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『響け!ユーフォニアム』の登場人物、および『リズと青い鳥』の主人公。

プロフィール

プロフィール

名前鎧塚みぞれ
誕生日7月2日
身長154cm
星座蟹座
血液型AB型
担当楽器オーボエ
好きな色青、紺、灰
趣味家で飼っている猫と一緒にダラダラすること
特技音ゲー心理戦のゲームに強い
好きなものソーダ味のお菓子、炭酸ジュース
嫌いなもの電波の悪い場所
CV種﨑敦美

概要

概要

北宇治高校の2年生で、吹奏楽部に所属。ダブルリード(オーボエ&ファゴット)パートでオーボエを担当している。

つねに無表情で感情をあまり表に出さず、人見知りな性格も相まって部内でも親しい人間はそれほど多くはない。毎日朝早くから夜遅くまで黙々と基礎練習に打ち込んでおり、その正確性を極限まで追求した演奏の腕前は、副部長の田中あすかをはじめとする多くの部員たちから一目置かれるところとなっている。

かつて強豪として知られる南中学校の吹奏楽部で活動していたみぞれは、フルートを担当する親友の傘木希美を追いかけるようにして北宇治高校の吹奏楽部に入部した。しかし、その当時の部の環境に耐えかねた希美が反発の末に退部してしまったためにみぞれは心に深い傷を負ってしまい、豊かな表現力を帯びていた演奏も感情の欠落した淡白なものへと変わってしまった。そんな彼女は、部内唯一のオーボエ奏者というポジション、そして胸のうちに秘める希美への複雑な想いによって、翌年の夏に巻き起こった希美の部活復帰をめぐる一連の騒動のなかで重要な役割を担うことになる。


人物

人物

容姿

原作小説およびコミカライズ版では涼やかに切りそろえられた短めの黒髪(原作2巻、52ページ、179ページ、原作3巻、56ページ)、TVアニメ版では青みがかった長髪ぱっつんの前髪と、それぞれに異なるキャラクターデザインがなされている。しかし、いずれの場合も「可愛らしいというよりかは、綺麗という形容が似合う」(原作2巻、53ページ)というような、繊細で儚(はかな)げな印象をたたえているという点で共通している。また、夜の海や深海の底を思わせるような暗くて感情の見通せない瞳、血の気のない白く透き通った肌やまっすぐに結ばれた薄桃色の唇など、彼女を構成する一つひとつのパーツも精巧な作り物を思わせるような美しさと無機質さを内包したものとなっている。(原作2巻、105ページ、223ページ、255ページ、321ページ、第二楽章後編、9ページ、180~181ページ、221ページ)

なお、繊細かつ華奢(きゃしゃ)な印象の強いみぞれであるが、彼女の真っ白な肌や太ももの柔らかさを描写した場面がいくつか登場しているほか(原作2巻、256ページ、261ページ)、TVアニメ版のキャラクターデザインを手がけた池田晶子も、第2期の公式コンプリートブック所収のスタッフインタビューのなかで「このタイプの子特有の、少しもったりした感じの生っぽい体つき」を意識しながら作ったことを述べている。(TVアニメ『響け!ユーフォニアム2』コンプリートブック、90ページ)


性格

淡々としたマイペースな性格であまり感情を表に出さず、その口数の少なさと無表情さによって、低音パートの1年生である黄前久美子をはじめとする部の仲間たちからは「人形みたいだ、全然感情がつかめない」というような印象を抱かれている。(原作2巻、38ページ、53~54ページ、211ページ、原作3巻、55~56ページ、短編集1巻、184ページ)

生来の人見知りである彼女は見知らぬ相手と話すことに苦手意識を覚えており、持ち前の警戒心によって他者から向けられる好意をすぐに受け止めることはできない(原作2巻、256ページ、短編集1巻、165ページ、原作公式ガイドブック、15ページ、76ページ、第二楽章前編、149~150ページ)。しかし、長い月日をともに過ごしたり何度も顔を合わせるような相手に対しては、心を開いて彼女なりの信頼を置いたり、独特の感性によるノリのよさを明かすなどしている。(原作3巻、330ページ、原作公式ガイドブック、89~90ページ、短編集2巻、16~17ページ、294ページ)


自身のなかだけで世界が完結していることもあり、彼女はときおり意図のさっぱりつかめない話題を並べたり、相手の予想していない角度から自分なりの答えを返したりしている(短編集2巻、17ページ、189〜191ページ、293〜294ページ、夏紀編、15〜16ページ、176ページ、187ページ)。また、人見知りな性格からくる自己肯定感の低さを逆手にとり、周囲から差し伸べてくれる助けに甘えるような無垢さ(あすかはこれを「ズルい性格」と評している)もうかがうことができる。(原作2巻、275〜276ページ、夏紀編、154〜155ページ、180ページ)


家庭環境

みぞれの家は北宇治高校の近くにあり、立地上の利を活かす形で毎朝6時前から自主練習のために登校している。(原作3巻、172ページ、第二楽章前編、280ページ、最終楽章前編、134ページ)

家族や家の外観・内装にまつわる話は作中に登場していないものの、小さいころからピアノの稽古に通っていて家には学校にあるものと同じタイプのグランドピアノが置かれていることや、値が張るオーボエを部活用のマイ楽器として親から購入してもらったこと、そして音楽大学を将来の進路に選ぶにあたってレッスンや学費の用意などの環境を整えてもらったことなどから、「みぞれ先輩お嬢様説」を信じる部員もちらほらと出てきている。(第二楽章後編、74~75ページ、夏紀編、12ページ、59ページ、171〜172ページ、207〜208ページ)


その他

  • 好きな色は青色紺色。作中でも、水色のハンカチや濃い青色のヘッドフォン、バイオレットカラー(菫色)のゲーム機などを持っている様子が登場している。(原作2巻、105ページ、第二楽章後編、171ページ、181ページ)
  • 遊園地のアトラクションでは絶叫マシン系を好む傾向があり、音楽大学を受験後に仲良しの4人組で出かけた遊園地では、ジェットコースター急流すべりにそれぞれ3回ずつ乗ったのちに5回連続でフリーフォールに乗り込み、それでもなおケロリとした表情を浮かべている。(夏紀編、168〜169ページ、178ページ)
  • 特技は音ゲーリズムゲーム)。超絶技巧と正確性を追求する彼女らしく、挑戦する曲は片っ端からパーフェクトクリアを叩き出している。(原作2巻、177ページ、181ページ、第二楽章後編、172ページ)
  • 音を捉える聴力も抜群であり、久美子の耳につけられているイヤフォンから漏れる音楽を聞いて曲名を当てたり、先輩の田中あすかの饒舌(じょうぜつ)なコメントを一字一句たがわず書き記すなどといった離れ業を披露している(原作2巻、177~178ページ、原作公式ガイドブック、46ページ、49ページ、53~54ページ)。また、劇場版『誓いのフィナーレ』でも、部長の吉川優子が黒板に文字を書いた際の引っかき音に身をすくませる様子が登場している。
  • 部活の皆でカラオケに行った際のエピソードとして、自ら歌うことはない代わりに終始タンバリンを叩いて楽しんでいた様子が語られている。(夏紀編、24ページ)
  • 原作小説の作中では、数少ない標準語の話し手として登場している。本人いわく、埼玉県にいる従姉妹と話をした影響で伝染(うつ)ってしまったと語っている。(原作2巻、125ページ)
  • みぞれのどこか儚げで愛らしさを感じさせる容姿と無口で小動物的な性格とが相まって、高坂麗奈の中の人(安済知佳)やファンの一部からは「みじょれ」「みじょれ先輩」などと呼ばれている。

演奏技術

演奏技術

概要および高校2年生時

毎朝一番に音楽室に来てオーボエの練習に励んでいるなど、もっとも熱心に練習している部員のひとりであり(原作2巻、38ページ、原作3巻、172ページ、第二楽章前編、281ページ、『響け!ユーフォニアム』DVD&BD4巻ブックレットのパート紹介)、部内でも指折りの高い実力を誇っている。

とくに彼女の連符に対する執着は尋常ではなく、配布されている基礎練習用の曲の速いパッセージの部分を何度も繰り返し練習している。その正確さと集中力は見る者が舌を巻くレベルであり、一切狂いのない指先の動きは機械の作業を見ているようにも思えるほどである。(原作2巻、83~84ページ、夏紀編、224ページ)

一方、演奏そのものの表現力に関しては、中学時代から高校1年生当時にかけては「すごい情熱的で、楽しそうな音だして、感情爆発って感じだった」(原作2巻、246ページ、TVアニメ版2期4話)というような喜びに満ちあふれたものであったものの、当時の上級生への反発を機に希美が吹奏楽部を去ってしまってからは、自身の「音楽」を聴かせる唯一の相手がいなくなったショックと楽器を辞めたら彼女との縁が切れてしまうという強迫観念の二重苦によって、色味のない淡白なものへと変わってしまう(原作2巻、257~258ページ)。機械じみた超絶技巧はそのままに、一切の感情が欠落したみぞれの演奏は、「なんか物足りない気がする」(原作2巻、52ページ、TVアニメ版2期1話)や「ぶっちゃけつまらん。まるでロボットが吹いてるみたいだ」(原作2巻、188ページ、TVアニメ版2期3話)などといった感想を寄せられるものの、当のみぞれも自身だけでは解決策を見いだせないために、その無感情な演奏のまま平行線をたどることになる。


しかし、のちに希美が部に復帰を果たし、みぞれとの親密な関係を修復するようになると、みぞれは「希美のためのもの」である自身の音楽をふたたび目覚めさせ、湧き上がる豊かな感情のもとにしっとりとした甘く繊細な調べを奏でるようになる(原作2巻、271ページ)。かねてからの超絶技巧にほとばしる情熱を乗せたみぞれの演奏は、部員たちのみならず顧問などの指導部さえも魅了させるとともに、北宇治高校吹奏楽部のコンクールにおける決定打としても華々しい活躍を見せている。(原作2巻、296ページ、原作3巻、340~341ページ)


高校3年生時

吉川・中川の新体制発足から半年が経ち、艶(つや)やかな表現力と機械じみた超絶技巧をさらに磨き上げたみぞれは、部内の誰もが認めるほどの実力者のひとりとして名を連ねるようになる(第二楽章後編、24ページ、夏紀編、159〜161ページ)。かねてから息をするように基礎練習に取り組んできたみぞれは、同級生である優子から「音楽大学に進んでそのまま海外の楽団に入っているようなイメージがある」といった冗談を言われたこともあったが(短編集1巻、170~171ページ)、このころになると外部指導員の新山聡美もみぞれの持つ才能と実力に注目するようになり、「あなたのその才能がここで終わるのは、あまりにももったいない」として、実際に音楽大学への進学を勧めるようになっている。(第二楽章前編、384ページ)

しかし、2年前に希美が退部した際のトラウマを完全に払拭(ふっしょく)しきれていないみぞれは、「いつかまた、希美が自分の前からいなくなってしまうかもしれない」という不安から、吹奏楽コンクールの自由曲『リズと青い鳥』の第3楽章にある希美のフルートとのかけ合いに、自身の想いと実力のすべてを乗せきれないでいた。(第二楽章前編、12~13ページ、第二楽章後編、83~84ページ)

(なお、このフルートとのかけ合いにブレーキをかけている要因としては、希美に対するトラウマのほか、当該部分のかけ合いを曲の元になった物語の登場人物たちに重ね合わせていたことも大きく影響している。※第二楽章後編、180~181ページ)


最愛の相手を自らの手から解き放つ」という物語の登場人物の行動を理解できず、それゆえにオーボエの演奏も模範的なものに留まっていたみぞれのもとに、彼女の様子を見かねた外部指導員の新山が訪れる。新山はソロの吹き方がわからないと悩むみぞれに対して、曲に対するアプローチそのものを変えてみるという手法を提案し、物語のなかで青い鳥を解き放つリズの視点ではなく、リズの元を離れることを受け入れる青い鳥の視点から演奏を組み立てることをみぞれに勧めた(第二楽章後編、229~233ページ)。この新山とのやり取りを通して青い鳥の視点から曲の流れを見つめ直したみぞれは、「最愛の相手の望みを受け入れることによって、自らの愛のあり方を示す」というアプローチのもとに持てる想いと技術のすべてを乗せた演奏を披露し、かけ合いの相手である希美のそれを遥かにしのぐほどの圧倒的な表現力をもって全体演奏の流れを破綻(はたん)させるまでに至っている(第二楽章後編、237~240ページ)。その際に見せた圧巻の演奏技術と表現力は、希美や久美子といった部員たちはもちろん、プロの音楽家である外部指導員の橋本真博や新山たちも「これは…… とんでもないもん掘り起こしたね」とうなり声を上げながら認めるほどのものであった。(第二楽章後編、239ページ)


その他

彼女の吹くオーボエのモデルは、フルオートマチックのオクターブ・キー・システムやリードの差し込み口の特徴から、YAMAHA YOB-432と推測されている。

中学生のころに両親に買ってもらったもので、まめに手入れをしているために高校生になった現在でも新品同様の輝きを放っている。(原作3巻、186ページ、短編集1巻、168ページ、短編集2巻、188ページ、夏紀編、12ページ、59ページ)


経歴

経歴

中学生時代


南中学校に通っていた当時、仲のいい友達もなくひとりぼっちだったみぞれは、ある日同級生の希美の誘いを受けて吹奏楽部に入部する。そこで彼女は新たにオーボエを始め、聴衆を楽しませる演奏や吹奏楽コンクールへの挑戦に打ち込むとともに、自身を誘ってくれた希美と過ごす日々に充実した想いを実感するようになる。(原作2巻、90~91ページ、255~256ページ)

南中学校の吹奏楽部は京都府内でもそこそこ名の知れた吹奏楽部の強豪校であり、みぞれの在籍中も関西大会で金賞や銀賞を獲得するなど華々しい成果を手にしていた(原作2巻、11ページ)。それでもさらに上の「全国大会出場」を望むみぞれは、過去の結果を通して慢心や努力不足といった要因を洗い出すとともに、新部長となった希美の「来年はマジで全国行こうな」という意志に同調するようにして懸命に練習に励んでいる。(原作2巻、11~12ページ)


吹奏楽コンクールの全国大会出場を果たすため、南中学校の吹奏楽部は自由曲に高難度の大曲(原作小説では『ダフニスとクロエ』第2組曲、TVアニメ版では『ダッタン人の踊り』)を選んで京都大会(府大会)に挑む。しかし、部員たちの熱い想いとは裏腹に、南中学校には非情にも銀賞の評価が下され、関西大会にさえ進めないまま幕引きを迎えてしまうことになる。この不条理な現実を突きつけられたみぞれは、「コンクールって、なんなんだろう」とあふれ出しそうな感情に対する自問を繰り返した末に、努力が報われない非情な現実を認めて「コンクールなんて大嫌い」とチャレンジ精神や達成感といった要素から目を背けるようになっている。(原作2巻、9~11ページ、13~15ページ、183ページ)


高校1年生時


自身の将来に興味がなく、「希美が受けるから」という理由で彼女とともに北宇治高校に進学を果たしたみぞれは、そのまま彼女に誘われるようにして同校の吹奏楽部に入部している。その背景には、希美のあとを盲目的に追従するみぞれ自身の意思のほかにも、部活という共通項がなくなってしまったら彼女との縁も切れてしまうのではないかという恐怖心も存在していた。(原作2巻、178ページ、257ページ、第二楽章前編、383ページ)

希美と一緒に過ごすためだけに吹奏楽部を続けていたみぞれだったが、当の希美は部内のだらけきった環境に耐えかねてほかの1年生とともに上級生たちに反発を起こし、その末に現体制に見限りをつけて退部してしまう。その当時コンクールのA編成部門のメンバーとして活動していたみぞれは希美たちの動きを知るよしもなく、同じパートの先輩から事情を知らされるころにはすべてが終わってしまっていた(原作2巻、151ページ、短編集1巻、165~166ページ、夏紀編、78〜79ページ、82ページ)。希美から何も告げられないまま去られてしまったみぞれは、深いショックを覚えるなかで彼女に対するさまざまな対処を考えたものの、結局は動くことそれ自体に恐怖を感じ、「楽器だけが、私と希美をつなぐもの。もし私が下手くそになったら、希美に用済みと思われる」という強迫観念のもとに部に残って楽器を続けることを選び取っている(原作2巻、257~258ページ、短編集1巻、167ページ)。そしてその後は、自身と同じく部に残った優子に支えられつつ、将来に対しても音楽に対しても空虚な思いを抱いたまま技術を維持するためだけの日々を送ることになる。(短編集1巻、170~171ページ)


高校2年生時


翌年の4月に2年生に進級したみぞれは、時を同じくして就任した新顧問・滝昇の指導のもと激変する環境に身を置くことになるものの、持ち前のマイペースさによって部内の情勢に関心を抱くことはなかった(原作2巻、84~85ページ、夏紀編、285ページ、TVアニメ版2期1話)。また、滝の采配と部員たちの努力によって吹奏楽部が京都大会の金賞と関西大会への出場権を獲得した際にも、その結果は嬉しく思いつつも「辞めていった子たちに申し訳なかった。喜んでいいのかなって」というような後ろめたさを覚えている。(原作2巻、263ページ)

部が関西大会に向けて舵を切り、全国大会出場を見据えた厳しい練習が重ねられるなかで、みぞれはたびたび「私、コンクール嫌い。不平等だから」とかつて中学時代に味わった苦い思い出を振り返りながら持論を展開したり、いちばんの親友である希美が去ってもなお”音楽”を続けていることの理由を問われて「わからない。もう、何もわからない」と空虚な思いを明かすなどしている(原作2巻、179~182ページ)。そして、みぞれが希美と偶発的に鉢合わせ、現実と向き合うことを恐れて逃げ出した際には、希美に執着するだけだった自身の過去を振り返るようにして「コンクールなんて、なくなってしまえばいい。そしたら、希美がいなくなることもなかった。評価に納得いかなくて、泣くこともなかった。馬鹿みたい。こんなものにみんな夢中になるなんて」などと吐き捨て、吹奏楽コンクールに対する強い恨みを垣間見せている。(原作2巻、259ページ)


しかしそののち、優子の強い支えや希美との和解を経たことにより、みぞれは仲間がいることの力強さや安心感を実感するとともに自身の音楽に対する情熱を取り戻す。かつてのような感情爆発の演奏者へと覚醒を果たしたみぞれは、吹奏楽コンクール関西大会の本番において「希美のための演奏」を余すところなく披露し、北宇治高校吹奏楽部の関西大会金賞と全国大会出場という栄えある結果の獲得に貢献している。この華々しい結果を告げられたみぞれは、自身と部員全員の努力と意志が実を結んだ現実を強く噛み締め、「……たったいま、好きになった」という満面の笑顔とともにコンクールに対する意識を改めている。(原作2巻、321ページ、TVアニメ版2期5話)


新体制発足


コンクールシーズンの終了とともに3年生が引退し、2年生の吉川優子中川夏紀をツートップとする新体制が始まると、みぞれは新たに定期演奏会係を任せられることになる。もっとも、同役職は定期演奏会の実施に向けた多岐にわたる仕事とさまざまな係との調整が求められるために、みぞれの人見知りな性格を知っている優子と夏紀は1年生の久美子を係の補佐役として宛がっている(原作公式ガイドブック、6~9ページ)。12月の下旬から動き出したみぞれと久美子の定期演奏会係は、部員たちに対して演奏希望楽曲のアンケートを募ったり、優子たち幹部の面々を交えたなかでプログラムの意見をまとめるなどしたほか、衣装係や宣伝係、ステージ構成係などと各種の調整を行うなど、準備の進捗(しんちょく)状況や部員たちからの要請を受けて忙しなく飛び回りながら仕事にあたっている。(原作公式ガイドブック、12~15ページ、29~35ページ、62ページ、64~65ページ、73ページ)

また、演奏会の要であるプログラム構成については、当初は集められた希望楽曲の組み合わせに悩み、久美子とともに頭を抱えていたものの(原作公式ガイドブック、40~41ページ)、部活に顔を出しにきたあすかの「曲を決める権限があるんだから、好きなように決めればいい」という助言を受けたことによって、みぞれ自身の独断と偏見に基づいた選曲に踏み切っている(原作公式ガイドブック、44ページ、56~57ページ)。そうして出来上がった演奏会のプログラムは「子供も大人も、聞きに来た人が楽しいって思える演奏会」をテーマとして掲げるとともに、希美や久美子、優子や夏紀といった部の仲間たちの希望を公平に取り入れた構成になっている。(原作公式ガイドブック、56~62ページ)


なお、みぞれは定期演奏会係として業務全般にあたるのみならず、企画の実施者としても積極的に参加しようとする姿勢を見せており、演奏会の第3部で『浦島太郎』のパフォーマンスが企画された際には真っ先にカメの役に名乗り出ている。続く役職希望者が現れずに企画断念の話が持ち上がり、みぞれはいっときあからさまに落胆するものの、そのような彼女を気の毒に思った優子の希望によってパフォーマンスは可決される運びとなった。その後日、企画を受けた衣装係から渡された甲羅とカメの衣装を着たみぞれは、無表情のまま飛び跳ねたりカッコいいポーズを決めたりしており、「意外にノリノリだな」という印象を周囲の部員たちに与えている。(原作公式ガイドブック、89~91ページ)


高校3年生時


ダブルリードパートのリーダーとして4月からの新年度を迎えたみぞれは、新たオーボエ担当の剣崎梨々花をはじめとする3名(原作小説では2名)の新1年生たちと関わることになる。当初は口数の少ない自身と一緒にいて退屈していないか気にかけていたものの、1年生同士で仲良くしている様子を見るにつれて自身が気にする必要はないかもしれないと思うようになる。(第二楽章前編、385ページ)

(なお、後輩側から見たみぞれの対応は素っ気ないものであり、新1年生の梨々花はみぞれとの関わり方を教わるために低音パートの久美子(映画『リズと青い鳥』では希美)に相談を持ちかけている)

新しい後輩たちとのコミュニケーションを通して次第に希美以外の世界にも興味を持つようになったみぞれは、お盆休みのプールや夏のオープンキャンパスなどの機会に自分から他者に関わるような動きを見せており、その成長と変化ぶりで周囲を驚かせている。(第二楽章後編、130ページ、173ページ、夏紀編、157ページ)


また、4月の終わりにはみぞれの才能を見込んだ外部指導員の新山から音楽大学への進学を勧められている。彼女から説明を受けていたときはあまり心を動かされなかったみぞれであったが、練習に帰る途中でばったり会った希美が「うち、ここの音大受けよっかな」と新山が勧めてくれた音楽大学への希望を口にしたのを聞いて、「その隣を歩きたい。一緒にいたい」という意欲を湧かすようにして音楽大学を進路先に定めることになる。(第二楽章前編、382~387ページ、夏紀編、128〜129ページ)

以降のみぞれは、吹奏楽コンクールに向けた練習に取り組むかたわら新山が紹介してくれた先生のもとでオーボエのレッスンを受けたり、入試対策のためにピアノの練習や音楽理論の勉強に打ち込んでいる(第二楽章後編、72~73ページ、173ページ、夏紀編、129ページ)。なお、みぞれ本人は、3年生になってから音楽大学の入試対策を始めることの期間的な余裕のなさや、希美が音楽大学の入試に失敗したりほかの進路を選ぶ可能性などをさっぱり考えておらず、久美子をはじめとする部の仲間たちからそのことを指摘されて初めて「……考えたこと、なかった」などと途方に暮れる様子であった。(第二楽章後編、72ページ、135~136ページ、174ページ、176ページ、221~223ページ)


コンクールの自由曲『リズと青い鳥』のかけ合いの再構築と、それを機にみぞれと希美がそれぞれの道を進む決意を固めるようになってからは、みぞれはたくさんの自問の末に自分自身のために音楽大学へ進むことを決め、「希美がいなくても、私、オーボエを続ける。音楽は、希美が私にくれたものだから」とその本心を明かしている(第二楽章後編、361ページ)。希美から離れて独り立ちする覚悟を決めたみぞれは、自身の部活からの引退後に行われたアンサンブルコンテスト部内予選への誘いを受けた際にも、それが希美の誘いであることを認識しつつも受験を優先させるために「私は出ない」ときっぱりと断るなど、ひとりの人間として自身の人生を歩もうとする姿勢をうかがうことができる。(短編集2巻、238~239ページ)


