概要
「WiiU(ウィーユー)」とは、ゲームパッドという画面付コントローラーと複数のWiiリモコンで一人でも多人数でも遊べるHD対応のホームコンソール型ハードである。
特徴
CPU | IBM PowerPCカスタム「Espresso」 | WiiのCPUと互換性あり |
---|---|---|
GPU | AMD Radeon HDカスタム「Latte」 | eDRAM内蔵 |
RAM | 2GB’ゲーム1GB/システム1GB) | Wiiの約20倍 |
eDRAM | 32MB | グラフィック関係に使用 |
本体ストレージ | プレミアム32GB/ベーシック8GB | フラッシュメモリ/Wiiは512MB |
解像度(テレビ) | 最大1920×1080ピクセル | ゲームによって異なる |
解像度(ゲームパッド) | 854×480ピクセル | 6.2インチ |
メディア | 光ディスク(BD-ROMベース):25GB/USB記録メディア:最大2TB/SDHCメモリーカード:最大32GB | USBメディアは主にWii U側のデータ拡張に/SDHCメモリーカードはWii側のデータ拡張に使われる |
WiiUの名称由来は誰でも分かる「We」と「You」をもじって合わせたいわゆる語呂合わせである。
Wiiが「皆が楽しめる」というコンセプトから英語のWe(私達)に由来するのに対し WiiUという名称は、それを推し進めた「皆で楽しめると同時に個々も満足させる」というコンセプトに基づいている。
「『WiiU』は【WiiUゲームパッド】を使ったTVを使わない遊びも可能」で従来の据え置きゲーム機と少し位置付けが異なるため、任天堂は「据置機」ではなく「ホームコンソール型ハード」といった表現を使うというこだわりを発揮している。
従来のゲームハードでは実現できないスタイルのゲームをプレイする事が出来る他、据え置き型ゲーム機ならではの迫力のあるゲームを効率的な環境でプレイする事が出来る。
この2つの思想は(特に前者は)形こそ違えど次世代機のNintendo Switchにも受け継がれている。
また単なる「画面付きのコントローラー」で終わらず、加速度センサー・ジャイロセンサー・地磁気センサーなどのセンサー類を内蔵しており、3DSの様にゲームパッドを傾けるだけでの操作も可能となっている。
その他には赤外線通信ポートや独自のヘッドフォン端子、さらにNFCポートも搭載している。
NFCポートは早い話が「非接触ICカード用カードリーダー」で、これを利用してNFCチップの入ったフィギュア《amiibo》をゲームパッドで認識させることによりゲーム内に反映するなどの遊び方も可能としている。
また、SuicaやEdy・nanaco・WAONのようなICカードを認識出来るという特徴も持つ。よってクレジットカード以外の電子プリペイドカードなどを使ってのDLC支払い・決済などを済ませることも可能となっており、入金ハードルもより低かった。
Wii U Game Pad
WiiUは据置機としては初のサブモニタ付コントローラー【WiiUゲームパッド】を搭載している。
WiiU Game Padとは、大きめのサブディスプレイを搭載したコントローラー。テレビとの2画面で、あるいはそのコントローラーの画面のみでプレイすることが可能。特殊チップを用いて、本体との相互通信遅延をほぼゼロとしており、これを利用したDSとはまた異なる2画面ゲームが開発された。
マイク機能なども搭載されておりDSソフトバーチャルコンソールが配信されている。
苦戦
最初こそローンチから『NINJAGAIDEN』や『アサシンクリード』など任天堂ハードらしかぬコアゲーを輩出するという気合いの入ったソフトウェアラインナップを見せた。
しかし、ゲームパッドを初めとした特殊なハード構成故にサードパーティーが次々と撤退。任天堂自身も初のHDハードだったためにソフト開発が難航し、特に初期はソフトウェアラインナップがかなり寂しいものになってしまった。Wii時代に『桃太郎電鉄』などのキラーソフトを出して間接的に売上に貢献していたハドソンが倒産した影響もあったと考えられる。
