地震
じしん
概要
地殻の内部で密着している岩盤同士が、断層を境目として急速にズレ動く事によって発生する。
このズレ動いた際の振動(地震動)が地面などを通じて地表にまで影響を及ぼすものを地震と呼ぶ事が多い。
ズレが発生した地点が「震源」だが、ズレはその後広範囲に広がり、震動はズレの広がった範囲である「震源帯」から発生し、周囲に広がる。
地震波にはP波とS波と呼ばれるものがあり、P波の方が伝搬速度が速い。震源から遠い場所で、最初の小さな揺れの後で大きな揺れが来るのはそのせい。
地震の揺れは、概ね震源から近いと強く、遠いと弱くなるのだが、地盤が弱いと揺れが強くなる。特に「沖積層」と呼ばれる軟弱な地層は揺れの作用が大きくなり、被害を受けやすくなる。また、構造物に与える影響は揺れの周波数により異なる。同じような揺れの地震で、建物が受けるダメージが異なるのはそれが理由。
また、硬い海洋プレートが地震波をあまり減衰させずに伝える性質を持つため、通常の震度分布とは異なり、震央付近では揺れは小さいが、遠く離れた場所で揺れが大きく観測される現象(異常震域)を伴う場合があり、それは主に「深発地震」が発生したときにおこりやすい。例としては2015年の小笠原諸島西方沖地震(M8.1)などが挙がる。
世界の地震の8割は大平洋を取り巻く地域で起こっている(環太平洋地震帯)。特に日本やチリ、インドネシアは全土が環太平洋地震帯に含まれる上、国土の広がりが大きいため、世界屈指の地震国といわれている。一方で世界にはフィンランドのように非常に地質が安定しており地震がまれな地域もある。ロシアやインドや中国、アメリカ合衆国のような国土が広大な国は、地震が多い地域とほとんど起こらない地域の差が極端である。
主な地震の種類
地震は主に「プレート境界地震」と「内陸地殻内地震」、「海洋プレート内地震」、「火山性地震」の四種に大別される。
プレート境界地震
地球表面を覆うプレート同士の境界で起きる地震。
- 海溝型地震
陸側プレートの下に海側プレートが潜り込むことで、境界面で海側プレートに引き込まれるように陸側プレートにひずみが溜まり、その歪みを解放する形で陸側のプレートがズレ動くことで発生する。
後述のいわゆる直下型と比べると震源域が広範囲になりやすく、超巨大地震もたびたび発生する。特に日本列島は4枚のプレート(ユーラシアプレート(小規模の場合はアムールプレート)、北米プレート(小規模の場合はオホーツクプレート)、太平洋プレート、フィリピン海プレート)が複雑に重なり合った場所にあり、近海には千島海溝、日本海溝、相模トラフ、南海トラフ、小笠原海溝等のプレート沈み込み帯が存在し、幾度となく巨大地震に見舞われている。
ズレ動く範囲が大きいことに加え、比較的深い震源であることが多いため揺れが伝播する範囲も広範囲にわたる。また、プレートの沈み込み帯は海底に存在するため津波が発生し、甚大な被害を出すこともある。東北地方太平洋沖地震(2011年)、昭和南海地震(1946年)、昭和東南海地震(1944年)、関東地震(1923年)など。
- 衝突型地震
ヒマラヤ山脈周辺では、インド亜大陸のプレートがユーラシア大陸のプレートにぶつかることによってしばしば大地震が起きている。また海溝型と紛らわしいが日本海北部の海底も、北米プレートとユーラシアプレートの大陸プレート同士が衝突する境界にあたり、地震が多い(こちらは規模によっては津波が発生する)。北海道南西沖地震(1993年)、日本海中部地震(1983年)、パキスタン地震(2005年)、ネパール地震(2015年)、など。
- 発散型地震
プレート同士が引き裂かれる境界も地震が多い。ただ、M6を超えることは少なく、後述のように発散型境界で人の居住する地域は限られている。特に、海洋プレート同士が発散する境界で起こる地震を海嶺型地震という。海嶺やアイスランドやアフリカ大地溝帯で主に発生する地震。
- 横ずれ型(トランスフォーム断層)地震
カリフォルニア州のサンアンドレアス断層はプレート境界に位置しており、ここがずれ動く地震はプレート間地震に分類される。サンフランシスコ地震(1906年)など
内陸地殻内地震
