2022年6月時点における、第2部最新のネタバレ有のため閲覧時は注意。
概要
スマホアプリゲーム『Fate/GrandOrder』の第二部『Cosmos_in_the_Lostbelt』から登場する人物。
第二部プロローグ直後から始まった異星生命体の侵略による攻撃から僅かに生き残った人間の一人。
何の前触れなく始まった人類の破滅に「何故」という疑問を抱き、一人この大災厄が起こった真相を知るために白紙化した地球を渡り歩く片道切符の旅に出た。
旧カルデア基地襲撃から逃れた主人公たちが虚数空間に潜っていた三か月間、地球に何が起こっていたかが、彼のボイスレコーダーに録音された独白という形で、彼の視点からプレイヤーへ明かされていく、と当初は思われていたが…詳しくは疑問の項にて。
彼は、生まれてから今まで見聞したものを明確に理解し覚えられるという、いわば周囲の情報を絶対に失わない「超記憶症候群(ハイパーサイメシア)」という恵まれた頭脳を持っている。
しかし、それが必ずしもプラスになる訳ではなく、若い頃は秀才ではあった一方で知能の高さに振り回された結果、人間が嫌いになった時期もあり、都市での生活よりも、山奥で静かに暮らしていた時期が長かった。
都市での生活は成人するまでと言い、それが人生の三分の一という長さから、逆算して年齢は少なくとも60歳前後のようだ。
常人より知能が高いからこそ、この現状に対する疑問を強く持ったと自覚している様子。
彼の最終目的地は白紙化を唯一免れたという場所、アメリカネバダ州のエリア51である。
旧式の自動二輪と上述したボイスレコーダーを所持している。
スクーターの燃料は底を突きかけているようだが、白紙化された地球には夜が来ない事を利用し、太陽光発電装置を用いて動力を賄っている模様。
少なくとも、無補給でオーストラリアから北米に向かうことができるだけの備えはあるようだ。(ルートは不明)
今のところノウム・カルデア一行と接触してはいないが、彼の残したと思われる日記を白紙化を免れた建物=残留物から発見、回収している。その日記を見たシオンはそれに書かれた文字がインク印刷ではない感熱印刷と見抜き、発電施設も無しに書かれたこれに疑問を抱く。
また、内容こそ同じようだが、地理としても矛盾しており、カルデアが日記を見つけたのはロシアから北欧までの直線距離の途中。ブルーブックのルートはオーストラリアから北米大陸のため、彼とカルデアの移動ルートが交わり、残された軌跡が発見される事は絶対に有り得ないはずなのだ。
カルデアによる異聞帯との戦いを、消失した異聞帯のある方角の空の変化で認識し、彼らが北米に立ち寄る事を祈りながらエリア51にようやく到着。
そこで2016年に地球に飛来した地球外生命体の研究が行われた事を知り、その残酷な実験内容が侵略の原因である事を確信するが、「本当にそんな理由で?」と言う疑問も同時に抱く。
施設内を調べ、奥深くへと向かうにつれて、そこは違う法則に満ちていた。硬いと同時に柔らかく、温かいのに冷たくもあるという、地球の法則ではありえない材質の通路に切り替わっていた。
そしてその通路の果てにたどりついた一つの地下室で、「枯れ木のような何か」を目撃した彼は衰弱死するより先に─────────
???「────やぁ。待っていたよ、ブルーブック」
彼を待っていたと語る、左利きで銃を持った赤黒い影の形をした何かに射殺された。
疑問
プレイヤー視点の語り手じみた存在だが、物語が進むにつれ、彼の体験と実際に起こったことにはズレが生じている。
異聞帯との戦いの最前線に立つ運びとなったカルデアが空想樹の種子の降着を目にしたのは2017年12月31日。対してブルーブックが空想樹の樹枝の天幕を目撃したのは2018年1月1日である。
ブルーブックはオーストラリアから北米大陸までをバイクで旅している中で、ロシア、北欧、中国、インドの方面の空模様が変わったことに気がついているが、これは普通ではあり得ない。彼が超記憶症候群によって忘れることができない特性を持つとはいえ、平均的な人間が地平線・水平線を観測できるのは約4.7キロ先が限界である。地平線の上の空模様込みだとしても、そこまで見ることはできない。
