概要
ヒゲクジラ(ナガスクジラ科)の一種。漢字表記は『白長須鯨』『藍鯨』。英語圏での呼び名は『Blue Whale』(蒼い鯨)もしくは『Sulphur bottom』 (硫黄色の腹)。『Big blue』などの愛称もある。
全長25~34m、体重200トンに及び、現存種はもちろん、絶滅種も含めて地球上に存在した既知の動物の中でほぼ最大とされる(長さだけならカツオノエボシなど一部のクラゲの方が長いが、これは無数の個体(個虫)が集合した群体である。また触手でサイズを稼いでいることも多い)。ただし近年、全長40メートル近い竜脚類が数種類発見されており、史上最大の動物の地位が揺らぎ始めている。
ほぼ全海域に棲息し、主にオキアミを好んで、というかほぼオキアミ限定で食べる。生まれたばかりの赤ちゃんの時点でも体長7.5m~8m以上と小さめのミンククジラほどあり、1日で30cm、90kg以上成長する。鳴き声も生物界最大級で、ジェット機にも匹敵するとんでもない重低音であり、1600km以上も離れた相手と交信可能である。心臓は小型車並み、動脈は人間が通れる、口には家一軒が入るなどの伝説がある。ちなみに、喉の大きさはバスケットボールが通る程度であり、人間が食べられる心配はない。
寿命は不明だが、より小さなナガスクジラが事故で死んだ時点で140歳以上あるケースがあったことから、最低でもそれ以上生きる可能性がある(ホッキョククジラは250年に達する可能性がある)。
生息状況
19世紀以降、近代捕鯨の発展と共に乱獲され個体数が激減し、現在は世界的に保護されており、個体群にも依るが、全体的には例えばセミクジラなどよりは遥かに回復している。
世界中の外洋に生息するが、主に北洋と南洋を回遊し、熱帯海域ではあまり見られない。オホーツク海や日本海などの縁海にはあまり生息しないが、北太平洋の個体群は時折日本近海に姿を現すこともある。1960年代まで東北で捕獲されていたが、沿岸での目撃や漂着が半世紀前後も途絶え、ロシアでもつい最近まで20年間で数回しか目撃されていなかったこと、中国・台湾・韓国・フィリピンでも該当する可能性のある確実な記録の希薄化から、現状だとコククジラ同様日本やアジアの沿岸に回遊していたオリジナルの個体群は実質的に日本の捕鯨で絶滅したか、沿岸への回遊経路が途絶えたという芳しくない評価をされている。
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この情報は、かつて日本語版のウィキペディアにも記載されていたが今は削除されている。英語版には残っており、そちらか、または参考文献を参照していただきたい。
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ごく最近、北海道では目撃や音響調査で記録されており、ロシアでも目撃があることから、沖合いの個体群の沿岸への来遊が増加している可能性はある。ちなみに、北海道で記録された歌がかなり独特であるらしい。このエリアに独自の個体群がいる可能性がある。
2018年、神奈川県の由比ヶ浜に、体長約10メートルのシロナガスクジラが漂着した。前述の通りこれはまだ子どもであること、また近年北太平洋北西でのシロナガスクジラの目撃情報が増えていることから、日本近海で繁殖している可能性がある。
種類
シロナガスクジラはいくつかの亜種または個体群に分けられ、主に南半球に分布する小型(平均して全長が4mほど短い)の「ピグミーシロナガスクジラ」と言う亜種が存在する他、2014年には別の南極種が発見された。この他、インド洋、北太平洋、北大西洋などの個体群もそれぞれが独立しているとされ、南半球の「True」と呼ばれる種類が最大である。
また、ザトウクジラやナガスクジラなどとごく近縁であり、ハイブリッドもいる(Toufouという名の個体の動画)。
世界最大の「生き物」?
2021年に放送された『トロピカル〜ジュ!プリキュア』24話内のクイズ大会で「世界で一番大きい生き物はシロナガスクジラである。〇か×か」と言う設問がちょっとした物議を醸した。番組内ではローラが「シロナガスクジラの3倍は大きいダイオウイカの知り合いを知ってる」と×を選ぶが、番組の正解は〇。ローラは抗議するも、人類が知ってる生き物じゃ無いとダメ…というオチであった。
しかしこの問題、視聴者からも「シロナガスクジラよりも、高さ100mを超えることもある巨大木、セコイアの方が大きい」「世界最大の生き物は山全体を菌糸で覆い尽くせるオニナラタケ(キノコ)だろう」など「×が正解」という意見がTwitterで続出。そう、問題で問われたのは「世界最大の生き物」であり「動物」ではなかった。
果たして人類既知の世界最大の「生き物」は何なのか?
そして人類既知の世界最大の「動物」は本当にシロナガスクジラなのか?
改めて常識を疑う事態となってしまったため、専門家の意見が待たれる。
参考文献
- 「Status of the world's baleen whales". Marine Mammal Science. 32 (2)」
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