「俺の命はあと僅かだ。だが代わりに恐竜の赤ちゃんが生まれて来る。命って素晴らしいじゃないか」
「悪を倒すためには、俺の屍を乗り越えてでも前進するんだ!!」
プロフィール
概要
ティラノレンジャー / ゲキの兄でドラゴンレンジャーに変身する力の戦士で、パートナーとなる守護獣はドラゴンシーザーを獣奏剣の音色で操る。
ヤマト族プリンスと名乗るがこれは自称であり、本来はナイト(但し明確な確証はない)だと思われ、プリンスを自称していたのは父親の意志を継いでいるからと推測される。
作中での活躍
目覚め
第17話から登場。ジュウレンジャーと同じく、太古の時代から眠りに付いた一人。
回想シーンでは太古の時代に妖精たちと共に森の中で暮らしていたが、ジュウレンジャーが眠りに就いた事を知り自分も眠りに就く事にしたのだと言う。
森で知り合った少年・良太が眠りについたブライを起こすため行動するが、それを阻止するべくバーザやノームが攻撃を始めた。その状況に訳が分からずパニックになるジュウレンジャー。そんな大混乱の中、バンドーラの策略もありブライはついに目を覚ます。
ところが目覚めたと同時に、良太やジュウレンジャーたちに牙を向き……
弟との戦い
ジュウレンジャーに戦いを挑む真意は太古の時代に遡る。
8歳の時に生後間もない実弟・ゲキがヤマト王の養子となり生き別れてしまう。しばらくして黒のナイトである父親が謀反を起こし王の手によって処刑されてしまう。その後、国を脱出して妖精の森に逃げ込み暮らし始める。父親が言い残した「仇を取れ、王に相応しい」という言葉を胸に、ヤマト王への憎悪、野心、プライドを心の支えにして特訓に励む日々を送っていたが、国王の死後その矛先は王位継承者であるゲキに向けられた。そのため、ノームはブライを目覚めさせることに拒否感を覚え始め、既に目覚めてしまったゲキ達ジュウレンジャーがブライを目覚めさせるのを阻止しようとしたのだった。
そのような経緯もあって、現代に目覚めても復讐に燃えるがために弟の言葉にも耳を貸さず敵として戦い続け、バンドーラと結託してジュウレンジャーを追い詰めたが内心ではバンドーラをも出し抜いて自らが地球の支配者となることを画策していた。しかしその事自体バンドーラに見抜かれており、彼女の暗殺にも失敗しパレスも追いやられてしまう。
しかし命の精霊クロトによって「時が停止した部屋」へ導かれ、そこで獣奏剣を与えられる。そして、自分の寿命があと僅かであると聞かされるが拒絶、外に出て獣奏剣の音色でドラゴンシーザーを召喚し町を破壊。新たな力を得たことで、今度は一人でジュウレンジャーとバンドーラ一味を倒し地球を支配することを企む。
当初は圧倒していたものの、兄と戦う事を決意したゲキと一騎打ちをし敗北、その末に止めを刺されるかと思いきや刺されずに、ゲキがその場を離れた隙を突き切り掛かろうとするが、彼の自分に命を預けた姿や涙の説得に戸惑いが生まれ己の非道さを痛感し(成長するにつれ、父の行為が不当な反逆であったことは頭では理解していたが、父を失い仇である王にも死なれた後は感情の行き場がなかったためにゲキを憎むしかなかったと言う本心を明かした)改心。ついに和解を果たす。
衝撃の真実
和解したのも束の間「時が停止した部屋」へ戻ると、クロトに再度残り時間の事を伝えられそれが真実だと気付く。そのため弟や仲間に危機が訪れた時のみ行動するという形を取らざるを得なくなりジレンマに陥ってしまう。
ゲキと再会し共に行動する時に「何故一緒にいてくれないのか?」の問いに対して「悲しませたくない」思いに駆られ真実を話さないまま進んで行くが、大サタンが復活してサタンフランケという強敵の登場により大獣神が危機に陥り「時が停止した部屋」に飛ばされ、5人に残り時間の件がばれてしまい、そこでブライ自身も知らなかった事が明らかになる。
彼はジュウレンジャーを追って眠りに就いたがそこに氷河期が襲い、天変地異により、眠っている所を岩に押し潰され既に肉体と命を失っている事が発覚。
死んだブライにかりそめの命を与えてこの世に呼び戻した理由は「大獣神を元の究極の神に戻すため」で、それが出来るのはジュウレンジャーとブライの6人だけ。大獣神は大サタンの復活や戦いを予想して、再びブライの命を呼び戻したのだと……(最も呼び戻していなければゲキとブライは醜い争いはしなくて済んだのかもしれない)。