以降も充実したとは言い切れず、ニンテンドーダイレクトの放送時はWiiUの新作に期待するコメントこそ多く流れたものの、その期待に沿ったソフトが提供されたとはいえなかった。
その結果折角奪還したゲーム機ハードのトップシェアの座をたった1代で再度ソニーへ受渡す結果となってしまった。ただし、海外の事情も含めるとXboxOneを出していたマイクロソフトも座を分け渡され、今までにないくらいにPS4が持ちあげられる傾向があった。ただし、日本ではPS4のローンチすらPS3の全盛期だった影響で2013年から2014年にずらされていたのでPS4の日本での初期のシェアは低かった。
2016年以降、任天堂は次世代機のNintendo Switchの販売に注力することになり、それに伴い、WiiU本体の生産が2016年11月11日に近日終了予定(日本国内)と記載され、2017年1月31日に日本国内でのWiiU本体が全て生産終了することとなった。
2012年に発売され2017年で生産終了というその寿命の短さは、任天堂のみならず昨今のハードとしても異例。
2024年7月3日、在庫部品が枯渇したため修理受付も終了した。
ソフトの評価
こうして全体から見るとかなり不遇の立ち位置に見えたWiiUであるが、ソフト1本1本の観点から見ると、同じく任天堂ハードの中では苦戦したゲームキューブとは異なり、『マリオカート8』や『スプラトゥーン』など複数のミリオンタイトルを産み出している(ゲームキューブは国内では『スマブラDX』1本のみ)。
また、本ハードで登場したゲームはどれも高評価を受けており(特に自社製)、後に3DSやSwitchに多くが移植されている。
中でも『スプラトゥーン』は久々の任天堂新規IPであり、斬新な発想や若者向けを意識したゲームデザイン、そしてSNSを活用した宣伝方法が影響して一躍話題となり、当時どん底の状態であったWiiUが一変して一時期本体が品薄となる程の巻き返しを見せた。
そしてWiiU向け最後の任天堂ソフト兼物理ディスクソフトとなった『ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド』はWiiUソフトは勿論、他機種を含めた数多のゲームソフトの中でも屈指の高評価を受け、2017年度Game of the Yearを始めとした数々の賞を受賞し、WiiUのフィナーレを飾るに相応しいソフトとなった。
『ブレスオブザワイルド』発売後はダウンロードソフトが中心となり、2018年3月まで新作ソフト発売が続いた。
なお、1番WiiUのソフト数が少なかったのは、実は日本である。日本以外の米国、欧州ではソフトの販売タイトル数が日本の2 - 3倍位多い状態を維持していた。ただし、WiiUはハードウェア単位でリージョンロックされているので、海外ソフトは海外のWiiU本体とゲームパッドで遊ぶ必要がある。海外も含めた場合、WiiU最後の作品は2020年に発売された「Shakedown:Hawaii」である。
何かとディスられがちな特殊なゲームパッドも、表示遅延がないという仕様によりミラーリングが非常に容易。Switchとは異なり概ね好きなタイミングで切替えられるのは画期的であった。
これは動画視聴などでも活用されており、現在はサービス終了したが、WiiU向けに作成された『ニコニコ』はその操作性の高さから高い評価を受けていた。
また3DS同様交通系ICカードによる決済も可能で、クレジットカードを持っていない子供でも買い物がしやすい利点もある。
2023年3月28日に「ニンテンドーeショップ」サービス終了。ダウンロードソフトやDLC購入が出来なくなった。(任天堂のお知らせ)
2024年4月9日に(一部を除き)オンラインサービスが終了。オンラインプレイ全般が出来なくなった(ニンテンドー3DSソフト及びWii Uソフトのオンラインプレイサービスに関する終了時期お知らせ)。
用途・要素
Miiverse(ミーバース)
