解説
作中では「バイオテクノロジーの力によって蘇ったブロリー」として描かれているが、あくまで複製であり既に死亡したオリジナルのブロリーが復活した訳ではない。
また作品外では区別するためにバイオブロリーと名称が付いているが、劇中ではクレジット含め一貫してブロリーと呼ばれており、バイオブロリーという名称は出てこない。
誕生の経緯
前作『危険なふたり!超戦士はねむれない』で地球のナタデ村における孫悟飯や孫悟天達との戦いで、太陽まで吹き飛ばされて死亡したブロリーだったが、彼の乗ってきた一人用のポッドには、新惑星ベジータでの戦いにて孫悟空に敗れた際に流れ出た大量の血液が残されていた。
同じく前作で悟天達の活躍により立場を失ったナタデ村の(元)祈祷師はその血液に目をつけ、それをミスター・サタンへの復讐を目論むジャガー・バッタ男爵へ高額で売り渡した。
男爵はサタンを倒すべく、以前よりお抱えの科学者達に最強のバイオ戦士を生み出す研究をさせており、そこでブロリーの血液を使用し遺伝子を再現されてバイオブロリーは誕生した。
形態
通常形態
培養カプセルの中で育成中の状態。
13番カプセルに収容されていた。
既にオリジナルのブロリーの通常時に瓜二つの状態まで完成しており、サイヤ人特有の尻尾も生えていた。
培養カプセルの中で育った為、服やイヤリングなどの装飾品は付けておらず全裸である。
また新たに肉体を作られている為、前作で印象的だった悟空に付けられた胸の傷跡なども存在しない。
また、他のバイオ戦士はスキンヘッドかつ赤や緑等の体色をしているが、ブロリーにはそう言った変化はない。
伝説の超サイヤ人
男爵の命令により科学者達が稼働準備に入ると、髪色は金色に変化し、カプセルが輝き始める。そして排出前に破壊しようとした悟天とトランクスのかめはめ波に共鳴するかの様にカプセルを破壊して登場した。
オリジナルが既に覚醒済みだったからか、バイオブロリーも変身が可能。
前作同様、髪の色は薄い黄色に近い金髪であり、目も虹彩や瞳孔のない白目である。
反面身体は若干スリムであり、特に前作まででは過剰なほど盛り上がっていた大胸筋はかなり小さく、通常の超サイヤ人形態に近い。
しかし防護壁を破壊し外へ出て来た際は、髪は緑色が強く筋肉もしっかりと盛り上がっていた(既に皮膚が溶けて崩れてはじめていたが)。
変異後
培養カプセルを破壊し出てきた後の姿。
培養液の排出作業の途中で出てきた為肉体の固定が不完全であり、更に変質した培養液に触れた事で肉体そのものが完全に変質しまった姿。
その姿は体型こそ筋肉質のままではあるが、その殆どがゲル状の深緑色の皮膚に覆われている。
肉体が溶けた事で胸には隙間が出来ており、そこから角膜や心臓など内蔵の一部が見えてしまっている(なぜか骨は一切見えない)。
顔は耳や鼻、瞼が無くなり真っ赤な眼球が常に剥き出しになっている他、口の中は青紫になっており、全体的にグロテスクな見た目となっている。
尻尾も溶けたか飲み込まれてしまった様で、もはやブロリーである面影が巨大な肉体と後頭部から側頭部にかけて残った超サイヤ人の金髪しかない。
上記の通りドロドロの流動体の様な見た目で登場時や後半で復活してきた際はそのような描写だが、それ以外の場面では基本的の流動せずに乾燥した粘土の様な質感をしており、強い衝撃を受けても崩れる事無くその姿を保っていた。
戦闘面
戦闘力
伝説の超サイヤ人のクローンというだけあって戦闘力はオリジナルのブロリーと比べても引けを取らず、公式的にも前作と変わらない強さとされている。
実際にそのパワーは凄まじく、殴られた18号が一撃でしばらく動けなくなるほどの攻撃力を持つ。
しかし一方で、防御とスピードはオリジナルと比べるとかなり見劣りしてしまい、オリジナルが圧倒したのに対してこちらは悟天やトランクスの攻撃でダメージを受けたり、攻撃を見切られたりしていた。
この事からファンからはオリジナルと比べて弱体化しているという意見もあり、劣化クローンとして扱われがちである。
もっとも圧倒的に強かったオリジナルのブロリーと比べてであって、バイオブロリー自体は決して弱いとは言えない。
ダメージを受けたといっても基本的には殆どの攻撃にびくともせず、隙をついた攻撃や悟天とトランクスが同時に攻撃しなければまともに体勢を崩させることすらできない程の頑丈。