その真実に戸惑いながらも「最後までジュウレンジャーの1人として戦う」と決意をし、究極の神である究極大獣神を復活させてサタンフランケを倒し、大サタンを撃退する。
しかしその戦いの後は寿命との闘いが始まり、刻一刻と迫る「死」に対して向き合う事となる。
第34話ではバンドーラの策略で寿命を一気に削られてしまうが、この一件以降、それまでの迷いだった自身の死に対する恐怖を払拭。
残り時間がわずか5時間にもかかわらず、積極的に出撃しては時にドラゴンシーザーを遣わし、時に叱咤激励を飛ばし、ジュウレンジャーを導き、戦士としての覚悟を強固なものにすべく奮闘するようになった。
特に第39話では、バンドーラの魔術で下僕と化してしまったモンスター・ゴダを倒すことを迷うゲキに対し、
「奴はバンドーラに魂を売った、もはや悪だ! 悪を倒すためには、俺の屍を乗り越えてでも前進するんだ!」
「ゲキ! まだ迷っているのか! 大勢の命がかかっているんだぞ!? お前は大獣神の声を聴いたはずだ!!」
と、非情なまでの強さで叱咤。ジュウレンジャー真の使命である「サークル・オブ・ライフ」を守ること、そのために戦うことの意味を伝え続けた。
最後の闘い
死期が迫る中、ブライはある夢を見る。それは、骸骨の車引きに運ばれ、死の国に連れていかれるというものだった。
ブライ「なんて気持ちのいい風なんだ……車屋さん、いったいどこに行くんだい?」
死神「決まってるじゃありませんか。旦那を死の国にお連れするんですよ。ヒヒヒ……」
ブライ「なんだって!? 止めてくれ! 俺はまだ死にたくないんだ! 止めてくれぇぇっ!!」
残り時間がもはや尽きようとしていることへの焦りから見た悪夢だったが、それは遠からず現実になるだろうことをブライは直感していた。
「あと4時間で……俺は死ぬのか……!」
その頃バンドーラは、ブライを罠にかけ、残りの命を使い切らせるべくドーラガンサクを投入。偽のドラゴンシーザーに化けさせて街を破壊させる。
これを座視できずブライが制止に現れると踏んだバンドーラの読みは見事に当たり、外界に出る際に獣奏剣が発するエネルギーを辿り「時の停止した部屋」へ転移。
強襲して来たバンドーラを迎え撃つブライだが、相手はジュウレンジャーはおろか大獣神すら単身で圧倒する最強の魔女。
全く歯が立たず「時の停止した部屋」を破壊され、外界のゲキとメイの元に放り出されてしまった。
意識を失ったブライだが、その間に彼はその夢の続きを見た。
死の国へと連れていかれるブライの前に、別の停車場に座り込む少年が現れたのだ。
ブライ「あの子は何なんだ!?」
死神「あの子も死の国へ行くんで、次の車を待ってるんですよ」
あの少年もまた、ブライと同じく遠からず死ぬ運命であり、だから自分を連れていく死神の車を待っていたのである。
目覚めたブライは夢に現れた少年・松井耕太を探し出し、彼に死の気配がないことを訝しみつつも交流を持った。
ジュウレンジャーはブライの命をなんとか救うべく、全ての命に力を与える「命の水」を得るための試練に挑むが、これにはゴウシとダンのみが向かい、戦力の分断を余儀なくされる。
これを知ったバンドーラはドーラガンサクを再出撃させ、剛龍神や大獣神に化けさせ街を破壊、ジュウレンジャーを市民の敵に仕立て上げて動きを封じる。
難を逃れたブライはドラゴンシーザーを呼び戦いを始めるが、その戦いに耕太が巻き込まれ瓦礫の下敷きになり助け出したものの命の危機に陥る。
病院に担ぎ込まれた耕太のもとに向かったブライは、自身のメダルをお守りとして渡す。
外に出て時計を見れば、残りの時間はわずか1時間となっていた。「命の水」のことを聞かされたブライは、ゲキに対して「本当は生きて、お前達と共に暮らしたい」という本音を明かすが、そこにドーラガンサクが再び襲来。
ドラゴンシーザーに乗り込み、文字通り命を懸けて戦うが、守護獣1体ではドーラガンサクの相手はあまりにも分が悪く、一方的に追い詰められていく。
その中で「俺の命はどうなってもいい、耕太くんを、地球を救いたい」という願いが神に届き、ジュウレンジャーがダイノバックラーを取り戻すとともに大獣神が出現。
続けざまにキングブラキオンも呼び寄せられ、究極大獣神によりドーラガンサクの撃破に成功したが、まさにそのタイミングでとうとう命が尽きてしまい、海岸へと飛ばされてしまう。