「Miiverse」とはゲームプレイヤー同士のコミュニケーションサービス。2012年6月4日に「Nintendo Direct Pre E3」で発表された。
Wii U用ゲームは全て「Miiverse」に対応しており、ゲーム情報などをタッチ画面を利用したテキスト入力だけでなく手書き文字や表情ボタン、ゲーム中断時のスクリーンショットなどを活用し投稿出来るようになっている。
現在はPCなどの外部端末からも閲覧することが出来る。
https://miiverse.nintendo.net/
2017年11月8日午後3時にサービス終了。なお、終了理由は明かされていない。
世界中の人と繋がる
Miiverseに代表されるように、WiiUではネットワークサービスが大きく強化された。任天堂ネットワークサービス、『ニンテンドーネットワーク』をインターネットへ接続することで、世界中の人とインターネットを通じて対戦などのコミュニケーションを取ったり、ソフトやDLC購入などが可能。
ニンテンドーネットワークID
ユーザーは、ニンテンドーネットワークIDを用いて、ニンテンドーeショップ、Miiverse、ビデオチャット機能や各ソフトメーカーのネットサービスなどを一元管理することが可能。
またアカウント機能を導入し、1ハードにつき、12個までのアカウントをサポート。ユーザーごとに各ゲームソフト設定、セーブデータ等を管理できるようになっている。
3DS側もファームウェアVer.7.0.0-13JでニンテンドーネットワークIDに対応。Wii Uと残高共有が出来るようになる(それまでの残高は合算される)。
ワラワラ広場
WiiUメニュー画面起動時の画面では世界中のユーザーのMiiが登場し自身が遊んでいるゲームや人気ゲームのアイコンが表示され、表示されているゲームについてのコメントを表示する。Miiverseへの投稿からランダムに選ばれたコメントが雑談のように表示され続ける。
現在はサービス終了。任天堂プリセットのMiiが表示される。
パッケージソフトDL購入やソフト評価、DLC購入、ゲーム動画を見ることなどが出来る。Wiiで購入したバーチャルコンソールとWiiウェアを、WiiUへ引っ越しすることも出来る。
プラットフォームが異なる3DSソフトも閲覧出来るが、購入は出来ない。
内蔵ソフト
インターネットブラウザ
無料のインターネットブラウザ。ゲームを中断したままインターネットブラウザーで検索することが可能。また『任天堂らしい』少し変わった機能も搭載されている。
HTML5に対応しているので動画の再生が可能だが、AdobeFLASHには非対応。
Nintendo TVii
テレビ番組表と連動した総合テレビ情報サービス。コントローラーでテレビを操作することも出来る。
現在はサービス終了。
Wii U Chat(Wii Uチャット)
WiiU内蔵ソフトの1つでビデオチャトが科のy。会話をしながら絵を書くことも出来る。
現在はサービス終了。
Nintendo×JOYSOUND WiiカラオケU
内蔵ソフトの1つで、JOYSOUNDを展開しているXINGと任天堂が共同開発したカラオケソフト。
有料のチケットを買うと期間中毎月9万曲以上が歌い放題。別売り専用マイクの他、Wii U GamePadも使用出来る。
ゲーム
WiiUディスクソフト
従来通りの光学ディスクでゲームをプレイすることが出来る。ほぼ全タイトルはeショップでのダウンロードが可能。GC、Wiiと同じ独自規格のディスクであるがBlu-rayディスク同様青紫色レーザーで読み取りを行う。
WiiUダウンロードソフト
eショップよりダウンロードすることが出来るダウンロード専用ソフト。ゲームだけでなく、ペイントツールや動画ビューワーなど多彩なソフトが提供されている。
懐かしの名作をダウンロードすることが出来る。Wii版で既に購入済の場合、様々な機能が追加されたWiiU移植版を優待価格で購入可能(詳細はリンク先参照)。
Wiiディスクソフト(ダウンロード版)
かつてWiiで発売されていたソフトダウンロード版。
