悪魔を鎮めるために教会から派遣されたエクソシスト。ショップの売り子を担当。
- アルフレッド
(CV:楠大典 / クリストファー・スウィンドル)
10年前に悪魔の大召喚を行った老獪な錬金術師で、ヨハネスの師。ギルド復興のためにロガエスの書を手に入れようと躍起になっている。
- アン
(CV:鬼頭明里 / レナ・ストロバー)
アーヴァント村の生き残りの一人。悪魔に襲われているところをドミニクとミリアムに救われる。ドミニクが不在の時は彼女が代わりに店番をしている。
- リンジー
(CV:村椿玲子 / カリ・ウォールグレン)
悪魔に夫や親戚、友人、知人を殺された未亡人。ミリアムの強さを見込んで殺された人たちを弔うべく悪魔討伐の依頼をしてくる。依頼承諾時の叫び声から「ぶっころおばさん」という通称がある。
- グレモリー
(CV:後藤沙緒里 / カリ・ウォールグレン)
ジーベルと行動を共にしている上級悪魔で、『Curse of the Moon』シリーズにも登場。ジーベルのことをマスターと呼んでいるが・・・。斬月の宿敵でもあり、彼の持つ「斬月刀」はグレモリーの力を封じることができる。
(CV:置鮎龍太郎 / ロバート・ベルグレイド)
悪魔の城で司書をつとめている吸血鬼。ミリアムにステータス向上効果のある書物を貸してくれる。ある条件を満たすと最終エリアのある一室で隠しボスとして登場する。
(CV:後藤沙緒里 / レナ・ストロバー)
城内にいるボスの一体で、日に3回の入浴を欠かさない吸血鬼。血を自在に操って攻撃してくる。『Curse of the Moon』ではステージ6のボスとして登場していた。
見た目は麗しいただのステージボス…だったのだが、2020年11月のアップデート(Switch版では12月)でまさかのプレイヤーキャラ抜擢となった。本編や斬月モードと異なり、スタート地点は城内にある彼女の浴室からとなっている。
余談
- 本作でも食品系アイテムを使用した際に台詞を喋る(初回使用時のみ※)のだが、ミリアムの好物がどうやら某カレー魔王様と同じくカレーなのか、ほかの食品が「おいし~い」という台詞なのに対してカレーのときのみ台詞が「ぅんま~い」と異なる台詞になっている。また、明らかに不味そうな禍々しいものを食した時や毒薬を服用した時の台詞もあり、それぞれ「まっずぃ!」「うっげぇっ!」となっている。
- 地獄の悪魔もどうやらカレー好きらしく、とある生き物の悪魔のシャードの強化に必要なアイテムの一つもこの生き物の肉を使ったカレーとなっており、メトロイドヴァニアで恒例のあの敵のシャード強化に必要なアイテムの一つもカレーになっている。
- 本作では状態異常に新たに「SLOW」という状態異常が追加されている。この状態異常はその名のとおり動きが一定時間スローモーションのように遅くなる。毒や石化、呪いといった他の状態異常に比べるとあまり致命的ではないせいか、アイテムによる回復が不可能となっている。
- 本作は国内だけではなく国外のメーカーも制作に関わっているため、日本語が怪しいところや誤字が見受けられるが、その辺は寛大な心で見守ってあげよう。
補足
※初回のみ回復だけでなく、食品に応じたステータスアップもする。
関連動画
Bloodstained: Curse of the Moon2
スピンオフ作品『Bloodstained: Curse of the Moon(ブラッドステインド:カース・オブ・ザ・ムーン)』の続編で、2020年7月10日に発売された。
時系列としては前作の直後で、仲間と共にボスを倒したEDの後、ドミニクから突如現れた「魔塔」のことを報告され、2人でそこに向かうという流れになっている。
『Ritual of the Night』との関連性については、五十嵐氏曰く「登場人物が一部共通しているが、別の世界観で展開されるタイトルの続編とお考えください」とのこと。
前作同様8ビットスタイルの懐かしいスプライトで表現され、複数のキャラクターを切り替えて進めるステージクリアタイプのゲームシステムを継承しつつ、ドミニク含む3体の新キャラクターの登場に加え、条件を満たすことで前作のプレイアブルキャラクターも操作可能となる。2人同時プレイなどの新要素も用意されている。
対応プラットフォームはPS4、Switch、XboxOne、PC(Steam)。
価格は1,480円(税込)。
登場人物
- 斬月
悪魔と錬金術を憎む退魔士…なのだが、前作の件もあり大分性格が丸くなっている。攻撃手段は前作と同じだが、ゲーム中に特定のアイテムを入手することで斬月刀による剣戟やサブウェポンが強化される。
教会に所属する謎多きエクソシストの女性。
悪魔を強く憎み、特にある特定の悪魔の痕跡を追っているらしい。
『Ritual of the Night』の彼女とはまた別次元のキャラクターのため、容姿や武器も一新されている。
キャラクター性能としては、ジャンプ力が高く、武器の槍は上下にも攻撃できる。
サブウェポンに回復アイテムを実らせる植物の種を蒔くヒーリングプラントがあり、一度しか使用できないものの、戦闘不能となった仲間を蘇生し、全員のHPを全快させるリザレクトアンセムが使えるなどヒーラーとしてもかなり頼りになる存在。
- ロバート
過去に斬月と共に悪魔と戦ったことがある眼鏡をかけたスキンヘッドの男性。
悪魔を憎み、教会の人間すら恨むため、最初はドミニクやハチに対して敵意を見せるが……
凄腕の元軍人で火器の扱いに長け、圧倒的な射程を誇るマスケット銃を中心に立ち回り、場面に合わせて的確にサブウェポンを選択していく技巧派ファイター。匍匐での移動や射撃、壁に掴まった状態からジャンプを繰り出すキッククライムなども使用可能。
しかし、退魔の力を持たない一般人であるため、HPが非常に低く打たれ弱い。
- ハチ
かつて斬月に助けてもらった恩義を返すため彼を追っていたが、悪しき錬金術師に捕まり、「魔導アーマー」の生体パーツとして組み込まれてしまったコーギー犬。
ステージ間のデモで、魔導アーマーから出た姿が見られる。
攻撃力やHPが高く、ホバリングしたり、トゲ床を壊したりと移動面での強さを持っている。固有のサブウェポンは一定時間無敵状態となるアイアンボディのみ。しかし、巨体ゆえに敵の攻撃を受けやすい。
- ミリアム
悪魔の力を宿す結晶「シャード」を埋め込まれた少女。
- アルフレッド
禁断の書を探し求める錬金術師。
- ジーベル
悪魔の結晶を埋め込まれた青年。
ストーリーを進めていくことで前作の3キャラも加入する。
Bloodstained Curse of the Moon Chronicles
2023年、3月24日に上記第一弾紹介映像が公式で配信された。
内容はCurse of the Moon2作をパッケージしたもの。対応機種はSwitch&PS4。
2023年7月13日発売。
関連タグ
ショベルナイト、Kingdom Two Crowns、Blasphemous、
Shantae:本作とコラボレーションしたゲーム。
公式サイト
Bloodstained: Ritual of the Night
Bloodstained: Curse of the Moon