シオンが観測したことによれば、地球の白紙化は2017年12月31日当日に一晩のうちに行われたのに対し、ブルーブックは1月1日から3ヶ月かけて行われた虐殺によって白紙化を体験している。
また、彼が発見したエリア51で行われた人間の所業というものは、人理焼却の渦中にあった2016年では決してあり得ない出来事である。
そしてキリシュタリアの観測によれば、空想樹の種子降着の前に地球の白紙化が行われたことを観測している。この観測からも、ブルーブックの体験した3ヶ月に及ぶ虐殺とは矛盾している。
キリシュタリアの観測の記録では、地球の白紙化はブルーブックが殺害されたエリア51から始まっている。キリシュタリアの観測の白紙化はエリア51から、ブルーブックの見た白紙化はエリア51以外から、というように関係性が逆転している。
また、ブルーブックの感想を見ていると、住んでいる時代が同じなのか疑わしい部分がいくつか見られる。
具体的には以下の通り。
- 上記の1月1日から3か月に渡って虐殺が行われた場面では新年最初の日と言われているが何年かについては言及されていない。場面からして2018年のようにも見えるが、そう言及された場面は存在しないため全く違う年の可能性がある。
- 彼がエリア51の状況を語った際に飛行艇という言葉が出たが、詳細はリンク先で確認できるが、飛行艇は「船舶の機能を備えた飛行機」であり、湖や川のないエリア51周辺で使用するとは思えない装備であり、旧式とも呼べる機体があるのは不自然である。
- 最後にたどり着いた手術室では、当時の最新技術が使われているという話ではあったが、ブルーブックから見ると「この上なくレトロ」と評される代物であった。
- ブルーブックは長く山間部に住んでおり、使っているバイクも旧式だというが、無補給でオーストラリアから北米に移動できるという、古いどころか現代でも存在するか疑わしいくらいの超高性能である。燃料は残っておらず、動力の大部分を太陽光発電の補助に依存していると明言されているにもかかわらずである。
- また、バイクでの移動を考えると持てる食料の量もそこまで多いと思えないため、活動できる時間はそこまで長くないと思われるが、ブルーブックはギリギリとはいえ無事辿り着いた。
外見
今のところ立ち絵が無いため不明。
余談
クリプターの一人であるデイビット・ゼム・ヴォイドと名前は似ており、ブルーブックがデイビッドの父親と考察するプレイヤーも多いが関連性は現時点では不明。
意図的か偶然かは不明だが、ブルーブックが銃殺された直後のシーンにおけるクリプター会議にて、なぜかデイビットのみ欠席していた。
また、デイビットの出身地がアメリカのネバダ州で、彼が銃殺されたエリア51と同じ地区である事実がさらに謎を呼んでいる。
名字の「ブルーブック」は表紙の青い本、そこから転じて「青書(=議会、政府の報告書)」「紳士録(=存命の著名人について詳細に記された名簿)」などを意味する。また、1952年から1969年にかけてアメリカ空軍が行った未確認飛行物体調査「ブルーブック計画」も意識されているのかもしれない。
TYPE-MOON関連の用語としては「月姫読本(通称:青本)」との関連も指摘されている。この青本には鋼の大地の1エピソード「Notes.」が掲載されていることで有名。
以上のネタから、ユーザーからの愛称は青本。わかりやすくて大変よろしい。
また、『Fate/strangefake』の偽りの聖杯戦争で戦場となる「スノーフィールド」もアメリカネバダ州が舞台。
なお、「超記憶症候群」は現実においても実在する能力で、知能指数(IQ)が高い人間がこの能力を備えている。ただし知能指数が高くても「超記憶症候群」を持つ者はごく僅かで、デイヴィット自身もIQが極めて高い(おそらく作中屈指)のは間違いないだろう。
第2部第6.5章『死想顕現界域トラオム 「或る幻想の生と死」』ネタバレ注意!!