引退後


周囲の人間の協力とこれまでの膨大な練習量に裏付けられた実力が実る形で、みぞれは無事に志望先の音楽大学に推薦枠での合格を果たしている(短編集2巻、14ページ、最終楽章前編、134ページ、264ページ、夏紀編、127〜128ページ)。優子や希美、夏紀といった親友たちからの祝福を受けたみぞれは、彼女たちとともに平日の遊園地で一日中遊び回ったり、軽音部の卒業ライブに前座として参加することになった夏紀と優子を応援するために彼女たちのバンド幕の作成を手伝ったりするなど、卒業までの時間を有意義に過ごしている。(夏紀編、135〜136ページ、199ページ、232ページ)

北宇治高校を卒業し、4月から音大生となったみぞれは、その年の8月に行われた新入生によるオーケストラ編成のコンサートにも出演しており、『ダフニスとクロエ』をはじめとするプログラムのなかでソロをはじめとする立派な活躍を見せている。その新入生ながら堂々とした演奏ぶりに、久しぶりに彼女の姿を目にした希美や優子たちからは「音大で通用するか心配していたけど、杞憂やったみたいやね」などといった深い感慨を抱かれている。(最終楽章後編、81~83ページ)


傘木希美との関係

傘木希美との関係

概要および中学生時代~高校2年生時


かつてフルートパートに所属していた同級生。2年生。

みぞれは希美のことを「希美」と呼んでおり、対する希美は「みぞれ」と呼んでいる。

まだ中学生だった当時、仲のいい友達もなくずっとひとりきりだったみぞれは、ある日希美に声をかけられて吹奏楽部に入部したことをきっかけに「毎日が変わった。希美といると、楽しかった」(原作2巻、256ページ)と充実した思いを実感しており、そのような日々をもたらしてくれた彼女を「何にも代えがたい特別な存在」として意識するようになる(原作2巻、256ページ、原作公式ガイドブック、215ページ)。しかし、明るい性格で友達も大勢いる希美にとって、みぞれはあくまで「たくさんいる友達のなかのひとり」に過ぎず、彼女はその互いに対する熱量の違いを次第に苦しく思うようになる。(短編集1巻、170ページ)


その熱量の違いは、北宇治高校に進学して吹奏楽部に入部し、その当時の部の体質を理由に希美がみぞれに何の断りもないまま退部したことにより、さらにより強くこじれることになる。当時のみぞれは希美が退部していることすら夢にも思わず、先輩からその話を聞かされて初めてその事実を知った。そこでみぞれは、希美にとっての自身が「報告するほどの間柄ですらない」ものであると思い込み、それでもなお大切な友達として彼女を求めてしまう自身の熱量との落差に「気持ち悪い。こんなふうに友達に執着するなんて」と吐き気をもよおすほどの強い感情を抱くようになる。(原作2巻、105~108ページ、257~259ページ、夏紀編、153〜154ページ)

(もっとも、希美が退部時にみぞれに声をかけなかった理由のひとつに「みぞれが真面目に練習していたから」というものがあるのだが、そのみぞれの真面目な練習の原動力となっていたのは「希美によりよい音楽を聴かせたい」という想いであり、それが皮肉にも両者のすれ違いを生んだ一因となっている)


希美が部活を去ってもなお、みぞれは彼女との唯一の接点である楽器を手放せず、それでいて美しい音色を奏でる理由を失ったままオーボエ担当のポジションに残り続けていた。そんななか、滝昇が新任顧問に就任して部の体質が変わり、確かな実力を身に付けて関西大会への進出を決めるようになると、部から離れていた希美がもう一度部活に戻りたいとやって来るようになる。みぞれはそんな希美に「相談ひとつしない、その程度の存在」と拒絶されることに恐怖を覚え、その現実と向き合うことを極度に恐れるようになってしまう。


吹奏楽コンクール関西大会の直前に希美は偶発的にみぞれと再会するが、そのあまりに突発的な出来事にみぞれは驚き、思わずその場から逃げ出してしまう。みぞれは自身を探して追いかけてきた久美子や優子に対し、希美との関係性から生まれたトラウマを告白するものの、逆に優子からの励ましと慰めを受けて、希美と向き合って真実を知ることを決意する。そうして希美と対面したみぞれは、希美が退部の際に声をかけなかった本当の理由を知り、同時にいままで勝手な思い込みから彼女をずっと避けていたことを謝る。そんなみぞれに、希美は府大会での彼女たちの活躍を心から素晴らしいと思ったこと、そしてみぞれの奏でるオーボエをもう一度聴きたいと語り、みぞれはその申し出に笑顔で応えた。



みぞれと希美の互いに対する熱量の差は変わらないままであったものの、いままでのすれ違った感情や思い込みが解けたことにより、ふたりはかつての「一緒にいて楽しかった」ころの関係を取り戻すことに成功した。(原作2巻、267~269ページ、原作公式ガイドブック、215ページ、夏紀編、156ページ)

その後は、希美に向ける熱量をそのままオーボエの音色に込めて情熱的な演奏を披露したり、「下手だと、希美に笑われちゃうから」「金賞だったら、希美が褒めてくれるから。だから、頑張る」などと、楽器の演奏と希美からの好意をダイレクトに結びつけるなど、彼女の存在を第一に意識しながら日々を過ごす様子を見て取ることができる。(原作3巻、56ページ、329~330ページ)


高校3年生時


吉川・中川体制の新年度が始まって以降、みぞれと希美のふたりは部内でも指折りのトップ奏者として部員たちに認められながら、特に表立った決裂を生じさせることもなく日々の練習に打ち込んでいた。

そのようなゴールデンウィークのある日、吹奏楽部の外部指導員である新山聡美がみぞれを呼び出し、みぞれの才能にさらなる可能性を感じていることを明かすとともに、その可能性を飛躍させるために音楽大学への進学を勧めた。将来に希望のなかったみぞれは、新山の提案に答えを出せないまま大学のパンフレットを貰って退室するが、その途上で偶然希美と鉢合わせる。みぞれの持っていた音楽大学のパンフレットを読み、それを新山から貰ったことを聞かされた希美は、不意に「私、ここの音大受けようかな」と口にする。その言葉を受けたみぞれは、希美と一緒の進路を選びたいという純粋な想いから「希美が受けるなら、私も」と、彼女に音楽大学への進学意志を告げた。(第二楽章前編、382~387ページ)


吹奏楽部がコンクールシーズンに入り、自由曲『リズと青い鳥』の練習が始まるようになると、みぞれと希美はそれぞれ曲の題材となった物語を読み、曲中の見せ場として登場するオーボエフルートのかけ合いを通して「なんかちょっと、私たちみたいだな」と、自分たちふたりと物語の登場人物たちの境遇を重ね合わせるようになる。最愛の相手から別れて飛び立った青い鳥に、かつて自身のもとから離れていった過去を持つ希美の姿を重ねたみぞれは、「本番なんて、一生来なくていい」と、希美と過ごす幸せな日々に終わりが来ることを恐れるようになる(第二楽章前編、12~13ページ) 。物語の世界を楽曲に移し込もうとするあまり、みぞれは最愛の相手を自らの手で解き放つリズの想いを理解できずに苦しむようになる。結果としてみぞれの演奏は感情的で奔放な希美のそれと噛み合うことはなく、模範的な形に留まり続けることになった。一方の希美は、そんなみぞれを「がんばれ」と応援しつつも、拮抗(きっこう)する実力同士による対等なかけ合いの形を模索しようとしていた。


そのような折、演奏の表現に悩むみぞれのもとに外部指導員の新山が訪れ、曲に対するアプローチを変えてみることを提案する。青い鳥を見送ったリズの視点ではなく、リズの選択を受け入れる青い鳥の視点から演奏を組み立てることを決めたみぞれは、全体合奏の場において希美のそれを遥かにしのぐほどの圧倒的な演奏を披露した。これを受けて、これまでみぞれと自身は対等な演奏者同士と思い続けていた希美は深い衝撃を受け、絶望による嗚咽(おえつ)の末に「みぞれの魅力を自分がすくい上げる」形としてのかけ合いをすることを心に決めるようになる。(第二楽章後編、250ページ、254~255ページ)


合奏練習の終了後、みぞれは希美とふたりきりで話をする機会を得る。みぞれとのあいだにある歴然とした実力差を自覚している希美は、みぞれに黙って音楽大学を進路から外したことを打ち明けるとともに、自身はみぞれのように特別な人間ではないことを告げた。しかし、そんな彼女を「希美は、いつも勝手」の一声で制したみぞれは、中学時代からいままでずっと、希美に見放されたくない一心で部活も楽器も続けてきたことを明かす。自身にとっての特別な存在である希美とずっと一緒にいることだけを望むみぞれの想いに触れることとなった希美は、しかしそれでも「自分は賞賛されるような人間ではなく、むしろ軽蔑されるべき」の姿勢を崩そうとしなかった。あくまでも突っ張ろうとする希美に対して、みぞれは「大好きのハグ」によって彼女に直接気持ちを伝えることを試みる。



希美にその身を預けきったみぞれは、自身の人生が希美との出会いをきっかけに変わったことを感謝するとともに、そんな希美のリーダーシップや明るく楽しそうな振る舞い、そして希美のすべてが好きであると告白する。一方、みぞれの想いのすべてを受け止めた希美もまた、みぞれのひたむきな努力家精神、そしてその結晶であるオーボエの音色が好きであることを打ち明けた上で、「ありがとう」の優しい一言のもとに彼女を押し戻し、別れて帰宅の途についている。(第二楽章後編、301~307ページ)



吹奏楽コンクールの自由曲「リズと青い鳥」のかけ合いと、それぞれの進路を巡る複雑な思惑を経て、みぞれと希美の互いを想う感情の天秤は一方通行という形でありながらも釣り合いを見せるようになった(第二楽章後編、250ページ)。また、みぞれと希美のそれぞれが別々の道を歩むことを自覚し、それを互いに認め合うようにもなっており、希美のもとから離れて音楽大学を目指すことを決めたみぞれは「希美がいなくても、私、オーボエを続ける。音楽は、希美が私にくれたものだから」と、自分自身の道を選ぶことに対する決意を明らかにしている。(第二楽章後編、361ページ)

あわせて、これまで希美の後ろを盲目的に追従するだけだったみぞれの姿勢にも変化が見られるようになり、希美に面と向かって自身の素直な意見を述べたり、自身の生き方に基づいた明確な拒否を告げるなど、対等な友人同士の関係を構築しようとする様子を見て取ることもできる。(短編集2巻、16~18ページ、238~239ページ)


自身の卒業を控えたある日、みぞれは夏紀とふたりきりで話す機会を得て、彼女から希美をどう思っているかを問われている。みぞれはそのなかで、希美のことを迷いなく「友達」と答えたほか、彼女から受け入れられるかどうかをおびえて勝手に苦しんでいた自分自身が嫌いだったことも打ち明けている。そして、夏紀の「それって、恋とは何が違うん?」という感想に触れたみぞれは「そうだったらよかったのに」という、付き合いたいとか結婚したいとかいう動機だったら希美を諦めることができたという達観ぶりを口にするとともに、「ただ、一緒にいたかっただけ。でも、それがいちばん難しい。人間は、理由もなく一緒にはいない」と、これまでの自身と希美の関わりを振り返っている。(夏紀編、182〜185ページ)


その他の主要キャラクターとの関係

その他の主要キャラクターとの関係

吉川優子


トランペットパートに所属している同級生。2年生。

みぞれは優子のことを「優子」と呼んでおり、対する優子は「みぞれ」と呼んでいる。

中学時代からともに吹奏楽部の活動に励んできた仲であるものの、中学生だった当時は誰に対しても物怖じすることがなく、明確に意思表示ができる彼女のことが苦手であった(短編集1巻、167~168ページ)。優子と親しくなったのは、物語の1年前に起こった当時の1年生(現在の2年生)の大量退部の一件のあとであり、それ以降はふたりで行動することが多くなった。希美を失ったみぞれにとって優子の存在は無自覚的に心の支えになっており(あすかはこれをみぞれにとっての「保険」と称している)、「優子は、私がかわいそうだから、優しくしてくれただけでしょう? 同情、してるだけ。違う?」などと、真意を探る体(てい)を装って彼女に甘えるような一幕も見せている(原作2巻、262ページ、273ページ、275~276ページ、短編集1巻、172ページ)。なお、その直後に優子から自身の想いを一喝されたみぞれは、同時に彼女の友人を思いやる素直でまっすぐな心根を目の当たりにして、わんわんと声を上げながら泣きついている。(原作2巻、264ページ)


優子が部長に就任して以降も、みぞれは彼女の奮闘ぶりを高く評価しており、先代の部の中心であった小笠原晴香中世古香織たちにも「優子は頑張ってます。すごく」「安心して、大丈夫です」と胸を張って答えている(原作公式ガイドブック、48ページ)。また、4月以降の新年度ではこれまで希美ひと筋だったみぞれの世界にも優子の存在が次第に占めるようになっており、そのことをみぞれの言葉からも感じ取れるようになっている(第二楽章後編、175ページ)。さらに、2年生の麗奈が優子による部の運営のあり方に異議を呈した際には、珍しく饒舌(じょうぜつ)な口調のもとに彼女の正当性を主張している。(第二楽章後編、179ページ)


中学と高校の6年間でともに吹奏楽部の活動に励み、とりわけ高校時代の3年間では自身をずっと助けてくれた優子に対し、みぞれは卒業式の日に「私、ちゃんとお礼を言おうって思ってた」と面と向かって感謝を述べている。それによって感極まった優子から立て続けに想いを述べられたみぞれは「優子のほうが、ありがとう上手。だから多分、私の負け」などと不服の意を示したものの、彼女と感謝の気持ちを交わすことができたために満足感を覚えている。(短編集2巻、16~17ページ、290~294ページ)


中川夏紀


低音パートでユーフォニアムを担当している同級生。2年生。

みぞれは夏紀のことを「夏紀」と呼んでおり、対する夏紀は「みぞれ」と呼んでいる。

同じ中学校の出身であるものの、互いに知り合ったのは北宇治高校の吹奏楽部に入部して以降になる。

普段の学生生活では同じ進学クラスに通っており、文化祭の出し物や授業風景などで一緒に活動する様子をしばしば目にすることができる(短編集1巻、182ページ、夏紀編、12ページ、170ページ、TVアニメ版2期6話、映画『リズと青い鳥』)。とりわけ、映画『リズと青い鳥』では3年生に進級したあとの夏紀とみぞれの絡みがいくつか登場しており、登校後に別れた希美を見送るみぞれの背後から近づいてきた夏紀がちょっかいを出し、そののちみぞれの手を取って教室内へとエスコートしたり、体育の授業で行われたバスケットボールにおいて交代をしり込みするみぞれに代わってコート入りし、彼女に向かってサムズアップを決めるシーンなどが確認できる。


吹奏楽部での3年間の活動、とりわけともに部の中心になった最後の1年間を通して、みぞれは夏紀の面倒見のよさや人情味に接しており、「夏紀はいい人」という素直な称賛を覚えるようになっている。夏紀本人からは謙遜(けんそん)されてはぐらかされたりしているものの、それでもみぞれは「夏紀がどう思ってるかは関係ない。私にとって夏紀はいい人だから。それ以外に何が大事?」と他意のない真摯(しんし)な想いを面と向かって告げている。(夏紀編、131ページ、173〜175ページ、181〜182ページ)


黄前久美子


低音パートでユーフォニアムを担当しているひとつ下の後輩。1年生。

久美子はみぞれのことを「みぞれ先輩」(TVアニメ版では「鎧塚先輩」)と呼んでいる。

当初は学年も所属パートも異なることから互いに接点はなかったものの、吹奏楽コンクール関西大会に向けた練習期間中に麗奈に連れられてやってきた彼女と顔を合わせたことが、互いに知り合うきっかけとなっている。その後も朝早くから夜遅くまで個人練習に打ち込むなかで同じ教室で過ごしたり、屋上で練習する希美の様子を見に行って気持ち悪さを覚えた際に偶然出会うなどしており、関西大会に向けた練習期間を通して徐々に面識を深めていく。(原作2巻、104~108ページ、125ページ)

そうして久美子と何度か顔を合わせたみぞれは、夏合宿の夜に久美子を隣に座らせて自身のコンクール嫌いの一片を明かしたり、希美と鉢合わせて逃げ出した際には後を追いかけてきた彼女に希美との経緯や自身の危うい想いを告げたりするなど、彼女を心を許しても大丈夫な相手として認識するようになり、はにかむような笑みをこぼしたり拳を突き合わせて気勢を上げたりするなどのやり取りも交わしている。(原作3巻、328~330ページ、TVアニメ版2期12話)


吉川・中川の新体制を迎えて間もなく行われた定期演奏会では、その準備期間に自身の役職である定期演奏会係の補佐を任せている。機転が利いて細かいところまで気を配る久美子のサポートにみぞれは幾度となく助けられており、その都度「私一人じゃ、無理だった」というような満足げな笑みを浮かべて彼女を労(ねぎら)っている(原作公式ガイドブック、15ページ、35ページ、134ページ)。

また、新年度のコンクールシーズンに入って以降は、自由曲『リズと青い鳥』のかけ合いや希美との進路の認識の違いなどの問題に際して、みぞれを支えようとしてくれる彼女に対して本心を明かしたり、逆にみぞれ自身の無頓着さを心配されて講釈を述べられるなど、希美との関わり方が変化していく過程においてよき相談相手として頼っている。(第二楽章後編、220~223ページ)


田中あすか

低音パートでユーフォニアムを担当しているひとつ上の先輩。3年生。

みぞれはあすかのことを「あすか先輩」と呼んでおり、対するあすかは「みぞれちゃん」と呼んでいる。

類稀(たぐいまれ)なるリーダーシップのもとに鮮やかな活躍を見せているあすかに対して、みぞれは「本当にすごい人」と尊敬を抱いており(原作公式ガイドブック、135ページ)、彼女から褒められながら頭をなでられた際には満足げな表情を浮かべながら嬉しさを実感している。(原作公式ガイドブック、54ページ)

また、2年生時の吹奏楽コンクール関西大会前に希美の復帰騒動が巻き起こった際には、副部長である彼女に直接的に保護されており、みぞれは希美の復帰をたったひとりで阻止しつつ、その理由の真相を頑なに黙秘しているあすかに対して「でも、このままじゃ、あすか先輩が悪者に」といたたまれない思いを感じている(原作2巻、193ページ)。その際の恩義もあってか、吹奏楽コンクール全国大会に向けた期間中にあすかが退部の危機に直面した際には、『あすか先輩を連れ戻すぞ大作戦』の実行者である久美子に「待ってますって、伝えてほしい」とメッセージを預けている。(原作3巻、185~186ページ)


剣崎梨々花


ダブルリードパートでオーボエを担当しているふたつ下の後輩。新1年生。

みぞれは梨々花のことを「剣崎さん」(映画『リズと青い鳥』での優子との会話では「梨々花ちゃん」)と呼んでおり、対する梨々花は「みぞれ先輩」( 映画『リズと青い鳥』では「鎧塚先輩」、のちに「みぞせんぱい」)と呼んでいる。

彼女が入部してきた当初、みぞれは1年生同士で仲良くやっている様子から心配していなかったものの(第二楽章前編、385ページ)、一方の梨々花は素っ気ない対応で口数も少ないみぞれとの付き合い方に頭を悩ませていた。しばらくして、梨々花がみぞれのことをよく知る部員(※原作小説では久美子、映画『リズと青い鳥』では希美)からアドバイスを受けて積極的に働きかけてきたことで、みぞれは戸惑いながらも彼女と言葉を交わして次第に心を開くようになっている(第二楽章前編、300ページ、夏紀編、157ページ、『新北宇治高校吹部紹介プロフィールカード(鎧塚みぞれ)』掲載の紹介文)。夏のコンクールシーズンでは、B編成部門(劇場版『誓いのフィナーレ』ではサポートチーム)のメンバーである梨々花から本番前に体調を心配されたり、逆にお盆休みのプールに誘って一緒に過ごしたりするなど、パートの先輩後輩同士の温かなやり取りを見せている。(第二楽章後編、40ページ、86ページ、劇場版『誓いのフィナーレ』)

音楽大学に合格した際には、梨々花をはじめとするパートの後輩たちから真っ白なイヤーマフをプレゼントされたほか、卒業式の日には人目もはばからず大泣きする彼女のためにハンカチを差し出すなど、自分なりに後輩を気遣う柔らかさが垣間見えるようになっている。(夏紀編、166ページ、257ページ)


新山聡美


顧問の滝昇木管楽器の部員たちの指導のために呼んでいる外部指導員。専門はフルート

みぞれは新山のことを「新山先生」と呼んでおり、対する新山は「鎧塚さん」と呼んでいる。

2年生時の夏合宿では、課題曲(TVアニメ版では自由曲)のオーボエソロを改善するために彼女からマンツーマンの密接な指導を受けていたほか、「楽器を吹くのは義務じゃないの。もっとね、楽しんでいいのよ」という彼女の心からの励ましに応えることができない自身に対していたたまれない思いを抱くような様子が登場している。(原作2巻、191~192ページ、220~221ページ)

また、翌年度の活動のなかでは、みぞれの演奏に高い可能性を見いだした彼女から音楽大学への進学を勧められるとともに、レッスンの講師を紹介されるなどといった受験に向けた環境を用意してもらっている(第二楽章前編、382~385ページ、第二楽章後編、172~173ページ、175ページ)。そのほか、コンクールシーズンでは自由曲『リズと青い鳥』のかけ合いのアプローチに悩むみぞれの前に現れてヒントを提示したり、躊躇(ためら)うみぞれをまばゆい笑顔で応援するなどしており、みぞれに変革をもたらしたキーパーソンとして登場している。みぞれはそのような彼女に対して「先生が信じてくれるなら」と見守ってくれることへの感謝を述べたり、実際の演奏で期待に応えようと強い意気込みを見せるなどしている。(第二楽章後編、220ページ、233ページ、239ページ)


岡美貴乃喜多村来南

ダブルリードパートでファゴットを担当しているひとつ上の先輩。3年生。

TVアニメ版では岡と喜多村はよくふたりで一緒に過ごしているものの、彼女たちがみぞれと絡んでいる描写は登場していない。しかし、彼女たちなりにみぞれに気を使っている模様で、みぞれに話しかけたり彼女が練習に打ち込めるように配慮していたほか、みぞれも岡と喜多村のことを「見た目によらず優しい」「いい人」と評したりするなど、それなりに良好な関係を構築している様子がうかがえる。(夏紀編、103〜104ページ、TVアニメ『響け!ユーフォニアム2』コンプリートブック、29ページ)


ダブルリードパートのメンバー一覧(原作第二楽章版)

ダブルリードパートのメンバー一覧(原作第二楽章版)

センシティブな作品

オーボエ

ファゴット

コントラファゴット


関連イラスト

関連イラスト

冬制服

センシティブな作品センシティブな作品

夏制服


パレード衣装・高校3年生時(サンライズフェスティバル)


メイド服(北宇治高校文化祭)


中学生時代


ワンピース姿(劇場版『届けたいメロディ』前売り券特典クリアファイル)


関連タグ

関連タグ

響け!ユーフォニアム リズと青い鳥 飛び立つ君の背を見上げる

オーボエ

傘木希美 - かつてフルートパートに所属していた同級生。みぞれにとって特別な存在である2年生。

吉川優子 - トランペットパートに所属している同級生。面倒見のいい2年生。

黄前久美子 - 低音パートに所属しているひとつ下の後輩。みぞれのことを気にかける1年生。

高坂麗奈 - トランペットパートに所属しているひとつ下の後輩。卓越した実力を誇る1年生。

喜多村来南 - ダブルリードパートでファゴットを担当しているひとつ上の先輩。パートリーダーの3年生。

岡美貴乃 - ダブルリードパートでファゴットを担当しているひとつ上の先輩。緩いサイドテールの3年生。

剣崎梨々花 - ダブルリードパートでオーボエを担当しているふたつ下の後輩。マイペースだが聡明な新1年生。

新山聡美 - 木管楽器の指導を担当をしている外部指導員。専門はフルート。


ぱっつん 前髪ぱっつん 青髪 青い髪


のぞみぞ - 傘木希美とのカップリング(コンビ)タグ。

優みぞ - 吉川優子とのカップリング(コンビ)タグ。

南中カルテット - 中川夏紀、吉川優子、傘木希美とのカルテット(グループ)タグ。


ヴィヴィ - 中の人&音楽&クールつながり。こちらは歌姫AIで、後半では性格が一変する。


外部リンク

外部リンク

プロフィール

プロフィール

名前鎧塚みぞれ
誕生日7月2日
身長154cm
星座蟹座
血液型AB型
担当楽器オーボエ
好きな色青、紺、灰
趣味家で飼っている猫と一緒にダラダラすること
特技音ゲー心理戦のゲームに強い
好きなものソーダ味のお菓子、炭酸ジュース
嫌いなもの電波の悪い場所
CV種﨑敦美

