「ハハハ、止めだ大獣神!地獄に堕ちろぉ!!」(第29話)
登場話数:第28話「大改造!粘土獣」、第29話「謎!?襲う獣騎神」
概要
四角く整えられた頭髪、それににダボダボのジャケットとズボンという、パッと見では大柄ながらも普通の人間と変わりのない出で立ちである一方、額や異常に肥大化した両手には、皮膚をツギハギした跡がくっきりと見受けられる他、両目もギョロリとどこか人間離れしたものとなっているなど、あたかもフランケンシュタインの怪物を思わせる要素が散見されるのが外見上の特徴である。
複数人が閉じ込められている檻を軽々持ち上げたり、ジュウレンジャーの5人をまとめて圧倒せしめる等、その見た目に違わぬ怪力の持ち主であり、首に刺さっているボルトは引き抜くことで「ネジヌンチャク」や、これを変化させた鎖分銅としても活用することができる。そうした怪力を発揮するためか、一度にラーメンを数杯も平らげるなど、異常なまでの大食漢としての側面も有している。
この規格外ともいうべき怪力は、バンドーラ一味が戦力増強を図るべく地球にて新たに探し当てた、「ドキータ粘土」と呼ばれる特殊な粘土の特性に由来しており、前述した両目はドキータ粘土製であることを表すかのように赤く染め上げられてもいる。しかしこの粘土の特性は、ただドーラモンスターに凄まじい力をもたらすだけには留まらず・・・。
作中での動向
ドラゴンレンジャーや剛龍神の登場でパワーアップする一方のジュウレンジャーに対し、劣勢を挽回すべくバンドーラは調査の末に、地球のとある地底にて密かにある行動に着手していた。
折しもこの頃、その直上にあるラーメン屋では、ダンがアルバイトを始めたばかりだったのだが・・・突然の大地震に始まり、謎の赤いガスの噴出、そしてゴキブリの大量発生という、飲食店としては致命的な異変の数々に見舞われてしまう。さらに、時同じくして怪しい風体のガス屋までも店を訪れ、中でも一際目を引く巨漢の、ラーメンを手づかみで食う等の不審な行動を目にしたダンは、密かにその後を追おうとするが当の巨漢にあっさり追い払われる結果となった。
この一連の異変に、バンドーラ一味が絡んでいると見たダンは仲間達と共に店の付近の調査を開始するが、その晩店の地下から聞こえる怪しげな歌声を耳にし、ラーメン屋の主人の息子である伸一少年がマンホールを調べようとしたところに例の巨漢が突如襲いかかり、さらに助けに入ったダンともども地下へと放り込んでみせた。
檻に閉じ込められたダンと伸一は、そこに現れたバンドーラ達からラーメン屋の地下で新しい粘土――ドキータ粘土を採掘していたこと、そしてそのドキータ粘土製のドーラモンスターの第1号が、例の巨漢ことドーラフランケであると得意げに明かされることとなる。事の真相を知ったものの、ダンと伸一は檻ごとドーラフランケに投げ飛ばされたりとなおも窮地に立たされていることに変わりはなく、伸一を守るべく単身立ち向かうダンも一切の攻撃がドーラフランケに通用しないばかりか、一方的に追い詰められてしまう。
行方不明になっていた2人を捜していたゲキも、採掘を完了した影響でラーメン屋が地割れに飲み込まれたのを目の当たりにし、異変の原因が地下にあると知るに至るが、そこにバンドーラの指図によってドーラフランケが姿を現し、何とか脱出したダンを加えて5人揃ったジュウレンジャーを一方的に圧倒。さらにバンドーラもダメ押しと言わんばかりにドーラフランケを巨大化させ、一挙に彼等に止めを刺そうと迫った。
巨大ドーラフランケに対し、大獣神で立ち向かったジュウレンジャーであったが、恐竜剣ゴッドホーンさえも通じぬ頑丈な身体と、鎖分銅による攻撃の前には大獣神でさえもやはり苦戦を強いられるばかりであり、形勢不利と見た大獣神は五守護獣へと分離し、ゲキのみを連れて何処ともなく姿を消してしまったのである。
この目覚ましい戦果に気を良くしたバンドーラは、さらなる一手を打つべく採掘したドキータ粘土でゴーレム兵を量産し、ゲキを欠いた状態のジュウレンジャーを苦戦に追い込む傍ら、とある資材置き場にて謎の白い柱を立てさせるのだが・・・そこに大獣神の与えた試練を乗り越え、新武器・サンダースリンガーを引っ提げたゲキとブライが舞い戻ったことにより、バンドーラ一味の優位もにわかに崩されることとなってしまう。
とはいえ、再度巨大化したドーラフランケと大獣神の二度目の巨大戦では、ドラゴンシーザーの加勢による数的不利をものともせず、初戦と同様にドーラフランケが猛威を振るう有様であり、大獣神から剛龍神へと再合体してなお、ヒートホーンを鎖分銅で弾き返したりとさらなる苦戦を強いる一方であった。
しかし、ドラゴンレンジャーのアドバイスで5人がレンジャーガンとサンダースリンガーを合体させ、「レンジャースリンガー・ファイナルシュート」を炸裂させるとさしものドーラフランケも大ダメージを負い、それに続けて超爆裂龍神突きを喰らったことでようやく止めを刺された・・・かに見えた。しかしその直後、ドーラフランケは貫かれた穴から徐々に変化を始め、よりおぞましい第2の姿――ゾンビフランケへと変貌を遂げてしまう。
バンドーラ「馬鹿め、ジュウレンジャー! 新しいドーラモンスターは不死身なのさ。倒せば倒すほど生まれ変わり、ますます強くなる!」
ゾンビフランケはその場から姿を消したとはいえ、この恐るべき難敵とバンドーラが地上に立てさせた謎の白い柱が、ジュウレンジャーにさらなる危機を呼び込むこととなるのである・・・。
備考
デザインは野口竜が担当。頭ではなく首にボルトが刺さっている辺りがオリジナリティかも知れないと振り返りつつ、野口としてはありきたり過ぎて面白くないデザインであったようで、「これは突出して出来が悪い」「もう少しやりようはなかったのかな」と、後年のインタビューに際して厳しい評価を与えている。
海外でもボーゾックの荒くれ者共々『悪趣味な造形の怪人』として言われている。
演者の田村は、子役時代より『仮面ライダー』など東映特撮にも度々出演経験を有しており、スーパー戦隊シリーズへの初参加となった本作への出演の少し前には、同時期に放送されていた『特捜エクシードラフト』にもゲスト出演している(第17話「シンデレラを救え」、石塚晃役)。そして翌年の戦隊では、三幹部の一人としてレギュラー出演することになる。
関連タグ
西洋妖怪フランケン:『手裏剣戦隊ニンニンジャー』に登場する敵怪人の一体。やはりフランケンシュタインをモチーフとした戦隊怪人の後輩に当たる一方、こちらは懐中電灯もモチーフとして含まれる等、機械的な要素がより前面に押し出されているという相違点も見られる
ジェットイカロス:『鳥人戦隊ジェットマン』に登場する巨大ロボの一つ。同機の武器の一つであるイカロスクラッシャーが、ドーラフランケの振るっていたネジヌンチャクや鉄球の改造元であると指摘する向きもある
牛山茂:ドーラフランケが登場した第28・29話のゲスト出演者の一人であり、ラーメン屋の主人(伸一の父親)を演じている