概要
小林泰三の長編小説『ウルトラマンF』に登場するオリジナルのウルトラ戦士。
巨人兵士Fとなったフジ隊員とウルティノイド達の戦いの最中、ダークファウストとダークメフィストの光線を吸収した「ウルトラアーマーF」が自己組織化を起こし、更にダークザギのライトニング・ザギを吸収したことで、アーマーFとフジ隊員の細胞に埋め込まれたナノマシン「メフィラスボット」が融合変異し、女性のフォルムを持つ銀色の巨人として再誕した。
他のウルトラマンと同様に「パターン・ウルトラ」と呼ばれる波形の光を発しているが、ウルトラマンに憑依されたハヤタ隊員や、ウルトラの星出身であるモロボシ・ダン等とは異なり、純粋な地球人であるフジ隊員と人工物であるウルトラアーマーFを素体として偶発的に誕生したという、極めてイレギュラーな出自を持つ存在である。
そのままの状態でもダークファウストを瞬殺するほどの戦闘能力を持っていたが、想定外の事態を訝しんだダークザギがFと精神融合を試みた為、ザギが持つ情報と「ウルトラマンとしての因子」がFに受け継がれ、ザギと同等の力を持つウルトラ戦士として完全覚醒を遂げた。メフィストの多彩な技軽々受け流しては圧倒し、ザギとも互角以上に渡り合う超絶的な戦闘力を持つ。
必殺技は初代ウルトラマンのものに似たスペシウム光線と八つ裂き光輪のほか、ダークザギの情報から模倣したザギ・ギャラクシーやテレポーテーションを使用可能。更に、かつてザギが遭遇したウルトラ戦士から模倣したウルトラアタック光線に似た構えで放つ87万度の光線や、右肘に左拳を当てたような構えで放つ光線、自分の体を光線に変えて突撃する技など、強力かつ多彩な能力を有している。
体内にはウルトラアーマーに装備されていた無重力弾などの武装も取り込まれており、バリア発生機能も健在だが、バルンガ構造体によるエネルギー吸収能力は失われている。
失われたエネルギー吸収能力を補う防具「バルンガイージス」がイデ隊員の手で開発されているが、フジ隊員が変身する度に空輸する必要があるなど運用面の問題が指摘されている。また、生物であるバルンガとは異なり、吸収したエネルギーを消費する能力が無かったためハイパーゼットンの暗黒火球2発で破壊されてしまった。
胸には3分間の時間経過を表示するカラータイマーがあるが、これはエネルギー残量ではなく、「熱原子X線」を使って強制的に人間に戻すまでの時間を示している。もしカラータイマーが破壊されるなどして変身を解除出来なくなると、全身からクリスタルのような突起が現出したウルトラマンサーガに近い姿となる。
この形態ではハイパーゼットン・イマーゴと互角に戦えるほどテレポーテーション能力と戦闘力が強化されるが、細胞内のメフィラスボットが制御不能に陥り、フジ隊員が人間に戻れなくなるという欠陥も抱えている。
最終的にハイパーゼットンとの戦いでカラータイマーを破壊したために変身解除が不可能になってしまうが、イデ隊員がビースト・ザ・ワンの細胞とフジ隊員と同じ遺伝子を持つ双子の姉の細胞を基に特殊ウィルス弾を製造しており、これを撃ち込まれたことで変身が解除された。
体内のメフィラスボットが消滅した為、二度とウルトラマンFに変身することは不可能になったと思われるが、フジ隊員自身は「私はウルトラマンFであり続けるのよ」と決意を語っている。
余談
- 元々、国連軍の科学者であるインペイシャントが計画していた「プロジェクトF」から名称をそのまま転用されて彼女にウルトラマンFと名付けられたが、その『F』とは、フジ隊員のイニシャルと女性を意味する『フィメール(female)』の頭文字から来ているのではないかと作中で考察されている(いわゆるウルトラウーマン)。
- 人工のウルトラマンやそれに近いものは過去にもいくつか登場している。例外はあるがこれらは基本的に敵として存在し、たとえ人が作り出したものでも暴走を起こし最終的には敵として立ちはだかる存在として描かれているものが多い。今作のウルトラマンはそういう意味でもイレギュラーと言えなくない。