演:奥田達士
概要
第2話から登場し、世界の先々でディケイドの邪魔をする謎の人物。
フルネームは不明。
ディケイドこと門矢士を激しく敵視し、彼が様々な世界の危機を救っているのにも関わらず、「この世界もディケイドによって破壊された!」などと罵倒したり、他の世界に存在する仮面ライダーを刺客としてけしかけたり、ディケイドを排除するよう告げ口して回ったりするなど様々な妨害を行う。
士たちの拠点である光写真館にキバーラをスパイとして送り込むが、キバーラにも独自の意図があり、両者の利害がどれだけ一致しているのかは不明。
目的は全世界の崩壊を防ぐことにあると公言し、"世界の破壊者"であるディケイドを潰すためならスーパーショッカーの幹部になる(MOVIE大戦2010)こともある(しかし、ディケイドが仮面ライダーを倒すのを利用して世界の覇権を握ろうとしている)。
一方で大ショッカーが総攻撃を仕掛けた際は目の仇であるはずのディケイドを援護した(オールライダー対大ショッカー)のこともあった。
あたかも、世界によって違った役割を与えられる士と同じように。
そして『仮面ライダーディケイド』の展開が終わってもなお、正体が明かされることはなかった。
こういった経緯から、記憶喪失で自分探しの旅をしている門矢士以上に、正体のつかめない謎の人物といえる。
脚本には「謎の男」としか書かれておらず、スタッフの中にも知っている人間は誰もいない模様。
東映の白倉伸一郎プロデューサーは2012年の『スーパーヒーロー大戦』当時、「今度こそ鳴滝の謎を解こうと鳴滝役の奥田さんともどもがんばったんですけど、もう鳴滝は私たちの手には負えませんw」(†)とコメントしている。
把握している者がいるとすれば、『ディケイド』前半でメインライターを務めていた會川昇くらいだろうが、會川は『ディケイド』中盤で降板してからシリーズにかかわっていない。また、以降は物語が大きく激動していたため、当時の初期構想が今の鳴滝の設定に当てはまるのかどうも分からない。
中盤以降で脚本を書いている米村正二は「本当は仮面ライダーのことを一番愛していて、「壁」となることでライダーを人々の心に残してくれる天使のような存在ではないか」と自説を述べている。
また、『仮面ライダー大戦』撮影後の雑誌『THE仮面ライダーEX』インタビューで、門矢士を演じた井上正大氏は「鳴滝はディケイドに対する仮面ライダーシリーズファンの声を体現したもの」という説明を受けて納得した旨を述べている。
後続作品にて
- 『MOVIE大戦2010』では、ゾル大佐に変身。「ディケイドォー!お前は、お前はなんなんだー!!」という台詞を吐いた。誰もが「お前こそなんなんだ」と思ったことだろう。
- 『スーパーヒーロー大戦』には奥田達士がリ・イマジネーションドクトルG役で出演。その正体はやっぱり鳴滝であり、いつも通りの捨てゼリフと意味深な言葉を残して消え去った。「おのれディケイド!お前がいる限り私の旅も終わらない……」 これにはさすがのディケイドも「鳴滝…… お前は一体……」と困惑していたが、正体はやはり不明のまま。
- 「平成ライダー対昭和ライダー 仮面ライダー大戦 feat.スーパー戦隊」では昭和ライダーと平成ライダーの争いの解説役の様なポジションで登場。敵対こそしていないが「おのれディケイド!」もやはり健在。ただし最後は「ライダーってのは、なんて素晴らしいんだ」といいセリフでまとめており、士とようやくお互い和解したかのような印象となった。
- その前日譚である、2014年3月30日放映の「列車戦隊トッキュウジャーVS仮面ライダー鎧武 春休み合体スペシャル」にもディケイドを差し置いてゲスト出演。「全てのライダーの味方」を自称し、葛葉紘汰にレインボーパスをプレゼントして去って行った。また、車掌とは面識があるらしく、彼に対抗するかのごとく右手に鳴滝パペット人形を装備していた。
