登場話数:第36話「くだけ!死の鏡」
概要
厳しい形相の顔が浮かび上がった岩から、手足が生えたような出で立ちが特徴で、身体を構成する岩は伝説の武器をもってしてもまともにダメージを与えられない程の硬度を備えている他、自らの意志で自在に分離させることもできる。
さらに最大の能力として、腹部を開くことで繰り出す「ガンロック大砲」が挙げられる。このガンロック大砲は、吸着性のある岩を発射することで相手の動きを封じるため、一度この技を喰らったが最後、ドーラガンロックが死滅しない限りは岩を外すこともできず、岩の重みで身動きも取れなくなるという非常に厄介な拘束技である。
作中での動向
ある日、海で釣りに興じていたタダシ少年は偶然釣り上げた古い瓶の中から、古い地図を手に入れた。これを宝の地図だと考えたタダシは、その地図を頼りに「宝探し」を始めるのだが、実はこの地図が指し示すものは宝ではなかった。
バーザ曰く、この地図は「破滅の鏡」なる危険なアイテムの隠し場所を記したものであり、数百年前に海賊キッド船長が見つけながらも、その恐ろしい効果ゆえにどこかへと隠したという代物であった。
鏡に映し出されたものを、一瞬にして死に至らしめるというこの鏡をバンドーラ一味の手に渡さぬべく、ジュウレンジャーも直ちに行動を起こすのだが、案の定バンドーラもこの鏡さえあればもう大獣神なんか怖くないと、ラミイとグリフォーザーに鏡の入手を指示。そして彼等と共に地上に降り立ったのが他ならぬドーラガンロックであった。
かくして行川アイランドを舞台に、ジュウレンジャーとバンドーラ一味との間で地図を巡る争奪戦が展開されることとなるのだが、先に遭遇したジュウレンジャーに白を切って一人宝探しを続けていたタダシの前に、突如無数の岩がトンネルから転がってくるという奇妙な現象が発生。
この無数の岩こそ、ドーラガンロックの分離した姿であり、後から姿を現したラミイが地図の譲渡を拒まれたため、彼女の指図で寄り集まって本来の姿を表すとタダシに襲いかかり、助けに入ったダンにもガンロック大砲を見舞ってその動きを封じてみせた。
なおもタダシを追うラミイ達と、これを守ろうとするゲキ達4人との間で攻防が展開される中、ドーラガンロックも変身したジュウレンジャーの攻撃を頑強な身体で寄せ付けず、さらにガンロック大砲でマンモスレンジャーとタイガーレンジャーまでも行動不能に追い込んでみせるが、その間にタダシが姿を消したためにラミイ達と共に一旦その場から退いた。
一方で争奪戦から逃れ、地図を頼りに園内の「久遠の塔」にたどり着いたタダシは、そこに隠された仕掛けを動かすことで海岸に隠されていた洞窟を出現させ、その中でついに破滅の鏡の入った宝箱を発見するに至るのだが、そこにもラミイ達の執拗な追撃が及び、先んじて宝箱を開けさせまいと説得にかかっていたゲキとメイとの間で再び激戦が繰り広げられることとなる。
ここでも変身した2人の攻撃を退け、ガンロック大砲によって動きを封じたドーラガンロックは、腹の中から取り出した巨大な岩で2人に止めを刺そうとする。
しかもその間に、破滅の鏡を持ったまま逃げ回るタダシがゴーレム兵に捕まってしまう。
もはや絶体絶命と思われたが、うっかり鏡を見たゴーレム兵が悲鳴を上げて砕け散り、その様を見たタダシは戦慄と共に全てを悟る。
タダシ「ほ、本当だったんだ……! あのお兄ちゃんの、言う通りだったんだ!」
ゲキ「鏡を壊せ、タダシ君! 壊せ!」
ようやく事態を理解したタダシに、ゲキは鏡を破壊するよう叫ぶが、ゲキとメイがドーラガンロックに追い詰められているのを見たタダシは機転を利かせて飛び出し、
タダシ「ガンロック! この鏡を見ろーっ!!」
と叫んで破滅の鏡を投げつける。
思わずそれに反応して鏡を見てしまったドーラガンロックはその効果により、身体が粉々に砕け散るという呆気ない最期を迎えてしまう。それと同時に5人にくっついていた岩も消滅し、自由を取り戻すに至った。
だが、ドーラガンロックは粉砕されたとは言え、直後の白兵戦の結果、破滅の鏡はラミイの手に渡ってしまい、バンドーラの力で鏡ごと巨大化したラミイは相対した大獣神を鏡の効果で死滅させんと迫り(大獣神は瞬きが出来ないため腕で目を隠さないと視界を遮れないというハンデもあった)、グリフォーザーとの連携で後一歩のところまで追い詰めてみせた。
しかし、すんでのところで大獣神はグリフォーザーを間に割り込ませ、それに慌てたラミィが鏡を空中に投げ捨てたところに「超伝説・雷光斬り」を叩き込むことで、どうにか鏡を破壊せしめたのであった。
破滅の鏡
悪魔の頭を象った本体と、手を象った観音開きの蓋を持つ不気味な造形が特徴。かつて海賊キッドが発見したが、あまりの危険性にそのまま封印し、ありかを記した地図を瓶に封じて海に流したという。
鏡面を覗き込んだ者は一瞬にして死に至る呪われたアイテムだが、誰が何のために作ったのかは不明。
回想シーンでこれを発見した戦士、ゴーレム兵やドーラガンロックが断末魔を上げて死亡したことを考えると、覗き込んだ者の肉体を物理的に破壊する呪いがかけられていると思われる。
しかもこの呪いはどうやらキッドの記した地図にもかかっていたらしく、瓶をタダシが開封した際、魔法に通じたバーザは元より、地上最強の魔女であるバンドーラですら中に濃縮されていた妖気を感知して卒倒しかけたほどである。
最終的には大獣神により破壊された。
なお、タダシが躍起になって宝さがしをしていたのは、父がヨーロッパで仕事中に事故死し、母がそれを受けて夫を偲んでヨーロッパに行きたいとこぼしたのを真に受けてのことだった。
余談
破滅の鏡を巡るやり取りが目立つが、実はこのドーラガンロック、ジュウレンジャーを正面から完封した強豪である。
ガンロック大砲が事実上の一撃必殺技であることに加え、伝説の武器すら一切寄せ付けない無敵の防御力で5人を終始圧倒しており、タダシが機転を利かせて破滅の鏡を利用しなければジュウレンジャーは全滅していた可能性が高い。
備考
デザインは野口竜が担当。『ネバーエンディング・ストーリー』のロックバイターや、『ファンタスティック・フォー』のザ・シングを引き合いに出しつつ、ああいう感じの「そのまんま岩」なキャラクターとして描いていることを後年のインタビューにて語っている。ガンロック大砲のギミックについても、(野口自身は記憶が曖昧だったものの)「腹が開く」という添え書きが画稿に付されていることから、デザインの段階で考慮されていたものと見られる。
CV担当の西尾は、本作へは第26話に登場するドーラブーガラナンに続けて3回目の出演となった。
関連タグ
岩面仮面、ロガン、イワガミボーマ、イワカセキギン、ネジヴァルガー、岩石サイマ獣マグマゴレム、冥獣ストーントロル、妖怪ダイダラボッチ:いずれもスーパー戦隊シリーズの他作品に登場する、岩石をモチーフに含んだ戦隊怪人達