初代ウルトラマンの宿敵・ゼットンの不敵な挑戦。
バット星人の掌中に落ちた、次郎とルミ子が危ない。
さあ『帰ってきたウルトラマン』最終回。
みんなで見よう。
概要
「ウルトラ5つの誓い」は『帰ってきたウルトラマン』最終話のサブタイトル。
そして、このエピソードでウルトラマンジャックこと郷秀樹が地球を去る際に、坂田次郎少年に伝えた誓い。
次郎はこれを叫びながら郷を見送った。
あらすじ
村野ルミ子と郷秀樹の結婚式が浜辺で執り行われた。MATや次郎も出席していた。
しかし何かを察知したかのようにMATは服を脱ぎ隊員服姿になった。すべてはルミ子が見ていた夢で、彼女は次郎と共にバット星人に東亜スタジアムにとらえられていたのだった。
一方、郷は初代ウルトラマンが宇宙恐竜ゼットンと戦い敗北する悪夢に苦しめられていた。目を覚ました郷は次郎とルミ子がいなくなったことを不審に思う中、突如電話が鳴り響く。電話に出ると、自身の名を知る人物に2人を返して欲しければ東亜スタジアムに1人で来いと告げられた。
単身東亜スタジアムへ向かった郷。そこにはバット星人が待ち構えていた上、捕えられた2人の姿が。
すぐさま2人を救い出そうとする郷だが、目の前にゼットン二代目が出現した。「ゼットンと戦う勇気が、お前にあるかな?」と挑発するバット星人。郷はウルトラマンジャックに変身しようとするが、そこにゼットンを警戒する初代ウルトラマンに呼び止められる。
「ゼットンは恐るべき武器を備えた怪獣だ。迂闊に出ると私同様不覚を取るぞ」
変身を躊躇う郷をせせら笑うバット星人は自らの計画を明かす。時同じくしてM78星雲へ向け連合部隊を送り込み光の国のウルトラマン達を皆殺しにする「ウルトラ抹殺計画」を進めていたのだ。
郷はやむなくMAT基地へ退却し、伊吹隊長に2人が拐われたこととゼットン二代目の存在を報告。
隊長は初代ウルトラマンをも倒した最強の怪獣相手には迂闊に手出しできないと慎重に構えるが、郷の「ゼットンを倒さない限りは二人の救出はおろか、地球の安全も」という言葉に悩まされる。
そんな中、ゼットン二代目が東京のB地区に出現したという報告が。次々と街を破壊するゼットン二代目。MATも郷がマットアロー1号・南と上野がマットジャイロで空中から攻撃を加えるも、マットジャイロは撃墜され、マットアロー1号も高熱火球でオイルタンクをやられてしまい、不時着することに。
しかもその隙に、バット星人はMAT基地に侵入し心臓部の原子炉を破壊、大きな被害を与えていた。
地上からゼットン二代目に攻撃しようとするMATだったが、突然ゼットン二代目の手の上に次郎とルミ子が。バット星人は夕方五時に二人の処刑を宣言してゼットン二代目共々東亜スタジアムへ去った。
体勢を立て直すため一時退却したMAT。だが、基地破壊の影響で武器弾薬庫が浸水して中の装備は使用不可、エアポートが破壊されたことで格納庫のマットアローやマットジャイロも飛べない最悪の状況に陥っていた。アローもジャイロも無い状況で一体どうやって戦うのか、と悩む隊長だが郷は不時着したマットアロー1号を修理する事を提案する。
隊員総出で何とか修理はできたが、用意できた燃料では10分程しか飛べない。郷は死を覚悟のうえでゼットン二代目に立ち向かうことを宣言する。何かを察したのか、伊吹隊長は出撃を認める。郷は隊員達と握手を交わしてマットアローで出撃、残されたMAT隊員達も武器を総動員し最後の戦いへ出撃した。
戦いの中、東亜スタジアムに突入した隊長と丘隊員がバット星人と交戦。ナイフでバット星人にダメージを与え、次郎とルミ子を救出する。
バット星人は巨大化し、ゼットン二代目に合流。ゼットン二代目の攻撃でマットアローは撃墜されたが郷はウルトラマンジャックに変身。
2対1という不利な状況。バット星人はかつてのゼットンのようにカラータイマーを狙えとゼットン二代目に命令する。しかしジャックは地上からのMATの援護攻撃で切り抜ける。ゼットンの放った光弾も防ぎ切り、連続キックで優勢に戦闘を運ぶが、背後から割って入ったバット星人に足払いをかけられたことで転倒したところを袋叩きにされた上にカラータイマーが点滅を始めた。しかし最後の力を振り絞り、ウルトラクロスでバット星人を倒し、ゼットン二代目もウルトラハリケーンからのスペシウム光線で撃退した。
その後、海岸で郷の墓が建てられ黙とうと敬礼がささげられた。「帰ってくる気がするんです」とその場に留まった次郎とルミ子を残しMATが去った後、郷は次郎とルミ子が思った通りに帰ってきた。が、郷はウルトラマンジャックとして、光の国に迫っているバット星人と戦わなければならないと告げる。
郷は次郎にウルトラ5つの誓いを言ってみろと言うが、次郎は拒否する。
「言いたくなければ良い。だが次郎、大きくなったらMATに入れ。 MATの隊員達は皆勇気ある立派な人達だ。君も嫌な物、許せない者と戦える勇気ある男になると良い」
