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ゴメスを倒せ!

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ごめすをたおせ

円谷プロダクションの特撮テレビドラマ『ウルトラQ』の記念すべき第1話(製作12話)。トンネル工事現場を舞台に二大怪獣が激突する。

登場怪獣

古代怪獣ゴメスゴメテウス):哺乳類。獰猛で肉食の凶暴な生物。

・原始怪鳥リトラリトラリア):鳥類爬虫類中間生物。姿は優しく美しいのだか、するどいくちばしから「シトロネラアシッド」という強力な溶解液を出す。

ストーリー

北山トンネル工事現場

ここは、東京大阪を結ぶ弾丸道路のトンネル工事現場です中では、たくさんの人が一刻も早くトンネルを完成させようと働いています

今夜は、このトンネルの奥で起こったある事件をお伝えしましょう。」(ナレーター(石坂浩二)

第三工区のトンネル工事が着々と進む中、地中を掘り進む地底怪獣ゴメス。卵のような形状の岩塊を掘り当てるがそこへトンネル掘削にあたっていたショベルカーが穴を開け鉢合わせてしまう。

連絡を受けた係長の中村たちが現場に駆けつけると、救助された作業員が「恐ろしくでっかい怪物を見た!」としきりに叫ぶも、アル中幻覚症状と一顧だにされなかった。そこへトンネルの中から正体不明の岩石が運ばれてきた。掘り当てた洞窟と何か関係があるのだろうか?

2名の学者に洞窟と岩石の調査を依頼したのだが、正体を掴むことはできなかった。トンネル現場で取材中の毎日新報記者新田は、「トンネル内の洞窟」の件を編集部に報告。

毎日新報社

現場の状況がさっぱり読めない編集長関デスクに、毎日新報カメラマン江戸川由利子が「現場の写真を撮れば、一目瞭然!」と進言。愛用のカメラを携えて、星川航空のパイロット万城目淳と助手の戸川一平と共に、北山市から西に25kmの弾丸道路の第三工区へ向かった。

北山トンネル工事現場

万城目、一平、由利子の3人が謎の岩石を調べていると、古代生物が大好きな少年ジローが話に入ってきた。すると、トンネルの中から不気味な物音が響く。万丈目と由利子はトンネルの洞窟と怪物を確認するためにトンネルの中へ進む。

2人がトンネルに入った後、ジローは金峰山に謎の岩石と巨大怪物が関連してることを思い出す。金峰山には大洞窟があり、トンネルの洞窟と何か関係があると推測。一平と新田、そしてジローは、ヘリで工事現場から70km離れている金峰山へ飛んだ。

トンネルの中の洞窟

トンネルの洞窟の奥に進む万城目と由利子。蝙蝠の死骸を発見したその直後、大地震が2人を襲った。

金峰山

その頃、金峰山洞仙寺へやって来た一平達。住職から裏山の洞窟から発見した古文書を閲覧。ジローは古文書に書かれている原始怪鳥リトラ「学名リトラリア」と古代怪獣ゴメス「学名ゴメテウス」との関連性に思い当たる。

もし、この洞窟と工事現場の洞窟が繋がっているとしたら、あの岩石の正体はリトラので、アル中の作業員がトンネルの奥で目撃した恐ろしくでっかい怪物はゴメスに間違いない。しかも、生きていたと確信する新田。

トンネルの中の洞窟

洞窟の奥へ入りすぎたため、道に迷ってしまった万城目と由利子。万城目が何かの音に気ついた時、地響きと共に岩が崩れ、2人の目の前にゴメスが姿を現した。

北山トンネル工事現場

慌てて事務所へ駆け込んだ一平達は、トンネルに発生した土砂崩れで万城目と由利子が洞窟に閉じ込められ、中で凶暴なゴメスが暴れまわっていることを中村に伝える。中村と作業員達は、万城目と由利子を救出するためトンネルの洞窟へ向かった。

自分の言うことを誰も信じてくれないジローがリトラの蛹に耳を当てると心臓の鼓動が聞こえてきた。ジローはリトラを蛹から孵すため、周りに焚き火で囲んで暖めようと考えた。ゴメスを倒すためには、リトラに戦ってもらうしかない。

トンネルの中の洞窟

執拗に追跡するゴメスから必死に逃げる万城目と由利子。岩の裂け目がある洞窟内に身を隠すが、なおもゴメスは迫ってくる。万城目は由利子のカメラを構え、ストロボの光でゴメスの目をくらませた。

