曖昧さ回避
- アメリカの推理作家ウォーレン・マーフィーの執筆した小説「デストロイヤー」の中で出てくる架空の武術。暗殺術にしてその伝承者はシヴァ神の化身となるすごい拳法。
- 朝鮮民主主義人民共和国平安南道安州市に属する地区の名前。平仮名読みなら「しんあんしゅう」(新安州)。
カタログスペック
頭頂高 | 22.6m |
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本体重量 | 25.2t |
全備重量 | 56.9t |
ジェネレーター出力 | 3,240kW |
装甲材質 | ガンダリウム合金 |
スラスター総推力 | 128,600kg |
機体解説
ネオ・ジオン軍残党『袖付き』の実質的指導者、フル・フロンタル大佐の専用機。
型式番号のMSN-06Sはアナハイム・エレクトロニクス社グラナダ工場で製造されたサザビー(MSN-04)から、更に遡ればジオン軍ニュータイプ専用機ジオング(MSN-02)から連なる系列機である事を示している。また同時に、偶然にもシャア専用ザク(MS-06S)と近似した番号となっている。
(ただし『通常仕様』が存在しないにも関わらず、末尾に『特別仕様』を意味する[S]が配されている理由は不明。また、原型機からの仕様変更をほぼ行わなかった機体側が『第二種仕様』を割り当てられるなど、通常の型式番号則に従っていない点がいくつか見られる。)
第二次ネオ・ジオン抗争が終結した後、地球連邦軍の宇宙軍再編計画『UC計画』の一環としてアナハイム・エレクトロニクス社が開発した試作MS。
かつて同社が開発したサザビーやνガンダムと同じく、機体の駆動式内骨格ムーバブルフレームの一部にパイロットの脳波に反応する高機能構造材「サイコフレーム」を採用したニュータイプ専用機である。
本機はかつてのサザビーとは異なり、連邦系モビルスーツを改修して誕生した機体であり、ネオ・ジオン所属の機体でありながら機体構造はサザビーよりも寧ろνガンダムに近いものとなっている。
ニュータイプ専用機ではあるが、本機にはファンネルを初めとしたサイコミュ兵装が搭載されておらず、サイコミュは主に操作系に用いられており、マン・マシン・インターフェースとしてパイロットの感応波をサイコフレームへ直接伝達する「インテンション・オートマチック」を搭載することで、機体の追随性を高めている。
これは、本機が元々はサイコフレームをメインフレームに据えたMSの、一般パイロットの操縦では計測不可能な限界値を取得するべく、機械上での試験運用を目的とした実験機として設計されている為である。
本機は驚異的な機動力と追従性を誇るも、発生する加速度によるパイロットへの肉体的負荷は殺人的なレベルで、なおかつ上記のインテンション・オートマチック・システム制御のサイコミュによる精神的負荷もあるため、並のパイロットにはまず乗りこなせない極めてピーキーな仕様のMSであった。
その限界値を突き詰めた設計ゆえに、人間が乗り込む機動兵器としては欠陥機とも言えるレベルにあったが、「赤い彗星の再来」と渾名され、ニュータイプとしてもMSパイロットとしても高い能力を誇るフル・フロンタルが操縦することにより、あくまで理論上であったそのポテンシャルを遺憾なく発揮した。
また、本機は背面と脹脛側面の推力偏向スラスターの他、全身に多数のスラスターを装備しており、いかなる姿勢においても高い機動性を発揮できる。
特に背面の推力偏向スラスターは翼を想起させる形状になっており、最大出力時には羽ばたくような挙動を行う。
背面の推力偏向スラスターの下部には、サザビーのものよりも大型のプロペラントタンクが配置されており、戦闘ではこれを意図的に切り離すことで囮としても利用した。
シナンジュによって得られたデータを元にしてユニコーンガンダムは開発されており、いわば兄弟機、あるいはプロトタイプといえる。
(このためもあって、本機の性能はジェネレーター出力、パワー・ウェイト・レシオ共に、ユニコーンガンダム(ユニコーンモード)を一回り下回る。)
しかし宇宙世紀0094年6月15日に、クラップ級巡洋艦「ウンカイ」と「ラー・デルス」による輸送任務中にフル・フロンタル率いる「袖付き」によってシナンジュは強奪され、フル・フロンタルの操縦技能にあわせた改修、外装の変更、機体色のリペイント等を経て、2年後にユニコーンガンダムと刃を交える事になる(なお、シナンジュの強奪は実際には強奪に見せかけた譲渡であり、アナハイム社は以前にもシーマ艦隊へのGP-04の譲渡など同じような行動を取っている)。