プレート同士の衝突や沈み込みによって地殻表面にひずみが溜まり、破断するなど断層が生成されズレ動くことによって地震が発生する。一般的に直下型地震ともいわれる地震。一度ズレ動いた断層は何度もズレ動く上、前述のとおり日本列島は4枚のプレートが複雑に重なり合った上に存在するため無数の断層が日本を覆っているので、特にズレ動く可能性が高い断層を活断層と呼び警戒している。ズレ動く形式によって種類がある(後述)。
場所によっては露出するほど地表に近いため震源は比較的浅く、揺れが伝わる範囲もプレート境界型に比べれば小さいが、震源地との距離が近いためたとえ小さい規模でも付近では大きな揺れに見舞われるケースもあるほか、P波とS波がほぼ同時に到達するため緊急地震速報による速報が困難な場合も多い。
もとを糺せばプレート境界地震の影響から地層が圧迫されて発生するため、両者が連動・連鎖するケースも少なくない。実際、東北地方太平洋沖地震の後には日本各地で直下型地震が誘発された。
また、当然だが震源が海底または海に近い場合には津波が発生することもある。
プエブラ地震(2017年)、平成28年熊本地震(2016年)、新潟県中越地震(2004年)、兵庫県南部地震(1995年)など。
海洋プレート内地震
プレート境界地震が陸側のプレートと海側のプレートとの境界で陸側プレートがズレ動いて起きるのに対し、陸側のプレートに沈み込む海側のプレートで発生する地震。次の2つに分類される。
- スラブ内地震または深発地震
陸側のプレートの下に完全にもぐりみマントルへ到達した海側のプレートで発生する。通常の地震よりも震源地がより深く、深い場所では地下600キロ以上で発生する。震源地から距離がかなり離れているにもかかわらず大きな揺れや広範囲で有感地震を引き起こす異常震域を持つことで知られる。
これは、周囲の柔らかいマントルでは地震の揺れがすぐに減衰してしまうのに対して、固いプレートに沿って揺れが伝播するとエネルギーが減衰しにくいために起きる現象。小笠原諸島西方沖地震(2015年)、芸予地震(2001年)など
- アウターライズ地震
これから沈み込むプレートの盛り上がった部分(海溝外縁隆起帯)で発生する地震。特に規模の大きいプレート境界地震が発生した場合は、その後にそれに近い規模の地震を引き起こすことがあり警戒されている。この地震は地表での揺れが小さいにもかかわらず、大津波が発生しやすいという特徴を持つ。昭和三陸地震(1933年)など
メカニズム(発生機構など)
地震は断層によって動き方が異なり、力の方向によって断層のずれ方が異なる。それぞれ「正断層・逆断層・横ずれ断層」などの種類がある。
正断層
岩盤を引き離す力によっておこる。水平に引っ張られて破壊されると、岩盤が2つに分かれ、上側がずれ落ちる。基本的に逆断層による内陸の地震が殆どであった東北地方にまれに正断層によるズレ跡が見つかることは長年の謎であったが、東北地方太平洋沖地震の発生を受けて、日本列島が太平洋側へ大きく引っ張れたことによって震災直後に正断層地震が頻発したことでその理由が解明された。
逆断層
岩盤を圧縮する力によっておこる。圧縮されて破壊されると、岩盤が2つに分かれ、押し縮められて上側がせり上がる。東北や北陸は太平洋プレートによって北米プレートが押し込まれている関係上、内陸で発生する地震のほとんどは逆断層型の地震である。
横ずれ断層
岩盤にはたらく押し引きの力が一直線上にないときにおき、岩盤に力が加わり、上下ではなく、横に移動してずれ動く。「右横ずれ断層」「左横ずれ断層」の2種類が存在する。
- 右横ずれ断層
断層を挟んで手前の断層に対して向こう側の断層が右に移動してずれ動く。
- 左横ずれ断層
「右横ずれ断層」の逆で、手前の断層に対して、向こう側の断層が左に移動してずれ動く。
地震の被害
大きな地震が発生すると起こることが多いが、周期が数秒以上の長くゆったりとした揺れ(長周期地震動)を起こすことがあり、高層ビルなどの大型の建造物は、共振しやすい。
特にM8クラス以上の巨大地震が発生すると、場合によっては長周期地震動が数百秒以上続くことがある(超長周期地震動)。超長周期地震動を観測した地震は東北地方太平洋沖地震のみ。
