信長協奏曲
のぶながこんつぇると
概要
信長協奏曲(のぶながコンツェルト)は、石井あゆみによる戦国を舞台とするマンガである。月刊少年サンデー・ゲッサンにて連載中で、単行本は2022年5月時点で22巻まで発売されている。
2014年5月にアニメ化・ドラマ化・映画化の映像化が三本立てで発表された。アニメは7月放送、ドラマは10月放送され、ドラマの延長となる劇場版は2016年1月に公開された。
なお、ドラマ版の完結編にあたる劇場版は本能寺の変と信長の死までしっかり物語が進んでいるが、その結末は原作漫画とは異なる。そもそも、原作はまだ完結していないのでまったくの実写版オリジナルである。
作品解説
あらすじ
現代の高校生、サブローは、塀からバランスを崩して落下した拍子に戦国時代の尾張国にタイムスリップしてしまう。そこに偶然居合わせたサブローそっくりの顔をした病弱な武士から、「私の代わりに織田信長として生きてくれ」と頼まれてしまい……
登場人物
サブロー
『織田信長は、天下取らなきゃいけないからね』
現代の高校生。タイムスリップした先の戦国時代で、病弱な本物の織田信長に代わり、織田家の跡継ぎとして暮らすことになる。
飄々とした呑気な性格で、明智光秀の名前を知らないというほど歴史には疎かったが、独特で大胆な言動や発想で上手く切り抜けている。
明智光秀(本物の織田信長)
サブローがタイムスリップした際に出会った武士で、本物の織田信長。病弱でサブローに身代わりを頼んだ後は隠居していたが、のちに斎藤道三に仕える。サブローが美濃を攻略した際に再び現れ、サブローを支えるために織田家家臣となることを宣言する。サブローのためなら非道なこともしてみせる一面を持つ。
顔がサブローと一緒なため混乱を招かないようにするため常に頭巾をかぶっている。
秀吉の陰謀を知る者のひとりであり、「あの男は危ない」などと秀吉という存在が孕む危険性についてたびたびサブローに進言している。
帰蝶
信長の正室であり、斎藤道三の娘。
初めてサブローと会った際にサブローの失言で泣いてしまった帰蝶をサブローが「でぇと」に連れ出すようになってからは、サブローを深く愛するようになる。可憐で美しく、子供や侍女にも優しい性格の持ち主。現代では濃姫と言われることが一般的。
池田恒興
左の必死で信長をフォローしているそばかすのある方が池田恒興。
(本物の)織田信長の小姓として幼少の頃から仕えている。
ある日を境に奇行を繰り返すようになった信長(サブロー)に頭を悩ませ、一時は弟の信行の方が領主にふさわしいと考え殺そうとしたこともあるが、その器の大きさ(?)を知ると、直属の配下として忠義を尽くすようになる。
生真面目な性格で、サブローの言動に常に振り回されている苦労人。
サブローからは「恒ちゃん」と呼ばれる。
佐々成政 前田犬千代
左が佐々成政。右が前田犬千代(前田利家)。
兵農分離政策を進めるサブローの元に志願した兵士達。
いつも喧嘩し張り合っている。
成政は責任感があり真面目だが反対に利家はやんちゃな大型犬。年月が経つにつれて落ち着いてきており、気性の荒い家臣の一人である森長可をたしなめるなど武士として成長している。利家は未だに犬千代と呼ばれる。
木下藤吉郎(羽柴秀吉)
農民から商人になった本物の藤吉郎を殺してその名前と経歴を奪い織田家に潜入した、今川家に仕えた元忍び。前は「田原伝二郎」と名乗っていたがこれも偽名。
今川義元の上洛を確実にするため、織田家に様々な工作を行ったが失敗し、主君である義元を死なすという結果を招く。義元死後は織田家への復讐と富と権力を狙い、織田家の潜入を続ける。
普段は愛想の良い有能な忠義者のようだが、その本性は腹黒く冷酷。
織田の重臣となって以降も幾度かサブローと織田家を裏切る謀略を企てたが、そのたびに光秀や半兵衛に阻まれて失敗に終わる。