駆け付けたゲキ達に、わずかな間ではあったが、ジュウレンジャーとして平和のために戦えたことを喜び、命の水が届いたのなら耕太に与えるよう懇願。
抱え起こすゲキ共々一時的に変身し、ドラゴンアーマーと獣奏剣を託すと、
「ゲキ……最後まで、地球を守り……子供たちを、護って、くれ……! 頼む……!」
戦士としての使命を託し、息を引き取った。
なお、「命の水」はゴウシとダンが何とか入手していたが、ブライは元々の命が既に尽きており、かりそめの命によって長らえていたに過ぎないため、無意味であったことがクロトにより語られている(その後、「命の水」は耕太の元に届けられ、彼の命を救っている)。
クロト「ブライお兄ちゃん……お兄ちゃんの使命は終わったわ。さあ……永遠の世界へ、旅立つのよ……!」
命の尽きたブライは、あの夢と同じく死神の車引きに運ばれていく。
「なんて気持ちのいい風なんだ………ん?」
通った道もあの時と同じ、しかし停車場にはもう耕太の姿はなかった。
耕太が死の運命を乗り越えたことを知り、安堵の笑みを浮かべたブライは死神に運ばれるまま、死の国ではなく光の差し込む彼方へと去っていった。
受け継がれた魂
ブライの死はジュウレンジャーに少なからぬ衝撃を与えたが、戦士としての使命を奉ずる彼らはその悲しみを乗り越えて戦うことを選んだ。
一方で相棒たるドラゴンシーザーはそのショックを受け止めきれておらず、ドーラアンタイオスの一件ではバンドーラによって無力化される憂き目を見たが、ゲキの決意に呼応して立ち直り、激化する戦いを共に勝ち抜いていった。
その後、第49話では大サタンの前に敗北を喫し、守護獣もキングブラキオンも恐竜の卵も失い、絶望するジュウレンジャーの前に獣奏剣の導きにより思念体として登場。
「ゲキ、希望を捨てるな。たとえこの世界の人々全てが絶望の淵を歩もうと、お前達だけは希望を捨ててはいけない!」
「お前たちに残された武器はチームワークだ。今までの戦いでチームワークを培ってきたはずだ! 行け、ゲキ、みんな! 最後まで戦い、この地球を守ってくれ。頼んだぞ、ゲキ!」
守護獣の無事と、彼らがバンドーラの魔法界に閉じ込められている事を告げ、守護獣たちを救出するために魔法界の扉を出現させ仲間たちを導いた。
客演
海賊戦隊ゴーカイジャーにも登場。レジェンド大戦においては他の本編で死亡したスーパー戦隊の戦士達と共に復活し、戦線に参加している。何者かの力によって蘇ったとのことだが、それがクロトによるものなのかは不明。
その後、仲代壬琴、タイムファイヤーと共に、死にかけた伊狩鎧に大いなる力を託したのだった。
人物像
ジュウレンジャーと敵対していた頃は復讐心に燃えるだけでなく、地球を支配しようとする野心家の一面も見せていたが、それが無くなってからは、弟に対して思いやりや気遣いを見せたり子供たちを守るために奮闘したりと、かつて森で暮らしていた頃に良太に見せていた部分を表に出す様になり、本来は優しい性格であることが窺え、そして一度決めたらやり遂げ様とする強い意志もある。
のちの影響
新しい軸
シリーズ初のレギュラー化した6人目の追加戦士で、これ以降スーパー戦隊シリーズの定番となった。今までのシリーズでも6人目と言う要素はあったものの扱いが難しく(5人1組の形を崩してしまう、5人の存在を食ってしまう等)ゲストと言う形で終わっていたが、ブライの成功によってスーパー戦隊に新機軸が生まれた。
また後楽園ゆうえんちの野外ステージ(現・東京ドームシティアトラクションズ)で行われていたスーパー戦隊ショーに役者である和泉史郎氏が登場した時の公演が好評を生み、以後のシリーズ作品で変身前を演じる俳優が公演に加わるというきっかけを作った。
ジンクス
しかし彼はあるジンクスも残した。
それが「恐竜系戦隊の追加戦士は死亡するというジンクス」である。
最初は未来戦隊タイムレンジャーの滝沢直人/タイムファイヤー。彼は追加戦士ではあるが恐竜系戦隊とは関係なく、ただ恐竜モチーフのロボを相棒にしていただけであり、死亡してもそんなに気にはされてなかった。