一方で主に活断層型の大地震で発生することが多いが、周期数秒程度の長周期の揺れが大きな変動に伴って一気に発生する大きな地震動(長周期パルス)を起こすこともある。例としては平成28年熊本地震が挙がる。
また他にも、前震・余震と呼ばれるものを生じさせることがある。巨大地震などの前の予兆となる地震が前震で、巨大地震の後の地震が余震である。巨大地震で前震がない場合もあるが、余震は必ずといっていいほど起こる。
震度とは各々の地点での揺れの強さを表す為、一つの地震であっても、場所ごとに別々の値が出る。
一方で、マグニチュードは地震そのものの規模(エネルギー)を表すものであり、一つの地震に対して一つの値しか出ない。地震による被害には津波、火災、土砂災害などが挙げられ、被害が同時多発的に起こる上、建築物の倒壊、道路の寸断などにより救援が困難になるケースも少なくない。
特に兵庫県南部地震においては建物などの倒壊で救急車や消防車の到達が遅れることとなった。
また、海で地震が発生した場合は、しばしば津波が被害をもたらす。明治三陸地震のように、揺れによる被害がほぼないにもかかわらず、津波が沿岸部を襲い大被害が出ること(津波地震)もある。
ときに地球の裏側で起きたプレート型地震の余波が、津波となって襲い掛かることさえある。1960年のチリ地震の余波が、そのまま三陸沖に津波として襲い掛かったのは有名な話である。海で規模の大きい地震が発生すると津波を伴う場合がほとんどだが、震源があまりにも深いと津波は発生しにくい。
震度
日本における震度は「気象庁震度階級」として、以下の10等級と決められている。詳しくは別記事の『震度』を参照するといい。
震度 | 状況など |
---|---|
0 | 人は揺れを感じない |
1 | 屋内で静かにしている人には地震を感じる人もいる |
2 | 屋内で静かにしている人の大半は地震に気付く |
3 | 屋内で静かにしている人のほとんどが地震に気付く |
4 | ほとんどの人が驚く、電灯が揺れる、不安定な置物が倒れる |
5弱 | 多くの人が恐怖を覚える、固定していない家具が動く ※一般向けの緊急地震速報の最低予想震度 |
5強 | 物につかまらないと歩きにくい、食器などが落ちる、家具が倒れる |
6弱 | 立つのが困難になる、家具のほとんどが倒れたり動く |
6強 | 這わないと動けない、地割れが生じる、家具のほとんどが倒れる |
7 | 建築物が壊れたりひび割れたりする、人や家具が飛ばされることがある、耐震性の高い建物も傾くことがある |
同じ地域でも、状況(地盤の強弱など)により震度(と被害)は変わる。
他国では別の体系の震度を使用していたりする。
長周期地震動階級
固有周期が1~2秒から7~8秒程度の揺れが生じる高層ビル内における、地震時の人の行動の困難さの程度や、家具や什器の移動・転倒などの被害の程度から4つの段階に区分した揺れの大きさの指標のこと。なお、「長周期地震動」については、上記の大見出しの『概要』を閲覧するといい。
階級 | 状況など |
---|---|
1 | 吊り下げものが大きく揺れ、室内にいたほとんどの人は揺れを感じ、驚く人もいる。 |
2 | 室内で大きな揺れを感じ、物に掴まりたいなど、行動に支障を感じる。棚から本などが落ちる。 |
3 | 立つのが困難で、家具が動き、不安定な家具が倒れる。ひび割れたりすることがある。 ※一般向けの緊急地震速報の最低予想階級 |
4 | 立つのが不可能で、這わないと動けない。家具のほとんどが倒れる。ひび割れや亀裂が多くなる。 |
(出典:気象庁ホームページより)
※それぞれの長周期地震動階級で示されている全ての現象が発生するわけではない。
階級4を観測した主な地震の例
- 新潟県中越地震
- 東北地方太平洋沖地震(東日本大震災):地球を自由振動させるほどの超長周期地震動が数十時間にわたって観測された。
- 平成28年熊本地震の本震:長周期地震動階級が導入されてから観測史上初の階級4を観測した。
- 北海道胆振東部地震
など
マグニチュード
地震のエネルギーを示す。