羽柴秀長
羽柴秀吉を名乗ることになった藤吉郎の元に現れた、彼の弟(自称)。
以降は秀吉の副官として、遠征にも同行する。口が軽い一面もあるがフォロー上手。兄に殺されるのも本望としている変態。重度のブラコンその2。
敬愛する兄秀吉の陰謀にも喜んで協力するが、秀吉がその腹黒い本性をあらわした発言をしたときなどは「……」と黙り込むなど、何を考えているのかよくわからない人物でもある。
斎藤道三
「美濃の蝮」と恐れられた美濃の武将で、帰蝶の父親。実は平成6年からタイムスリップした警察官で、信長を最初は快く思っていなかったが、彼の学生服姿を見て同じ未来人と知り、サブローに協力することを約束した。
史実通り、息子・斎藤義龍に討たれて亡くなる。
浅井長政
市の夫で近江の大名。好青年で信長とは友好的であったが足利義昭の密書により父の勧めで苦悩しつつも対立する。市のお転婆に翻弄されつつも慈しみ、夫婦仲は良好であった。おそらく蛇が苦手。信長と対立した際に大将的存在であった武田信玄が死んだことによって織田軍総攻撃に遭い、自刃した。市との間には茶々、初、江と3人の娘を授かる。
松永久秀
大和の武将。実は平成のヤクザで、上洛してきた信長に降伏したが、彼の正体(サブロー)も知った。うだつのあがらない平成より、弱肉強食の戦国を気に入っており、歴史は疎いが、下剋上で戦を続けた。拳銃を護身用に持っている。
ちなみに織田家の家臣の皆さんの彼に対する好感度は信長を除きゼロ。一部にはゼロどころかマイナスである。唯一、森長可からはある意味、理解されている。
やがて史実通りサブロー信長に謀反を起こし、降伏勧告の使者としてやってきた長可に対しても恭順を拒否する姿勢を貫いた。最終的には派手に爆死し、平成に生きた人間でありながら戦国で散った。
徳川家康
三河の武将。松平竹千代であったころに織田家に人質としてやってきて信長と遊んだ。
義元死後に独立して同盟を組み、色々なことで協力し合っている。
見るからに人のよさそうな外見だが、実は好色。信長が持ち込んだ平成のエロ本をもらって家宝にしており、それがきっかけで女好きに目覚めた。
信長をひどく尊敬している。
弥助
信長に仕えた黒人の家臣。実は平成のアフリカ系アメリカ人の元野球選手で、本名は「ヤング」。埼玉からタイムスリップして、鬼と呼ばれて彷徨っているところを森長可に捕らえられ、信長と対面。「ヤング」という名が呼びにくいため「弥助」と名付けられた。
テレビアニメ
フジテレビ開局55周年を記念して2014年7月より放送開始。アニメーション制作をアニメスタジオに発注するのではなく、フジテレビ自社のCG事業部が担当するという日本のテレビアニメ史上異例とも言える制作体制を採る。
俳優の演技を撮影し、それをトレースするロトスコープとCGのハイブリッド構成とこちらもテレビアニメの製作では珍しい手法である。
ストーリーは第8巻・第41話「延暦寺攻め」までである。
原作との相違点は、女忍のゆきが登場しないために、木下藤吉郎(羽柴秀吉)がサブローの日本史の教科書を燃やす点、原作では同じ濃い茶髪とあるが、サブローは濃い茶髪、光秀は濃紺髪と違えてあることである。
ドラマ
2014年10月から12月まで放送された。月曜日の21時の放送時間を「月9」と呼ぶようになっての初の時代劇となる(「月9」と呼ばれる前には「座頭市」等の放送がされている)。
浅井滅亡までが描かれ、長篠の戦いや本能寺の変を描いた完結編が2016年1月に映画として公開される。
脚本はTIGER&BUNNYを手がけた西田征史氏。
主題歌は、ドラマ版・映画版どちらもMr.Childrenの「足音〜Be Strong〜」。
ストーリー、キャラクターの性格等、原作からかけ離れているため、ほぼ別作品である。