速度も歩くときこそのっそりとした動きだが飛行中はかなりの速度で移動しており、小回りこそ利かないがその移動速度自体は悟天やトランクスにも劣らない。
また「動きがわかる」と言っていた2人が徐々に反応できない動きを見せ始め、悟天が逃げ遅れた科学者の救助に回るなどのアクシデントがあったとはいえ、最終的には悟天、トランクス、18号、クリリンの4人全員を撃破した。その事からトランクスも「正攻法では勝てない」と評価を変えている。
能力
肉体の変異の影響もあり、オリジナルのブロリーが持っていない能力をいくつか持っている。
- 首が180度回転し背後の動きも確認出来る。
- 目や口から光線を放つ。
- 切断されても瞬時に再生する。
といった、まるでホラー作品のクリーチャーの様な能力を有している。
特に再生は強力で、気円斬で首が切断されてもその直後には切断面が接合され、その際に抜け落ちた頭髪すら完全に復元し、そのまま即座に反撃にを繰り出している。
他にも培養液に取り込まれて身体が崩れた際には、逆に培養液の力を取り込み巨大化までした。
しかし同時に海水に接触すると凝固する性質も受け継いでおり、これが致命的な弱点となった。
またオリジナルのブロリーが使っていた緑色のエネルギー弾を使用しており、前作では見せなかった両手から同時に発射する姿も見せている。
このようにオリジナルの技や新たに能力が増えている反面、惑星ベジータの崩壊から逃れた際や悟飯に溶岩に落とされた際に使用したバリア能力を使う事はなかった。
その他
上記のように完全な化物で、作中では言葉を発する事はなく呻き声を上げている為一見知性の欠片もないように見えるが、意外にもその戦闘スタイルは完全に脳筋というような一辺倒な戦い方ではないのも特徴。
基本は見境無く暴れ回っているが標的にただ無闇に襲いかかっている訳では無く、攻撃を避けてカウンターをする、体勢を崩されてもそのまま攻撃の動きに移行する、隙を見逃さず的確に攻撃する等、オリジナル譲りの高い戦闘センスを持っている。
前作までの惑星シャモを破壊する様な極悪な姿や攻撃をするふりをしていきなり気弾の軌道を変えるような狡猾さは無いが、所々に化け物になる前の名残の様なものを感じさせる。
挑発を理解しているかのような反応もしている為、ある程度は知性が残っている様な描写も見られる。
培養液
ブロリーをはじめ、バイオ戦士を作り出すカプセルに入っている液体。
変質前は半透明の黄緑色のサラサラとした液体であるが、変質後は透明度の無い紫色の毒々しいヘドロのような物に変わり、いかにも「触れたくない(触れてはいけない)」見た目になる。
空気に触れると変質し、遺伝子の異なる生物の細胞を喰って増殖、強化されていく。
更にこの培養液はブロリーの遺伝子を取り込んだ事でその力が異常なまでに強化され、手に負えなくなってしまった。
なお、排出途中で培養カプセルを破壊した当初のブロリーは、変質した培養液を浴びるも取り込まれる事は無かったが、先述通り肉体が大幅に変異してしまった。
「生物の細胞を喰って増殖、強化」という性質自体は、一滴の血液から肉体を形成していくという点では本来の性質そのままとも言える。
それをカプセル内のサンプルだけで済ませているか、カプセルが無くなったことによって見境い無しになったかという違いがある。
前述のとおりブロリーの遺伝子を取り込んだことで強化されたので、ブロリー以外であれば増殖、強化の能力(=溢れ広がっていく時間・対象が取り込まれて溶けるまでの時間)も、さほど強くは無かったのかもしれない。
作中ではジャガーバッタのペットであるヘイをはじめ、祈祷師や研究職員、バイオ戦士達等、果てはバイオブロリーすら取り込み島全体を覆うほどに増殖していた。
反面、この培養液は海水に触れると石化するという性質がある。
作中では海に囲まれた孤島全体に海水を被せる事で培養液による地球の壊滅は阻止できたが、もし舞台が大陸だったら地球は終わっていたかもしれない。
劇中での活躍
上記の通り、ナタデ村の祈祷師によって採取された血液から作られたクローンとして登場。
培養カプセルの中で眠っているところを悟天とトランクスに発見されて目を覚ます。
カプセルごと悟天とトランクスがかめはめ波で消し飛ばそうとするが、その前に動き出し超サイヤ人へ変身しカプセルを破壊して外へ出てしまう。