対数関数であるため、マグニチュードが1増えるとエネルギーは約32倍、2増えると32×32=約1000倍になる。つまり、10の3乗もの違いになる。
そのため、マグニチュード5とマグニチュード7ではほとんど違わない、のではなく、マグニチュード5の1000倍、マグニチュード3の100万倍のエネルギーと言う事である。
マグニチュード8程度の地震になると、エネルギーは地球規模の地震動を起こす程になり、マグニチュード9程度になると、地球の自転を狂わせる程になる。
マグニチュードの例
エネルギー量の末尾は単位を示す(K=キロ)。
マグニチュード | エネルギー量(単位ジュール) | 補足(主な地震やその他の内容) |
---|---|---|
0 | 6.3K | |
1 | 2.0M(メガ) | |
2 | 63M | |
3 | 2G(ギガ) | 確実に検知可能とされる最下限値。 |
4 | 63G | 小型の核爆弾が爆発するエネルギー量。 |
5 | 2T(テラ) | 中規模の地震。 |
6 | 63T | 津波を発生させるとされる最下限値。大阪府北部地震(M6.1)・イタリア中部地震(M6.2)・2018年花蓮地震(M6.4~6.7)・平成28年熊本地震の前震(M6.5)・鳥取県中部地震(M6.6)・長野県神城断層地震(M6.7)・北海道胆振東部地震(M6.7)・新潟県中越地震(M6.8)などのエネルギー |
7 | 2P(ペタ) | 被害の程度によっては巨大地震に位置づけられる。福井地震(M7.1)・鳥取地震(M7.2)・兵庫県南部地震(M7.3)・東北地方太平洋沖地震の前震(M7.3)・平成28年熊本地震の本震(M7.3)等 |
7.5 | 11P | 大正関東地震(M7.9~8.1)・昭和東南海地震(M7.9~8.2)・四川大地震(M7.9~8.0)・※ガズィアンテプ地震(M7.8)等 |
8 | 63P | 巨大地震。濃尾地震(M8.0)・2003年十勝沖地震(M8.0~8.3)・元禄関東地震(M8.1~8.4)・昭和三陸地震(M8.1)・1960年チリ地震の前震(M8.1)・チアパス地震(M8.1)・明治三陸地震(M8.2~8.5)・1952年十勝沖地震(M8.2)・安政東海地震(M8.4~8.6)等 |
8.5 | 350P | リスボン地震(M8.5~9.0)・安政南海地震(M8.5~8.7)・宝永地震(M8.6~9.3)・2010年チリ地震(M8.8)等 |
9 | 2E(エクサ) | 超巨大地震。カムチャツカ地震(M9.0)・東北地方太平洋沖地震(M9.0~9.1)・2004年スマトラ島沖地震(M9.1~9.3)・アラスカ地震(M9.2)等 |
9.5 | 11E | 1960年チリ地震(M9.5)等、現時点で地震の最大。 |
10 | 63E | 理論上の地球での地震の最大エネルギー。 |
11 | 2Z(ゼタ) | 恐竜が滅んだ際の隕石衝突時の地震エネルギー(推定値)。 |
12 | 63Z | 地球が断裂するエネルギー。 |
※仮名である。
規模の大きい地震
世界最大級の地震は1960年のチリ地震のMw(モーメントマグニチュード)9.5の超巨大地震で、この規模を上回る地震は存在しない。
観測史上最大級の地震は2011年の東北地方太平洋沖地震のMw9.0~9.1の超巨大地震である。近代観測が始まるプレート境界でM9クラスの可能性の地震は以下の通りである。
また、内陸直下型地震では1891年の濃尾地震のM8.0の巨大地震が観測史上最大である。近代観測が始まる内陸でM8クラスの可能性の地震は以下の通りである。
内陸直下型地震
- 1586年天正地震:濃尾地震を上回っている可能性
神話・伝説での地震
日本では、鯰が地震を起こすという言い伝えがあるが、これは元は竜だったらしく、中世の絵図では日本を囲う竜が描かれている。この竜を押し込めて動かなくしているのが、鹿島神宮の境内に頭だけ出して埋もれている「要石」だという。
これとは別に、日本神話に「なゐの神(=地震の神)」という神が出てくるが、これは神の特性であり、特定の名前は知られていない。