なお、本機はあくまでもユニコーンのプロトタイプとしての側面が強く、デストロイモードのようにサイコフレームを外界に展開するような機構を有していないため、サイコ・フィールドを発現させるような機能は備わっていない。
武装
バルカン砲
頭部に搭載された近接防御機関砲。ビームサーベルと共にシナンジュ・スタイン(後述)より受け継がれた装備。
ビームライフル
専用に開発された長銃身型ビームライフル。
射程距離や照射時間が他のビームライフルと比べて長く、ネェル・アーガマのカタパルトデッキを貫通する程の威力を誇る。
不使用時には腰部ラッチに取り付けられる他、上部にライトセンサー、下部にはグレネード・ランチャーやバズーカを取り付けられる等拡張性にも優れる。
ユニコーンガンダムのビームマグナムと比べ破壊力に劣るが、継戦能力に優れる(と言うよりも、ビームマグナムの継戦能力が極端に低すぎる)。
余談ではあるが、劇中やゲームで採用されている射撃時の効果音はジオングのメガ粒子砲射撃音を加工してた物である。
ビームアックス
シールド裏に二本収納されている、メイン近接武装。
シールドに装備した状態でも使用可能な他、出力を上げる事でビームソードアックスとしても使用可能となる(サザビーと同機構)。
また、二本を繋げてビームナギナタとなり、この状態で回転させる事で簡易的なビームシールドとしても機能する(アニメーション版未使用)。ただし第二期モビルスーツと異なり、本世代のモビルスーツはメガ粒子を自機で縮退するには、ジェネレーター出力が全く足りないため、シールドとして運用できる時間は極めて短い。
ビームサーベル
前腕装甲に収納される、予備用の近接格闘用装備。
リゼルのロング・ビームサーベルとの鍔迫り合いに押し勝つだけの出力を有する。
前腕部に取り付けた状態でも使用でき、この機構はユニコーンガンダムにも継承されている。
宇宙世紀0090年代以降のサーベルは、無駄なエネルギー消費や敵機からの視認を抑えるアイドリング・リミッターが標準搭載されているが、シナンジュはサーベルを引き抜いた直後などでも最大発振している事が多々あり、シャアと比べると、フロンタルの操縦技量はやや見劣りする。
グレネードランチャー
ビームライフルに取り付け可能なオプション兵装。
非使用時はシールド裏のラッチに装着している。
バズーカ
ユニコーンガンダムのハイパーバズーカと同じく、砲身伸縮機能を持つバズーカ。
ビームライフル同様、不使用時には腰部ラッチで懸架出来る他、シールドやビームライフルへの装着も可能となっている。
砲身を縮めて使用する場合は、取り回しが良くなる一方で、弾頭の初速が遅くなるというデメリットも生じる。
シールド
表面にネオ・ジオン紋章と金色のエングレービングが施された専用シールド。
第二次ネオ・ジオン抗争時期の一般的なシールドとして、ウェポンマウントとしての側面も強く、裏側はビームアックスやグレネードランチャーを収納可能な他、肩部スラスターユニットに固定させる事も出来る。
活躍
インダストリアル7宙域を離れようとするバナージ・リンクス達を追撃するために初登場。
サラミス級の残骸を囮にした作戦で暗礁宙域に潜伏していたネェル・アーガマ隊の位置を割り出し、アンジェロ・ザウパー大尉ら親衛隊と共に急襲を仕掛ける。その際、障害物だらけのデブリ帯の真っ只中を後続機のおよそ3倍のスピードで接近している。これは、かつてのシャア・アズナブルが専用ザクで引き出したそれとは大きく異なり、シナンジュのマシン・スペックに依るもの(パワー・ウェイト・レシオ=加速力がギラ・ズールの2倍に達しているため、単純にフットペダルを踏み込めば、3倍以上の速度を出すことができる)だが、前述の通り本機のスペックを引き出すこと自体が至難であり、加えて暗礁宙域を高速で駆け抜けるフロンタルの技量は本物である。
ネェル・アーガマ改と接敵した後には対空防御を簡単に回避し、逆に対空砲座を次々に破壊している。その後ネェル・アーガマ改から発進したノーム・バシリコック少佐率いるMS部隊を相手取るも4対1という数的な不利を物ともせず、リディ・マーセナス少尉を残し壊滅状態に追いやる。
ユニコーンガンダムと交戦した際には撃破こそしなかったもののNT-D発動形態でも互角に渡り合っている。
バナージが地球から再度上がって来た後の、ドゴス・ギア級戦艦ゼネラル・レビルとの戦闘では、ジェガンA2型とリゼルC型などの量産機を多数相手にしても有利を崩さず、敵機のコクピットをわざと外す余裕すら残してあしらっており、ほぼ単機による攻撃でゼネラル・レビルの部隊を退却させている。
