概要
RGB及びリメイク版のFRLG、LPLEに登場する豪華客船。
世界一周をする豪華客船であり、カントーのクチバシティに年に一度だけ停泊する。
物語時点ではちょうどクチバ港に停泊しており、「ふねのチケット」を持っていると乗船できるようになる。
豪華客船だけあって内部はそれなりに広く、客室とキッチンがある1〜2F、船員部屋があるB1、船長室と船首甲板がある3Fの4フロアに分かれている。
1Fと2Fを合わせて13室の客室が存在するが、1Fは一等クラス、2Fは特等クラスの客室となっており、後者の客室は絨毯が敷かれていたり船窓が二つあったりと豪華(客もジェントルマンなどセレブが多い)。
特にボスが居るわけではないが、船上パーティに招かれたポケモントレーナーたちとのバトルが可能。また、長旅で退屈を持て余した船員たちも気分転換としてバトルを挑んでくる。
客室とキッチンには結構な数のアイテムが存在しているので、バトルを度外視しても隅々まで探索しておくのが吉。どうみても乗客の私物であろうアイテムも存在するが、別に咎められることもないのでありがたく失敬しよう。
キッチンではシェフがメインディッシュとして「ぎゅうフィレのステーキ」「したびらめのムニエル」「サンマのしおやき」を考案・調理中(現実の動物名が登場するためか、LPLEではそれぞれ「とっしんステーキ」「うずしおスシ」「ニビあられ」に変更されている)。
献立は魚料理に偏っているらしく、シェフからはまた魚料理かと不満を言われるのではないか、と不安を溢す声が聞ける。
なお、キッチンのゴミ箱にはスーパーボールが1個隠されている。リメイク作では料理に使用する予定だったと思われる各種きのみ(FRLG)やちいさなキノコ(LPLE)が捨てられている。普通にアイテムとして入手でき、前者はポケモンに食べさせることもできるのだが、衛生的に大丈夫なのだろうか。
船長室には船酔いに苦しむ船長がおり、背中をさすりさすりしてあげると元気になって「いあいぎり」のひでんマシンをくれる。船長の前にあるゴミ箱を覗こうとすると「あんまり みないほうがいい みたいだ……」と表示されるのは御愛嬌。
なお、このイベント後に船から降りると、サントアンヌ号は出港してしまい二度と乗船出来なくなる。
船内に拾い忘れたアイテムがあっても問答無用で出発するため、軽々しく船から出ると悲しい思いをすることになる可能性がある。
特に第一世代と第三世代ではここでしか入手できない「のしかかり(旧RGBPのみ)」「ねむる」のわざマシンが置かれている鬼畜仕様となっており、取り忘れると割と洒落にならない。
ちなみに船の出航する条件は船酔い艦長からひでんマシンを入手する事なので、別ロムからいあいぎり要員さえ連れて来られればずっと出航しないままにする事が可能。
また、第一世代ではひでんマシン入手後に船内で敗北し、ポケセンに強制送還されることでも出港を回避できた(第三世代では敗北後に船に向かおうとすると強制出港イベントが挟まるので、こちらの方法は使用不可)。
さらに、第一世代ではなみのりを用いたバグで強行突破も可能なようである。
なお、FRLGではナナシマやたんじょうのしまに行くための船「シーギャロップ」に乗る際にもこのクチバ港が使われる。サントアンヌ号が出港していないとシーギャロップへの乗船はできずクリア後のストーリーが進行不可能になるため、いずれは出港させないといけない。
波止場なみのり
サントアンヌ号の停泊するクチバ港の波止場は桟橋の先にあり、桟橋を渡り切ると波止場に画面が切り替わる。
波止場に入るとほんの数歩分歩いてサントアンヌ号に乗船する必要があるのだが、この部分の通路は左右が水に面しており特に遮るものがないため、釣りができるほか微妙になみのりで水面に出て探索できるスペースがある。
クチバシティ到着時点ではまだなみのりは使えず、ゲームを進めればサントアンヌ号は出港、そしてRGBでは出港後は波止場内に入れなくなるため、普通はここでなみのりをする機会はない。
FRLGでもシーギャロップへの乗船はサントアンヌ号乗船時と違って波止場入り口から直接船で移動する画面に移行するため、やはり波止場には入れずなみのりをすることはできない。
しかし前述の方法で船を出港させないままゲームを進め、なみのりが使えるようになった頃に再びここに来れば、空論ではなく実際に探索が可能である。
なみのりで波止場内を探索すると、謎のトラックが停車している港のようなマップに上陸できる。
没データがたまたま見えているとかそういった類のものではないらしく、各世代のリメイク版でもわざわざここ専用にトラックのグラフィックを用意してまでマップごと引き継がれている。
FRLGでは同世代のRSで引越しトラックが登場しているにもかかわらず、流用せずにここ用の別のグラフィックを起こしているという妙なこだわりがある。
FRLGではトラックが存在するマップの右端で隠しアイテムとしてフエンせんべいを拾うことが可能。フエンせんべい自体は同作で購入できるため別段レアな品ではないのだが、隠しマップに隠しアイテムまで仕込んでいるあたりに開発の遊び心が窺える。
LPLEではサントアンヌ号出発後も波止場が探索可能となっており、上記の裏技(?)を使わずとも謎のトラックを確認可能。ただし第三世代でフエンせんべいを拾えた場所にはどデカい謎のコンテナが置かれており、何も入手できなくなっている。