中国では、地震に限らず、大きな災害の原因は為政者の不徳にあるという考えがあった。ただし、中国の地震は古来からの中心である中原で発生する頻度が低いため、洪水や旱魃などに比べると地震は影が薄い。
ギリシア神話では、ポセイドンが地震の神でもある。
伝説でも地震絡みのものは多いのだが、本題が地震以外にある物が多いため、その辺は略する。
地震は予知できるのか
地震が予知できれば被害も激減できるはずで、関東地震や東海地震のように、周期的に発生すると考えられていたものを中心に予知が研究されていた。
しかし、
- 発生源となる断層は判明していないだけで、未知のものも多い。
- 断層の大半は活動頻度が低い。
- 特に日本では、地殻変動や堆積などで覆い隠された断層も多いとみられる。
- 断層の破壊には無数の要素が絡むため、地震が毎回同じように発生するわけではない。
(関東の地震は震源帯も毎回ずれている。)
ため、「予知に期待するより、常に地震に備えた方が早い」と考えられる事も多い。
東海地震は南海地震・東南海地震後の地震空白域であり、また、2〜3日前から明確な地殻変動が観測される可能性が高く予知がしやすいと考えられたが、1970年代に「明日起きても不思議ではない」と言われた東海地震はそれから40年経っても発生する気配がなかった。気象庁は2017年に、地震予知は不可能として『東海地震観測情報』から『南海トラフに関連する情報』に変更している。
※そもそも、人間からすれば数年という単位は長く感じるかもしれないが、地震や噴火等の自然現象は、最低でも何百年という単位で考慮する必要があり、数年という単位は人間が瞬きをした時間と同じであるため、人間の時間軸で考慮するべきではない。
緊急地震速報
予知ではないが、『緊急地震速報』では、地震波を感知して大まかな地震の強さと震源を計算する事により、発生直後に速報を出す事ができる。震源域の近くでは役に立たないが、遠隔地で対処の余裕を(秒単位だが)与えてくれる。
ただし、
- 観測点の密度が低い地域の情報精度が粗い。
- 観測点が観測不可能に陥ると情報が欠落する(特に深発地震においては予測不能となることが多い)。
- 同時に複数の地震が発生すると、それらを「同じ地震」と見なして範囲を拡大解釈してしまう。
- 特に直下型地震の場合、P波とS波がほぼ同時に到達するため、緊急地震速報より揺れが先に来る場合もある。
などの課題が存在する。
宏観異常現象
- 地震の前に動物が騒いだり集団移動したりする。
- 地震の前に豊漁や不漁がある。
- 地震の前に異様な気象現象が起きる。
- 地震の前に地下水位が変動する(※注意)。
などのように、「動物や自然現象が地震の前に通常と異なる振舞いをする」という話があり、総称して『宏観異常現象』と呼ぶ。
なのだが、
- 肝心の宏観異常現象とされる現象の種類が多過ぎる。
その現象があっても、必ず地震が起きるというわけではない。
- 地震と因果関係のない現象を、強引にこじつけている。
- 普段から起こっている何の変哲もない現象が、地震のせいで記憶に焼き付いただけ。
などのため、地震予知に役立てるのはほぼ無理であると考えられている。
【注意】ここで注意して頂きたいのが、「地下水や温泉の異変」である。そもそも、この現象については原因が自然現象であった場合、地下で起きている現象であることに加え、地下ではプレート活動による影響を受ける以上、他のどの宏観異常現象よりも地震・噴火の関連している可能性は十分にあるのだ。どのような現象なのかについては、
- 温泉が止まる
- 源泉温度の異変
- 間欠泉が止まる
- 間欠泉が噴出する
- 温泉が濁る
- 地下水が濁る
- 水位の異変
等がある。
実際に過去には、
- 東北地方太平洋沖地震前後には、東北・関東地方などで温泉の異変は相次いで確認されている
- 過去の南海トラフ巨大地震前後には、西日本の温泉が止まるなどの記録が残っている
- 兵庫県南部地震前後でも震源域周辺地域などで、温泉の異変が報告されている
- 大正関東地震発生前の1922年頃に静岡県熱海の大湯間欠泉に異変が現れたという報告がある
- 1943年の鳥取地震の発生前には、温泉が真っ白に濁ったという報告がある