概要

概要

北宇治高校の2年生で、吹奏楽部に所属。ダブルリード(オーボエ&ファゴット)パートでオーボエを担当している。

つねに無表情で感情をあまり表に出さず、人見知りな性格も相まって部内でも親しい人間はそれほど多くはない。毎日朝早くから夜遅くまで黙々と基礎練習に打ち込んでおり、その正確性を極限まで追求した演奏の腕前は、副部長の田中あすかをはじめとする多くの部員たちから一目置かれるところとなっている。

かつて強豪として知られる南中学校の吹奏楽部で活動していたみぞれは、フルートを担当する親友の傘木希美を追いかけるようにして北宇治高校の吹奏楽部に入部した。しかし、その当時の部の環境に耐えかねた希美が反発の末に退部してしまったためにみぞれは心に深い傷を負ってしまい、豊かな表現力を帯びていた演奏も感情の欠落した淡白なものへと変わってしまった。そんな彼女は、部内唯一のオーボエ奏者というポジション、そして胸のうちに秘める希美への複雑な想いによって、翌年の夏に巻き起こった希美の部活復帰をめぐる一連の騒動のなかで重要な役割を担うことになる。


人物

人物

容姿

原作小説およびコミカライズ版では涼やかに切りそろえられた短めの黒髪(原作2巻、52ページ、179ページ、原作3巻、56ページ)、TVアニメ版では青みがかった長髪ぱっつんの前髪と、それぞれに異なるキャラクターデザインがなされている。しかし、いずれの場合も「可愛らしいというよりかは、綺麗という形容が似合う」(原作2巻、53ページ)というような、繊細で儚(はかな)げな印象をたたえているという点で共通している。また、夜の海や深海の底を思わせるような暗くて感情の見通せない瞳、血の気のない白く透き通った肌やまっすぐに結ばれた薄桃色の唇など、彼女を構成する一つひとつのパーツも精巧な作り物を思わせるような美しさと無機質さを内包したものとなっている。(原作2巻、105ページ、223ページ、255ページ、321ページ、第二楽章後編、9ページ、180~181ページ、221ページ)

なお、繊細かつ華奢(きゃしゃ)な印象の強いみぞれであるが、彼女の真っ白な肌や太ももの柔らかさを描写した場面がいくつか登場しているほか(原作2巻、256ページ、261ページ)、TVアニメ版のキャラクターデザインを手がけた池田晶子も、第2期の公式コンプリートブック所収のスタッフインタビューのなかで「このタイプの子特有の、少しもったりした感じの生っぽい体つき」を意識しながら作ったことを述べている。(TVアニメ『響け!ユーフォニアム2』コンプリートブック、90ページ)


性格

淡々としたマイペースな性格であまり感情を表に出さず、その口数の少なさと無表情さによって、低音パートの1年生である黄前久美子をはじめとする部の仲間たちからは「人形みたいだ、全然感情がつかめない」というような印象を抱かれている。(原作2巻、38ページ、53~54ページ、211ページ、原作3巻、55~56ページ、短編集1巻、184ページ)

生来の人見知りである彼女は見知らぬ相手と話すことに苦手意識を覚えており、持ち前の警戒心によって他者から向けられる好意をすぐに受け止めることはできない(原作2巻、256ページ、短編集1巻、165ページ、原作公式ガイドブック、15ページ、76ページ、第二楽章前編、149~150ページ)。しかし、長い月日をともに過ごしたり何度も顔を合わせるような相手に対しては、心を開いて彼女なりの信頼を置いたり、独特の感性によるノリのよさを明かすなどしている。(原作3巻、330ページ、原作公式ガイドブック、89~90ページ、短編集2巻、16~17ページ、294ページ)


自身のなかだけで世界が完結していることもあり、彼女はときおり意図のさっぱりつかめない話題を並べたり、相手の予想していない角度から自分なりの答えを返したりしている(短編集2巻、17ページ、189〜191ページ、293〜294ページ、夏紀編、15〜16ページ、176ページ、187ページ)。また、人見知りな性格からくる自己肯定感の低さを逆手にとり、周囲から差し伸べてくれる助けに甘えるような無垢さ(あすかはこれを「ズルい性格」と評している)もうかがうことができる。(原作2巻、275〜276ページ、夏紀編、154〜155ページ、180ページ)


家庭環境

みぞれの家は北宇治高校の近くにあり、立地上の利を活かす形で毎朝6時前から自主練習のために登校している。(原作3巻、172ページ、第二楽章前編、280ページ、最終楽章前編、134ページ)

家族や家の外観・内装にまつわる話は作中に登場していないものの、小さいころからピアノの稽古に通っていて家には学校にあるものと同じタイプのグランドピアノが置かれていることや、値が張るオーボエを部活用のマイ楽器として親から購入してもらったこと、そして音楽大学を将来の進路に選ぶにあたってレッスンや学費の用意などの環境を整えてもらったことなどから、「みぞれ先輩お嬢様説」を信じる部員もちらほらと出てきている。(第二楽章後編、74~75ページ、夏紀編、12ページ、59ページ、171〜172ページ、207〜208ページ)


その他

  • 好きな色は青色紺色。作中でも、水色のハンカチや濃い青色のヘッドフォン、バイオレットカラー(菫色)のゲーム機などを持っている様子が登場している。(原作2巻、105ページ、第二楽章後編、171ページ、181ページ)
  • 遊園地のアトラクションでは絶叫マシン系を好む傾向があり、音楽大学を受験後に仲良しの4人組で出かけた遊園地では、ジェットコースター急流すべりにそれぞれ3回ずつ乗ったのちに5回連続でフリーフォールに乗り込み、それでもなおケロリとした表情を浮かべている。(夏紀編、168〜169ページ、178ページ)
  • 特技は音ゲーリズムゲーム)。超絶技巧と正確性を追求する彼女らしく、挑戦する曲は片っ端からパーフェクトクリアを叩き出している。(原作2巻、177ページ、181ページ、第二楽章後編、172ページ)
  • 音を捉える聴力も抜群であり、久美子の耳につけられているイヤフォンから漏れる音楽を聞いて曲名を当てたり、先輩の田中あすかの饒舌(じょうぜつ)なコメントを一字一句たがわず書き記すなどといった離れ業を披露している(原作2巻、177~178ページ、原作公式ガイドブック、46ページ、49ページ、53~54ページ)。また、劇場版『誓いのフィナーレ』でも、部長の吉川優子が黒板に文字を書いた際の引っかき音に身をすくませる様子が登場している。
  • 部活の皆でカラオケに行った際のエピソードとして、自ら歌うことはない代わりに終始タンバリンを叩いて楽しんでいた様子が語られている。(夏紀編、24ページ)
  • 原作小説の作中では、数少ない標準語の話し手として登場している。本人いわく、埼玉県にいる従姉妹と話をした影響で伝染(うつ)ってしまったと語っている。(原作2巻、125ページ)
  • みぞれのどこか儚げで愛らしさを感じさせる容姿と無口で小動物的な性格とが相まって、高坂麗奈の中の人(安済知佳)やファンの一部からは「みじょれ」「みじょれ先輩」などと呼ばれている。

演奏技術

演奏技術

概要および高校2年生時

毎朝一番に音楽室に来てオーボエの練習に励んでいるなど、もっとも熱心に練習している部員のひとりであり(原作2巻、38ページ、原作3巻、172ページ、第二楽章前編、281ページ、『響け!ユーフォニアム』DVD&BD4巻ブックレットのパート紹介)、部内でも指折りの高い実力を誇っている。

とくに彼女の連符に対する執着は尋常ではなく、配布されている基礎練習用の曲の速いパッセージの部分を何度も繰り返し練習している。その正確さと集中力は見る者が舌を巻くレベルであり、一切狂いのない指先の動きは機械の作業を見ているようにも思えるほどである。(原作2巻、83~84ページ、夏紀編、224ページ)

一方、演奏そのものの表現力に関しては、中学時代から高校1年生当時にかけては「すごい情熱的で、楽しそうな音だして、感情爆発って感じだった」(原作2巻、246ページ、TVアニメ版2期4話)というような喜びに満ちあふれたものであったものの、当時の上級生への反発を機に希美が吹奏楽部を去ってしまってからは、自身の「音楽」を聴かせる唯一の相手がいなくなったショックと楽器を辞めたら彼女との縁が切れてしまうという強迫観念の二重苦によって、色味のない淡白なものへと変わってしまう(原作2巻、257~258ページ)。機械じみた超絶技巧はそのままに、一切の感情が欠落したみぞれの演奏は、「なんか物足りない気がする」(原作2巻、52ページ、TVアニメ版2期1話)や「ぶっちゃけつまらん。まるでロボットが吹いてるみたいだ」(原作2巻、188ページ、TVアニメ版2期3話)などといった感想を寄せられるものの、当のみぞれも自身だけでは解決策を見いだせないために、その無感情な演奏のまま平行線をたどることになる。


しかし、のちに希美が部に復帰を果たし、みぞれとの親密な関係を修復するようになると、みぞれは「希美のためのもの」である自身の音楽をふたたび目覚めさせ、湧き上がる豊かな感情のもとにしっとりとした甘く繊細な調べを奏でるようになる(原作2巻、271ページ)。かねてからの超絶技巧にほとばしる情熱を乗せたみぞれの演奏は、部員たちのみならず顧問などの指導部さえも魅了させるとともに、北宇治高校吹奏楽部のコンクールにおける決定打としても華々しい活躍を見せている。(原作2巻、296ページ、原作3巻、340~341ページ)


高校3年生時

吉川・中川の新体制発足から半年が経ち、艶(つや)やかな表現力と機械じみた超絶技巧をさらに磨き上げたみぞれは、部内の誰もが認めるほどの実力者のひとりとして名を連ねるようになる(第二楽章後編、24ページ、夏紀編、159〜161ページ)。かねてから息をするように基礎練習に取り組んできたみぞれは、同級生である優子から「音楽大学に進んでそのまま海外の楽団に入っているようなイメージがある」といった冗談を言われたこともあったが(短編集1巻、170~171ページ)、このころになると外部指導員の新山聡美もみぞれの持つ才能と実力に注目するようになり、「あなたのその才能がここで終わるのは、あまりにももったいない」として、実際に音楽大学への進学を勧めるようになっている。(第二楽章前編、384ページ)

しかし、2年前に希美が退部した際のトラウマを完全に払拭(ふっしょく)しきれていないみぞれは、「いつかまた、希美が自分の前からいなくなってしまうかもしれない」という不安から、吹奏楽コンクールの自由曲『リズと青い鳥』の第3楽章にある希美のフルートとのかけ合いに、自身の想いと実力のすべてを乗せきれないでいた。(第二楽章前編、12~13ページ、第二楽章後編、83~84ページ)

(なお、このフルートとのかけ合いにブレーキをかけている要因としては、希美に対するトラウマのほか、当該部分のかけ合いを曲の元になった物語の登場人物たちに重ね合わせていたことも大きく影響している。※第二楽章後編、180~181ページ)


最愛の相手を自らの手から解き放つ」という物語の登場人物の行動を理解できず、それゆえにオーボエの演奏も模範的なものに留まっていたみぞれのもとに、彼女の様子を見かねた外部指導員の新山が訪れる。新山はソロの吹き方がわからないと悩むみぞれに対して、曲に対するアプローチそのものを変えてみるという手法を提案し、物語のなかで青い鳥を解き放つリズの視点ではなく、リズの元を離れることを受け入れる青い鳥の視点から演奏を組み立てることをみぞれに勧めた(第二楽章後編、229~233ページ)。この新山とのやり取りを通して青い鳥の視点から曲の流れを見つめ直したみぞれは、「最愛の相手の望みを受け入れることによって、自らの愛のあり方を示す」というアプローチのもとに持てる想いと技術のすべてを乗せた演奏を披露し、かけ合いの相手である希美のそれを遥かにしのぐほどの圧倒的な表現力をもって全体演奏の流れを破綻(はたん)させるまでに至っている(第二楽章後編、237~240ページ)。その際に見せた圧巻の演奏技術と表現力は、希美や久美子といった部員たちはもちろん、プロの音楽家である外部指導員の橋本真博や新山たちも「これは…… とんでもないもん掘り起こしたね」とうなり声を上げながら認めるほどのものであった。(第二楽章後編、239ページ)


その他

彼女の吹くオーボエのモデルは、フルオートマチックのオクターブ・キー・システムやリードの差し込み口の特徴から、YAMAHA YOB-432と推測されている。

中学生のころに両親に買ってもらったもので、まめに手入れをしているために高校生になった現在でも新品同様の輝きを放っている。(原作3巻、186ページ、短編集1巻、168ページ、短編集2巻、188ページ、夏紀編、12ページ、59ページ)


経歴

経歴

中学生時代


南中学校に通っていた当時、仲のいい友達もなくひとりぼっちだったみぞれは、ある日同級生の希美の誘いを受けて吹奏楽部に入部する。そこで彼女は新たにオーボエを始め、聴衆を楽しませる演奏や吹奏楽コンクールへの挑戦に打ち込むとともに、自身を誘ってくれた希美と過ごす日々に充実した想いを実感するようになる。(原作2巻、90~91ページ、255~256ページ)

南中学校の吹奏楽部は京都府内でもそこそこ名の知れた吹奏楽部の強豪校であり、みぞれの在籍中も関西大会で金賞や銀賞を獲得するなど華々しい成果を手にしていた(原作2巻、11ページ)。それでもさらに上の「全国大会出場」を望むみぞれは、過去の結果を通して慢心や努力不足といった要因を洗い出すとともに、新部長となった希美の「来年はマジで全国行こうな」という意志に同調するようにして懸命に練習に励んでいる。(原作2巻、11~12ページ)


吹奏楽コンクールの全国大会出場を果たすため、南中学校の吹奏楽部は自由曲に高難度の大曲(原作小説では『ダフニスとクロエ』第2組曲、TVアニメ版では『ダッタン人の踊り』)を選んで京都大会(府大会)に挑む。しかし、部員たちの熱い想いとは裏腹に、南中学校には非情にも銀賞の評価が下され、関西大会にさえ進めないまま幕引きを迎えてしまうことになる。この不条理な現実を突きつけられたみぞれは、「コンクールって、なんなんだろう」とあふれ出しそうな感情に対する自問を繰り返した末に、努力が報われない非情な現実を認めて「コンクールなんて大嫌い」とチャレンジ精神や達成感といった要素から目を背けるようになっている。(原作2巻、9~11ページ、13~15ページ、183ページ)


高校1年生時


自身の将来に興味がなく、「希美が受けるから」という理由で彼女とともに北宇治高校に進学を果たしたみぞれは、そのまま彼女に誘われるようにして同校の吹奏楽部に入部している。その背景には、希美のあとを盲目的に追従するみぞれ自身の意思のほかにも、部活という共通項がなくなってしまったら彼女との縁も切れてしまうのではないかという恐怖心も存在していた。(原作2巻、178ページ、257ページ、第二楽章前編、383ページ)

希美と一緒に過ごすためだけに吹奏楽部を続けていたみぞれだったが、当の希美は部内のだらけきった環境に耐えかねてほかの1年生とともに上級生たちに反発を起こし、その末に現体制に見限りをつけて退部してしまう。その当時コンクールのA編成部門のメンバーとして活動していたみぞれは希美たちの動きを知るよしもなく、同じパートの先輩から事情を知らされるころにはすべてが終わってしまっていた(原作2巻、151ページ、短編集1巻、165~166ページ、夏紀編、78〜79ページ、82ページ)。希美から何も告げられないまま去られてしまったみぞれは、深いショックを覚えるなかで彼女に対するさまざまな対処を考えたものの、結局は動くことそれ自体に恐怖を感じ、「楽器だけが、私と希美をつなぐもの。もし私が下手くそになったら、希美に用済みと思われる」という強迫観念のもとに部に残って楽器を続けることを選び取っている(原作2巻、257~258ページ、短編集1巻、167ページ)。そしてその後は、自身と同じく部に残った優子に支えられつつ、将来に対しても音楽に対しても空虚な思いを抱いたまま技術を維持するためだけの日々を送ることになる。(短編集1巻、170~171ページ)


高校2年生時


翌年の4月に2年生に進級したみぞれは、時を同じくして就任した新顧問・滝昇の指導のもと激変する環境に身を置くことになるものの、持ち前のマイペースさによって部内の情勢に関心を抱くことはなかった(原作2巻、84~85ページ、夏紀編、285ページ、TVアニメ版2期1話)。また、滝の采配と部員たちの努力によって吹奏楽部が京都大会の金賞と関西大会への出場権を獲得した際にも、その結果は嬉しく思いつつも「辞めていった子たちに申し訳なかった。喜んでいいのかなって」というような後ろめたさを覚えている。(原作2巻、263ページ)

部が関西大会に向けて舵を切り、全国大会出場を見据えた厳しい練習が重ねられるなかで、みぞれはたびたび「私、コンクール嫌い。不平等だから」とかつて中学時代に味わった苦い思い出を振り返りながら持論を展開したり、いちばんの親友である希美が去ってもなお”音楽”を続けていることの理由を問われて「わからない。もう、何もわからない」と空虚な思いを明かすなどしている(原作2巻、179~182ページ)。そして、みぞれが希美と偶発的に鉢合わせ、現実と向き合うことを恐れて逃げ出した際には、希美に執着するだけだった自身の過去を振り返るようにして「コンクールなんて、なくなってしまえばいい。そしたら、希美がいなくなることもなかった。評価に納得いかなくて、泣くこともなかった。馬鹿みたい。こんなものにみんな夢中になるなんて」などと吐き捨て、吹奏楽コンクールに対する強い恨みを垣間見せている。(原作2巻、259ページ)


しかしそののち、優子の強い支えや希美との和解を経たことにより、みぞれは仲間がいることの力強さや安心感を実感するとともに自身の音楽に対する情熱を取り戻す。かつてのような感情爆発の演奏者へと覚醒を果たしたみぞれは、吹奏楽コンクール関西大会の本番において「希美のための演奏」を余すところなく披露し、北宇治高校吹奏楽部の関西大会金賞と全国大会出場という栄えある結果の獲得に貢献している。この華々しい結果を告げられたみぞれは、自身と部員全員の努力と意志が実を結んだ現実を強く噛み締め、「……たったいま、好きになった」という満面の笑顔とともにコンクールに対する意識を改めている。(原作2巻、321ページ、TVアニメ版2期5話)


新体制発足


コンクールシーズンの終了とともに3年生が引退し、2年生の吉川優子中川夏紀をツートップとする新体制が始まると、みぞれは新たに定期演奏会係を任せられることになる。もっとも、同役職は定期演奏会の実施に向けた多岐にわたる仕事とさまざまな係との調整が求められるために、みぞれの人見知りな性格を知っている優子と夏紀は1年生の久美子を係の補佐役として宛がっている(原作公式ガイドブック、6~9ページ)。12月の下旬から動き出したみぞれと久美子の定期演奏会係は、部員たちに対して演奏希望楽曲のアンケートを募ったり、優子たち幹部の面々を交えたなかでプログラムの意見をまとめるなどしたほか、衣装係や宣伝係、ステージ構成係などと各種の調整を行うなど、準備の進捗(しんちょく)状況や部員たちからの要請を受けて忙しなく飛び回りながら仕事にあたっている。(原作公式ガイドブック、12~15ページ、29~35ページ、62ページ、64~65ページ、73ページ)

また、演奏会の要であるプログラム構成については、当初は集められた希望楽曲の組み合わせに悩み、久美子とともに頭を抱えていたものの(原作公式ガイドブック、40~41ページ)、部活に顔を出しにきたあすかの「曲を決める権限があるんだから、好きなように決めればいい」という助言を受けたことによって、みぞれ自身の独断と偏見に基づいた選曲に踏み切っている(原作公式ガイドブック、44ページ、56~57ページ)。そうして出来上がった演奏会のプログラムは「子供も大人も、聞きに来た人が楽しいって思える演奏会」をテーマとして掲げるとともに、希美や久美子、優子や夏紀といった部の仲間たちの希望を公平に取り入れた構成になっている。(原作公式ガイドブック、56~62ページ)


なお、みぞれは定期演奏会係として業務全般にあたるのみならず、企画の実施者としても積極的に参加しようとする姿勢を見せており、演奏会の第3部で『浦島太郎』のパフォーマンスが企画された際には真っ先にカメの役に名乗り出ている。続く役職希望者が現れずに企画断念の話が持ち上がり、みぞれはいっときあからさまに落胆するものの、そのような彼女を気の毒に思った優子の希望によってパフォーマンスは可決される運びとなった。その後日、企画を受けた衣装係から渡された甲羅とカメの衣装を着たみぞれは、無表情のまま飛び跳ねたりカッコいいポーズを決めたりしており、「意外にノリノリだな」という印象を周囲の部員たちに与えている。(原作公式ガイドブック、89~91ページ)


高校3年生時


ダブルリードパートのリーダーとして4月からの新年度を迎えたみぞれは、新たオーボエ担当の剣崎梨々花をはじめとする3名(原作小説では2名)の新1年生たちと関わることになる。当初は口数の少ない自身と一緒にいて退屈していないか気にかけていたものの、1年生同士で仲良くしている様子を見るにつれて自身が気にする必要はないかもしれないと思うようになる。(第二楽章前編、385ページ)

(なお、後輩側から見たみぞれの対応は素っ気ないものであり、新1年生の梨々花はみぞれとの関わり方を教わるために低音パートの久美子(映画『リズと青い鳥』では希美)に相談を持ちかけている)

新しい後輩たちとのコミュニケーションを通して次第に希美以外の世界にも興味を持つようになったみぞれは、お盆休みのプールや夏のオープンキャンパスなどの機会に自分から他者に関わるような動きを見せており、その成長と変化ぶりで周囲を驚かせている。(第二楽章後編、130ページ、173ページ、夏紀編、157ページ)


また、4月の終わりにはみぞれの才能を見込んだ外部指導員の新山から音楽大学への進学を勧められている。彼女から説明を受けていたときはあまり心を動かされなかったみぞれであったが、練習に帰る途中でばったり会った希美が「うち、ここの音大受けよっかな」と新山が勧めてくれた音楽大学への希望を口にしたのを聞いて、「その隣を歩きたい。一緒にいたい」という意欲を湧かすようにして音楽大学を進路先に定めることになる。(第二楽章前編、382~387ページ、夏紀編、128〜129ページ)

以降のみぞれは、吹奏楽コンクールに向けた練習に取り組むかたわら新山が紹介してくれた先生のもとでオーボエのレッスンを受けたり、入試対策のためにピアノの練習や音楽理論の勉強に打ち込んでいる(第二楽章後編、72~73ページ、173ページ、夏紀編、129ページ)。なお、みぞれ本人は、3年生になってから音楽大学の入試対策を始めることの期間的な余裕のなさや、希美が音楽大学の入試に失敗したりほかの進路を選ぶ可能性などをさっぱり考えておらず、久美子をはじめとする部の仲間たちからそのことを指摘されて初めて「……考えたこと、なかった」などと途方に暮れる様子であった。(第二楽章後編、72ページ、135~136ページ、174ページ、176ページ、221~223ページ)


コンクールの自由曲『リズと青い鳥』のかけ合いの再構築と、それを機にみぞれと希美がそれぞれの道を進む決意を固めるようになってからは、みぞれはたくさんの自問の末に自分自身のために音楽大学へ進むことを決め、「希美がいなくても、私、オーボエを続ける。音楽は、希美が私にくれたものだから」とその本心を明かしている(第二楽章後編、361ページ)。希美から離れて独り立ちする覚悟を決めたみぞれは、自身の部活からの引退後に行われたアンサンブルコンテスト部内予選への誘いを受けた際にも、それが希美の誘いであることを認識しつつも受験を優先させるために「私は出ない」ときっぱりと断るなど、ひとりの人間として自身の人生を歩もうとする姿勢をうかがうことができる。(短編集2巻、238~239ページ)


引退後


周囲の人間の協力とこれまでの膨大な練習量に裏付けられた実力が実る形で、みぞれは無事に志望先の音楽大学に推薦枠での合格を果たしている(短編集2巻、14ページ、最終楽章前編、134ページ、264ページ、夏紀編、127〜128ページ)。優子や希美、夏紀といった親友たちからの祝福を受けたみぞれは、彼女たちとともに平日の遊園地で一日中遊び回ったり、軽音部の卒業ライブに前座として参加することになった夏紀と優子を応援するために彼女たちのバンド幕の作成を手伝ったりするなど、卒業までの時間を有意義に過ごしている。(夏紀編、135〜136ページ、199ページ、232ページ)