ちなみに、FRLGの公式攻略本にはゲーム内グラフィックを用いたカントー地方の全マップが掲載されているが、なみのり可能な部分の波止場マップは意図的に削除する形で隠されている(なみのり可能なスペースがあたかも存在しないかのようにマップが周到に切り貼りされている)。
よってゲーム外でこの謎の場所を確認する術は無かった……のだが、LPLE発売にあたって公開されたカントー地方の公式イラストマップではちゃっかり掲載されている。上記の通り、LPLEでは裏技を使わずとも到達できるためだろう。
余談
実はカントー地方のマップがイラスト化される際によく矛盾点の一つとして挙げられる乗り物である。
というのも、サントアンヌ号が出港していくクチバシティの西側にはタマムシシティからセキチクシティを結ぶ形で長大なサイクリングロード(LPLEではポケモンロード)が海上に横たわっており、公式マップを見る限りでは外海へ抜けられる道が一切存在しない。
そして何らかの方法でサイクリングロードを潜り抜けたとしても、その先にあるカントー外縁部の19ばんすいどう〜グレンタウン〜21ばんすいどうは浅瀬と岩に埋め尽くされている。
豪華客船としてそれなりの大きさを誇るサントアンヌ号が強行突破しようとすればほぼ確実に座礁するレベルの難所だが、ここを突破しなければどう足掻いてもカントー地方からは出られない。潮の満ち引きなどの条件によっては航行可能になるのだろうか……。
カントー地方の地形や設定そのものを改変しなければ解決できない矛盾であるためか、この点についてはLPLEで公開された最新の公式イラストでも特に修正されていない(3年後の設定であるHGSS時点ではサイクリングロードが高架橋型に変更されており、説明が付くようになっている)。
ちなみにポケモンの世界で『海外』の存在が示唆される数少ない場所であったが、実際にそれに該当する地方が登場するのは15年近く待たなければいけなかった。
客室の一つにはロケット団の悪巧みを追っているという国際警察がいる。ファンの間では後のハンサムではないかという声もあったが、LPLEでも特に掘り下げられなかったため関連は不明。
建造はホウエン地方のカイナシティでされた客船であり、船内BGMのアレンジ版が海の科学博物館で流れる。
また、同博物館にはサントアンヌ号の模型も展示されている。
モデルはおそらくカイナシティの元となった長崎県長崎市にある三菱重工長崎造船所で建造された『クリスタルハーモニー(現・飛鳥Ⅱ)』もしくは同型船『飛鳥』と思われる。
船の名前の由来はゲームフリーク開発のゲーム『パルスマン』に登場するコンピュータの名前『サント・アンヌ』から。
横浜市にある新港ふ頭客船ターミナルでWCS2023に因んで行われた横浜みなとみらいイベントにおいては、サントアンヌ号を意識した、船内が“ポケモントレーナーズクルーズ”の特別仕様となった“ごうかきゃくせん”にっぽん丸が停泊し、話題となった。このイベントにおける船は“ごうかきゃくせん”と題しており、“サント・アンヌごう”とは明記されていない。参考
アニポケでは
無印第15話「サントアンヌごうのたたかい!」~第16話「ポケモンひょうりゅうき」に登場。
船内で大勢のトレーナーを集めて大規模なパーティーが行われていたが、実はロケット団によるポケモン強奪作戦であった。サトシ達と乗客達との協力でロケット団は撃退されるが、船は嵐の中転覆してしまう。
ここからが割と洒落にならない展開であり、転覆寸前の状況で、船長が「この船は絶対に沈みませ~ん!」と避難誘導もせず真っ先に一人で救命ボートで脱出し、その後慌てた乗客が脱出した後に、乗客の人数確認も「いない人は手を挙げて」「居ない人は居ませんか?…居ないようですね」と碌な確認もしない有り様で、近年現実に起きた海難事故もびっくりの杜撰な対応であった。
この船長の無責任でいい加減な一連の行動は明らかにギャグとして描写されているが、それにしたって大勢の人命がかかっている場面で流石にふざけすぎである。
結果、脱出に失敗したサトシ一行とロケット団が取り残されたまま船ごと海中に沈んでしまった。
その後、何とか全員脱出できたものの、場合によってはそのまま死亡していた可能性もあった。
本当に洒落にならない…。現にサトシ達が脱出していた同時刻に、サントアンヌ号が沈没した海上(現場)を訪れた警官隊が花を手向けている場面があり、行方不明者であるサトシ達やロケット団が既に死亡していると判断していた。
作中では描かれていないが、花を手向ける際にジュンサーが死亡者としてサトシ達全員の名前をはっきり述べているため、この時点で船長が今回の海難事故で死者を出したことや上記の対応の杜撰さが糾弾されていることは想像に難くない。
ちなみに、これがTV放送された1997年は沈没船をテーマにしたあの有名作が劇場公開された年でもある。
なお、作中で機関室を目指している事や、船が真っ逆さまに転覆している事から元ネタは『ポセイドン・アドベンチャー』と思われる。
カスミがサントアンヌ号の模型を持っており、彼女が船の構造を熟知していたことが功を奏し、船からの脱出に成功した。
漫画では
『ポケットモンスターSPECIAL』ではロケット団に運用される貨物船として登場。
船長はジムリーダーのマチスだった。