等、確認がされている。つまり、温泉・井戸水・地下水に異変が現れた場合は、地震や噴火の前兆現象として現れている場合があるため、一概に「地震と噴火は関係していない」などと断定することはできない(地下の異変は、最大で年単位で現れる)。
地震予測の研究
地震の短期的な予測は不可能に近いものの、中・長期的な予測であれば、ある程度可能となる場合がある。
スロースリップ
スロースリップとは、プレートの境界が非常にゆっくりずれ動く現象のことで、人間が気づくような揺れは発生させない。今まではあまり危険視されなかったが、2011年の東北地方太平洋沖地震が発生する前の1月下旬頃~3月にスロースリップが発生していたこともあり、かなり注目を集めている。
地下天気図
東海大学で行われている「RTM法」を用いた研究で、Rは距離・Tは時間・Mは規模を表しており、過去一定期間内の地震活動の推移は示す指標である。発生場所は静穏化の異常が検出されたエリア周辺で発生することが多く、地方などのブロック単位で推定することができる。さらに規模もある程度推定するこができ、静穏化の異常が約1年程度以上続くとM7クラスの地震が発生するとされている。
ここでは実際に静穏化の異常が検出された代表的な地震を2つ紹介する。
地震名 | 前兆現象 |
---|---|
兵庫県南部地震 | 本震発生の10か月前から静穏化の異常が始まり、一度収束に向かったものの、再び静穏化に転じ、その後収束して地震が発生した。 |
東北地方太平洋沖地震 | 本震発生の10年前頃から静穏化が始まり、2003~2004年頃にピークを迎え、2006年頃に収束し、その約5年後に地震が発生した。 |
など
地震活動の推移
特に海溝型の巨大地震の発生前後には、プレート境界周辺の内陸でM7前後の大規模地震が増加する傾向がある。
発生年代 | 地震名 | 震災名 | 主な内容 |
---|---|---|---|
1923年 | 大正関東地震 | 関東大震災 | 1703年の元禄関東地震以降、関東付近ではM6.4以上の大地震がおよそ150年近く地震活動が低迷している状態が続いていたが、1850年頃を境に活発化傾向にあったことが判明している。 |
1944・1946年 | 昭和東南海地震・昭和南海地震 | 西南日本では、M6.4以上の大地震は1854年の安政東海地震及び南海地震発生後の1859~1890年のおよそ33年間(M6.0以上の地震を近畿地方に限定すると55年間)地震活動が低迷している状態が続いていたが、1891年の濃尾地震(近畿地方の地震では1909年の姉川地震)を境に活発化傾向にあったことが判明している。 | |
2011年 | 東北地方太平洋沖地震 | 東日本大震災 | 東日本付近では、M6.4以上の大地震が1896年明治三陸地震以降も地震活動が活発化している状態が続いていたが、1940年頃から地震活動が次第に低迷し始め、2000年頃まで大規模地震が非常に少ない状態が続いていた。しかし、東日本付近では、2000年頃から急増し、東北地方太平洋沖地震発生までのわずか10年間で余震も含めて5回も発生するという異常な推移を辿っていたことが判明している。 |
このように海溝型地震の場合は、地質構造やプレートの沈み込む速度などによって変わるが、少なくとも巨大地震発生前は大規模な直下型地震が増加する傾向にあると言える。現在もそれを利用した研究も進められている。
他にも様々な方法を用いた研究が進められている。
創作での地震
ファンタジーでは、地震を起こす能力や魔法が戦闘に使われることも多い。
大抵の場合、飛行状態だと被害を受けなかったりする。
逆に、屋内や地底で平気で使えたりする事もあるし、戦闘後に地形にダメージを与えたままという事は滅多にない。
ぶっちゃけ、人に与えるダメージ以外は、範囲も威力も実際の大型地震に遠く及ばない。範囲では無感地震に勝つのも難しいだろう。
だが、人知を超えた強力なキャラクター(大魔術師、上位精霊、神など)が、戦闘以外のイベントで使う物は、御無体なほど強力である。場合によっては、一つの文明を崩壊に追いやれるほど。
pixivのタグについて