ゲーム内容はパッケージ版と同じであるが、価格は当時の半分程度。また、一部ソフトはGamePadでプレイすることができる。
注意
GC・Wiiから引き続き音楽CD、DVDビデオ、Blu-rayビデオ再生には非対応。
Wiiの場合、初期ロットに限り本体改造で視聴可能だが、Wii UはWiiの後期ロットと同じくハードウェア側で対策されているため不可能。
またGCの互換機能が廃止されているためGCのディスクは入らない(無理矢理入れると故障の恐れあり)。
価格
- プレミアムセット(本体カラー:黒、内蔵メモリ32GB):31,500円(税込)
- ベーシックセット(本体カラー:白、内蔵メモリ8GB):26,250円(税込)
現在ベーシックセットと同梱版も含むプレミアムセットは既に生産終了している。また、後にプレミアムセットにも白カラー版が登場している。
JOYSOUND FESTA
旅館やホテル、老健・介護施設を始めとしたヘルスケア市場に特化し、オリジナルコンテンツを強化した業務用カラオケ機器。現在は生産終了。
WiiUの内蔵ソフト「Nintendo×JOYSOUND Wii カラオケU」をベースとして開発されている。
後継機に「JOYSOUND FESTA 2」も登場したが、こちらはJOYPadと呼ばれる専用パッドを採用しているため、WiiUとは関係なくなった。
余談
- Wiiで目指した「ローパワーハイパフォーマンス」設計を引継いでいる。本機ではCPUとGPUを1つの同じパッケージ基板上に搭載する「MCM(マルチチップモジュール)」技術を採用することで、消費電力を減らすのと同時にCPUとGPU間の転送速度を向上させている。
- ちなみにこの設計のお陰で熱源が一つになり、本体の排熱のしやすさに一役買っている。
(参照:社長が訊く『Wii U』本体編)
- 任天堂ハードとしては珍しくCERO-Z指定作がローンチの地点で2本、後に3本と合計5本も出ている。
- 同世代機の中で唯一アナログ出力端子を備えている。これについては同世代Switchでオミットされる。
- 本機のコードネームは「Project Cafe」で、上記したCPUの「Espresso」やGPUの「Latte」など部品のコードネームもコーヒー関連のものから採られている。
- 近年HDテレビ普及に合わせてアナログ入力端子を搭載したテレビが減って来ているため、Wiiのゲームを今後も遊びたいという人は買っておくことをお勧めする。
- Wii作品が必ずしもスイッチへ移植されるとは限らないため。
- GPUにeDRAMを搭載するのはXbox 360やPlayStation 2等の地点で実現しているが、それらのeDRAMはGPUのパッケージ基板の上に載せるMCM構造か、GPUダイを内包した巨大なLSIの中に搭載するものだったのに対し、Wii Uの場合はGPUダイそのものにeDRAMを詰め込むと言うかなり高度な技術が使われている。
- この構造のお陰かWii UのeDRAMは転送速度563.2GB/sという凄まじい転送帯域を実現しているデータがあるが、真相は不明。
- 当然ながら製造難易度は非常に高く、このようなチップを量産出来るのは実際にWii Uチップを製造していたルネサスエレクトロニクスの鶴岡工場だけだといわれていた。
- 因みに同工場はWii Uがリリースされて暫くした後経営危機に陥り、閉鎖寸前にまで追込まれたが、ソニーが買収したことで事なきを得ている。尚、この買収が止めとなってWiiUが販売中止になったのではないかと言う憶測がされているが、真相は不明。全てはソニーと任天堂が知っている事だろう。
- メニュー画面で無操作のまま放置していると段々BGMが大人しくなる。
- 再度操作を始めると元へ戻る。
- 韓国・台湾等のアジア地域では何故か発売されなかった。
- WiiからWii Uへのデータの引っ越しでは、『2』までのピクミンシリーズに登場した5種類のピクミンがデータを運ぶ姿を拝むことができる。
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