プリプリカン「けど、これは作品なんて言える代物じゃないんだがなぁ・・・プリプリ」
登場話数:第40話「ブライ死の出発」、第41話「燃えよブライ!」、第42話「ブライ死す・・・」
概要
目立った装飾が殆どない真っ白な人型の身体と、一つ目というドーラモンスターにしてはある意味奇抜な出で立ちが特徴で、記事冒頭に示した台詞からも窺えるように芸術家肌なプリプリカンとしては、到底評価に値しない出来であるようだが、その能力ゆえにバンドーラからは自らの作戦の鍵として、大きな信頼を寄せられることとなる。
その能力とは、バンドーラをして「何にでも化けることができる」と謂わしめる自由自在な変身能力である。実際に作中でも、ドラゴンシーザーを始めとするジュウレンジャーの使役する巨大戦力へと任意に化けてみせており、その化けっぷりたるや、パッと見ただけではジュウレンジャーでさえ、本物か偽物か判別できない程の精度である。
これ以外に一つ目から発射する光線、それに前述したシンプルな出で立ちゆえの身軽さと怪力を駆使した格闘戦を得意としているが、変身能力を除けばドーラモンスターとしてはそこまで大した実力の持ち主という訳ではなく、前述したプリプリカンからの評もそこまで的を外してはいない。
とはいえ、この時ジュウレンジャーが置かれていた状況を巧みに利用しつつ、結果的に自身は敗れ去ったとはいえ能力を最大限に活用し、バンドーラによる作戦を一部成功に導くなど、これまでに登場したドーラモンスターの中で最もバンドーラ一味に貢献した、文字通りのキラーカードと言える存在でもある。
作中での動向
ドラゴンレンジャーことブライの命が残り4時間となる中、バンドーラはその残りの時間を使い切らせてブライを死に追いやり、それにショックを受けるであろうジュウレンジャーを潰すという動きに打って出ようとしていた。
そのために、ブライを何としても「時の停止した部屋」より引きずり出すべく、バンドーラが白羽の矢を立てたのが他ならぬドーラガンサクである。誕生したドーラガンサクはバンドーラの意を受け、ドラゴンシーザーの姿へと化けて市街地を襲撃。駆けつけたジュウレンジャーもすぐに罠であると看破し大獣神で立ち向かうが、残り時間が気にかかりブライを呼べずにいた5人のジレンマを他所に、この状況に不審を抱いたブライをまんまと部屋の外へおびき出すことに成功する。
ブライの手により本物のドラゴンシーザーが召喚されたことで、その攻撃を受けた偽者のドラゴンシーザーもドーラガンサクとしての姿を現すに至ったが、結果として部屋から出る際の獣奏剣の波動をバンドーラにキャッチされてしまい、彼女に時の停止した部屋へと直接乗り込まれて破壊されるという、正しく致命的な事態に陥ったのであった。
かくしてバンドーラによる作戦の第一段階は完了し、後はこのままブライの命が尽きるのを待つばかりという状況となったが、ジュウレンジャーもまだブライを助けることを諦めておらず、聖なる大地にあるとされる「命の泉」の水に一縷の望みを託し、5人の変身能力と引き換えにゴウシとダンを聖なる大地へと飛ばすことで、命の水を手に入れようとしていた。
無論、そんなジュウレンジャーの行動もバンドーラは先刻承知であり、変身はおろか守護獣さえ呼べず、5人揃わぬ彼等を一気に潰す格好のチャンスを得ていた。バンドーラの命を受け、再度地上へ放たれたドーラガンサクは剛龍神へと化けてまたしても市街地で破壊の限りを尽くし、これにより事情を知らない一般市民からゲキ達3人が投石を受けるなど、副次的とはいえ彼等にさらなる逆風を呼び込む格好となった。
これに対し、唯一守護獣を呼べる状態にあったブライがドラゴンシーザーを再度召喚、これと相対したドーラガンサクも剛龍神から大獣神へと変身しつつ応戦してみせるが、両者の戦いの中で発生した被害により、とある事情(※)からブライと交流を持っていた耕太少年が瀕死の重傷を負うという事態まで発生してしまう。
耕太の命を救うべく、ブライまでもがメダルを手放し変身できなくなった上、ブライの命が尽きる14時まで後1時間を切ったことで、ジュウレンジャーもさらなる窮地に追い込まれてしまうが、それでも耕太のために戦うと決意したブライは自らドラゴンシーザーへと乗り込み、ドーラガンサクと一進一退の攻防を展開してみせた。対するドーラガンサクも目からの光線や、怪力を駆使した投げ飛ばしでドラゴンシーザーを苦戦させたが、
「神よ! これで良いのか!?
俺達は懸命に戦っている! 人の命を救う為に! 地球を守る為に!
それなのに、まだ俺達を試すつもりか!? 守護獣達よ! 現れてくれ!」
「俺の命はどうなっても良い! でも、耕太君の命を、地球を救いたいんだ!」
14時まで残り5分を切ったところで、ゲキやブライの願いに応える形で大獣神が現れるとドーラガンサクもたちまち劣勢に立たされ、一気に勝負を決めるべく合体した究極大獣神の繰り出すグランバニッシャーで、呆気なく撃破されたのであった。
しかしドーラガンサクは敗れ去ったものの、無情にもその直後に14時を迎えたことで、残された寿命が完全に尽きたブライもまたこの世を去り、ジュウレンジャーを倒すまでは至らなかったとはいえ、バンドーラによる作戦は一応の成果を上げることとなったのである・・・。
(※一連の戦いに先立って、彼もまた黄泉の国へ行くことを示唆する夢をブライが繰り返し見ていたという経緯があった。前述の通り、戦禍に巻き込まれる形で現実に死にゆく運命を辿ろうとしていた耕太であったが、ブライの最後の望みを汲む形でゴウシ達が取ってきた命の水を飲み、無事に一命を取り留めている)
備考
デザインは企画者104の河野成寛が担当。デザインに当たっては、登場エピソードの脚本を担当した杉村升から「(キャラクターの性質上)殆どデザインがいらない」という話が事前にあり、彼の意向を汲む形で台本直しの場にてざっくりとしたラフが描かれ、これを見た杉村からもこんな感じでいいよと了解を得て、そのまま決定稿とされたという経緯がある。
このデザイン画稿の添え書きから、基となるタイツの部分はトランザ(『鳥人戦隊ジェットマン』)のそれを流用し、そこにウレタン成形のパーツを付けていくことが念頭に置かれていたようである。
ドーラガンサクはブライ退場編の3部作の他にも、最終決戦編である第49・最終話にて「亡霊ドーラモンスター」の一体として再登場しており、ここで始めて等身大でのアクションも披露している。
関連タグ
パウチ星人ボラペーノ:『特捜戦隊デカレンジャー』に登場する敵怪人の一体。こちらも飾り気のないシンプルな出で立ちと、高度な変身能力の持ち主として描写されているが、白一色のドーラガンサクに対し黒を基調としているといった相違点も見られる
ババルウ星人:ウルトラシリーズに登場する宇宙人の一人。持ち前の変身能力を駆使し、悪辣な作戦を展開した点で近似点を有している