次に爆竜戦隊アバレンジャーの仲代壬琴/アバレキラー。恐竜系戦隊の追加戦士で長らく敵サイドにいたが和解した次の回に死亡してしまい、ブライと同じく「敵対→和解→死亡」のルートを辿る。この辺りから暗雲が立ち込めた(メタな話、彼は元々「敵対→死亡」のルートの予定だったが、スポンサーやテレビ朝日上層部からの圧力により「敵対→和解→死亡」のルートになった)。
同じく恐竜系のメカ操縦者であり、彼は ヨゴシュタインにゼンマイネジミサイルを命中させらけれてしまい一時仮死状態になる。しかも仮死状態に追い込んだヨゴシュタインの能力を強化したのは恐竜のメカとは因縁の相手から取り込んだ力でもある。
次に獣電戦隊キョウリュウジャーの空蝉丸/キョウリュウゴールド。恐竜系戦隊の追加戦士であるが「敵対→和解」で止まり終盤まで生き続けたので、ジンクスを回避できるのかと思いきや最終回前に死亡してしまう。しかし最終回で生き返った事もあり、半分とはいえ何とか回避できた(その後は無事に生涯を全うしたようである)。
しかし番外戦士である賢神トリン/キョウリュウシルバー(彼も元々は敵幹部だった)が死亡してしまい、本格的にこのジンクスが広がり始める(トリンの場合は死亡したその後に重要な出番があったが)。
次に騎士竜戦隊リュウソウジャーのナダ/ガイソーグ。7人目として登場しブライ、仲代壬琴と同じく「敵対→和解→死亡」のルートを辿りジンクスを受け継ぐ形になってしまった。もっと言えば第1話にして先代リュウソウジャー3名が戦死している。そして今までの事を踏まえると、追加戦士であるカナロにも何らかの生命の危機があるのではないかと心配されていたが、幸い彼にそのような危機が起こることは無かった。しかし、最終話で主人公が一時的だが死亡してしまうことに。
滝沢直人と同じく追加戦士で恐竜モチーフのロボを相棒に持つ海賊戦隊ゴーカイジャーの伊狩鎧/ゴーカイシルバーは、死亡ではないが臨死体験をした。
ここまできたら何らかの力が働いているのではないのかと勘ぐってしまってもおかしくない。
彼から始まったジンクスではあるが、勿論彼のせいではない。
余談
- 演者の和泉史郎氏は、最初5週くらいのゲストという話でオファーを受けたのとの事(『超世紀全戦隊大全集』のインタビューより)。
- 当時の人気は非常に高く、今のイケメンブームのルーツ、もとい「母親層が熱狂してくる」原点のようなものがジュウレンジャーの後半に芽生えており、「死なせないで欲しい」という意見や手紙がテレビ局の方に来ることもあった(東映ヒーローMAX49号インタビューより)。
- 同時期のドラゴンクエスト4コママンガ劇場に「ブライってなんで生きてるの?」というネタが出ていた(シンクロ)。
- 少年時代のブライを演じた酒井寿氏は、次作『五星戦隊ダイレンジャー』にて、キバレンジャー/吼新星・コウを演じている。
- 2017年7月30日、テレビ朝日で放送された『アメトーーク』の『スーパー戦隊大好き芸人』にて恐竜戦隊ジュウレンジャーの第42話の次回予告が放送され、そのナレーション(『ブライの命はどうなってしまうのか…』)とサブタイトル(『ブライ死す…』)のギャップが話題となった。→似たような例
- そして2018年6月1日放送の『声優と夜あそび』でも同じような事が話題になった。
- 同年に放送されていた「世にも奇妙な物語」(星新一原作「ネチラタ事件」)にもブライ兄さん登場。作中のニュースのBGMがチェンジマンのパワーバズーカのBGMであり、主人公の娘とお見合いするブライ兄さんがどう見ても剣○竜ルックであり、スタッフに特オタが混ざっていたとしか思えない仕様だった。丁寧語のヤンキーが印象的な回なのだが、この回、ジュウレンの「カキ氷にご用心」にも似てない…?
- 「忍者戦隊カクレンジャー」のテレビの中にあるテレビに、ブライ兄さんのパロディーの侍が出ている(掛け声が「とぉっ!」で、着物が緑で、演者も和泉氏)。この回はメタフィクション風だった為、香お嬢様似の女子アナウンサーも出ている。
- 因みに仮面ライダーエグゼイドに登場する仮面ライダーゲンムこと檀黎斗役で有名な岩永徹也氏は超スーパーヒーロー大戦の舞台挨拶で「ブライ死すという予告の段階で死んじゃうことが分かってて泣いた」と語っている。
関連イラスト
表記揺れ・愛称
※ファンの間では愛称として『兄さん』をつけて呼ばれる事が多々ある、大体こいつのせい。
関連タグ
恐竜戦隊ジュウレンジャー ジュウレンジャー 追加戦士 6人目の戦士