ネェル・アーガマ隊との共同戦線が決裂した後はレウルーラへ戻り、ネオ・ジオングのコアユニットへと換装されることとなった。
原作小説版
ネオ・ジオングではなく通常形態のシナンジュが最後の敵として登場し、「シャアの怨念」に呑まれたフロンタルの鬼気迫る戦いぶりでユニコーン、バンシィを追い詰めている。
バリエーション
シナンジュ・スタイン
強奪・改修される前のシナンジュ。
宇宙世紀0094年6月14日に『袖付き』は2ユニット分の機体を強奪しており、シナンジュはこの内の1ユニットを改修している。詳細はシナンジュ・スタインを参照。
武装や装甲が未成熟だが、その分軽量なため、単純なカタログスペックはシナンジュよりも高い。
シナンジュ・スタイン(第二種仕様)
強奪したもう1ユニットのスタインを、ゾルタル・アッカネン大尉用に、マイナーチェンジした機体。宇宙世紀0097年に、戦場へ投入された。
詳細はこちらを参照。
ネオ・ジオング
シナンジュをコアユニットとしてハルユニットを装着した拠点攻略用巨大MA。
詳細はネオ・ジオングを参照。
バリエーション(ガンダムUC非関連作品)
シナンジュGPB-Dカラー
『ガンプラビルダーズ』外伝の『ガンプラビルダーズD』に登場するガンプラ。
無敗を誇るガンプラビルダー「白い彗星」の愛機であり、「赤い彗星の再来」たるシナンジュ本体のカラーリングを白に改められている。
「白い彗星」はこれを用いてガンプラバトルで100人斬りを達成している。
ヴァイスシナンジュ
「ガンダムビルドファイターズトライバトローグ」に登場するガンプラ。
ガンダムベース東京の新アトラクション「G-クエスト」のこけら落としで、ミッション(10分以内に目標となる機体を見つけ出して破壊する)の達成目標として設定されていたシナンジュの近接格闘タイプ。
基本的な仕様はシナンジュを白くしただけだが新たに大型剣とシールドを併せた複合武器「モーントシュヴェールト」が装備されている。
モーントシュヴェルートは分割してハルプムントフォームと呼ばれる双剣になる他、シールドと剣を分離したフォルモーントフォームとしても使用出来る。
ゲーム作品において
ガンダム無双3
EXVS
第2次解禁で登場。2巻公開とほぼ同時期というタイミングだった。重装備モードと高機動モードを切り替えながら戦うというスタイル(原作で見せた隕石を使った移動、攻撃も再現)。ただし基本火力が低く逆転性に欠けるため、高い機体性能を使って圧倒できるかが鍵となる機体になっている。耐久力も2500級では実質最低である(X1改はマントがあるため)。
マキシブーストに続投した際に3000コストに変更。武装換装こそ廃止になったものの、
サブ射撃にバズーカ(重装備モード)、特殊射撃でアシスト呼び出し(重装備モード)、特殊格闘で隕石蹴り(高機動モード)と前作の両形態を統合した、耐久力の低さを回避性能の高さで補う高機動万能機に大幅に変更された。
バズーカの即ダウン力を活かした迎撃力と高い機動力からの高い自衛力を持ち、3000コスト機体の中でも使いやすい部類に入る。
ただし、換装廃止のデメリットとして高機動モードの高火力のコンボが使用不可になってしまった。
そのため前作以上にダメージの積み重ねが必要となる。
Gジェネレーションワールド
Gジェネシリーズ初参戦。
大技こそないものの高い基本スペックに加え、低燃費で使いやすい武装が揃っているため持久戦に強い機体になっている。
機動戦士ガンダムUC
PS3用ゲームにおいて強奪される以前のシナンジュであるシナンジュ・スタインが登場する。
また、強奪時のエピソード「戦後の戦争」もダウンロードコンテンツでプレイ可能な他、コレクターズパックにはそのエピソードの小説も付属している。
余談
アニメ第2話にてアルベルト・ビストが提供した、シナンジュの改修前と思われる機体データ画像が登場するが、スタインともシナンジュともデザインが若干異なる。これは、地球連邦軍の情報部が改修後を予測した、あくまで仮定のデータに過ぎない為である。
カトキハジメ氏は「ディティールはサザビーよりHi-νガンダムを意識して描いた」と述べており、見比べるとどことなく似通っている部分も見受けられる。このことを受け、実はシナンジュこそ劇場版「逆襲のシャア」では間に合わなかったHi-νガンダムをベースに開発された機体なのでは、という裏設定を妄想するファンも少なくない。
関連イラスト
関連項目
- シナンジュ強奪事件
サジタリウス・ノヴァ:コンパチヒーローシリーズで共演しているラスボス仲間。赤いボディとカースト制度の頂点がモチーフ(ただしシナンジュは間接的)という繋がりがある。