復讐界域で虜囚の身となっていた主人公はある夢を視た。ブルーブックが白紙化地球を旅する夢を。
北米に生じた過去最大の大規模特異点。その正体は西暦2017年のエリア51を発端とする特異点だった。大規模特異点に召喚された万単位ものサーヴァント達の正体不明のマスターが最初に召喚したサーヴァントは張角。彼がマスターの有様を見たことで、汎人類史に叛逆せざるを得なくなったのだ。
そして張角は、分身から「自分が分身である」という認識を消してまで、この特異点を過去最大規模に発展させた。(張角本体は内心嫌悪感を抱いていたモリアーティに破壊される)
徐福は消滅する前に、サーヴァント達に対して己を召喚したマスターの動機を調査すると、一人一人が違っていたという。即ち、同一人物でありながら別人という、多重人格者とも解釈できる結果だった。
そして6.5章クライマックスにて、同行していた若き日のモリアーティの口から、100年もの間人体実験を受け続けていたそのマスター……『被検体:E』の存在が明かされる。
長い階段を降りた先に最奥へとたどり着いたカルデア一行は、これまでの特異点、異聞帯で見た神秘などとは比べ物にならないほどに異質なモノを目の当たりにし、直接立ち会った三人は、あまりの異質さに戦慄する事となる。
無機質で殺風景な手術室───その中央の手術台の上には、白い樹の枝がぽつりと置かれていた。
そして手術台の側には、血管と脳だけが残され、その配置と形状のみで辛うじてヒトのていを成しているとしか思えない、ヒトのようで、そうでないような何かが力なくもたれるように倒れていた。
第2部最新章『奏章 プロローグ』ネタバレ注意!!
全ての始まりにして元凶の地、南極旧カルデア基地へと赴こうとしたノウム・カルデアで三人が対面した手術室の解析結果を完全な結論が出ないながらも総括した。
トリスメギストスⅡから完全な結論が出なかったのは、“それ”が人間の遺体だとは結論づけれなかったため。デイビットから齎された地球白紙化の元凶がカルデアス──────────人理保障天球だと明かされたことで、それを踏まえた上での解析結果はこうだった。
解析1。『被検体:E』はカルデアス地球の人間である。
解析2。白紙化地球がカルデアスの地表であるなら、カルデアス人類はもう滅びている。
解析3。カルデアス地球における研究施設の機材は年代物であり、この白紙化地球において、もし稼働する機械があったとしたら、それは100年前の骨董品となる。
大規模特異点トラオムとは手術室を基点に発生。三人が宇宙のような異質な廊下を歩いたのは地球とカルデアス地球の間を移動していたため。
シオンは『被検体:E』をカルデアス地球の最後の人間だと仮定し、その動機は自分たちの世界を滅ぼしたものである汎人類史に対する報復であり、それを『被検体:E』は理解していたが故に召喚されたサーヴァント達にあのような「衝動」を付加したことを推測したが、ここに矛盾が生じる。
『被検体:E』というものがおおまかに何であるのか伝えたのはモリアーティではあるのだが、その時にモリアーティは『被検体:E』を地球外生命体と言ったのに対し、シオンはカルデアス地球最後の人間だとした。この違和感には主人公自身も気づいている。それ以外にも白い樹の枝の存在や、本当に100年も機材の更新が出来なかったのかという疑問についても特に追及されなかった。
トラオムクリア時に出てくる「証明不能」という文字とその下に『Ex Falso Quodlibet』という英文が出てくる。意味は「間違った命題を利用すればどんなデタラメも真実にできる」一般的には『爆発律』と呼ばれる論理学の手法である。
カドック曰く
「万単位のサーヴァントのマスターになれる人間なんて世界中探してもいない」
「あれだけの数のサーヴァントを召喚するのは個人の力じゃ不可能」
「『被検体:E』は自分が最後の人類だと自覚していた」
「『最後のひとり』という事は『カルデアス地球の人類の代表』に等しい。そうでなければ不可能」
「カルデアス地球で死に絶えたすべての人間の意思が大量のサーヴァント召喚を可能にした」
「令呪の数が異様にあったのも当然、あれはカルデアス地球に存在したマスターの素質を持っていた人間たちの令呪だから」
「そしてあの遺体は、主人公同様、ひとりで人類の未来ってヤツを背負わされた、名も無い“一般人”である」
これらの発言から人類最後の人間には凄まじい強化がなされることが示唆されている(主人公にそのような描写が無いのは『人類最後のマスター』ではあっても『人類最後の人間』ではないからだろう)