北宇治高校を卒業し、4月から音大生となったみぞれは、その年の8月に行われた新入生によるオーケストラ編成のコンサートにも出演しており、『ダフニスとクロエ』をはじめとするプログラムのなかでソロをはじめとする立派な活躍を見せている。その新入生ながら堂々とした演奏ぶりに、久しぶりに彼女の姿を目にした希美や優子たちからは「音大で通用するか心配していたけど、杞憂やったみたいやね」などといった深い感慨を抱かれている。(最終楽章後編、81~83ページ)


傘木希美との関係

傘木希美との関係

概要および中学生時代~高校2年生時


かつてフルートパートに所属していた同級生。2年生。

みぞれは希美のことを「希美」と呼んでおり、対する希美は「みぞれ」と呼んでいる。

まだ中学生だった当時、仲のいい友達もなくずっとひとりきりだったみぞれは、ある日希美に声をかけられて吹奏楽部に入部したことをきっかけに「毎日が変わった。希美といると、楽しかった」(原作2巻、256ページ)と充実した思いを実感しており、そのような日々をもたらしてくれた彼女を「何にも代えがたい特別な存在」として意識するようになる(原作2巻、256ページ、原作公式ガイドブック、215ページ)。しかし、明るい性格で友達も大勢いる希美にとって、みぞれはあくまで「たくさんいる友達のなかのひとり」に過ぎず、彼女はその互いに対する熱量の違いを次第に苦しく思うようになる。(短編集1巻、170ページ)


その熱量の違いは、北宇治高校に進学して吹奏楽部に入部し、その当時の部の体質を理由に希美がみぞれに何の断りもないまま退部したことにより、さらにより強くこじれることになる。当時のみぞれは希美が退部していることすら夢にも思わず、先輩からその話を聞かされて初めてその事実を知った。そこでみぞれは、希美にとっての自身が「報告するほどの間柄ですらない」ものであると思い込み、それでもなお大切な友達として彼女を求めてしまう自身の熱量との落差に「気持ち悪い。こんなふうに友達に執着するなんて」と吐き気をもよおすほどの強い感情を抱くようになる。(原作2巻、105~108ページ、257~259ページ、夏紀編、153〜154ページ)

(もっとも、希美が退部時にみぞれに声をかけなかった理由のひとつに「みぞれが真面目に練習していたから」というものがあるのだが、そのみぞれの真面目な練習の原動力となっていたのは「希美によりよい音楽を聴かせたい」という想いであり、それが皮肉にも両者のすれ違いを生んだ一因となっている)


希美が部活を去ってもなお、みぞれは彼女との唯一の接点である楽器を手放せず、それでいて美しい音色を奏でる理由を失ったままオーボエ担当のポジションに残り続けていた。そんななか、滝昇が新任顧問に就任して部の体質が変わり、確かな実力を身に付けて関西大会への進出を決めるようになると、部から離れていた希美がもう一度部活に戻りたいとやって来るようになる。みぞれはそんな希美に「相談ひとつしない、その程度の存在」と拒絶されることに恐怖を覚え、その現実と向き合うことを極度に恐れるようになってしまう。


吹奏楽コンクール関西大会の直前に希美は偶発的にみぞれと再会するが、そのあまりに突発的な出来事にみぞれは驚き、思わずその場から逃げ出してしまう。みぞれは自身を探して追いかけてきた久美子や優子に対し、希美との関係性から生まれたトラウマを告白するものの、逆に優子からの励ましと慰めを受けて、希美と向き合って真実を知ることを決意する。そうして希美と対面したみぞれは、希美が退部の際に声をかけなかった本当の理由を知り、同時にいままで勝手な思い込みから彼女をずっと避けていたことを謝る。そんなみぞれに、希美は府大会での彼女たちの活躍を心から素晴らしいと思ったこと、そしてみぞれの奏でるオーボエをもう一度聴きたいと語り、みぞれはその申し出に笑顔で応えた。



みぞれと希美の互いに対する熱量の差は変わらないままであったものの、いままでのすれ違った感情や思い込みが解けたことにより、ふたりはかつての「一緒にいて楽しかった」ころの関係を取り戻すことに成功した。(原作2巻、267~269ページ、原作公式ガイドブック、215ページ、夏紀編、156ページ)

その後は、希美に向ける熱量をそのままオーボエの音色に込めて情熱的な演奏を披露したり、「下手だと、希美に笑われちゃうから」「金賞だったら、希美が褒めてくれるから。だから、頑張る」などと、楽器の演奏と希美からの好意をダイレクトに結びつけるなど、彼女の存在を第一に意識しながら日々を過ごす様子を見て取ることができる。(原作3巻、56ページ、329~330ページ)


高校3年生時


吉川・中川体制の新年度が始まって以降、みぞれと希美のふたりは部内でも指折りのトップ奏者として部員たちに認められながら、特に表立った決裂を生じさせることもなく日々の練習に打ち込んでいた。

そのようなゴールデンウィークのある日、吹奏楽部の外部指導員である新山聡美がみぞれを呼び出し、みぞれの才能にさらなる可能性を感じていることを明かすとともに、その可能性を飛躍させるために音楽大学への進学を勧めた。将来に希望のなかったみぞれは、新山の提案に答えを出せないまま大学のパンフレットを貰って退室するが、その途上で偶然希美と鉢合わせる。みぞれの持っていた音楽大学のパンフレットを読み、それを新山から貰ったことを聞かされた希美は、不意に「私、ここの音大受けようかな」と口にする。その言葉を受けたみぞれは、希美と一緒の進路を選びたいという純粋な想いから「希美が受けるなら、私も」と、彼女に音楽大学への進学意志を告げた。(第二楽章前編、382~387ページ)


吹奏楽部がコンクールシーズンに入り、自由曲『リズと青い鳥』の練習が始まるようになると、みぞれと希美はそれぞれ曲の題材となった物語を読み、曲中の見せ場として登場するオーボエフルートのかけ合いを通して「なんかちょっと、私たちみたいだな」と、自分たちふたりと物語の登場人物たちの境遇を重ね合わせるようになる。最愛の相手から別れて飛び立った青い鳥に、かつて自身のもとから離れていった過去を持つ希美の姿を重ねたみぞれは、「本番なんて、一生来なくていい」と、希美と過ごす幸せな日々に終わりが来ることを恐れるようになる(第二楽章前編、12~13ページ) 。物語の世界を楽曲に移し込もうとするあまり、みぞれは最愛の相手を自らの手で解き放つリズの想いを理解できずに苦しむようになる。結果としてみぞれの演奏は感情的で奔放な希美のそれと噛み合うことはなく、模範的な形に留まり続けることになった。一方の希美は、そんなみぞれを「がんばれ」と応援しつつも、拮抗(きっこう)する実力同士による対等なかけ合いの形を模索しようとしていた。


そのような折、演奏の表現に悩むみぞれのもとに外部指導員の新山が訪れ、曲に対するアプローチを変えてみることを提案する。青い鳥を見送ったリズの視点ではなく、リズの選択を受け入れる青い鳥の視点から演奏を組み立てることを決めたみぞれは、全体合奏の場において希美のそれを遥かにしのぐほどの圧倒的な演奏を披露した。これを受けて、これまでみぞれと自身は対等な演奏者同士と思い続けていた希美は深い衝撃を受け、絶望による嗚咽(おえつ)の末に「みぞれの魅力を自分がすくい上げる」形としてのかけ合いをすることを心に決めるようになる。(第二楽章後編、250ページ、254~255ページ)


合奏練習の終了後、みぞれは希美とふたりきりで話をする機会を得る。みぞれとのあいだにある歴然とした実力差を自覚している希美は、みぞれに黙って音楽大学を進路から外したことを打ち明けるとともに、自身はみぞれのように特別な人間ではないことを告げた。しかし、そんな彼女を「希美は、いつも勝手」の一声で制したみぞれは、中学時代からいままでずっと、希美に見放されたくない一心で部活も楽器も続けてきたことを明かす。自身にとっての特別な存在である希美とずっと一緒にいることだけを望むみぞれの想いに触れることとなった希美は、しかしそれでも「自分は賞賛されるような人間ではなく、むしろ軽蔑されるべき」の姿勢を崩そうとしなかった。あくまでも突っ張ろうとする希美に対して、みぞれは「大好きのハグ」によって彼女に直接気持ちを伝えることを試みる。



希美にその身を預けきったみぞれは、自身の人生が希美との出会いをきっかけに変わったことを感謝するとともに、そんな希美のリーダーシップや明るく楽しそうな振る舞い、そして希美のすべてが好きであると告白する。一方、みぞれの想いのすべてを受け止めた希美もまた、みぞれのひたむきな努力家精神、そしてその結晶であるオーボエの音色が好きであることを打ち明けた上で、「ありがとう」の優しい一言のもとに彼女を押し戻し、別れて帰宅の途についている。(第二楽章後編、301~307ページ)



吹奏楽コンクールの自由曲「リズと青い鳥」のかけ合いと、それぞれの進路を巡る複雑な思惑を経て、みぞれと希美の互いを想う感情の天秤は一方通行という形でありながらも釣り合いを見せるようになった(第二楽章後編、250ページ)。また、みぞれと希美のそれぞれが別々の道を歩むことを自覚し、それを互いに認め合うようにもなっており、希美のもとから離れて音楽大学を目指すことを決めたみぞれは「希美がいなくても、私、オーボエを続ける。音楽は、希美が私にくれたものだから」と、自分自身の道を選ぶことに対する決意を明らかにしている。(第二楽章後編、361ページ)

あわせて、これまで希美の後ろを盲目的に追従するだけだったみぞれの姿勢にも変化が見られるようになり、希美に面と向かって自身の素直な意見を述べたり、自身の生き方に基づいた明確な拒否を告げるなど、対等な友人同士の関係を構築しようとする様子を見て取ることもできる。(短編集2巻、16~18ページ、238~239ページ)


自身の卒業を控えたある日、みぞれは夏紀とふたりきりで話す機会を得て、彼女から希美をどう思っているかを問われている。みぞれはそのなかで、希美のことを迷いなく「友達」と答えたほか、彼女から受け入れられるかどうかをおびえて勝手に苦しんでいた自分自身が嫌いだったことも打ち明けている。そして、夏紀の「それって、恋とは何が違うん?」という感想に触れたみぞれは「そうだったらよかったのに」という、付き合いたいとか結婚したいとかいう動機だったら希美を諦めることができたという達観ぶりを口にするとともに、「ただ、一緒にいたかっただけ。でも、それがいちばん難しい。人間は、理由もなく一緒にはいない」と、これまでの自身と希美の関わりを振り返っている。(夏紀編、182〜185ページ)


その他の主要キャラクターとの関係

その他の主要キャラクターとの関係

吉川優子


トランペットパートに所属している同級生。2年生。

みぞれは優子のことを「優子」と呼んでおり、対する優子は「みぞれ」と呼んでいる。

中学時代からともに吹奏楽部の活動に励んできた仲であるものの、中学生だった当時は誰に対しても物怖じすることがなく、明確に意思表示ができる彼女のことが苦手であった(短編集1巻、167~168ページ)。優子と親しくなったのは、物語の1年前に起こった当時の1年生(現在の2年生)の大量退部の一件のあとであり、それ以降はふたりで行動することが多くなった。希美を失ったみぞれにとって優子の存在は無自覚的に心の支えになっており(あすかはこれをみぞれにとっての「保険」と称している)、「優子は、私がかわいそうだから、優しくしてくれただけでしょう? 同情、してるだけ。違う?」などと、真意を探る体(てい)を装って彼女に甘えるような一幕も見せている(原作2巻、262ページ、273ページ、275~276ページ、短編集1巻、172ページ)。なお、その直後に優子から自身の想いを一喝されたみぞれは、同時に彼女の友人を思いやる素直でまっすぐな心根を目の当たりにして、わんわんと声を上げながら泣きついている。(原作2巻、264ページ)


優子が部長に就任して以降も、みぞれは彼女の奮闘ぶりを高く評価しており、先代の部の中心であった小笠原晴香中世古香織たちにも「優子は頑張ってます。すごく」「安心して、大丈夫です」と胸を張って答えている(原作公式ガイドブック、48ページ)。また、4月以降の新年度ではこれまで希美ひと筋だったみぞれの世界にも優子の存在が次第に占めるようになっており、そのことをみぞれの言葉からも感じ取れるようになっている(第二楽章後編、175ページ)。さらに、2年生の麗奈が優子による部の運営のあり方に異議を呈した際には、珍しく饒舌(じょうぜつ)な口調のもとに彼女の正当性を主張している。(第二楽章後編、179ページ)


中学と高校の6年間でともに吹奏楽部の活動に励み、とりわけ高校時代の3年間では自身をずっと助けてくれた優子に対し、みぞれは卒業式の日に「私、ちゃんとお礼を言おうって思ってた」と面と向かって感謝を述べている。それによって感極まった優子から立て続けに想いを述べられたみぞれは「優子のほうが、ありがとう上手。だから多分、私の負け」などと不服の意を示したものの、彼女と感謝の気持ちを交わすことができたために満足感を覚えている。(短編集2巻、16~17ページ、290~294ページ)


中川夏紀


低音パートでユーフォニアムを担当している同級生。2年生。

みぞれは夏紀のことを「夏紀」と呼んでおり、対する夏紀は「みぞれ」と呼んでいる。

同じ中学校の出身であるものの、互いに知り合ったのは北宇治高校の吹奏楽部に入部して以降になる。

普段の学生生活では同じ進学クラスに通っており、文化祭の出し物や授業風景などで一緒に活動する様子をしばしば目にすることができる(短編集1巻、182ページ、夏紀編、12ページ、170ページ、TVアニメ版2期6話、映画『リズと青い鳥』)。とりわけ、映画『リズと青い鳥』では3年生に進級したあとの夏紀とみぞれの絡みがいくつか登場しており、登校後に別れた希美を見送るみぞれの背後から近づいてきた夏紀がちょっかいを出し、そののちみぞれの手を取って教室内へとエスコートしたり、体育の授業で行われたバスケットボールにおいて交代をしり込みするみぞれに代わってコート入りし、彼女に向かってサムズアップを決めるシーンなどが確認できる。


吹奏楽部での3年間の活動、とりわけともに部の中心になった最後の1年間を通して、みぞれは夏紀の面倒見のよさや人情味に接しており、「夏紀はいい人」という素直な称賛を覚えるようになっている。夏紀本人からは謙遜(けんそん)されてはぐらかされたりしているものの、それでもみぞれは「夏紀がどう思ってるかは関係ない。私にとって夏紀はいい人だから。それ以外に何が大事?」と他意のない真摯(しんし)な想いを面と向かって告げている。(夏紀編、131ページ、173〜175ページ、181〜182ページ)


黄前久美子


低音パートでユーフォニアムを担当しているひとつ下の後輩。1年生。

久美子はみぞれのことを「みぞれ先輩」(TVアニメ版では「鎧塚先輩」)と呼んでいる。

当初は学年も所属パートも異なることから互いに接点はなかったものの、吹奏楽コンクール関西大会に向けた練習期間中に麗奈に連れられてやってきた彼女と顔を合わせたことが、互いに知り合うきっかけとなっている。その後も朝早くから夜遅くまで個人練習に打ち込むなかで同じ教室で過ごしたり、屋上で練習する希美の様子を見に行って気持ち悪さを覚えた際に偶然出会うなどしており、関西大会に向けた練習期間を通して徐々に面識を深めていく。(原作2巻、104~108ページ、125ページ)

そうして久美子と何度か顔を合わせたみぞれは、夏合宿の夜に久美子を隣に座らせて自身のコンクール嫌いの一片を明かしたり、希美と鉢合わせて逃げ出した際には後を追いかけてきた彼女に希美との経緯や自身の危うい想いを告げたりするなど、彼女を心を許しても大丈夫な相手として認識するようになり、はにかむような笑みをこぼしたり拳を突き合わせて気勢を上げたりするなどのやり取りも交わしている。(原作3巻、328~330ページ、TVアニメ版2期12話)


吉川・中川の新体制を迎えて間もなく行われた定期演奏会では、その準備期間に自身の役職である定期演奏会係の補佐を任せている。機転が利いて細かいところまで気を配る久美子のサポートにみぞれは幾度となく助けられており、その都度「私一人じゃ、無理だった」というような満足げな笑みを浮かべて彼女を労(ねぎら)っている(原作公式ガイドブック、15ページ、35ページ、134ページ)。

また、新年度のコンクールシーズンに入って以降は、自由曲『リズと青い鳥』のかけ合いや希美との進路の認識の違いなどの問題に際して、みぞれを支えようとしてくれる彼女に対して本心を明かしたり、逆にみぞれ自身の無頓着さを心配されて講釈を述べられるなど、希美との関わり方が変化していく過程においてよき相談相手として頼っている。(第二楽章後編、220~223ページ)


田中あすか

低音パートでユーフォニアムを担当しているひとつ上の先輩。3年生。

みぞれはあすかのことを「あすか先輩」と呼んでおり、対するあすかは「みぞれちゃん」と呼んでいる。

類稀(たぐいまれ)なるリーダーシップのもとに鮮やかな活躍を見せているあすかに対して、みぞれは「本当にすごい人」と尊敬を抱いており(原作公式ガイドブック、135ページ)、彼女から褒められながら頭をなでられた際には満足げな表情を浮かべながら嬉しさを実感している。(原作公式ガイドブック、54ページ)

また、2年生時の吹奏楽コンクール関西大会前に希美の復帰騒動が巻き起こった際には、副部長である彼女に直接的に保護されており、みぞれは希美の復帰をたったひとりで阻止しつつ、その理由の真相を頑なに黙秘しているあすかに対して「でも、このままじゃ、あすか先輩が悪者に」といたたまれない思いを感じている(原作2巻、193ページ)。その際の恩義もあってか、吹奏楽コンクール全国大会に向けた期間中にあすかが退部の危機に直面した際には、『あすか先輩を連れ戻すぞ大作戦』の実行者である久美子に「待ってますって、伝えてほしい」とメッセージを預けている。(原作3巻、185~186ページ)


剣崎梨々花


ダブルリードパートでオーボエを担当しているふたつ下の後輩。新1年生。

みぞれは梨々花のことを「剣崎さん」(映画『リズと青い鳥』での優子との会話では「梨々花ちゃん」)と呼んでおり、対する梨々花は「みぞれ先輩」( 映画『リズと青い鳥』では「鎧塚先輩」、のちに「みぞせんぱい」)と呼んでいる。

彼女が入部してきた当初、みぞれは1年生同士で仲良くやっている様子から心配していなかったものの(第二楽章前編、385ページ)、一方の梨々花は素っ気ない対応で口数も少ないみぞれとの付き合い方に頭を悩ませていた。しばらくして、梨々花がみぞれのことをよく知る部員(※原作小説では久美子、映画『リズと青い鳥』では希美)からアドバイスを受けて積極的に働きかけてきたことで、みぞれは戸惑いながらも彼女と言葉を交わして次第に心を開くようになっている(第二楽章前編、300ページ、夏紀編、157ページ、『新北宇治高校吹部紹介プロフィールカード(鎧塚みぞれ)』掲載の紹介文)。夏のコンクールシーズンでは、B編成部門(劇場版『誓いのフィナーレ』ではサポートチーム)のメンバーである梨々花から本番前に体調を心配されたり、逆にお盆休みのプールに誘って一緒に過ごしたりするなど、パートの先輩後輩同士の温かなやり取りを見せている。(第二楽章後編、40ページ、86ページ、劇場版『誓いのフィナーレ』)

音楽大学に合格した際には、梨々花をはじめとするパートの後輩たちから真っ白なイヤーマフをプレゼントされたほか、卒業式の日には人目もはばからず大泣きする彼女のためにハンカチを差し出すなど、自分なりに後輩を気遣う柔らかさが垣間見えるようになっている。(夏紀編、166ページ、257ページ)


新山聡美


顧問の滝昇木管楽器の部員たちの指導のために呼んでいる外部指導員。専門はフルート

みぞれは新山のことを「新山先生」と呼んでおり、対する新山は「鎧塚さん」と呼んでいる。

2年生時の夏合宿では、課題曲(TVアニメ版では自由曲)のオーボエソロを改善するために彼女からマンツーマンの密接な指導を受けていたほか、「楽器を吹くのは義務じゃないの。もっとね、楽しんでいいのよ」という彼女の心からの励ましに応えることができない自身に対していたたまれない思いを抱くような様子が登場している。(原作2巻、191~192ページ、220~221ページ)

また、翌年度の活動のなかでは、みぞれの演奏に高い可能性を見いだした彼女から音楽大学への進学を勧められるとともに、レッスンの講師を紹介されるなどといった受験に向けた環境を用意してもらっている(第二楽章前編、382~385ページ、第二楽章後編、172~173ページ、175ページ)。そのほか、コンクールシーズンでは自由曲『リズと青い鳥』のかけ合いのアプローチに悩むみぞれの前に現れてヒントを提示したり、躊躇(ためら)うみぞれをまばゆい笑顔で応援するなどしており、みぞれに変革をもたらしたキーパーソンとして登場している。みぞれはそのような彼女に対して「先生が信じてくれるなら」と見守ってくれることへの感謝を述べたり、実際の演奏で期待に応えようと強い意気込みを見せるなどしている。(第二楽章後編、220ページ、233ページ、239ページ)


岡美貴乃喜多村来南

ダブルリードパートでファゴットを担当しているひとつ上の先輩。3年生。

TVアニメ版では岡と喜多村はよくふたりで一緒に過ごしているものの、彼女たちがみぞれと絡んでいる描写は登場していない。しかし、彼女たちなりにみぞれに気を使っている模様で、みぞれに話しかけたり彼女が練習に打ち込めるように配慮していたほか、みぞれも岡と喜多村のことを「見た目によらず優しい」「いい人」と評したりするなど、それなりに良好な関係を構築している様子がうかがえる。(夏紀編、103〜104ページ、TVアニメ『響け!ユーフォニアム2』コンプリートブック、29ページ)


ダブルリードパートのメンバー一覧(原作第二楽章版)

ダブルリードパートのメンバー一覧(原作第二楽章版)

センシティブな作品

オーボエ

ファゴット

コントラファゴット


関連イラスト

関連イラスト

冬制服

センシティブな作品センシティブな作品

夏制服


パレード衣装・高校3年生時(サンライズフェスティバル)


メイド服(北宇治高校文化祭)


中学生時代


ワンピース姿(劇場版『届けたいメロディ』前売り券特典クリアファイル)


関連タグ

関連タグ

響け!ユーフォニアム リズと青い鳥 飛び立つ君の背を見上げる

オーボエ

傘木希美 - かつてフルートパートに所属していた同級生。みぞれにとって特別な存在である2年生。

吉川優子 - トランペットパートに所属している同級生。面倒見のいい2年生。

黄前久美子 - 低音パートに所属しているひとつ下の後輩。みぞれのことを気にかける1年生。

高坂麗奈 - トランペットパートに所属しているひとつ下の後輩。卓越した実力を誇る1年生。

喜多村来南 - ダブルリードパートでファゴットを担当しているひとつ上の先輩。パートリーダーの3年生。

岡美貴乃 - ダブルリードパートでファゴットを担当しているひとつ上の先輩。緩いサイドテールの3年生。

剣崎梨々花 - ダブルリードパートでオーボエを担当しているふたつ下の後輩。マイペースだが聡明な新1年生。

新山聡美 - 木管楽器の指導を担当をしている外部指導員。専門はフルート。


ぱっつん 前髪ぱっつん 青髪 青い髪


のぞみぞ - 傘木希美とのカップリング(コンビ)タグ。

優みぞ - 吉川優子とのカップリング(コンビ)タグ。

南中カルテット - 中川夏紀、吉川優子、傘木希美とのカルテット(グループ)タグ。


ヴィヴィ - 中の人&音楽&クールつながり。こちらは歌姫AIで、後半では性格が一変する。


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    平成最後のもだもだのぞみぞ。 4月末日、ついったにて上げました、 なんてことは無い徒然を、ほんの少しだけ修正したものになります。 皆さま、良い令和をお迎えになられましたでしょうか。 自分はご覧の通り、相変わらずであります。 〈20190430 ついったにて書き下ろし。〉