郷の言葉に次郎は頷き、ルミ子にペンダントをプレゼントする。そして郷はジャックに変身し、ウルトラの星へと帰っていく。その後を追って次郎はウルトラ5つの誓いを叫ぶ。
次郎「郷さーーん!ウルトラ5つの誓い!1つ、腹ペコのまま学校に行かぬ事!1つ、天気の良い日に布団を干す事!1つ、道を歩く時には車に気を付ける事!」
ルミ子「次郎ちゃーん!」
次郎「1つ、他人の力を頼りにしない事!1つ、土の上を裸足で走り回って遊ぶ事! 聞こえるかい、郷さーーん!!」
ルミ子「泣かないで、次郎ちゃん男の子でしょ?」
次郎「おーい、ウルトラマーン!郷さーん!さようならー!さようならー!」
ナレーター「こうしてウルトラマンは去っていった。しかし、太陽の様に強くたくましかった郷秀樹の姿と心は、この少年と少女の心の中でいつまでも燃え続けるであろう。 さようなら郷秀樹、さようならウルトラマン!」
内容
5つの誓いは以下の通り。
一つ、腹ペコのまま学校へ行かぬこと |
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一つ、天気のいい日に布団を干すこと |
一つ、道を歩く時には車に気をつけること |
一つ、他人の力を頼りにしないこと |
一つ、土の上を裸足で走り回って遊ぶこと |
単純だが地球人達に対する深い思いやりと愛が含まれている。
当時の子供達にもこの誓いは有名になった。
後続作品での扱い
また、この5つの誓いは後続作品の『ウルトラマンA』や『ウルトラマンメビウス』でも使われている。
特に『メビウス』ではこの誓いがCREW GUYSのドキュメントMATにも記録されており、CREW GUYSの前隊長セリザワ・カズヤ(後のハンターナイトツルギ=ウルトラマンヒカリ)からアイハラ・リュウに伝えられている事から、坂田次郎とセリザワ・カズヤは少年時代友人関係にあった事が推測できる。
また、(画面でははっきりとは映っていないが)『ウルトラマンR/B』に登場したウルトラ通信簿の裏表紙にも書かれている。
STORY0版
水棲人間の星に滞在していたジャックがザージとともに星を去る際、ジャックと水棲人間ハクリが残したTV版とは異なる「5つの誓い」(「礼儀を守る」「目上の者を敬う」「好き嫌いしないで何でも食べる」「弱い者には手を差しのべる」「困難に立ち向かう勇気を持つ」)がある。
ウルトラ愛の五つの誓い
円谷プロ4、8代目社長円谷一夫が部下やスタッフの結婚式の際に新郎の宣誓させた言葉
- 奥さんを大切にする
- 休日は家族サービスに努める
- 一年に一回は家族旅行をする
- ウルトラマンファミリーのように明るい家庭を築く
- 子どもが出来たらウルトラマン好きにする
ウルトラ5つの誓い2011
東日本大震災後におけるもので、2011年4月1日に発表された。
ウルトラ5つの誓い2020
新型コロナウイルス感染拡大を受けた感染予防のためのもので、2020年4月13日に発表された。
余談
箇条書き約束事ネタのネタ元として、『仮面ライダー』の「ゲルショッカーの掟」と共に使われる事が多い。
道を歩く時は車に気をつけることは兄と姉があんな死に方をしている次郎少年にとっては何気に洒落になっていない。
また、現実には土の上には何が落ちているかわからないので、裸足で走り回って遊ぶのは十分に安全を確かめてからにしよう。
なお、「他人の力を頼りにしないこと」とは自立心を忘れるな(=他人の力ばかりアテにするな)という意味合いであって他人の力を絶対に借りるなという意味での発言ではない。(かのウルトラマンゼロも「1人で何でもできる気でいる内は、大事な事が分かってないって事だ!」というセリフを残している。)
諸先輩型の力を借りて変身する新世代ヒーローズと以降に登場した戦士達も、ただ、無造作に諸先輩型の力を使っているというわけではなく、特訓をして強くなった戦士やその力と真剣に向き合い、自己の成長に繋げていった戦士が殆どであり、彼らの力を使いこなすのにも自身の心身が健全でなくてはならないからである。
2023年3月22日に郷を演じた団時朗氏が肺がんの為に急逝した際、円谷プロは追悼として最終話の無料公開を行った他、関係者やファン達はウルトラ5つの誓いを捧げた。
作中、東京B地区にゼットン出現を知らせる通信員を演じたのはジャックのスーツアクターであるきくち英一氏である。
関連タグ
キュアエース:プリキュア5つの誓いという宣誓の言葉を持っている。
讃州中学勇者部:「勇者部五箇条」というモットーが定められている。
アクションヒロインチアフルーツ:第11話の次回予告で言及。次回が最終話なのでネタとして触れられたと思われる。
クイズダービー:1990年6月30日放送分の回で、ウルトラ5つの誓いの中に実際にある物は何かを当てる三択問題(選択肢は「腹ペコのまま学校に行かぬこと」、「生水はやたらと飲まぬこと」、「百数えるまでは風呂から上がらぬこと」だった)が登場した。