概要
宇宙世紀0087年3月3日から翌年2月22日までにかけて地球連邦軍内部の軍閥組織であるティターンズと反連邦組織であるエゥーゴ、そしてアステロイドベルトに潜伏していたジオン残党軍アクシズの三勢力の間で行われた戦争。
グリプス戦役の名は、グリプス（グリーン・ノア2）の事件から始まり、グリプス（グリプス2・コロニーレーザー）で戦争を終結させたことに由来する。
前史
地球圏のほぼ全てを巻き込んだ一年戦争において、レビル将軍と言う大きな指導者を失った地球連邦軍は終戦後に軍の主導権を握ろうとタカ派と称される将官らが派閥を形成し、内部で冷戦の如く争い始める。
この派閥争いは地球圏最大のジオン残党軍と目されたデラーズ・フリートとの争いを経て、ジーン・コリニー大将とその腹心であるジャミトフ・ハイマン准将の一派が勝利する形となり、ジャミトフは先の戦いにおけるジオン残党の脅威を背景に『ジオン残党狩り』を提唱し、それを実現する精鋭部隊としてティターンズを設立した。
ジャミトフが司令官として登用した過激的武断派であるバスク・オム大佐が暴走、先の一年戦争でスペースノイドに憎悪を抱いていたバスクはその活動を次第に弾圧的なものへと導き、ついには30バンチ事件と呼ばれる蛮行とも言える事件を起こした。この事件はあまりにも凄惨かつ残忍な結果となった故に連邦軍は事件そのものを秘匿したものの、規模の大きさから全てを包み隠す事は出来ずスペースノイドの間で反ティターンズの機運が高まる事となる。
一方でジャミトフの狙いは地球環境の再生であり、ティターンズ自体も地球経済を破壊するための先兵として使い潰しつつ目的を果たせた段階で粛清して組織を滅亡させるつもりであったが、ジャミトフはその真意を誰にも話しておらず組織を政治的に優位するための議会対策にのみ腐心していた。
そうした状況に答える形で、地球連邦議会議員であり政財界にも大きく影響力を持つブレックス・フォーラ准将や地球連邦軍大尉クワトロ・バジーナへと名を変えたシャア・アズナブルらが反連邦組織エゥーゴを結成。かつて一年戦争を経てその覇権を絶対とした地球連邦軍はそのほとんどを二つの思想組織へと分裂し水面下で争い始める事となったが、ここまではジャミトフの想定内だった。
ティターンズvsエゥーゴ
U.C.0087年3月3日。ティターンズは拠点とするサイド7のコロニー「グリーン・ノア2」（バスクはグリプスと命名している）に反連邦組織エゥーゴが潜入し、ティターンズにとっての象徴として生まれたモビルスーツガンダムMk-Ⅱを強奪した事によって、その二大組織の対立が表面する。
当初は宇宙の片隅で起きた反体制勢力とそれを鎮圧する特殊部隊との小競り合い程度でしか無かったが、エゥーゴは地球連邦軍本部ジャブローへ地球軌道上からの直接侵攻を計画。この情報を事前に掴んでいたティターンズ上層部は、エゥーゴがジャブローに侵攻する前に基地施設を秘密裏に移転。ジャブロー地下に設置されていた自爆用核弾頭を使用して基地諸共エゥーゴの主力部隊を壊滅させる罠を図った。さらに、その罠を見抜かれないようにジャブロー降下を阻止するMS部隊も差し向けて交戦させた。なお、エゥーゴ側のスパイを警戒したのか、基地施設の移転や自爆用核弾頭の使用はティターンズでも一部の者しか知らず、MS部隊にはこの件の一切が伝えられていない。
エゥーゴの部隊は、ティターンズの襲撃を振り切って降下こそ成功するものの、目的のジャブロー基地が施設を移転されてもぬけの殻であることや自爆のカウントダウンが始まっていたことを知り、超大型輸送機ガルダ級アウムドラを強奪して脱出を図った。
このジャブローの自爆によって戦火は地上にも飛び火する事になり、更にティターンズの情報操作によって「エゥーゴによる核攻撃」と報道された事から世論はエゥーゴに反発。一方でエゥーゴは地球を活動拠点とする反連邦ネットワークカラバと同盟し、協力体制を得る事になる。
その後、ヒッコリー基地やホンコン・シティ、ニューギニア基地での攻防を経て主戦場は月に推移し、ティターンズはフォン・ブラウン市の制圧を狙ったアポロ作戦を決行。一度は市街を制圧するも、発電施設をエゥーゴ側が奪還し、撤退を余儀なくされた。
しかし8月17日、地球首都ダカールの連邦議会出席の為に地球へ訪れていたエゥーゴの指導者ブレックス・フォーラ准将がバスクの手により暗殺され、死に際にクワトロ・バジーナことシャア・アズナブルが指名された事で組織に変化が生まれていく。
一方で宇宙での戦闘はグラナダへのコロニー落とし、サイド2・25バンチへの毒ガス攻撃など、エゥーゴに協力的な姿勢を取る宇宙都市への虐殺を厭わないようになるが、これらは何れもエゥーゴによって阻止される。
第三勢力アクシズの台頭
10月12日、ジオン公国軍残党最大の勢力を誇るアクシズが地球圏に帰還。エゥーゴは彼らの強力を仰ぐべく接触を図るが、エゥーゴを纏めるシャアと、アクシズの実質的指導者であるハマーン・カーンの抱える個人的確執から交渉は決裂。一方で同じくアクシズと接触を図ったティターンズは彼らと手を組む事に成功するが、この時点で「ジオン残党の討伐」というティターンズの大義名分は失われ、ジャミトフの計画は狂い始める。
しかし、アクシズと同盟を結んだティターンズであったが、地球最大の要衝であるキリマンジャロ基地を陥落させられ、更にダカールに於いてエゥーゴ側が議会を占拠。ジオン・ズム・ダイクンの遺児と旧ジオンのエースパイロットという二つの肩書から来るカリスマを持つシャアの演説によってこれまで隠されていたティターンズの非道な所業が世に知られる事となり、世論はこれまでテロリストとされて来たエゥーゴ側に一気に傾く。
それに業を煮やしたように、ティターンズはコロニーレーザーに改造したグリプス2を実戦に投入。サイド2・18バンチに向けて発射。立て続けに再度の毒ガス攻撃によりサイド2・21バンチを壊滅させるなど、その行動はより一層過激なものとなっていった。
その後、アクシズはエゥーゴ、ティターンズ間で暗躍するかのように行動。ティターンズの宇宙での拠点であるゼダンの門をアクシズによって破壊し、更にグリプス2を手中に収める事に成功。
一方のティターンズはジャミトフがパプテマス・シロッコの凶弾に倒れた事によって組織は混乱。ジャミトフの仇を理由にシロッコはティターンズを掌握するも、エゥーゴは[メールシュトローム作戦を発動させグリプス2を占拠。[[2月22日]]、シロッコ率いるティターンズ艦隊はグリプス2の発射によって壊滅。シロッコもカミーユ・ビダンのΖガンダムとの戦闘で戦死し、ティターンズは壊滅・解散した。
しかし、この戦闘に於いてティターンズ・エゥーゴ双方は疲弊。特にエゥーゴ側は優秀なパイロットを多く失う。
戦後の主導権は戦力を温存していたアクシズに奪われ、戦いはネオ・ジオンに名を変えたアクシズと、疲弊したエゥーゴとの戦闘を主軸とした第1次ネオ・ジオン抗争へ移行していく事になる。