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鎧塚みぞれ
35
鎧塚みぞれ
35
『響け!ユーフォニアム』の登場人物、および『リズと青い鳥』の主人公。

プロフィール

プロフィール

名前鎧塚みぞれ
誕生日7月2日
身長154cm
星座蟹座
血液型AB型
担当楽器オーボエ
好きな色青、紺、灰
趣味家で飼っている猫と一緒にダラダラすること
特技音ゲー心理戦のゲームに強い
好きなものソーダ味のお菓子、炭酸ジュース
嫌いなもの電波の悪い場所
CV種﨑敦美

概要

概要

北宇治高校の2年生で、吹奏楽部に所属。ダブルリード(オーボエ&ファゴット)パートでオーボエを担当している。

つねに無表情で感情をあまり表に出さず、人見知りな性格も相まって部内でも親しい人間はそれほど多くはない。毎日朝早くから夜遅くまで黙々と基礎練習に打ち込んでおり、その正確性を極限まで追求した演奏の腕前は、副部長の田中あすかをはじめとする多くの部員たちから一目置かれるところとなっている。

かつて強豪として知られる南中学校の吹奏楽部で活動していたみぞれは、フルートを担当する親友の傘木希美を追いかけるようにして北宇治高校の吹奏楽部に入部した。しかし、その当時の部の環境に耐えかねた希美が反発の末に退部してしまったためにみぞれは心に深い傷を負ってしまい、豊かな表現力を帯びていた演奏も感情の欠落した淡白なものへと変わってしまった。そんな彼女は、部内唯一のオーボエ奏者というポジション、そして胸のうちに秘める希美への複雑な想いによって、翌年の夏に巻き起こった希美の部活復帰をめぐる一連の騒動のなかで重要な役割を担うことになる。


人物

人物

容姿

原作小説およびコミカライズ版では涼やかに切りそろえられた短めの黒髪(原作2巻、52ページ、179ページ、原作3巻、56ページ)、TVアニメ版では青みがかった長髪ぱっつんの前髪と、それぞれに異なるキャラクターデザインがなされている。しかし、いずれの場合も「可愛らしいというよりかは、綺麗という形容が似合う」(原作2巻、53ページ)というような、繊細で儚(はかな)げな印象をたたえているという点で共通している。また、夜の海や深海の底を思わせるような暗くて感情の見通せない瞳、血の気のない白く透き通った肌やまっすぐに結ばれた薄桃色の唇など、彼女を構成する一つひとつのパーツも精巧な作り物を思わせるような美しさと無機質さを内包したものとなっている。(原作2巻、105ページ、223ページ、255ページ、321ページ、第二楽章後編、9ページ、180~181ページ、221ページ)

なお、繊細かつ華奢(きゃしゃ)な印象の強いみぞれであるが、彼女の真っ白な肌や太ももの柔らかさを描写した場面がいくつか登場しているほか(原作2巻、256ページ、261ページ)、TVアニメ版のキャラクターデザインを手がけた池田晶子も、第2期の公式コンプリートブック所収のスタッフインタビューのなかで「このタイプの子特有の、少しもったりした感じの生っぽい体つき」を意識しながら作ったことを述べている。(TVアニメ『響け!ユーフォニアム2』コンプリートブック、90ページ)


性格

淡々としたマイペースな性格であまり感情を表に出さず、その口数の少なさと無表情さによって、低音パートの1年生である黄前久美子をはじめとする部の仲間たちからは「人形みたいだ、全然感情がつかめない」というような印象を抱かれている。(原作2巻、38ページ、53~54ページ、211ページ、原作3巻、55~56ページ、短編集1巻、184ページ)

生来の人見知りである彼女は見知らぬ相手と話すことに苦手意識を覚えており、持ち前の警戒心によって他者から向けられる好意をすぐに受け止めることはできない(原作2巻、256ページ、短編集1巻、165ページ、原作公式ガイドブック、15ページ、76ページ、第二楽章前編、149~150ページ)。しかし、長い月日をともに過ごしたり何度も顔を合わせるような相手に対しては、心を開いて彼女なりの信頼を置いたり、独特の感性によるノリのよさを明かすなどしている。(原作3巻、330ページ、原作公式ガイドブック、89~90ページ、短編集2巻、16~17ページ、294ページ)


自身のなかだけで世界が完結していることもあり、彼女はときおり意図のさっぱりつかめない話題を並べたり、相手の予想していない角度から自分なりの答えを返したりしている(短編集2巻、17ページ、189〜191ページ、293〜294ページ、夏紀編、15〜16ページ、176ページ、187ページ)。また、人見知りな性格からくる自己肯定感の低さを逆手にとり、周囲から差し伸べてくれる助けに甘えるような無垢さ(あすかはこれを「ズルい性格」と評している)もうかがうことができる。(原作2巻、275〜276ページ、夏紀編、154〜155ページ、180ページ)


家庭環境

みぞれの家は北宇治高校の近くにあり、立地上の利を活かす形で毎朝6時前から自主練習のために登校している。(原作3巻、172ページ、第二楽章前編、280ページ、最終楽章前編、134ページ)

家族や家の外観・内装にまつわる話は作中に登場していないものの、小さいころからピアノの稽古に通っていて家には学校にあるものと同じタイプのグランドピアノが置かれていることや、値が張るオーボエを部活用のマイ楽器として親から購入してもらったこと、そして音楽大学を将来の進路に選ぶにあたってレッスンや学費の用意などの環境を整えてもらったことなどから、「みぞれ先輩お嬢様説」を信じる部員もちらほらと出てきている。(第二楽章後編、74~75ページ、夏紀編、12ページ、59ページ、171〜172ページ、207〜208ページ)


その他

  • 好きな色は青色紺色。作中でも、水色のハンカチや濃い青色のヘッドフォン、バイオレットカラー(菫色)のゲーム機などを持っている様子が登場している。(原作2巻、105ページ、第二楽章後編、171ページ、181ページ)
  • 遊園地のアトラクションでは絶叫マシン系を好む傾向があり、音楽大学を受験後に仲良しの4人組で出かけた遊園地では、ジェットコースター急流すべりにそれぞれ3回ずつ乗ったのちに5回連続でフリーフォールに乗り込み、それでもなおケロリとした表情を浮かべている。(夏紀編、168〜169ページ、178ページ)
  • 特技は音ゲーリズムゲーム)。超絶技巧と正確性を追求する彼女らしく、挑戦する曲は片っ端からパーフェクトクリアを叩き出している。(原作2巻、177ページ、181ページ、第二楽章後編、172ページ)
  • 音を捉える聴力も抜群であり、久美子の耳につけられているイヤフォンから漏れる音楽を聞いて曲名を当てたり、先輩の田中あすかの饒舌(じょうぜつ)なコメントを一字一句たがわず書き記すなどといった離れ業を披露している(原作2巻、177~178ページ、原作公式ガイドブック、46ページ、49ページ、53~54ページ)。また、劇場版『誓いのフィナーレ』でも、部長の吉川優子が黒板に文字を書いた際の引っかき音に身をすくませる様子が登場している。
  • 部活の皆でカラオケに行った際のエピソードとして、自ら歌うことはない代わりに終始タンバリンを叩いて楽しんでいた様子が語られている。(夏紀編、24ページ)
  • 原作小説の作中では、数少ない標準語の話し手として登場している。本人いわく、埼玉県にいる従姉妹と話をした影響で伝染(うつ)ってしまったと語っている。(原作2巻、125ページ)
  • みぞれのどこか儚げで愛らしさを感じさせる容姿と無口で小動物的な性格とが相まって、高坂麗奈の中の人(安済知佳)やファンの一部からは「みじょれ」「みじょれ先輩」などと呼ばれている。

演奏技術

演奏技術

概要および高校2年生時

毎朝一番に音楽室に来てオーボエの練習に励んでいるなど、もっとも熱心に練習している部員のひとりであり(原作2巻、38ページ、原作3巻、172ページ、第二楽章前編、281ページ、『響け!ユーフォニアム』DVD&BD4巻ブックレットのパート紹介)、部内でも指折りの高い実力を誇っている。

とくに彼女の連符に対する執着は尋常ではなく、配布されている基礎練習用の曲の速いパッセージの部分を何度も繰り返し練習している。その正確さと集中力は見る者が舌を巻くレベルであり、一切狂いのない指先の動きは機械の作業を見ているようにも思えるほどである。(原作2巻、83~84ページ、夏紀編、224ページ)

一方、演奏そのものの表現力に関しては、中学時代から高校1年生当時にかけては「すごい情熱的で、楽しそうな音だして、感情爆発って感じだった」(原作2巻、246ページ、TVアニメ版2期4話)というような喜びに満ちあふれたものであったものの、当時の上級生への反発を機に希美が吹奏楽部を去ってしまってからは、自身の「音楽」を聴かせる唯一の相手がいなくなったショックと楽器を辞めたら彼女との縁が切れてしまうという強迫観念の二重苦によって、色味のない淡白なものへと変わってしまう(原作2巻、257~258ページ)。機械じみた超絶技巧はそのままに、一切の感情が欠落したみぞれの演奏は、「なんか物足りない気がする」(原作2巻、52ページ、TVアニメ版2期1話)や「ぶっちゃけつまらん。まるでロボットが吹いてるみたいだ」(原作2巻、188ページ、TVアニメ版2期3話)などといった感想を寄せられるものの、当のみぞれも自身だけでは解決策を見いだせないために、その無感情な演奏のまま平行線をたどることになる。


しかし、のちに希美が部に復帰を果たし、みぞれとの親密な関係を修復するようになると、みぞれは「希美のためのもの」である自身の音楽をふたたび目覚めさせ、湧き上がる豊かな感情のもとにしっとりとした甘く繊細な調べを奏でるようになる(原作2巻、271ページ)。かねてからの超絶技巧にほとばしる情熱を乗せたみぞれの演奏は、部員たちのみならず顧問などの指導部さえも魅了させるとともに、北宇治高校吹奏楽部のコンクールにおける決定打としても華々しい活躍を見せている。(原作2巻、296ページ、原作3巻、340~341ページ)


高校3年生時

吉川・中川の新体制発足から半年が経ち、艶(つや)やかな表現力と機械じみた超絶技巧をさらに磨き上げたみぞれは、部内の誰もが認めるほどの実力者のひとりとして名を連ねるようになる(第二楽章後編、24ページ、夏紀編、159〜161ページ)。かねてから息をするように基礎練習に取り組んできたみぞれは、同級生である優子から「音楽大学に進んでそのまま海外の楽団に入っているようなイメージがある」といった冗談を言われたこともあったが(短編集1巻、170~171ページ)、このころになると外部指導員の新山聡美もみぞれの持つ才能と実力に注目するようになり、「あなたのその才能がここで終わるのは、あまりにももったいない」として、実際に音楽大学への進学を勧めるようになっている。(第二楽章前編、384ページ)

しかし、2年前に希美が退部した際のトラウマを完全に払拭(ふっしょく)しきれていないみぞれは、「いつかまた、希美が自分の前からいなくなってしまうかもしれない」という不安から、吹奏楽コンクールの自由曲『リズと青い鳥』の第3楽章にある希美のフルートとのかけ合いに、自身の想いと実力のすべてを乗せきれないでいた。(第二楽章前編、12~13ページ、第二楽章後編、83~84ページ)

(なお、このフルートとのかけ合いにブレーキをかけている要因としては、希美に対するトラウマのほか、当該部分のかけ合いを曲の元になった物語の登場人物たちに重ね合わせていたことも大きく影響している。※第二楽章後編、180~181ページ)


最愛の相手を自らの手から解き放つ」という物語の登場人物の行動を理解できず、それゆえにオーボエの演奏も模範的なものに留まっていたみぞれのもとに、彼女の様子を見かねた外部指導員の新山が訪れる。新山はソロの吹き方がわからないと悩むみぞれに対して、曲に対するアプローチそのものを変えてみるという手法を提案し、物語のなかで青い鳥を解き放つリズの視点ではなく、リズの元を離れることを受け入れる青い鳥の視点から演奏を組み立てることをみぞれに勧めた(第二楽章後編、229~233ページ)。この新山とのやり取りを通して青い鳥の視点から曲の流れを見つめ直したみぞれは、「最愛の相手の望みを受け入れることによって、自らの愛のあり方を示す」というアプローチのもとに持てる想いと技術のすべてを乗せた演奏を披露し、かけ合いの相手である希美のそれを遥かにしのぐほどの圧倒的な表現力をもって全体演奏の流れを破綻(はたん)させるまでに至っている(第二楽章後編、237~240ページ)。その際に見せた圧巻の演奏技術と表現力は、希美や久美子といった部員たちはもちろん、プロの音楽家である外部指導員の橋本真博や新山たちも「これは…… とんでもないもん掘り起こしたね」とうなり声を上げながら認めるほどのものであった。(第二楽章後編、239ページ)


その他

彼女の吹くオーボエのモデルは、フルオートマチックのオクターブ・キー・システムやリードの差し込み口の特徴から、YAMAHA YOB-432と推測されている。

中学生のころに両親に買ってもらったもので、まめに手入れをしているために高校生になった現在でも新品同様の輝きを放っている。(原作3巻、186ページ、短編集1巻、168ページ、短編集2巻、188ページ、夏紀編、12ページ、59ページ)


経歴

経歴

中学生時代


南中学校に通っていた当時、仲のいい友達もなくひとりぼっちだったみぞれは、ある日同級生の希美の誘いを受けて吹奏楽部に入部する。そこで彼女は新たにオーボエを始め、聴衆を楽しませる演奏や吹奏楽コンクールへの挑戦に打ち込むとともに、自身を誘ってくれた希美と過ごす日々に充実した想いを実感するようになる。(原作2巻、90~91ページ、255~256ページ)

南中学校の吹奏楽部は京都府内でもそこそこ名の知れた吹奏楽部の強豪校であり、みぞれの在籍中も関西大会で金賞や銀賞を獲得するなど華々しい成果を手にしていた(原作2巻、11ページ)。それでもさらに上の「全国大会出場」を望むみぞれは、過去の結果を通して慢心や努力不足といった要因を洗い出すとともに、新部長となった希美の「来年はマジで全国行こうな」という意志に同調するようにして懸命に練習に励んでいる。(原作2巻、11~12ページ)


吹奏楽コンクールの全国大会出場を果たすため、南中学校の吹奏楽部は自由曲に高難度の大曲(原作小説では『ダフニスとクロエ』第2組曲、TVアニメ版では『ダッタン人の踊り』)を選んで京都大会(府大会)に挑む。しかし、部員たちの熱い想いとは裏腹に、南中学校には非情にも銀賞の評価が下され、関西大会にさえ進めないまま幕引きを迎えてしまうことになる。この不条理な現実を突きつけられたみぞれは、「コンクールって、なんなんだろう」とあふれ出しそうな感情に対する自問を繰り返した末に、努力が報われない非情な現実を認めて「コンクールなんて大嫌い」とチャレンジ精神や達成感といった要素から目を背けるようになっている。(原作2巻、9~11ページ、13~15ページ、183ページ)


高校1年生時


自身の将来に興味がなく、「希美が受けるから」という理由で彼女とともに北宇治高校に進学を果たしたみぞれは、そのまま彼女に誘われるようにして同校の吹奏楽部に入部している。その背景には、希美のあとを盲目的に追従するみぞれ自身の意思のほかにも、部活という共通項がなくなってしまったら彼女との縁も切れてしまうのではないかという恐怖心も存在していた。(原作2巻、178ページ、257ページ、第二楽章前編、383ページ)

希美と一緒に過ごすためだけに吹奏楽部を続けていたみぞれだったが、当の希美は部内のだらけきった環境に耐えかねてほかの1年生とともに上級生たちに反発を起こし、その末に現体制に見限りをつけて退部してしまう。その当時コンクールのA編成部門のメンバーとして活動していたみぞれは希美たちの動きを知るよしもなく、同じパートの先輩から事情を知らされるころにはすべてが終わってしまっていた(原作2巻、151ページ、短編集1巻、165~166ページ、夏紀編、78〜79ページ、82ページ)。希美から何も告げられないまま去られてしまったみぞれは、深いショックを覚えるなかで彼女に対するさまざまな対処を考えたものの、結局は動くことそれ自体に恐怖を感じ、「楽器だけが、私と希美をつなぐもの。もし私が下手くそになったら、希美に用済みと思われる」という強迫観念のもとに部に残って楽器を続けることを選び取っている(原作2巻、257~258ページ、短編集1巻、167ページ)。そしてその後は、自身と同じく部に残った優子に支えられつつ、将来に対しても音楽に対しても空虚な思いを抱いたまま技術を維持するためだけの日々を送ることになる。(短編集1巻、170~171ページ)


高校2年生時


翌年の4月に2年生に進級したみぞれは、時を同じくして就任した新顧問・滝昇の指導のもと激変する環境に身を置くことになるものの、持ち前のマイペースさによって部内の情勢に関心を抱くことはなかった(原作2巻、84~85ページ、夏紀編、285ページ、TVアニメ版2期1話)。また、滝の采配と部員たちの努力によって吹奏楽部が京都大会の金賞と関西大会への出場権を獲得した際にも、その結果は嬉しく思いつつも「辞めていった子たちに申し訳なかった。喜んでいいのかなって」というような後ろめたさを覚えている。(原作2巻、263ページ)

部が関西大会に向けて舵を切り、全国大会出場を見据えた厳しい練習が重ねられるなかで、みぞれはたびたび「私、コンクール嫌い。不平等だから」とかつて中学時代に味わった苦い思い出を振り返りながら持論を展開したり、いちばんの親友である希美が去ってもなお”音楽”を続けていることの理由を問われて「わからない。もう、何もわからない」と空虚な思いを明かすなどしている(原作2巻、179~182ページ)。そして、みぞれが希美と偶発的に鉢合わせ、現実と向き合うことを恐れて逃げ出した際には、希美に執着するだけだった自身の過去を振り返るようにして「コンクールなんて、なくなってしまえばいい。そしたら、希美がいなくなることもなかった。評価に納得いかなくて、泣くこともなかった。馬鹿みたい。こんなものにみんな夢中になるなんて」などと吐き捨て、吹奏楽コンクールに対する強い恨みを垣間見せている。(原作2巻、259ページ)


しかしそののち、優子の強い支えや希美との和解を経たことにより、みぞれは仲間がいることの力強さや安心感を実感するとともに自身の音楽に対する情熱を取り戻す。かつてのような感情爆発の演奏者へと覚醒を果たしたみぞれは、吹奏楽コンクール関西大会の本番において「希美のための演奏」を余すところなく披露し、北宇治高校吹奏楽部の関西大会金賞と全国大会出場という栄えある結果の獲得に貢献している。この華々しい結果を告げられたみぞれは、自身と部員全員の努力と意志が実を結んだ現実を強く噛み締め、「……たったいま、好きになった」という満面の笑顔とともにコンクールに対する意識を改めている。(原作2巻、321ページ、TVアニメ版2期5話)


新体制発足


コンクールシーズンの終了とともに3年生が引退し、2年生の吉川優子中川夏紀をツートップとする新体制が始まると、みぞれは新たに定期演奏会係を任せられることになる。もっとも、同役職は定期演奏会の実施に向けた多岐にわたる仕事とさまざまな係との調整が求められるために、みぞれの人見知りな性格を知っている優子と夏紀は1年生の久美子を係の補佐役として宛がっている(原作公式ガイドブック、6~9ページ)。12月の下旬から動き出したみぞれと久美子の定期演奏会係は、部員たちに対して演奏希望楽曲のアンケートを募ったり、優子たち幹部の面々を交えたなかでプログラムの意見をまとめるなどしたほか、衣装係や宣伝係、ステージ構成係などと各種の調整を行うなど、準備の進捗(しんちょく)状況や部員たちからの要請を受けて忙しなく飛び回りながら仕事にあたっている。(原作公式ガイドブック、12~15ページ、29~35ページ、62ページ、64~65ページ、73ページ)

また、演奏会の要であるプログラム構成については、当初は集められた希望楽曲の組み合わせに悩み、久美子とともに頭を抱えていたものの(原作公式ガイドブック、40~41ページ)、部活に顔を出しにきたあすかの「曲を決める権限があるんだから、好きなように決めればいい」という助言を受けたことによって、みぞれ自身の独断と偏見に基づいた選曲に踏み切っている(原作公式ガイドブック、44ページ、56~57ページ)。そうして出来上がった演奏会のプログラムは「子供も大人も、聞きに来た人が楽しいって思える演奏会」をテーマとして掲げるとともに、希美や久美子、優子や夏紀といった部の仲間たちの希望を公平に取り入れた構成になっている。(原作公式ガイドブック、56~62ページ)


なお、みぞれは定期演奏会係として業務全般にあたるのみならず、企画の実施者としても積極的に参加しようとする姿勢を見せており、演奏会の第3部で『浦島太郎』のパフォーマンスが企画された際には真っ先にカメの役に名乗り出ている。続く役職希望者が現れずに企画断念の話が持ち上がり、みぞれはいっときあからさまに落胆するものの、そのような彼女を気の毒に思った優子の希望によってパフォーマンスは可決される運びとなった。その後日、企画を受けた衣装係から渡された甲羅とカメの衣装を着たみぞれは、無表情のまま飛び跳ねたりカッコいいポーズを決めたりしており、「意外にノリノリだな」という印象を周囲の部員たちに与えている。(原作公式ガイドブック、89~91ページ)


高校3年生時


ダブルリードパートのリーダーとして4月からの新年度を迎えたみぞれは、新たオーボエ担当の剣崎梨々花をはじめとする3名(原作小説では2名)の新1年生たちと関わることになる。当初は口数の少ない自身と一緒にいて退屈していないか気にかけていたものの、1年生同士で仲良くしている様子を見るにつれて自身が気にする必要はないかもしれないと思うようになる。(第二楽章前編、385ページ)

(なお、後輩側から見たみぞれの対応は素っ気ないものであり、新1年生の梨々花はみぞれとの関わり方を教わるために低音パートの久美子(映画『リズと青い鳥』では希美)に相談を持ちかけている)

新しい後輩たちとのコミュニケーションを通して次第に希美以外の世界にも興味を持つようになったみぞれは、お盆休みのプールや夏のオープンキャンパスなどの機会に自分から他者に関わるような動きを見せており、その成長と変化ぶりで周囲を驚かせている。(第二楽章後編、130ページ、173ページ、夏紀編、157ページ)


また、4月の終わりにはみぞれの才能を見込んだ外部指導員の新山から音楽大学への進学を勧められている。彼女から説明を受けていたときはあまり心を動かされなかったみぞれであったが、練習に帰る途中でばったり会った希美が「うち、ここの音大受けよっかな」と新山が勧めてくれた音楽大学への希望を口にしたのを聞いて、「その隣を歩きたい。一緒にいたい」という意欲を湧かすようにして音楽大学を進路先に定めることになる。(第二楽章前編、382~387ページ、夏紀編、128〜129ページ)

以降のみぞれは、吹奏楽コンクールに向けた練習に取り組むかたわら新山が紹介してくれた先生のもとでオーボエのレッスンを受けたり、入試対策のためにピアノの練習や音楽理論の勉強に打ち込んでいる(第二楽章後編、72~73ページ、173ページ、夏紀編、129ページ)。なお、みぞれ本人は、3年生になってから音楽大学の入試対策を始めることの期間的な余裕のなさや、希美が音楽大学の入試に失敗したりほかの進路を選ぶ可能性などをさっぱり考えておらず、久美子をはじめとする部の仲間たちからそのことを指摘されて初めて「……考えたこと、なかった」などと途方に暮れる様子であった。(第二楽章後編、72ページ、135~136ページ、174ページ、176ページ、221~223ページ)


コンクールの自由曲『リズと青い鳥』のかけ合いの再構築と、それを機にみぞれと希美がそれぞれの道を進む決意を固めるようになってからは、みぞれはたくさんの自問の末に自分自身のために音楽大学へ進むことを決め、「希美がいなくても、私、オーボエを続ける。音楽は、希美が私にくれたものだから」とその本心を明かしている(第二楽章後編、361ページ)。希美から離れて独り立ちする覚悟を決めたみぞれは、自身の部活からの引退後に行われたアンサンブルコンテスト部内予選への誘いを受けた際にも、それが希美の誘いであることを認識しつつも受験を優先させるために「私は出ない」ときっぱりと断るなど、ひとりの人間として自身の人生を歩もうとする姿勢をうかがうことができる。(短編集2巻、238~239ページ)