小説版
本編と互換性のないパラレル作品ではあるものの、一応鐘弘亜樹氏による小説「門矢士の世界~レンズの中の箱庭~」では、正体が与えられている。
*以下ネタバレを含みます。
自分の暮らす世界に絶望して数々のパラレルワールドを渡り歩くも、理想郷が見つからないまま、ついには怪人二十面相の如く自分の存在を失い、自分の存在を繋ぎとめるべく飢餓感のままに人々の生命エネルギーを貪る怪人(あたかもリ・イマジネーションアポロガイストのように)に化したモノとして登場。
その姿は鬼のように禍々しい代物であり、必殺技の一撃で街を吹き飛ばすという核兵器のような攻撃力を有する。
同じように世界に絶望していた海東大樹と手を組み、各世界のライダーたちの力を宿したライダーカードのエネルギーで進化を遂げ、全ての世界を無に帰し理想の世界を築き上げようとした。
HEROSAGA
「ストロンガーの世界」で登場。本編とのつながりは示唆されているがあくまでも外伝であるものの、上記小説版とは異なる鳴滝の目的についての説明が与えられている。
*以下ネタバレを含みます。
本作においては「ディケイドの介入によってその世界が本来の歴史から変わってしまう事により発生する他の世界への影響を防ぐ」という鳴滝の役割が明らかになる。
だが、その結果発生するその世界の滅亡を平然と望んだり、茂にディケイドの抹殺を指示する等、手段を選ばぬ冷徹さで暗躍する。
しかし最後はストロンガーに殴られるというその所業にふさわしい末路を迎えた。
その後…後続作品でも登場している為、やはりというか「オーズの世界」で登場。
MOVIE大戦2010同様ゾル大佐としての役割であり、今回初めて原典のゾル大佐と同様の黄金狼男の姿に変身し、グリード軍団を呼び寄せるも、自らは力及ばす、クウガとディケイドに敗北した。
この後オーズの世界は鎧武の世界⇨五色の世界と移り変わっていくのだが、奇しくも五色のライダーが登場する作品に黄金狼男が久々に出演する事となった。それもご丁寧にカニレーザーも一緒に。
ディケイドが他の仮面ライダーに変身する『世界の破壊者』ならば、鳴滝は他の怪人に変身に変身できる『世界の創造者』たる存在である事が明かされた。そもそも怪人にできる人物が何故『世界の創造者』と呼ばれる存在なのかというと、仮面ライダーが悪と同じ力から生まれる存在だからだと思われる。悪役がいる事、それが仮面ライダーの存在に他ならないのである。
また、チノマナコディエンド変身態がカイジンライドなる能力で怪人を召喚していたが、鳴滝が前述のように歴代の怪人に変身してみせた点や仮面ライダーの起源などから、彼がカイジンライド…ひいてはカメンライドという能力の原典になった人物なのかもしれない。
余談
- テレビ朝日の公式サイトに「プリキュアとなら私もいっしょに踊るかもしれない」と書かれていたことから、ファンの間では「プリキュア好きのおっさん」という二次設定が定着している。「鳴滝ホイホイ」といえばプリキュアのことである。類似した事例に「キュア梅盛」がある。
- 代表的な台詞に「おのれディケイド!」があり、視聴者の間で「何か不都合なことがあるとディケイドのせいにする」というインターネットスラングが発生した。pixivでは仮面ライダーとまったく関係ないイラストでも、キャプションなどに「おのれディケイド!」などと書かれていると、ツッコミとして「鳴滝」タグがつくことがある。
- 第17話のラストでは鳴滝が変身音叉音角を鳴らしてまるで仮面ライダーに変身するかのような描写となっていた(実際には光で隠されていたため不明、その後映ったのは別シーンの響鬼)。もし変身したらさしずめ鳴滝鬼といったところだろうか?