北山トンネル工事現場

リトラの蛹が光り始め、動き始める。ジローと一平が見守る中、ついにリトラが蛹から孵ったのだ。

ジローがリトラに「ゴメスをやっつけてくれ!」と叫ぶ。

しかし、リトラは戦おうとはせず、山の頂へ飛び上がりそのまま動かなくなった。

トンネルの中の洞窟

ゴメスの咆哮が響き渡るなか、トンネル入口の崩れた土砂を必死に取り除き、洞窟内へ進入する中村と作業員達。洞窟の奥から万城目と由利子と合流し、洞窟からの脱出を急ぐ。

北山トンネル工事現場

ジローがリトラに呼びかけるがいまだに動きはない。その時、万城目達が洞窟から脱出する姿が見えた。全員が物陰へ避難した後、ゴメスが地上に現れた。

トロッコを投げ飛ばし、尻尾で小屋を崩し、工事現場を荒らしまわるゴメス。

ゴメスとリトラが見合うとついに古代怪獣同士の戦いが始まった。

リトラのするどいくちばしがゴメスを突き、ゴメスの尻尾がリトラに叩きつけ牙で噛み付ける。咆哮が響きわたる二匹の壮絶な戦いはつづく。

万城目達と共に戦いを眺めるジローは、リトラに「シトロネラアシッドを使うんだ!早く!」と叫呼びかける。激しい攻防戦の末、リトラはゴメスの右目を突き、怯んだ隙に上空へ飛ぶ。そして、くちばしからゴメスにめかけて、強力溶解液シトロネラアシッドを数発浴びせた。

自分の弱点であるシトロネラ酸を喰らったゴメスは暴れ狂ったのち、横転して息絶えた。

ついに古代怪獣ゴメスは倒されたのである。

リトラの勝利に喜ぶジロー。しかしその直後、リトラは力を失くしたようにゴメスの亡骸に覆いかぶさる。シトロネラアシッドは自身の命を削る最後の武器でもあった。

後日。北山トンネルは無事に完成。ジローは入口付近に、勇敢に戦った原始怪鳥リトラのを立てた。

東海弾丸道路の北山トンネルを抜けると、小さな墓標が立っています。それはジロー君が立てた勇敢なリトラの墓なのです。」(ナレーター

事件は始まりに過ぎなかった。世界のバランスは崩れ、眠っていたはずの怪獣たちが次々に目を覚ました。

いや怪獣だけではない。万城目淳たちの周りには次々と怪事件が舞い込んできた。

余談

放送第1話

本話は制作順・台本No.ともに12回目。このエピソードが記念すべき第一回に選ばれた理由は、視聴者に「特撮怪獣ドラマ」を印象つけるためとされている。

プロデューサーの栫井巍は、試写会で好評だった「宇宙からの贈りもの」を第1話にするつもりだったが、放送が間近に迫った1965年12月上旬に円谷一から「無理して脚本を書いてくれた飯島さんへの恩返しとして『ゴメスを倒せ!』を初回に持って来てくれないだろうか」と提案され急遽変更したという。

制作順での第1回は、巨大植物ジュランが登場する第4話「マンモスフラワー」である。

出演者

江戸川由利子を演じた桜井浩子氏は、本番組レギュラー出演後、次回作ウルトラマン科学特捜隊フジ隊員を演じた。

万城目役の佐原健二氏、一平役の西條康彦氏も東宝特撮ではおなじみの顔ぶれ。佐原氏は『ウルトラセブン』で地球防衛軍タケナカ参謀を演じて以降、ウルトラシリーズに何度か準レギュラー、またはゲスト出演している。

弾丸道路の中村作業係長は富田仲次郎氏。作業員役の大村千吉氏(クレジットは「大林千吉」)と山本廉氏は東宝特撮映画でも端役として印象深い役柄を演じている。

学者役の山田圭介氏、勝本圭一郎氏は東宝特撮では自衛隊幹部役で多く出演している。

住職役の森野五郎氏は実写版『鉄腕アトム』でお茶の水博士を演じていた。

ジロー(一部資料では「次郎」と漢字表記)役の村岡順二氏は第6話「育てよ!カメ」で太郎の前の席の竹雄役で出演している。声は小宮山清氏の吹替。

ジローたちと行動を共にする新田記者役は若大将シリーズのマネージャー役でおなじみ江原達怡氏。

ゴメスのスーツアクターは、ゴジラファンにもお馴染みの中島春雄氏。後に『ゴジラの息子』でゴジラのスーツアクターを務めた関田裕氏も作業員役で出演している。

ゴメスの着ぐるみ

ゴメスの着ぐるみは、東宝から貸し出したゴジラモスゴジ)を改造したもの。

本編撮影後、東宝に戻されて、ゴジラに再変身。上野赤札堂デパート開催の「怪獣展」に展示。その後、再び円谷プロに貸し出され、エリマキをつけられてジラースとなった。

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