引退後


周囲の人間の協力とこれまでの膨大な練習量に裏付けられた実力が実る形で、みぞれは無事に志望先の音楽大学に推薦枠での合格を果たしている(短編集2巻、14ページ、最終楽章前編、134ページ、264ページ、夏紀編、127〜128ページ)。優子や希美、夏紀といった親友たちからの祝福を受けたみぞれは、彼女たちとともに平日の遊園地で一日中遊び回ったり、軽音部の卒業ライブに前座として参加することになった夏紀と優子を応援するために彼女たちのバンド幕の作成を手伝ったりするなど、卒業までの時間を有意義に過ごしている。(夏紀編、135〜136ページ、199ページ、232ページ)

北宇治高校を卒業し、4月から音大生となったみぞれは、その年の8月に行われた新入生によるオーケストラ編成のコンサートにも出演しており、『ダフニスとクロエ』をはじめとするプログラムのなかでソロをはじめとする立派な活躍を見せている。その新入生ながら堂々とした演奏ぶりに、久しぶりに彼女の姿を目にした希美や優子たちからは「音大で通用するか心配していたけど、杞憂やったみたいやね」などといった深い感慨を抱かれている。(最終楽章後編、81~83ページ)


傘木希美との関係

傘木希美との関係

概要および中学生時代~高校2年生時


かつてフルートパートに所属していた同級生。2年生。

みぞれは希美のことを「希美」と呼んでおり、対する希美は「みぞれ」と呼んでいる。

まだ中学生だった当時、仲のいい友達もなくずっとひとりきりだったみぞれは、ある日希美に声をかけられて吹奏楽部に入部したことをきっかけに「毎日が変わった。希美といると、楽しかった」(原作2巻、256ページ)と充実した思いを実感しており、そのような日々をもたらしてくれた彼女を「何にも代えがたい特別な存在」として意識するようになる(原作2巻、256ページ、原作公式ガイドブック、215ページ)。しかし、明るい性格で友達も大勢いる希美にとって、みぞれはあくまで「たくさんいる友達のなかのひとり」に過ぎず、彼女はその互いに対する熱量の違いを次第に苦しく思うようになる。(短編集1巻、170ページ)


その熱量の違いは、北宇治高校に進学して吹奏楽部に入部し、その当時の部の体質を理由に希美がみぞれに何の断りもないまま退部したことにより、さらにより強くこじれることになる。当時のみぞれは希美が退部していることすら夢にも思わず、先輩からその話を聞かされて初めてその事実を知った。そこでみぞれは、希美にとっての自身が「報告するほどの間柄ですらない」ものであると思い込み、それでもなお大切な友達として彼女を求めてしまう自身の熱量との落差に「気持ち悪い。こんなふうに友達に執着するなんて」と吐き気をもよおすほどの強い感情を抱くようになる。(原作2巻、105~108ページ、257~259ページ、夏紀編、153〜154ページ)

(もっとも、希美が退部時にみぞれに声をかけなかった理由のひとつに「みぞれが真面目に練習していたから」というものがあるのだが、そのみぞれの真面目な練習の原動力となっていたのは「希美によりよい音楽を聴かせたい」という想いであり、それが皮肉にも両者のすれ違いを生んだ一因となっている)


希美が部活を去ってもなお、みぞれは彼女との唯一の接点である楽器を手放せず、それでいて美しい音色を奏でる理由を失ったままオーボエ担当のポジションに残り続けていた。そんななか、滝昇が新任顧問に就任して部の体質が変わり、確かな実力を身に付けて関西大会への進出を決めるようになると、部から離れていた希美がもう一度部活に戻りたいとやって来るようになる。みぞれはそんな希美に「相談ひとつしない、その程度の存在」と拒絶されることに恐怖を覚え、その現実と向き合うことを極度に恐れるようになってしまう。


吹奏楽コンクール関西大会の直前に希美は偶発的にみぞれと再会するが、そのあまりに突発的な出来事にみぞれは驚き、思わずその場から逃げ出してしまう。みぞれは自身を探して追いかけてきた久美子や優子に対し、希美との関係性から生まれたトラウマを告白するものの、逆に優子からの励ましと慰めを受けて、希美と向き合って真実を知ることを決意する。そうして希美と対面したみぞれは、希美が退部の際に声をかけなかった本当の理由を知り、同時にいままで勝手な思い込みから彼女をずっと避けていたことを謝る。そんなみぞれに、希美は府大会での彼女たちの活躍を心から素晴らしいと思ったこと、そしてみぞれの奏でるオーボエをもう一度聴きたいと語り、みぞれはその申し出に笑顔で応えた。



みぞれと希美の互いに対する熱量の差は変わらないままであったものの、いままでのすれ違った感情や思い込みが解けたことにより、ふたりはかつての「一緒にいて楽しかった」ころの関係を取り戻すことに成功した。(原作2巻、267~269ページ、原作公式ガイドブック、215ページ、夏紀編、156ページ)

その後は、希美に向ける熱量をそのままオーボエの音色に込めて情熱的な演奏を披露したり、「下手だと、希美に笑われちゃうから」「金賞だったら、希美が褒めてくれるから。だから、頑張る」などと、楽器の演奏と希美からの好意をダイレクトに結びつけるなど、彼女の存在を第一に意識しながら日々を過ごす様子を見て取ることができる。(原作3巻、56ページ、329~330ページ)


高校3年生時


吉川・中川体制の新年度が始まって以降、みぞれと希美のふたりは部内でも指折りのトップ奏者として部員たちに認められながら、特に表立った決裂を生じさせることもなく日々の練習に打ち込んでいた。

そのようなゴールデンウィークのある日、吹奏楽部の外部指導員である新山聡美がみぞれを呼び出し、みぞれの才能にさらなる可能性を感じていることを明かすとともに、その可能性を飛躍させるために音楽大学への進学を勧めた。将来に希望のなかったみぞれは、新山の提案に答えを出せないまま大学のパンフレットを貰って退室するが、その途上で偶然希美と鉢合わせる。みぞれの持っていた音楽大学のパンフレットを読み、それを新山から貰ったことを聞かされた希美は、不意に「私、ここの音大受けようかな」と口にする。その言葉を受けたみぞれは、希美と一緒の進路を選びたいという純粋な想いから「希美が受けるなら、私も」と、彼女に音楽大学への進学意志を告げた。(第二楽章前編、382~387ページ)


吹奏楽部がコンクールシーズンに入り、自由曲『リズと青い鳥』の練習が始まるようになると、みぞれと希美はそれぞれ曲の題材となった物語を読み、曲中の見せ場として登場するオーボエフルートのかけ合いを通して「なんかちょっと、私たちみたいだな」と、自分たちふたりと物語の登場人物たちの境遇を重ね合わせるようになる。最愛の相手から別れて飛び立った青い鳥に、かつて自身のもとから離れていった過去を持つ希美の姿を重ねたみぞれは、「本番なんて、一生来なくていい」と、希美と過ごす幸せな日々に終わりが来ることを恐れるようになる(第二楽章前編、12~13ページ) 。物語の世界を楽曲に移し込もうとするあまり、みぞれは最愛の相手を自らの手で解き放つリズの想いを理解できずに苦しむようになる。結果としてみぞれの演奏は感情的で奔放な希美のそれと噛み合うことはなく、模範的な形に留まり続けることになった。一方の希美は、そんなみぞれを「がんばれ」と応援しつつも、拮抗(きっこう)する実力同士による対等なかけ合いの形を模索しようとしていた。


そのような折、演奏の表現に悩むみぞれのもとに外部指導員の新山が訪れ、曲に対するアプローチを変えてみることを提案する。青い鳥を見送ったリズの視点ではなく、リズの選択を受け入れる青い鳥の視点から演奏を組み立てることを決めたみぞれは、全体合奏の場において希美のそれを遥かにしのぐほどの圧倒的な演奏を披露した。これを受けて、これまでみぞれと自身は対等な演奏者同士と思い続けていた希美は深い衝撃を受け、絶望による嗚咽(おえつ)の末に「みぞれの魅力を自分がすくい上げる」形としてのかけ合いをすることを心に決めるようになる。(第二楽章後編、250ページ、254~255ページ)


合奏練習の終了後、みぞれは希美とふたりきりで話をする機会を得る。みぞれとのあいだにある歴然とした実力差を自覚している希美は、みぞれに黙って音楽大学を進路から外したことを打ち明けるとともに、自身はみぞれのように特別な人間ではないことを告げた。しかし、そんな彼女を「希美は、いつも勝手」の一声で制したみぞれは、中学時代からいままでずっと、希美に見放されたくない一心で部活も楽器も続けてきたことを明かす。自身にとっての特別な存在である希美とずっと一緒にいることだけを望むみぞれの想いに触れることとなった希美は、しかしそれでも「自分は賞賛されるような人間ではなく、むしろ軽蔑されるべき」の姿勢を崩そうとしなかった。あくまでも突っ張ろうとする希美に対して、みぞれは「大好きのハグ」によって彼女に直接気持ちを伝えることを試みる。



希美にその身を預けきったみぞれは、自身の人生が希美との出会いをきっかけに変わったことを感謝するとともに、そんな希美のリーダーシップや明るく楽しそうな振る舞い、そして希美のすべてが好きであると告白する。一方、みぞれの想いのすべてを受け止めた希美もまた、みぞれのひたむきな努力家精神、そしてその結晶であるオーボエの音色が好きであることを打ち明けた上で、「ありがとう」の優しい一言のもとに彼女を押し戻し、別れて帰宅の途についている。(第二楽章後編、301~307ページ)



吹奏楽コンクールの自由曲「リズと青い鳥」のかけ合いと、それぞれの進路を巡る複雑な思惑を経て、みぞれと希美の互いを想う感情の天秤は一方通行という形でありながらも釣り合いを見せるようになった(第二楽章後編、250ページ)。また、みぞれと希美のそれぞれが別々の道を歩むことを自覚し、それを互いに認め合うようにもなっており、希美のもとから離れて音楽大学を目指すことを決めたみぞれは「希美がいなくても、私、オーボエを続ける。音楽は、希美が私にくれたものだから」と、自分自身の道を選ぶことに対する決意を明らかにしている。(第二楽章後編、361ページ)

あわせて、これまで希美の後ろを盲目的に追従するだけだったみぞれの姿勢にも変化が見られるようになり、希美に面と向かって自身の素直な意見を述べたり、自身の生き方に基づいた明確な拒否を告げるなど、対等な友人同士の関係を構築しようとする様子を見て取ることもできる。(短編集2巻、16~18ページ、238~239ページ)


自身の卒業を控えたある日、みぞれは夏紀とふたりきりで話す機会を得て、彼女から希美をどう思っているかを問われている。みぞれはそのなかで、希美のことを迷いなく「友達」と答えたほか、彼女から受け入れられるかどうかをおびえて勝手に苦しんでいた自分自身が嫌いだったことも打ち明けている。そして、夏紀の「それって、恋とは何が違うん?」という感想に触れたみぞれは「そうだったらよかったのに」という、付き合いたいとか結婚したいとかいう動機だったら希美を諦めることができたという達観ぶりを口にするとともに、「ただ、一緒にいたかっただけ。でも、それがいちばん難しい。人間は、理由もなく一緒にはいない」と、これまでの自身と希美の関わりを振り返っている。(夏紀編、182〜185ページ)


その他の主要キャラクターとの関係

その他の主要キャラクターとの関係

吉川優子


トランペットパートに所属している同級生。2年生。

みぞれは優子のことを「優子」と呼んでおり、対する優子は「みぞれ」と呼んでいる。

中学時代からともに吹奏楽部の活動に励んできた仲であるものの、中学生だった当時は誰に対しても物怖じすることがなく、明確に意思表示ができる彼女のことが苦手であった(短編集1巻、167~168ページ)。優子と親しくなったのは、物語の1年前に起こった当時の1年生(現在の2年生)の大量退部の一件のあとであり、それ以降はふたりで行動することが多くなった。希美を失ったみぞれにとって優子の存在は無自覚的に心の支えになっており(あすかはこれをみぞれにとっての「保険」と称している)、「優子は、私がかわいそうだから、優しくしてくれただけでしょう? 同情、してるだけ。違う?」などと、真意を探る体(てい)を装って彼女に甘えるような一幕も見せている(原作2巻、262ページ、273ページ、275~276ページ、短編集1巻、172ページ)。なお、その直後に優子から自身の想いを一喝されたみぞれは、同時に彼女の友人を思いやる素直でまっすぐな心根を目の当たりにして、わんわんと声を上げながら泣きついている。(原作2巻、264ページ)


優子が部長に就任して以降も、みぞれは彼女の奮闘ぶりを高く評価しており、先代の部の中心であった小笠原晴香中世古香織たちにも「優子は頑張ってます。すごく」「安心して、大丈夫です」と胸を張って答えている(原作公式ガイドブック、48ページ)。また、4月以降の新年度ではこれまで希美ひと筋だったみぞれの世界にも優子の存在が次第に占めるようになっており、そのことをみぞれの言葉からも感じ取れるようになっている(第二楽章後編、175ページ)。さらに、2年生の麗奈が優子による部の運営のあり方に異議を呈した際には、珍しく饒舌(じょうぜつ)な口調のもとに彼女の正当性を主張している。(第二楽章後編、179ページ)


中学と高校の6年間でともに吹奏楽部の活動に励み、とりわけ高校時代の3年間では自身をずっと助けてくれた優子に対し、みぞれは卒業式の日に「私、ちゃんとお礼を言おうって思ってた」と面と向かって感謝を述べている。それによって感極まった優子から立て続けに想いを述べられたみぞれは「優子のほうが、ありがとう上手。だから多分、私の負け」などと不服の意を示したものの、彼女と感謝の気持ちを交わすことができたために満足感を覚えている。(短編集2巻、16~17ページ、290~294ページ)


中川夏紀


低音パートでユーフォニアムを担当している同級生。2年生。

みぞれは夏紀のことを「夏紀」と呼んでおり、対する夏紀は「みぞれ」と呼んでいる。

同じ中学校の出身であるものの、互いに知り合ったのは北宇治高校の吹奏楽部に入部して以降になる。

普段の学生生活では同じ進学クラスに通っており、文化祭の出し物や授業風景などで一緒に活動する様子をしばしば目にすることができる(短編集1巻、182ページ、夏紀編、12ページ、170ページ、TVアニメ版2期6話、映画『リズと青い鳥』)。とりわけ、映画『リズと青い鳥』では3年生に進級したあとの夏紀とみぞれの絡みがいくつか登場しており、登校後に別れた希美を見送るみぞれの背後から近づいてきた夏紀がちょっかいを出し、そののちみぞれの手を取って教室内へとエスコートしたり、体育の授業で行われたバスケットボールにおいて交代をしり込みするみぞれに代わってコート入りし、彼女に向かってサムズアップを決めるシーンなどが確認できる。


吹奏楽部での3年間の活動、とりわけともに部の中心になった最後の1年間を通して、みぞれは夏紀の面倒見のよさや人情味に接しており、「夏紀はいい人」という素直な称賛を覚えるようになっている。夏紀本人からは謙遜(けんそん)されてはぐらかされたりしているものの、それでもみぞれは「夏紀がどう思ってるかは関係ない。私にとって夏紀はいい人だから。それ以外に何が大事?」と他意のない真摯(しんし)な想いを面と向かって告げている。(夏紀編、131ページ、173〜175ページ、181〜182ページ)


黄前久美子


低音パートでユーフォニアムを担当しているひとつ下の後輩。1年生。

久美子はみぞれのことを「みぞれ先輩」(TVアニメ版では「鎧塚先輩」)と呼んでいる。

当初は学年も所属パートも異なることから互いに接点はなかったものの、吹奏楽コンクール関西大会に向けた練習期間中に麗奈に連れられてやってきた彼女と顔を合わせたことが、互いに知り合うきっかけとなっている。その後も朝早くから夜遅くまで個人練習に打ち込むなかで同じ教室で過ごしたり、屋上で練習する希美の様子を見に行って気持ち悪さを覚えた際に偶然出会うなどしており、関西大会に向けた練習期間を通して徐々に面識を深めていく。(原作2巻、104~108ページ、125ページ)

そうして久美子と何度か顔を合わせたみぞれは、夏合宿の夜に久美子を隣に座らせて自身のコンクール嫌いの一片を明かしたり、希美と鉢合わせて逃げ出した際には後を追いかけてきた彼女に希美との経緯や自身の危うい想いを告げたりするなど、彼女を心を許しても大丈夫な相手として認識するようになり、はにかむような笑みをこぼしたり拳を突き合わせて気勢を上げたりするなどのやり取りも交わしている。(原作3巻、328~330ページ、TVアニメ版2期12話)


吉川・中川の新体制を迎えて間もなく行われた定期演奏会では、その準備期間に自身の役職である定期演奏会係の補佐を任せている。機転が利いて細かいところまで気を配る久美子のサポートにみぞれは幾度となく助けられており、その都度「私一人じゃ、無理だった」というような満足げな笑みを浮かべて彼女を労(ねぎら)っている(原作公式ガイドブック、15ページ、35ページ、134ページ)。

また、新年度のコンクールシーズンに入って以降は、自由曲『リズと青い鳥』のかけ合いや希美との進路の認識の違いなどの問題に際して、みぞれを支えようとしてくれる彼女に対して本心を明かしたり、逆にみぞれ自身の無頓着さを心配されて講釈を述べられるなど、希美との関わり方が変化していく過程においてよき相談相手として頼っている。(第二楽章後編、220~223ページ)


田中あすか

低音パートでユーフォニアムを担当しているひとつ上の先輩。3年生。

みぞれはあすかのことを「あすか先輩」と呼んでおり、対するあすかは「みぞれちゃん」と呼んでいる。

類稀(たぐいまれ)なるリーダーシップのもとに鮮やかな活躍を見せているあすかに対して、みぞれは「本当にすごい人」と尊敬を抱いており(原作公式ガイドブック、135ページ)、彼女から褒められながら頭をなでられた際には満足げな表情を浮かべながら嬉しさを実感している。(原作公式ガイドブック、54ページ)

また、2年生時の吹奏楽コンクール関西大会前に希美の復帰騒動が巻き起こった際には、副部長である彼女に直接的に保護されており、みぞれは希美の復帰をたったひとりで阻止しつつ、その理由の真相を頑なに黙秘しているあすかに対して「でも、このままじゃ、あすか先輩が悪者に」といたたまれない思いを感じている(原作2巻、193ページ)。その際の恩義もあってか、吹奏楽コンクール全国大会に向けた期間中にあすかが退部の危機に直面した際には、『あすか先輩を連れ戻すぞ大作戦』の実行者である久美子に「待ってますって、伝えてほしい」とメッセージを預けている。(原作3巻、185~186ページ)


剣崎梨々花


ダブルリードパートでオーボエを担当しているふたつ下の後輩。新1年生。

みぞれは梨々花のことを「剣崎さん」(映画『リズと青い鳥』での優子との会話では「梨々花ちゃん」)と呼んでおり、対する梨々花は「みぞれ先輩」( 映画『リズと青い鳥』では「鎧塚先輩」、のちに「みぞせんぱい」)と呼んでいる。

彼女が入部してきた当初、みぞれは1年生同士で仲良くやっている様子から心配していなかったものの(第二楽章前編、385ページ)、一方の梨々花は素っ気ない対応で口数も少ないみぞれとの付き合い方に頭を悩ませていた。しばらくして、梨々花がみぞれのことをよく知る部員(※原作小説では久美子、映画『リズと青い鳥』では希美)からアドバイスを受けて積極的に働きかけてきたことで、みぞれは戸惑いながらも彼女と言葉を交わして次第に心を開くようになっている(第二楽章前編、300ページ、夏紀編、157ページ、『新北宇治高校吹部紹介プロフィールカード(鎧塚みぞれ)』掲載の紹介文)。夏のコンクールシーズンでは、B編成部門(劇場版『誓いのフィナーレ』ではサポートチーム)のメンバーである梨々花から本番前に体調を心配されたり、逆にお盆休みのプールに誘って一緒に過ごしたりするなど、パートの先輩後輩同士の温かなやり取りを見せている。(第二楽章後編、40ページ、86ページ、劇場版『誓いのフィナーレ』)

音楽大学に合格した際には、梨々花をはじめとするパートの後輩たちから真っ白なイヤーマフをプレゼントされたほか、卒業式の日には人目もはばからず大泣きする彼女のためにハンカチを差し出すなど、自分なりに後輩を気遣う柔らかさが垣間見えるようになっている。(夏紀編、166ページ、257ページ)


新山聡美


顧問の滝昇木管楽器の部員たちの指導のために呼んでいる外部指導員。専門はフルート

みぞれは新山のことを「新山先生」と呼んでおり、対する新山は「鎧塚さん」と呼んでいる。

2年生時の夏合宿では、課題曲(TVアニメ版では自由曲)のオーボエソロを改善するために彼女からマンツーマンの密接な指導を受けていたほか、「楽器を吹くのは義務じゃないの。もっとね、楽しんでいいのよ」という彼女の心からの励ましに応えることができない自身に対していたたまれない思いを抱くような様子が登場している。(原作2巻、191~192ページ、220~221ページ)

また、翌年度の活動のなかでは、みぞれの演奏に高い可能性を見いだした彼女から音楽大学への進学を勧められるとともに、レッスンの講師を紹介されるなどといった受験に向けた環境を用意してもらっている(第二楽章前編、382~385ページ、第二楽章後編、172~173ページ、175ページ)。そのほか、コンクールシーズンでは自由曲『リズと青い鳥』のかけ合いのアプローチに悩むみぞれの前に現れてヒントを提示したり、躊躇(ためら)うみぞれをまばゆい笑顔で応援するなどしており、みぞれに変革をもたらしたキーパーソンとして登場している。みぞれはそのような彼女に対して「先生が信じてくれるなら」と見守ってくれることへの感謝を述べたり、実際の演奏で期待に応えようと強い意気込みを見せるなどしている。(第二楽章後編、220ページ、233ページ、239ページ)


岡美貴乃喜多村来南

ダブルリードパートでファゴットを担当しているひとつ上の先輩。3年生。

TVアニメ版では岡と喜多村はよくふたりで一緒に過ごしているものの、彼女たちがみぞれと絡んでいる描写は登場していない。しかし、彼女たちなりにみぞれに気を使っている模様で、みぞれに話しかけたり彼女が練習に打ち込めるように配慮していたほか、みぞれも岡と喜多村のことを「見た目によらず優しい」「いい人」と評したりするなど、それなりに良好な関係を構築している様子がうかがえる。(夏紀編、103〜104ページ、TVアニメ『響け!ユーフォニアム2』コンプリートブック、29ページ)


ダブルリードパートのメンバー一覧(原作第二楽章版)

ダブルリードパートのメンバー一覧(原作第二楽章版)

センシティブな作品

オーボエ

ファゴット

コントラファゴット


関連イラスト

関連イラスト

冬制服

センシティブな作品センシティブな作品

夏制服


パレード衣装・高校3年生時(サンライズフェスティバル)


メイド服(北宇治高校文化祭)


中学生時代


ワンピース姿(劇場版『届けたいメロディ』前売り券特典クリアファイル)


関連タグ

関連タグ

響け!ユーフォニアム リズと青い鳥 飛び立つ君の背を見上げる

オーボエ

傘木希美 - かつてフルートパートに所属していた同級生。みぞれにとって特別な存在である2年生。

吉川優子 - トランペットパートに所属している同級生。面倒見のいい2年生。

黄前久美子 - 低音パートに所属しているひとつ下の後輩。みぞれのことを気にかける1年生。

高坂麗奈 - トランペットパートに所属しているひとつ下の後輩。卓越した実力を誇る1年生。

喜多村来南 - ダブルリードパートでファゴットを担当しているひとつ上の先輩。パートリーダーの3年生。

岡美貴乃 - ダブルリードパートでファゴットを担当しているひとつ上の先輩。緩いサイドテールの3年生。

剣崎梨々花 - ダブルリードパートでオーボエを担当しているふたつ下の後輩。マイペースだが聡明な新1年生。

新山聡美 - 木管楽器の指導を担当をしている外部指導員。専門はフルート。


ぱっつん 前髪ぱっつん 青髪 青い髪


のぞみぞ - 傘木希美とのカップリング(コンビ)タグ。

優みぞ - 吉川優子とのカップリング(コンビ)タグ。

南中カルテット - 中川夏紀、吉川優子、傘木希美とのカルテット(グループ)タグ。


ヴィヴィ - 中の人&音楽&クールつながり。こちらは歌姫AIで、後半では性格が一変する。


外部リンク

外部リンク

プロフィール

プロフィール

名前鎧塚みぞれ
誕生日7月2日
身長154cm
星座蟹座
血液型AB型
担当楽器オーボエ
好きな色青、紺、灰
趣味家で飼っている猫と一緒にダラダラすること
特技音ゲー心理戦のゲームに強い
好きなものソーダ味のお菓子、炭酸ジュース
嫌いなもの電波の悪い場所
CV種﨑敦美