pixivの『地震の関連タグ』は上位に『Tバック、けつ、指揮、尻、撫で回したい尻、尻神様、おしり、お尻』等尻に関連した単語が多く見られる他、単なる尻の絵に「地震」というタグが付けられている事が有るが、これは「ふたば☆ちゃんねる」の、地震が発生した時に大槍葦人の描いた絵を貼り合い「地震だけど美しい尻の画像でも見て落ち着こうぜ」とやりとりする文化に由来する。
日本で発生した地震・震災の記事一覧
※ピクシブ百科事典に記事があるものに限ります。震災の呼称は気象庁の表記に従うが、俗称が浸透しているもの、行政が独自に使っているものに関しても注記のうえ記す。死者数に関しては災害関連死も含む。
主な地震名 | 地震発生日時 | 地震により引き起こされた震災 | 震源地・地震の規模・内容 |
---|---|---|---|
大正関東地震 | 1923年9月1日11時58分頃発生 | →関東大震災 | 震源地は相模湾。地震の規模はM7.9~8.2。死者・行方不明者数は10万5385人とされ、日本の自然災害史上最悪。地震動は10分以上続いたとされている。 |
兵庫県南部地震 | 1995年1月17日5時46分頃発生 | →阪神・淡路大震災(阪神大震災とも) | 震源地は淡路島北部(一部の資料では大阪湾)。地震の規模はM7.3。死者・不明者数は6437人とされ、現地調査で初めて震度7を記録した。 |
新潟県中越地震 | 2004年10月23日17時56分頃発生 | →新潟県中越大震災(気象庁ではなく、新潟県が命名) | 震源地は新潟県中越地方。地震の規模はM6.8。死者数は68人とされ、計測震度計で初めて震度7が記録された。川口町の地震計で当時世界最高の2516ガルを記録。 |
岩手・宮城内陸地震 | 2008年6月14日8時43分頃発生 | 震源地は岩手県内陸南部地方。地震の規模はM7.2。死者・行方不明者は23人。最大震度は震度6強。 | |
東北地方太平洋沖地震 | 2011年3月11日14時46分頃発生 | →東日本大震災(マスメディア等では東北・関東大震災とも) | 震源地は三陸沖。地震の規模はM9.0~9.1とされ、『戦後最悪の震災・世界観測史上4番目に大きい地震』となった。死者・行方不明者数は2万2000人以上とされ、震度6以上は広範囲にわたって観測し、宮城県栗原市で震度7を記録。また、強い地震動は数分単位で続いた。この地震で大津波が起こり、この直撃を受けた福島第一原子力発電所では深刻な原子力事故が発生した。 |
長野県北部地震※ | 2011年3月12日3時59分頃発生 | →栄村大震災(地元での俗称) | 震源地は長野県北部。地震の規模はM6.7。最大震度は長野県栄村で震度6強で、死者数は3人。東北地方太平洋沖地震からわずか13時間後の発生で、同地震の遠方誘発地震の可能性があるとされているが、あんまり関係ないのではないかという指摘もあり、直前の東日本大震災の影響の被害が遥かに大きかったこともあって情報が安定していない。 |
平成28年熊本地震 | 2016年4月14日21時26分(前震)・4月16日1時25分(本震)頃発生 | 震源地はいずれも熊本県熊本地方だが、余震の一部は大分県でも発生した。地震の規模はM6.5(前震)・M7.3(本震)。死者数は273人とされ、初めて震度7の揺れを2回記録することとなった。 | |
鳥取県中部地震※ | 2016年10月21日14時7分頃発生 | 震源地は鳥取県中部。地震の規模はM6.6。最大震度は震度6弱で、死者はなかった。大阪府でも強い揺れが感じられた。 | |
大阪北部地震※ | 2018年6月18日7時58分頃発生 | 震源地は大阪府北部。地震の規模はM6.1。最大震度は大阪府北部の一部で震度6弱で、死者数は6人。 | |
北海道胆振東部地震 | 2018年9月6日3時7分頃発生 | 震源地は胆振地方中東部。地震の規模はM6.7。死者数は44人で、北海道で初めて震度7を記録した。苫東厚真火力発電所の停止により、史上初の北海道全域の停電(ブラックアウト)を引き起こした。 |
※これらの地震は規模が基準に達していないため、気象庁は地震名を命名していない。