概要
アメリカのアリゾナ州にあるジュラ紀前期の地層「カイエンタ層」から発見された新獣脚類の一種。
属名は「ふたつのトサカを持つトカゲ」という意味で、その名の通り頭骨の上部にある1対の半月状突起が特徴的。この突起は主に性選択になんらかの役割があったと推定されている。
化石から推定された全長は5~7m・体高は1.8~2m程度。
多くの肉食恐竜がそうだったように、歯には「鋸歯」や「セレーション」と呼ばれるステーキナイフのようなギザギザがあり、上あごは全体的にくびれており、前部と後部で歯列が分かれていたのも特徴。
これらの身体的構造は現生のワニ、そしてスピノサウルス科といった魚食性恐竜に類似する特徴でもあるため、ディロフォサウルスも魚を食べていたという説もあった。
しかしスピノサウルス科の歯は「溝のある太いクギ」といった構造であり、薄く鋭いナイフのようなディロフォサウルスの歯とは大きく異なる。このため、トカゲのような小型の爬虫類やより小型の恐竜を捕食していた、あるいは腐肉食性で死肉を漁っていたと推定されるようになった。
さらに後の研究では、顎の力が強かったであろう事、獲物を失血死させるのに適した歯をしている事が指摘され、自身と同じくらいか、より大きな古竜脚類をも楽々と殺せる優秀なハンターだったのではないかという推定に変わっている。
ディロフォサウルスまたは近縁な属が遺したと考えられる座痕から羽毛の可能性のある跡が発見されているため、原始的な羽毛を生やした姿で復元されることも多い。
中国産の種はディロフォサウルス・シネンシスの学名が与えられていたが、研究が進み別属に分類されるシノサウルスに分けられた。
フィクションでのディロフォサウルス
ジュラシックシリーズ
「なんだチビコロか…。」
何と言っても映画『ジュラシック・パーク』シリーズに登場する、エリマキトカゲをイメージした開閉式のフリルを持つ姿が印象的。この個体は2メートル程度と小さいため、幼体だったのではないかと言われることもある。
フリルに関しては映画上の創作であり、実際の化石からこのような外見を示す痕跡は見つかっていない。
また、映画でも原作小説でも、この恐竜は唾液腺から毒を分泌し、リンカルスのように敵の顔面に吐きつけて無力化すると言う設定がある。
フリル同様に実際の化石証拠などは存在しない創作だが、これは原作の執筆当時まだ魚食説が提唱されておらず、「脆弱な顎でどうやって獲物を捕らえていたか?」という議論が交わされていたことを利用したもの。
この議題に対して、原作者のマイクル・クライトンは「顎の力が弱くても毒という補助があれば狩りができる」という仮説を発想してディロフォサウルスの生態を創作してのけたのである。
ちなみに、不明確ではあるが毒牙を持っていた可能性を提唱された恐竜は実在する。
こうした創作設定は、絶滅動物が完全に復元された場合、化石に残らない体組織や生態が新発見される可能性を表現する事にもなり、「恐竜を現代に蘇らせたら」という小説のテーマやリアリティを補強した。
もっとも、ジュラシック・パーク・シリーズで「恐竜」とされている生物は、遺伝子情報の未発見部分を現生動物の遺伝子で代用・改造した人造生命体であり、厳密には絶滅動物を当時のまま復活させた訳ではない。逆に「フリルや毒はエリマキトカゲや毒蛇の遺伝子を入れたせいなのでは」と考えるファンもいる。
この創作生態はかなり有名になったためか、他の作品に登場するディロフォサウルスやそのモチーフキャラクターにエリマキがついていたりすることもある。
2015年公開の『ジュラシック・ワールド』では、サムスン・イノベーションセンターの立体映像として再登場し、ジャイロスフィアの訪問者案内用の教育ビデオでも紹介されていた。そして、『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』では久しぶりに生体が登場している。
ゲーム「ジュラシックワールド・エボリューション」では中国から化石が得られる。
前述したように中国産の種はシノサウルスという別種に再分類されているため、現代の情報に照らすと違う恐竜である。
ARK:Survival_Evolved
雪山以外の多くの場所に生息する。人間に比べてかなり小さい。昏睡させ、肉類を与えることでテイムできる。吐き出す毒液には、視界不良と鈍足の効果がある。
古代王者恐竜キング
第5紀から登場。風属性。
本作では6mと間をとった数値になっており、強さ1000と最低ランク。ショルダーネームは「冠番長」。
必殺わざはチョキ。数少ないジュラ紀前期の恐竜で、他にはクリオロフォサウルスくらいしかいない。
※この時代の恐竜は発見されている種類が少ない事や、ヘテロドントサウルス(小型鳥脚類)やマッソスポンディルス(古竜脚類/原竜脚類)など体型的にメインを張るには不向きなヤツが多い事などが一因と思われる。竜脚類なので水属性に採用できそうなヴルカノドン、バラパサウルスなども結局起用されなかった。
- なお、第2紀ではまだカード化されていなかったが、超わざ「トルネードブロー」のカードに描かれていた。実装される前の段階でカードには描かれていた恐竜はシュノサウルスもいる。
初登場したバージョンでは同時に登場した超わざ「サイクロン」には描かれず(代わりにモノロフォサウルスが描かれていた)、その前のバージョンに登場した「ニンジャアタック」に描かれた。「サイクロン」は特殊わざで、チョキ技かつテクニックの高いコイツには高相性だったのだが。
バトルタイプは第6紀まではまもりタイプ、2007第1紀と2007第2紀はカウンタータイプ、激闘!ザンジャークではそっこうタイプ、目覚めよ!新たなる力ではあいこかいふくタイプ。
2007第3紀では化石カードの為ふっかつタイプ。初めて化石カードになった恐竜の一種。
アクト恐竜にもなっており、「7つのかけら」ではカウンタータイプ、アーケード版の事実上の最終バージョンではどくタイプになっている。
ちなみに当時はアメリカと中国に生息していたとされていたため、アジアエリア(とヨーロッパエリアで出てくる敵個体)がまもりタイプ、北アメリカエリアではカウンタータイプとなっている。アジアエリアはすべてのフィールドで発見できるが、北アメリカエリアではクリア後に行ける「アクト秘密基地」でしか見つからないため、「ニルソニアの化石」と交換してくれるモブがいる。
ただコイツがいる「東ダストヒルズ」もクリア後でないと行けない上、アクト秘密基地ではうんざりする程出るし、ニルソニアも売って資金にした方がお得なので救済措置というよりは地雷といえる。
約2億年前のペンシルベニアを舞台としたジュラ紀前期の章で登場。当時の頂点捕食者として、アンキサウルスを捕食する姿が描かれた。
名称に「ラプトル」がつかないが、恐竜ハンターの幹部「ラプトルライダー」が従える恐竜として登場した。
ディロフォサウルスをモチーフとしたキャラクター
関連タグ
モノロフォサウルス…和訳すると「ひとつのトサカを持ったトカゲ」。同じくジュラ紀の恐竜で生息地域も共通している。
クリオロフォサウルス…頭部のトサカ、体長、生息時代、生態系での立ち位置など、似ている部分が少なくない。ただし、こちらはホロタイプが未成熟個体であることから、成熟個体は更に大型であった可能性がある。和訳すると「氷のトサカを持ったトカゲ」となる。