概要

概要

北宇治高校の2年生で、吹奏楽部に所属。ダブルリード(オーボエ&ファゴット)パートでオーボエを担当している。

つねに無表情で感情をあまり表に出さず、人見知りな性格も相まって部内でも親しい人間はそれほど多くはない。毎日朝早くから夜遅くまで黙々と基礎練習に打ち込んでおり、その正確性を極限まで追求した演奏の腕前は、副部長の田中あすかをはじめとする多くの部員たちから一目置かれるところとなっている。

かつて強豪として知られる南中学校の吹奏楽部で活動していたみぞれは、フルートを担当する親友の傘木希美を追いかけるようにして北宇治高校の吹奏楽部に入部した。しかし、その当時の部の環境に耐えかねた希美が反発の末に退部してしまったためにみぞれは心に深い傷を負ってしまい、豊かな表現力を帯びていた演奏も感情の欠落した淡白なものへと変わってしまった。そんな彼女は、部内唯一のオーボエ奏者というポジション、そして胸のうちに秘める希美への複雑な想いによって、翌年の夏に巻き起こった希美の部活復帰をめぐる一連の騒動のなかで重要な役割を担うことになる。


人物

人物

容姿

原作小説およびコミカライズ版では涼やかに切りそろえられた短めの黒髪(原作2巻、52ページ、179ページ、原作3巻、56ページ)、TVアニメ版では青みがかった長髪ぱっつんの前髪と、それぞれに異なるキャラクターデザインがなされている。しかし、いずれの場合も「可愛らしいというよりかは、綺麗という形容が似合う」(原作2巻、53ページ)というような、繊細で儚(はかな)げな印象をたたえているという点で共通している。また、夜の海や深海の底を思わせるような暗くて感情の見通せない瞳、血の気のない白く透き通った肌やまっすぐに結ばれた薄桃色の唇など、彼女を構成する一つひとつのパーツも精巧な作り物を思わせるような美しさと無機質さを内包したものとなっている。(原作2巻、105ページ、223ページ、255ページ、321ページ、第二楽章後編、9ページ、180~181ページ、221ページ)

なお、繊細かつ華奢(きゃしゃ)な印象の強いみぞれであるが、彼女の真っ白な肌や太ももの柔らかさを描写した場面がいくつか登場しているほか(原作2巻、256ページ、261ページ)、TVアニメ版のキャラクターデザインを手がけた池田晶子も、第2期の公式コンプリートブック所収のスタッフインタビューのなかで「このタイプの子特有の、少しもったりした感じの生っぽい体つき」を意識しながら作ったことを述べている。(TVアニメ『響け!ユーフォニアム2』コンプリートブック、90ページ)


性格

淡々としたマイペースな性格であまり感情を表に出さず、その口数の少なさと無表情さによって、低音パートの1年生である黄前久美子をはじめとする部の仲間たちからは「人形みたいだ、全然感情がつかめない」というような印象を抱かれている。(原作2巻、38ページ、53~54ページ、211ページ、原作3巻、55~56ページ、短編集1巻、184ページ)

生来の人見知りである彼女は見知らぬ相手と話すことに苦手意識を覚えており、持ち前の警戒心によって他者から向けられる好意をすぐに受け止めることはできない(原作2巻、256ページ、短編集1巻、165ページ、原作公式ガイドブック、15ページ、76ページ、第二楽章前編、149~150ページ)。しかし、長い月日をともに過ごしたり何度も顔を合わせるような相手に対しては、心を開いて彼女なりの信頼を置いたり、独特の感性によるノリのよさを明かすなどしている。(原作3巻、330ページ、原作公式ガイドブック、89~90ページ、短編集2巻、16~17ページ、294ページ)


自身のなかだけで世界が完結していることもあり、彼女はときおり意図のさっぱりつかめない話題を並べたり、相手の予想していない角度から自分なりの答えを返したりしている(短編集2巻、17ページ、189〜191ページ、293〜294ページ、夏紀編、15〜16ページ、176ページ、187ページ)。また、人見知りな性格からくる自己肯定感の低さを逆手にとり、周囲から差し伸べてくれる助けに甘えるような無垢さ(あすかはこれを「ズルい性格」と評している)もうかがうことができる。(原作2巻、275〜276ページ、夏紀編、154〜155ページ、180ページ)


家庭環境

みぞれの家は北宇治高校の近くにあり、立地上の利を活かす形で毎朝6時前から自主練習のために登校している。(原作3巻、172ページ、第二楽章前編、280ページ、最終楽章前編、134ページ)

家族や家の外観・内装にまつわる話は作中に登場していないものの、小さいころからピアノの稽古に通っていて家には学校にあるものと同じタイプのグランドピアノが置かれていることや、値が張るオーボエを部活用のマイ楽器として親から購入してもらったこと、そして音楽大学を将来の進路に選ぶにあたってレッスンや学費の用意などの環境を整えてもらったことなどから、「みぞれ先輩お嬢様説」を信じる部員もちらほらと出てきている。(第二楽章後編、74~75ページ、夏紀編、12ページ、59ページ、171〜172ページ、207〜208ページ)


その他

  • 好きな色は青色紺色。作中でも、水色のハンカチや濃い青色のヘッドフォン、バイオレットカラー(菫色)のゲーム機などを持っている様子が登場している。(原作2巻、105ページ、第二楽章後編、171ページ、181ページ)
  • 遊園地のアトラクションでは絶叫マシン系を好む傾向があり、音楽大学を受験後に仲良しの4人組で出かけた遊園地では、ジェットコースター急流すべりにそれぞれ3回ずつ乗ったのちに5回連続でフリーフォールに乗り込み、それでもなおケロリとした表情を浮かべている。(夏紀編、168〜169ページ、178ページ)
  • 特技は音ゲーリズムゲーム)。超絶技巧と正確性を追求する彼女らしく、挑戦する曲は片っ端からパーフェクトクリアを叩き出している。(原作2巻、177ページ、181ページ、第二楽章後編、172ページ)
  • 音を捉える聴力も抜群であり、久美子の耳につけられているイヤフォンから漏れる音楽を聞いて曲名を当てたり、先輩の田中あすかの饒舌(じょうぜつ)なコメントを一字一句たがわず書き記すなどといった離れ業を披露している(原作2巻、177~178ページ、原作公式ガイドブック、46ページ、49ページ、53~54ページ)。また、劇場版『誓いのフィナーレ』でも、部長の吉川優子が黒板に文字を書いた際の引っかき音に身をすくませる様子が登場している。
  • 部活の皆でカラオケに行った際のエピソードとして、自ら歌うことはない代わりに終始タンバリンを叩いて楽しんでいた様子が語られている。(夏紀編、24ページ)
  • 原作小説の作中では、数少ない標準語の話し手として登場している。本人いわく、埼玉県にいる従姉妹と話をした影響で伝染(うつ)ってしまったと語っている。(原作2巻、125ページ)
  • みぞれのどこか儚げで愛らしさを感じさせる容姿と無口で小動物的な性格とが相まって、高坂麗奈の中の人(安済知佳)やファンの一部からは「みじょれ」「みじょれ先輩」などと呼ばれている。

演奏技術

演奏技術

概要および高校2年生時

毎朝一番に音楽室に来てオーボエの練習に励んでいるなど、もっとも熱心に練習している部員のひとりであり(原作2巻、38ページ、原作3巻、172ページ、第二楽章前編、281ページ、『響け!ユーフォニアム』DVD&BD4巻ブックレットのパート紹介)、部内でも指折りの高い実力を誇っている。

とくに彼女の連符に対する執着は尋常ではなく、配布されている基礎練習用の曲の速いパッセージの部分を何度も繰り返し練習している。その正確さと集中力は見る者が舌を巻くレベルであり、一切狂いのない指先の動きは機械の作業を見ているようにも思えるほどである。(原作2巻、83~84ページ、夏紀編、224ページ)

一方、演奏そのものの表現力に関しては、中学時代から高校1年生当時にかけては「すごい情熱的で、楽しそうな音だして、感情爆発って感じだった」(原作2巻、246ページ、TVアニメ版2期4話)というような喜びに満ちあふれたものであったものの、当時の上級生への反発を機に希美が吹奏楽部を去ってしまってからは、自身の「音楽」を聴かせる唯一の相手がいなくなったショックと楽器を辞めたら彼女との縁が切れてしまうという強迫観念の二重苦によって、色味のない淡白なものへと変わってしまう(原作2巻、257~258ページ)。機械じみた超絶技巧はそのままに、一切の感情が欠落したみぞれの演奏は、「なんか物足りない気がする」(原作2巻、52ページ、TVアニメ版2期1話)や「ぶっちゃけつまらん。まるでロボットが吹いてるみたいだ」(原作2巻、188ページ、TVアニメ版2期3話)などといった感想を寄せられるものの、当のみぞれも自身だけでは解決策を見いだせないために、その無感情な演奏のまま平行線をたどることになる。


しかし、のちに希美が部に復帰を果たし、みぞれとの親密な関係を修復するようになると、みぞれは「希美のためのもの」である自身の音楽をふたたび目覚めさせ、湧き上がる豊かな感情のもとにしっとりとした甘く繊細な調べを奏でるようになる(原作2巻、271ページ)。かねてからの超絶技巧にほとばしる情熱を乗せたみぞれの演奏は、部員たちのみならず顧問などの指導部さえも魅了させるとともに、北宇治高校吹奏楽部のコンクールにおける決定打としても華々しい活躍を見せている。(原作2巻、296ページ、原作3巻、340~341ページ)


高校3年生時

吉川・中川の新体制発足から半年が経ち、艶(つや)やかな表現力と機械じみた超絶技巧をさらに磨き上げたみぞれは、部内の誰もが認めるほどの実力者のひとりとして名を連ねるようになる(第二楽章後編、24ページ、夏紀編、159〜161ページ)。かねてから息をするように基礎練習に取り組んできたみぞれは、同級生である優子から「音楽大学に進んでそのまま海外の楽団に入っているようなイメージがある」といった冗談を言われたこともあったが(短編集1巻、170~171ページ)、このころになると外部指導員の新山聡美もみぞれの持つ才能と実力に注目するようになり、「あなたのその才能がここで終わるのは、あまりにももったいない」として、実際に音楽大学への進学を勧めるようになっている。(第二楽章前編、384ページ)

しかし、2年前に希美が退部した際のトラウマを完全に払拭(ふっしょく)しきれていないみぞれは、「いつかまた、希美が自分の前からいなくなってしまうかもしれない」という不安から、吹奏楽コンクールの自由曲『リズと青い鳥』の第3楽章にある希美のフルートとのかけ合いに、自身の想いと実力のすべてを乗せきれないでいた。(第二楽章前編、12~13ページ、第二楽章後編、83~84ページ)

(なお、このフルートとのかけ合いにブレーキをかけている要因としては、希美に対するトラウマのほか、当該部分のかけ合いを曲の元になった物語の登場人物たちに重ね合わせていたことも大きく影響している。※第二楽章後編、180~181ページ)


最愛の相手を自らの手から解き放つ」という物語の登場人物の行動を理解できず、それゆえにオーボエの演奏も模範的なものに留まっていたみぞれのもとに、彼女の様子を見かねた外部指導員の新山が訪れる。新山はソロの吹き方がわからないと悩むみぞれに対して、曲に対するアプローチそのものを変えてみるという手法を提案し、物語のなかで青い鳥を解き放つリズの視点ではなく、リズの元を離れることを受け入れる青い鳥の視点から演奏を組み立てることをみぞれに勧めた(第二楽章後編、229~233ページ)。この新山とのやり取りを通して青い鳥の視点から曲の流れを見つめ直したみぞれは、「最愛の相手の望みを受け入れることによって、自らの愛のあり方を示す」というアプローチのもとに持てる想いと技術のすべてを乗せた演奏を披露し、かけ合いの相手である希美のそれを遥かにしのぐほどの圧倒的な表現力をもって全体演奏の流れを破綻(はたん)させるまでに至っている(第二楽章後編、237~240ページ)。その際に見せた圧巻の演奏技術と表現力は、希美や久美子といった部員たちはもちろん、プロの音楽家である外部指導員の橋本真博や新山たちも「これは…… とんでもないもん掘り起こしたね」とうなり声を上げながら認めるほどのものであった。(第二楽章後編、239ページ)


その他

彼女の吹くオーボエのモデルは、フルオートマチックのオクターブ・キー・システムやリードの差し込み口の特徴から、YAMAHA YOB-432と推測されている。

中学生のころに両親に買ってもらったもので、まめに手入れをしているために高校生になった現在でも新品同様の輝きを放っている。(原作3巻、186ページ、短編集1巻、168ページ、短編集2巻、188ページ、夏紀編、12ページ、59ページ)


経歴

経歴

中学生時代


南中学校に通っていた当時、仲のいい友達もなくひとりぼっちだったみぞれは、ある日同級生の希美の誘いを受けて吹奏楽部に入部する。そこで彼女は新たにオーボエを始め、聴衆を楽しませる演奏や吹奏楽コンクールへの挑戦に打ち込むとともに、自身を誘ってくれた希美と過ごす日々に充実した想いを実感するようになる。(原作2巻、90~91ページ、255~256ページ)

南中学校の吹奏楽部は京都府内でもそこそこ名の知れた吹奏楽部の強豪校であり、みぞれの在籍中も関西大会で金賞や銀賞を獲得するなど華々しい成果を手にしていた(原作2巻、11ページ)。それでもさらに上の「全国大会出場」を望むみぞれは、過去の結果を通して慢心や努力不足といった要因を洗い出すとともに、新部長となった希美の「来年はマジで全国行こうな」という意志に同調するようにして懸命に練習に励んでいる。(原作2巻、11~12ページ)


吹奏楽コンクールの全国大会出場を果たすため、南中学校の吹奏楽部は自由曲に高難度の大曲(原作小説では『ダフニスとクロエ』第2組曲、TVアニメ版では『ダッタン人の踊り』)を選んで京都大会(府大会)に挑む。しかし、部員たちの熱い想いとは裏腹に、南中学校には非情にも銀賞の評価が下され、関西大会にさえ進めないまま幕引きを迎えてしまうことになる。この不条理な現実を突きつけられたみぞれは、「コンクールって、なんなんだろう」とあふれ出しそうな感情に対する自問を繰り返した末に、努力が報われない非情な現実を認めて「コンクールなんて大嫌い」とチャレンジ精神や達成感といった要素から目を背けるようになっている。(原作2巻、9~11ページ、13~15ページ、183ページ)


高校1年生時


自身の将来に興味がなく、「希美が受けるから」という理由で彼女とともに北宇治高校に進学を果たしたみぞれは、そのまま彼女に誘われるようにして同校の吹奏楽部に入部している。その背景には、希美のあとを盲目的に追従するみぞれ自身の意思のほかにも、部活という共通項がなくなってしまったら彼女との縁も切れてしまうのではないかという恐怖心も存在していた。(原作2巻、178ページ、257ページ、第二楽章前編、383ページ)

希美と一緒に過ごすためだけに吹奏楽部を続けていたみぞれだったが、当の希美は部内のだらけきった環境に耐えかねてほかの1年生とともに上級生たちに反発を起こし、その末に現体制に見限りをつけて退部してしまう。その当時コンクールのA編成部門のメンバーとして活動していたみぞれは希美たちの動きを知るよしもなく、同じパートの先輩から事情を知らされるころにはすべてが終わってしまっていた(原作2巻、151ページ、短編集1巻、165~166ページ、夏紀編、78〜79ページ、82ページ)。希美から何も告げられないまま去られてしまったみぞれは、深いショックを覚えるなかで彼女に対するさまざまな対処を考えたものの、結局は動くことそれ自体に恐怖を感じ、「楽器だけが、私と希美をつなぐもの。もし私が下手くそになったら、希美に用済みと思われる」という強迫観念のもとに部に残って楽器を続けることを選び取っている(原作2巻、257~258ページ、短編集1巻、167ページ)。そしてその後は、自身と同じく部に残った優子に支えられつつ、将来に対しても音楽に対しても空虚な思いを抱いたまま技術を維持するためだけの日々を送ることになる。(短編集1巻、170~171ページ)


高校2年生時


翌年の4月に2年生に進級したみぞれは、時を同じくして就任した新顧問・滝昇の指導のもと激変する環境に身を置くことになるものの、持ち前のマイペースさによって部内の情勢に関心を抱くことはなかった(原作2巻、84~85ページ、夏紀編、285ページ、TVアニメ版2期1話)。また、滝の采配と部員たちの努力によって吹奏楽部が京都大会の金賞と関西大会への出場権を獲得した際にも、その結果は嬉しく思いつつも「辞めていった子たちに申し訳なかった。喜んでいいのかなって」というような後ろめたさを覚えている。(原作2巻、263ページ)

部が関西大会に向けて舵を切り、全国大会出場を見据えた厳しい練習が重ねられるなかで、みぞれはたびたび「私、コンクール嫌い。不平等だから」とかつて中学時代に味わった苦い思い出を振り返りながら持論を展開したり、いちばんの親友である希美が去ってもなお”音楽”を続けていることの理由を問われて「わからない。もう、何もわからない」と空虚な思いを明かすなどしている(原作2巻、179~182ページ)。そして、みぞれが希美と偶発的に鉢合わせ、現実と向き合うことを恐れて逃げ出した際には、希美に執着するだけだった自身の過去を振り返るようにして「コンクールなんて、なくなってしまえばいい。そしたら、希美がいなくなることもなかった。評価に納得いかなくて、泣くこともなかった。馬鹿みたい。こんなものにみんな夢中になるなんて」などと吐き捨て、吹奏楽コンクールに対する強い恨みを垣間見せている。(原作2巻、259ページ)


しかしそののち、優子の強い支えや希美との和解を経たことにより、みぞれは仲間がいることの力強さや安心感を実感するとともに自身の音楽に対する情熱を取り戻す。かつてのような感情爆発の演奏者へと覚醒を果たしたみぞれは、吹奏楽コンクール関西大会の本番において「希美のための演奏」を余すところなく披露し、北宇治高校吹奏楽部の関西大会金賞と全国大会出場という栄えある結果の獲得に貢献している。この華々しい結果を告げられたみぞれは、自身と部員全員の努力と意志が実を結んだ現実を強く噛み締め、「……たったいま、好きになった」という満面の笑顔とともにコンクールに対する意識を改めている。(原作2巻、321ページ、TVアニメ版2期5話)


新体制発足


コンクールシーズンの終了とともに3年生が引退し、2年生の吉川優子中川夏紀をツートップとする新体制が始まると、みぞれは新たに定期演奏会係を任せられることになる。もっとも、同役職は定期演奏会の実施に向けた多岐にわたる仕事とさまざまな係との調整が求められるために、みぞれの人見知りな性格を知っている優子と夏紀は1年生の久美子を係の補佐役として宛がっている(原作公式ガイドブック、6~9ページ)。12月の下旬から動き出したみぞれと久美子の定期演奏会係は、部員たちに対して演奏希望楽曲のアンケートを募ったり、優子たち幹部の面々を交えたなかでプログラムの意見をまとめるなどしたほか、衣装係や宣伝係、ステージ構成係などと各種の調整を行うなど、準備の進捗(しんちょく)状況や部員たちからの要請を受けて忙しなく飛び回りながら仕事にあたっている。(原作公式ガイドブック、12~15ページ、29~35ページ、62ページ、64~65ページ、73ページ)

また、演奏会の要であるプログラム構成については、当初は集められた希望楽曲の組み合わせに悩み、久美子とともに頭を抱えていたものの(原作公式ガイドブック、40~41ページ)、部活に顔を出しにきたあすかの「曲を決める権限があるんだから、好きなように決めればいい」という助言を受けたことによって、みぞれ自身の独断と偏見に基づいた選曲に踏み切っている(原作公式ガイドブック、44ページ、56~57ページ)。そうして出来上がった演奏会のプログラムは「子供も大人も、聞きに来た人が楽しいって思える演奏会」をテーマとして掲げるとともに、希美や久美子、優子や夏紀といった部の仲間たちの希望を公平に取り入れた構成になっている。(原作公式ガイドブック、56~62ページ)


なお、みぞれは定期演奏会係として業務全般にあたるのみならず、企画の実施者としても積極的に参加しようとする姿勢を見せており、演奏会の第3部で『浦島太郎』のパフォーマンスが企画された際には真っ先にカメの役に名乗り出ている。続く役職希望者が現れずに企画断念の話が持ち上がり、みぞれはいっときあからさまに落胆するものの、そのような彼女を気の毒に思った優子の希望によってパフォーマンスは可決される運びとなった。その後日、企画を受けた衣装係から渡された甲羅とカメの衣装を着たみぞれは、無表情のまま飛び跳ねたりカッコいいポーズを決めたりしており、「意外にノリノリだな」という印象を周囲の部員たちに与えている。(原作公式ガイドブック、89~91ページ)


高校3年生時


ダブルリードパートのリーダーとして4月からの新年度を迎えたみぞれは、新たオーボエ担当の剣崎梨々花をはじめとする3名(原作小説では2名)の新1年生たちと関わることになる。当初は口数の少ない自身と一緒にいて退屈していないか気にかけていたものの、1年生同士で仲良くしている様子を見るにつれて自身が気にする必要はないかもしれないと思うようになる。(第二楽章前編、385ページ)

(なお、後輩側から見たみぞれの対応は素っ気ないものであり、新1年生の梨々花はみぞれとの関わり方を教わるために低音パートの久美子(映画『リズと青い鳥』では希美)に相談を持ちかけている)

新しい後輩たちとのコミュニケーションを通して次第に希美以外の世界にも興味を持つようになったみぞれは、お盆休みのプールや夏のオープンキャンパスなどの機会に自分から他者に関わるような動きを見せており、その成長と変化ぶりで周囲を驚かせている。(第二楽章後編、130ページ、173ページ、夏紀編、157ページ)


また、4月の終わりにはみぞれの才能を見込んだ外部指導員の新山から音楽大学への進学を勧められている。彼女から説明を受けていたときはあまり心を動かされなかったみぞれであったが、練習に帰る途中でばったり会った希美が「うち、ここの音大受けよっかな」と新山が勧めてくれた音楽大学への希望を口にしたのを聞いて、「その隣を歩きたい。一緒にいたい」という意欲を湧かすようにして音楽大学を進路先に定めることになる。(第二楽章前編、382~387ページ、夏紀編、128〜129ページ)

以降のみぞれは、吹奏楽コンクールに向けた練習に取り組むかたわら新山が紹介してくれた先生のもとでオーボエのレッスンを受けたり、入試対策のためにピアノの練習や音楽理論の勉強に打ち込んでいる(第二楽章後編、72~73ページ、173ページ、夏紀編、129ページ)。なお、みぞれ本人は、3年生になってから音楽大学の入試対策を始めることの期間的な余裕のなさや、希美が音楽大学の入試に失敗したりほかの進路を選ぶ可能性などをさっぱり考えておらず、久美子をはじめとする部の仲間たちからそのことを指摘されて初めて「……考えたこと、なかった」などと途方に暮れる様子であった。(第二楽章後編、72ページ、135~136ページ、174ページ、176ページ、221~223ページ)


コンクールの自由曲『リズと青い鳥』のかけ合いの再構築と、それを機にみぞれと希美がそれぞれの道を進む決意を固めるようになってからは、みぞれはたくさんの自問の末に自分自身のために音楽大学へ進むことを決め、「希美がいなくても、私、オーボエを続ける。音楽は、希美が私にくれたものだから」とその本心を明かしている(第二楽章後編、361ページ)。希美から離れて独り立ちする覚悟を決めたみぞれは、自身の部活からの引退後に行われたアンサンブルコンテスト部内予選への誘いを受けた際にも、それが希美の誘いであることを認識しつつも受験を優先させるために「私は出ない」ときっぱりと断るなど、ひとりの人間として自身の人生を歩もうとする姿勢をうかがうことができる。(短編集2巻、238~239ページ)


引退後


周囲の人間の協力とこれまでの膨大な練習量に裏付けられた実力が実る形で、みぞれは無事に志望先の音楽大学に推薦枠での合格を果たしている(短編集2巻、14ページ、最終楽章前編、134ページ、264ページ、夏紀編、127〜128ページ)。優子や希美、夏紀といった親友たちからの祝福を受けたみぞれは、彼女たちとともに平日の遊園地で一日中遊び回ったり、軽音部の卒業ライブに前座として参加することになった夏紀と優子を応援するために彼女たちのバンド幕の作成を手伝ったりするなど、卒業までの時間を有意義に過ごしている。(夏紀編、135〜136ページ、199ページ、232ページ)

北宇治高校を卒業し、4月から音大生となったみぞれは、その年の8月に行われた新入生によるオーケストラ編成のコンサートにも出演しており、『ダフニスとクロエ』をはじめとするプログラムのなかでソロをはじめとする立派な活躍を見せている。その新入生ながら堂々とした演奏ぶりに、久しぶりに彼女の姿を目にした希美や優子たちからは「音大で通用するか心配していたけど、杞憂やったみたいやね」などといった深い感慨を抱かれている。(最終楽章後編、81~83ページ)


傘木希美との関係

傘木希美との関係

概要および中学生時代~高校2年生時


かつてフルートパートに所属していた同級生。2年生。

みぞれは希美のことを「希美」と呼んでおり、対する希美は「みぞれ」と呼んでいる。

まだ中学生だった当時、仲のいい友達もなくずっとひとりきりだったみぞれは、ある日希美に声をかけられて吹奏楽部に入部したことをきっかけに「毎日が変わった。希美といると、楽しかった」(原作2巻、256ページ)と充実した思いを実感しており、そのような日々をもたらしてくれた彼女を「何にも代えがたい特別な存在」として意識するようになる(原作2巻、256ページ、原作公式ガイドブック、215ページ)。しかし、明るい性格で友達も大勢いる希美にとって、みぞれはあくまで「たくさんいる友達のなかのひとり」に過ぎず、彼女はその互いに対する熱量の違いを次第に苦しく思うようになる。(短編集1巻、170ページ)


その熱量の違いは、北宇治高校に進学して吹奏楽部に入部し、その当時の部の体質を理由に希美がみぞれに何の断りもないまま退部したことにより、さらにより強くこじれることになる。当時のみぞれは希美が退部していることすら夢にも思わず、先輩からその話を聞かされて初めてその事実を知った。そこでみぞれは、希美にとっての自身が「報告するほどの間柄ですらない」ものであると思い込み、それでもなお大切な友達として彼女を求めてしまう自身の熱量との落差に「気持ち悪い。こんなふうに友達に執着するなんて」と吐き気をもよおすほどの強い感情を抱くようになる。(原作2巻、105~108ページ、257~259ページ、夏紀編、153〜154ページ)

(もっとも、希美が退部時にみぞれに声をかけなかった理由のひとつに「みぞれが真面目に練習していたから」というものがあるのだが、そのみぞれの真面目な練習の原動力となっていたのは「希美によりよい音楽を聴かせたい」という想いであり、それが皮肉にも両者のすれ違いを生んだ一因となっている)


希美が部活を去ってもなお、みぞれは彼女との唯一の接点である楽器を手放せず、それでいて美しい音色を奏でる理由を失ったままオーボエ担当のポジションに残り続けていた。そんななか、滝昇が新任顧問に就任して部の体質が変わり、確かな実力を身に付けて関西大会への進出を決めるようになると、部から離れていた希美がもう一度部活に戻りたいとやって来るようになる。みぞれはそんな希美に「相談ひとつしない、その程度の存在」と拒絶されることに恐怖を覚え、その現実と向き合うことを極度に恐れるようになってしまう。


吹奏楽コンクール関西大会の直前に希美は偶発的にみぞれと再会するが、そのあまりに突発的な出来事にみぞれは驚き、思わずその場から逃げ出してしまう。みぞれは自身を探して追いかけてきた久美子や優子に対し、希美との関係性から生まれたトラウマを告白するものの、逆に優子からの励ましと慰めを受けて、希美と向き合って真実を知ることを決意する。そうして希美と対面したみぞれは、希美が退部の際に声をかけなかった本当の理由を知り、同時にいままで勝手な思い込みから彼女をずっと避けていたことを謝る。そんなみぞれに、希美は府大会での彼女たちの活躍を心から素晴らしいと思ったこと、そしてみぞれの奏でるオーボエをもう一度聴きたいと語り、みぞれはその申し出に笑顔で応えた。



みぞれと希美の互いに対する熱量の差は変わらないままであったものの、いままでのすれ違った感情や思い込みが解けたことにより、ふたりはかつての「一緒にいて楽しかった」ころの関係を取り戻すことに成功した。(原作2巻、267~269ページ、原作公式ガイドブック、215ページ、夏紀編、156ページ)

その後は、希美に向ける熱量をそのままオーボエの音色に込めて情熱的な演奏を披露したり、「下手だと、希美に笑われちゃうから」「金賞だったら、希美が褒めてくれるから。だから、頑張る」などと、楽器の演奏と希美からの好意をダイレクトに結びつけるなど、彼女の存在を第一に意識しながら日々を過ごす様子を見て取ることができる。(原作3巻、56ページ、329~330ページ)


高校3年生時


吉川・中川体制の新年度が始まって以降、みぞれと希美のふたりは部内でも指折りのトップ奏者として部員たちに認められながら、特に表立った決裂を生じさせることもなく日々の練習に打ち込んでいた。

そのようなゴールデンウィークのある日、吹奏楽部の外部指導員である新山聡美がみぞれを呼び出し、みぞれの才能にさらなる可能性を感じていることを明かすとともに、その可能性を飛躍させるために音楽大学への進学を勧めた。将来に希望のなかったみぞれは、新山の提案に答えを出せないまま大学のパンフレットを貰って退室するが、その途上で偶然希美と鉢合わせる。みぞれの持っていた音楽大学のパンフレットを読み、それを新山から貰ったことを聞かされた希美は、不意に「私、ここの音大受けようかな」と口にする。その言葉を受けたみぞれは、希美と一緒の進路を選びたいという純粋な想いから「希美が受けるなら、私も」と、彼女に音楽大学への進学意志を告げた。(第二楽章前編、382~387ページ)


吹奏楽部がコンクールシーズンに入り、自由曲『リズと青い鳥』の練習が始まるようになると、みぞれと希美はそれぞれ曲の題材となった物語を読み、曲中の見せ場として登場するオーボエフルートのかけ合いを通して「なんかちょっと、私たちみたいだな」と、自分たちふたりと物語の登場人物たちの境遇を重ね合わせるようになる。最愛の相手から別れて飛び立った青い鳥に、かつて自身のもとから離れていった過去を持つ希美の姿を重ねたみぞれは、「本番なんて、一生来なくていい」と、希美と過ごす幸せな日々に終わりが来ることを恐れるようになる(第二楽章前編、12~13ページ) 。物語の世界を楽曲に移し込もうとするあまり、みぞれは最愛の相手を自らの手で解き放つリズの想いを理解できずに苦しむようになる。結果としてみぞれの演奏は感情的で奔放な希美のそれと噛み合うことはなく、模範的な形に留まり続けることになった。一方の希美は、そんなみぞれを「がんばれ」と応援しつつも、拮抗(きっこう)する実力同士による対等なかけ合いの形を模索しようとしていた。


そのような折、演奏の表現に悩むみぞれのもとに外部指導員の新山が訪れ、曲に対するアプローチを変えてみることを提案する。青い鳥を見送ったリズの視点ではなく、リズの選択を受け入れる青い鳥の視点から演奏を組み立てることを決めたみぞれは、全体合奏の場において希美のそれを遥かにしのぐほどの圧倒的な演奏を披露した。これを受けて、これまでみぞれと自身は対等な演奏者同士と思い続けていた希美は深い衝撃を受け、絶望による嗚咽(おえつ)の末に「みぞれの魅力を自分がすくい上げる」形としてのかけ合いをすることを心に決めるようになる。(第二楽章後編、250ページ、254~255ページ)


合奏練習の終了後、みぞれは希美とふたりきりで話をする機会を得る。みぞれとのあいだにある歴然とした実力差を自覚している希美は、みぞれに黙って音楽大学を進路から外したことを打ち明けるとともに、自身はみぞれのように特別な人間ではないことを告げた。しかし、そんな彼女を「希美は、いつも勝手」の一声で制したみぞれは、中学時代からいままでずっと、希美に見放されたくない一心で部活も楽器も続けてきたことを明かす。自身にとっての特別な存在である希美とずっと一緒にいることだけを望むみぞれの想いに触れることとなった希美は、しかしそれでも「自分は賞賛されるような人間ではなく、むしろ軽蔑されるべき」の姿勢を崩そうとしなかった。あくまでも突っ張ろうとする希美に対して、みぞれは「大好きのハグ」によって彼女に直接気持ちを伝えることを試みる。



希美にその身を預けきったみぞれは、自身の人生が希美との出会いをきっかけに変わったことを感謝するとともに、そんな希美のリーダーシップや明るく楽しそうな振る舞い、そして希美のすべてが好きであると告白する。一方、みぞれの想いのすべてを受け止めた希美もまた、みぞれのひたむきな努力家精神、そしてその結晶であるオーボエの音色が好きであることを打ち明けた上で、「ありがとう」の優しい一言のもとに彼女を押し戻し、別れて帰宅の途についている。(第二楽章後編、301~307ページ)



吹奏楽コンクールの自由曲「リズと青い鳥」のかけ合いと、それぞれの進路を巡る複雑な思惑を経て、みぞれと希美の互いを想う感情の天秤は一方通行という形でありながらも釣り合いを見せるようになった(第二楽章後編、250ページ)。また、みぞれと希美のそれぞれが別々の道を歩むことを自覚し、それを互いに認め合うようにもなっており、希美のもとから離れて音楽大学を目指すことを決めたみぞれは「希美がいなくても、私、オーボエを続ける。音楽は、希美が私にくれたものだから」と、自分自身の道を選ぶことに対する決意を明らかにしている。(第二楽章後編、361ページ)

あわせて、これまで希美の後ろを盲目的に追従するだけだったみぞれの姿勢にも変化が見られるようになり、希美に面と向かって自身の素直な意見を述べたり、自身の生き方に基づいた明確な拒否を告げるなど、対等な友人同士の関係を構築しようとする様子を見て取ることもできる。(短編集2巻、16~18ページ、238~239ページ)


自身の卒業を控えたある日、みぞれは夏紀とふたりきりで話す機会を得て、彼女から希美をどう思っているかを問われている。みぞれはそのなかで、希美のことを迷いなく「友達」と答えたほか、彼女から受け入れられるかどうかをおびえて勝手に苦しんでいた自分自身が嫌いだったことも打ち明けている。そして、夏紀の「それって、恋とは何が違うん?」という感想に触れたみぞれは「そうだったらよかったのに」という、付き合いたいとか結婚したいとかいう動機だったら希美を諦めることができたという達観ぶりを口にするとともに、「ただ、一緒にいたかっただけ。でも、それがいちばん難しい。人間は、理由もなく一緒にはいない」と、これまでの自身と希美の関わりを振り返っている。(夏紀編、182〜185ページ)


その他の主要キャラクターとの関係

その他の主要キャラクターとの関係

吉川優子


トランペットパートに所属している同級生。2年生。

みぞれは優子のことを「優子」と呼んでおり、対する優子は「みぞれ」と呼んでいる。

中学時代からともに吹奏楽部の活動に励んできた仲であるものの、中学生だった当時は誰に対しても物怖じすることがなく、明確に意思表示ができる彼女のことが苦手であった(短編集1巻、167~168ページ)。優子と親しくなったのは、物語の1年前に起こった当時の1年生(現在の2年生)の大量退部の一件のあとであり、それ以降はふたりで行動することが多くなった。希美を失ったみぞれにとって優子の存在は無自覚的に心の支えになっており(あすかはこれをみぞれにとっての「保険」と称している)、「優子は、私がかわいそうだから、優しくしてくれただけでしょう? 同情、してるだけ。違う?」などと、真意を探る体(てい)を装って彼女に甘えるような一幕も見せている(原作2巻、262ページ、273ページ、275~276ページ、短編集1巻、172ページ)。なお、その直後に優子から自身の想いを一喝されたみぞれは、同時に彼女の友人を思いやる素直でまっすぐな心根を目の当たりにして、わんわんと声を上げながら泣きついている。(原作2巻、264ページ)


優子が部長に就任して以降も、みぞれは彼女の奮闘ぶりを高く評価しており、先代の部の中心であった小笠原晴香中世古香織たちにも「優子は頑張ってます。すごく」「安心して、大丈夫です」と胸を張って答えている(原作公式ガイドブック、48ページ)。また、4月以降の新年度ではこれまで希美ひと筋だったみぞれの世界にも優子の存在が次第に占めるようになっており、そのことをみぞれの言葉からも感じ取れるようになっている(第二楽章後編、175ページ)。さらに、2年生の麗奈が優子による部の運営のあり方に異議を呈した際には、珍しく饒舌(じょうぜつ)な口調のもとに彼女の正当性を主張している。(第二楽章後編、179ページ)


中学と高校の6年間でともに吹奏楽部の活動に励み、とりわけ高校時代の3年間では自身をずっと助けてくれた優子に対し、みぞれは卒業式の日に「私、ちゃんとお礼を言おうって思ってた」と面と向かって感謝を述べている。それによって感極まった優子から立て続けに想いを述べられたみぞれは「優子のほうが、ありがとう上手。だから多分、私の負け」などと不服の意を示したものの、彼女と感謝の気持ちを交わすことができたために満足感を覚えている。(短編集2巻、16~17ページ、290~294ページ)


中川夏紀


低音パートでユーフォニアムを担当している同級生。2年生。

みぞれは夏紀のことを「夏紀」と呼んでおり、対する夏紀は「みぞれ」と呼んでいる。

同じ中学校の出身であるものの、互いに知り合ったのは北宇治高校の吹奏楽部に入部して以降になる。

普段の学生生活では同じ進学クラスに通っており、文化祭の出し物や授業風景などで一緒に活動する様子をしばしば目にすることができる(短編集1巻、182ページ、夏紀編、12ページ、170ページ、TVアニメ版2期6話、映画『リズと青い鳥』)。とりわけ、映画『リズと青い鳥』では3年生に進級したあとの夏紀とみぞれの絡みがいくつか登場しており、登校後に別れた希美を見送るみぞれの背後から近づいてきた夏紀がちょっかいを出し、そののちみぞれの手を取って教室内へとエスコートしたり、体育の授業で行われたバスケットボールにおいて交代をしり込みするみぞれに代わってコート入りし、彼女に向かってサムズアップを決めるシーンなどが確認できる。


吹奏楽部での3年間の活動、とりわけともに部の中心になった最後の1年間を通して、みぞれは夏紀の面倒見のよさや人情味に接しており、「夏紀はいい人」という素直な称賛を覚えるようになっている。夏紀本人からは謙遜(けんそん)されてはぐらかされたりしているものの、それでもみぞれは「夏紀がどう思ってるかは関係ない。私にとって夏紀はいい人だから。それ以外に何が大事?」と他意のない真摯(しんし)な想いを面と向かって告げている。(夏紀編、131ページ、173〜175ページ、181〜182ページ)


黄前久美子


低音パートでユーフォニアムを担当しているひとつ下の後輩。1年生。

久美子はみぞれのことを「みぞれ先輩」(TVアニメ版では「鎧塚先輩」)と呼んでいる。

当初は学年も所属パートも異なることから互いに接点はなかったものの、吹奏楽コンクール関西大会に向けた練習期間中に麗奈に連れられてやってきた彼女と顔を合わせたことが、互いに知り合うきっかけとなっている。その後も朝早くから夜遅くまで個人練習に打ち込むなかで同じ教室で過ごしたり、屋上で練習する希美の様子を見に行って気持ち悪さを覚えた際に偶然出会うなどしており、関西大会に向けた練習期間を通して徐々に面識を深めていく。(原作2巻、104~108ページ、125ページ)

そうして久美子と何度か顔を合わせたみぞれは、夏合宿の夜に久美子を隣に座らせて自身のコンクール嫌いの一片を明かしたり、希美と鉢合わせて逃げ出した際には後を追いかけてきた彼女に希美との経緯や自身の危うい想いを告げたりするなど、彼女を心を許しても大丈夫な相手として認識するようになり、はにかむような笑みをこぼしたり拳を突き合わせて気勢を上げたりするなどのやり取りも交わしている。(原作3巻、328~330ページ、TVアニメ版2期12話)


吉川・中川の新体制を迎えて間もなく行われた定期演奏会では、その準備期間に自身の役職である定期演奏会係の補佐を任せている。機転が利いて細かいところまで気を配る久美子のサポートにみぞれは幾度となく助けられており、その都度「私一人じゃ、無理だった」というような満足げな笑みを浮かべて彼女を労(ねぎら)っている(原作公式ガイドブック、15ページ、35ページ、134ページ)。

また、新年度のコンクールシーズンに入って以降は、自由曲『リズと青い鳥』のかけ合いや希美との進路の認識の違いなどの問題に際して、みぞれを支えようとしてくれる彼女に対して本心を明かしたり、逆にみぞれ自身の無頓着さを心配されて講釈を述べられるなど、希美との関わり方が変化していく過程においてよき相談相手として頼っている。(第二楽章後編、220~223ページ)


田中あすか

低音パートでユーフォニアムを担当しているひとつ上の先輩。3年生。

みぞれはあすかのことを「あすか先輩」と呼んでおり、対するあすかは「みぞれちゃん」と呼んでいる。

類稀(たぐいまれ)なるリーダーシップのもとに鮮やかな活躍を見せているあすかに対して、みぞれは「本当にすごい人」と尊敬を抱いており(原作公式ガイドブック、135ページ)、彼女から褒められながら頭をなでられた際には満足げな表情を浮かべながら嬉しさを実感している。(原作公式ガイドブック、54ページ)

また、2年生時の吹奏楽コンクール関西大会前に希美の復帰騒動が巻き起こった際には、副部長である彼女に直接的に保護されており、みぞれは希美の復帰をたったひとりで阻止しつつ、その理由の真相を頑なに黙秘しているあすかに対して「でも、このままじゃ、あすか先輩が悪者に」といたたまれない思いを感じている(原作2巻、193ページ)。その際の恩義もあってか、吹奏楽コンクール全国大会に向けた期間中にあすかが退部の危機に直面した際には、『あすか先輩を連れ戻すぞ大作戦』の実行者である久美子に「待ってますって、伝えてほしい」とメッセージを預けている。(原作3巻、185~186ページ)


剣崎梨々花


ダブルリードパートでオーボエを担当しているふたつ下の後輩。新1年生。

みぞれは梨々花のことを「剣崎さん」(映画『リズと青い鳥』での優子との会話では「梨々花ちゃん」)と呼んでおり、対する梨々花は「みぞれ先輩」( 映画『リズと青い鳥』では「鎧塚先輩」、のちに「みぞせんぱい」)と呼んでいる。

彼女が入部してきた当初、みぞれは1年生同士で仲良くやっている様子から心配していなかったものの(第二楽章前編、385ページ)、一方の梨々花は素っ気ない対応で口数も少ないみぞれとの付き合い方に頭を悩ませていた。しばらくして、梨々花がみぞれのことをよく知る部員(※原作小説では久美子、映画『リズと青い鳥』では希美)からアドバイスを受けて積極的に働きかけてきたことで、みぞれは戸惑いながらも彼女と言葉を交わして次第に心を開くようになっている(第二楽章前編、300ページ、夏紀編、157ページ、『新北宇治高校吹部紹介プロフィールカード(鎧塚みぞれ)』掲載の紹介文)。夏のコンクールシーズンでは、B編成部門(劇場版『誓いのフィナーレ』ではサポートチーム)のメンバーである梨々花から本番前に体調を心配されたり、逆にお盆休みのプールに誘って一緒に過ごしたりするなど、パートの先輩後輩同士の温かなやり取りを見せている。(第二楽章後編、40ページ、86ページ、劇場版『誓いのフィナーレ』)

音楽大学に合格した際には、梨々花をはじめとするパートの後輩たちから真っ白なイヤーマフをプレゼントされたほか、卒業式の日には人目もはばからず大泣きする彼女のためにハンカチを差し出すなど、自分なりに後輩を気遣う柔らかさが垣間見えるようになっている。(夏紀編、166ページ、257ページ)


新山聡美


顧問の滝昇木管楽器の部員たちの指導のために呼んでいる外部指導員。専門はフルート

みぞれは新山のことを「新山先生」と呼んでおり、対する新山は「鎧塚さん」と呼んでいる。

2年生時の夏合宿では、課題曲(TVアニメ版では自由曲)のオーボエソロを改善するために彼女からマンツーマンの密接な指導を受けていたほか、「楽器を吹くのは義務じゃないの。もっとね、楽しんでいいのよ」という彼女の心からの励ましに応えることができない自身に対していたたまれない思いを抱くような様子が登場している。(原作2巻、191~192ページ、220~221ページ)

また、翌年度の活動のなかでは、みぞれの演奏に高い可能性を見いだした彼女から音楽大学への進学を勧められるとともに、レッスンの講師を紹介されるなどといった受験に向けた環境を用意してもらっている(第二楽章前編、382~385ページ、第二楽章後編、172~173ページ、175ページ)。そのほか、コンクールシーズンでは自由曲『リズと青い鳥』のかけ合いのアプローチに悩むみぞれの前に現れてヒントを提示したり、躊躇(ためら)うみぞれをまばゆい笑顔で応援するなどしており、みぞれに変革をもたらしたキーパーソンとして登場している。みぞれはそのような彼女に対して「先生が信じてくれるなら」と見守ってくれることへの感謝を述べたり、実際の演奏で期待に応えようと強い意気込みを見せるなどしている。(第二楽章後編、220ページ、233ページ、239ページ)


岡美貴乃喜多村来南

ダブルリードパートでファゴットを担当しているひとつ上の先輩。3年生。

TVアニメ版では岡と喜多村はよくふたりで一緒に過ごしているものの、彼女たちがみぞれと絡んでいる描写は登場していない。しかし、彼女たちなりにみぞれに気を使っている模様で、みぞれに話しかけたり彼女が練習に打ち込めるように配慮していたほか、みぞれも岡と喜多村のことを「見た目によらず優しい」「いい人」と評したりするなど、それなりに良好な関係を構築している様子がうかがえる。(夏紀編、103〜104ページ、TVアニメ『響け!ユーフォニアム2』コンプリートブック、29ページ)


ダブルリードパートのメンバー一覧(原作第二楽章版)

ダブルリードパートのメンバー一覧(原作第二楽章版)

センシティブな作品

オーボエ

ファゴット

コントラファゴット


関連イラスト

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冬制服

センシティブな作品センシティブな作品

夏制服


パレード衣装・高校3年生時(サンライズフェスティバル)


メイド服(北宇治高校文化祭)


中学生時代


ワンピース姿(劇場版『届けたいメロディ』前売り券特典クリアファイル)


関連タグ

関連タグ

響け!ユーフォニアム リズと青い鳥 飛び立つ君の背を見上げる

オーボエ

傘木希美 - かつてフルートパートに所属していた同級生。みぞれにとって特別な存在である2年生。

吉川優子 - トランペットパートに所属している同級生。面倒見のいい2年生。

黄前久美子 - 低音パートに所属しているひとつ下の後輩。みぞれのことを気にかける1年生。

高坂麗奈 - トランペットパートに所属しているひとつ下の後輩。卓越した実力を誇る1年生。

喜多村来南 - ダブルリードパートでファゴットを担当しているひとつ上の先輩。パートリーダーの3年生。

岡美貴乃 - ダブルリードパートでファゴットを担当しているひとつ上の先輩。緩いサイドテールの3年生。

剣崎梨々花 - ダブルリードパートでオーボエを担当しているふたつ下の後輩。マイペースだが聡明な新1年生。

新山聡美 - 木管楽器の指導を担当をしている外部指導員。専門はフルート。


ぱっつん 前髪ぱっつん 青髪 青い髪


のぞみぞ - 傘木希美とのカップリング(コンビ)タグ。

優みぞ - 吉川優子とのカップリング(コンビ)タグ。

南中カルテット - 中川夏紀、吉川優子、傘木希美とのカルテット(グループ)タグ。


ヴィヴィ - 中の人&音楽&クールつながり。こちらは歌姫AIで、後半では性格が一変する。


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  2. 2

    この度、聖花術師から第一王子の臨時(?)婚約者になりました~この溺愛は必要ですか!?~

    漫画:水埜なつ,原作:真咲いろは

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    悪役令嬢が初恋したっていいじゃない! アンソロジーコミック

    コミックガルド編集部

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