培養液が溢れるのを抑えるため展開された防護壁を破壊するが、その際に不完全な肉体と空気に触れ変質した培養液の影響で体が崩壊し化物へとその姿を変えてしまった。
サタンの代わりに戦う事になった18号を圧倒し、超サイヤ人となった悟天とトランクス、助けに来たクリリンと戦闘をしながら研究所内を滅茶苦茶に破壊する。
パワーはあるが動きが遅いため悟天とトランクスのコンビネーションに翻弄されるが、悟天が研究員やサタン等逃げ遅れた人の救出をしている間に逆転する。そのまま4人を圧倒してみせた。
しかしトランクスの機転により大量の培養液を浴びて身体が溶解し、そのまま培養液の中に沈んでいった。
…が、なんと逆に培養液を取り込んで巨大化、悟天を救出したトランクスの前に再び出現し襲い掛かる。
と思いきや、流石に身体を維持することができずに襲い掛かる前に崩れ落ちてしまった。
その後悟天達は研究所から脱出。
ブロリーの細胞を取り込んだ培養液は異常なパワーを得たことで増殖し続ける事になってしまうが、悟天が培養液は海水に触れると凝固し石化する性質があることを発見。
悟天、トランクス、クリリンのかめはめ波で津波を起こして全ての培養液を食い止めることに成功し、一件落着。
…とはいかず、なんと海中から更に巨大化したバイオブロリーが登場。
しかし海水で凝固する弱点は克服しておらず、何もできないまま全身が石化してしまい活動を停止。
最後は悟天とトランクスによって気功波で破壊され、粉々になって本当に死亡した。
登場シーンでは身体が崩れていく過程が短いながらもかなりこまかく描かれており、左耳が剥がれ落ちたり、頭髪も一部が液状に溶け落ちていったり、顔の輪郭が流れ落ちて来た組織に埋もれて崩壊する様子が確認できるという徹底ぶり。
更にその後のシーンでは隙間から見える心臓が脈動し、鼓動の音まで聞こえる他、大量の培養液を浴びた際は身体が殆ど崩壊しているというのに、執念深くトランクスへにじり寄ろうとする、培養液の中で心臓と思われる何かが鼓動しながら不気味に光る等、とにかく見る人によってはトラウマになるシーンが多数存在する。
外部出演
ゲーム等では何故か長年参戦することなく『スパーキングメテオ』では彼のみ当時のZシリーズの劇場版ボスキャラクターの中で不参戦となり、17年ぶりの続編である『スパーキングゼロ』でも相変わらず不参戦となった。
ドラゴンボールヒーローズシリーズ
ゲーム初参戦作。通常形態の他、培養液を取り込み巨大化した形態も巨大バイオブロリーとして登場している。必殺技はゲノム光線、またはバイオ怪光線。
初登場のH7弾ではシークレットレアカードも登場しているが、以降はJM7弾でURとして収録された以外は良くてCPやスーパーレア、大抵の場合はコモン若しくはレアでの収録になっている。
そして旧弾H2弾からH8弾までのシークレットカードが一挙復刻したMM5弾限定の特殊レアリティ「SECLC」にはチルド諸共ハブられると言う憂き目に遭う。
「公式がブロリスト」の最先端を走るヒーローズですらこの扱いであった事からも、バイオブロリーと言うキャラクターの扱いの難しさを窺い知ることができるだろう。
ドラゴンボールZドッカンバトル
極技属性(イベント産UR/極限Z覚醒)
2017年に初実装。物語イベント「超戦士撃破!!勝つのはオレだ」で仲間にできるイベント限定キャラクターとして登場した。同イベントで入手可能な覚醒メダルでドッカン覚醒が可能。
敵の数に応じて特性が変化する変則的な効果のパッシブスキルを持ち、敵が1体の時はDEFが上昇してATKが低下し、2体以上いる時は逆にATKが上昇してDEFが低下する。
その不安定すぎる性能は実装当初ですら敵が1体の場合には壁役としてまだ使い道はある程度の評価であり、一瞬で壮絶なインフレの彼方に消えていった。
2024年の全世界同時キャンペーン第3弾に極限Z覚醒が実装。
序盤は気力+8とダメージ60%軽減を持ち盤石であるが、2ターンごとに弱体化していく。
敵が1体の場合はダメージを30%カット、2体以上の場合であれば確定で会心が発動する他、攻撃を受けるとそれ以降、ターン開始時のHP回復が可能になる。
そして登場から10ターン目以降には一度だけATKとDFE、ダメージ軽減が上昇する。
性能の傾向自体は癖が強いままな上、後述のLRバイオブロリーが優秀すぎるあまり影の薄い悲しい存在だが、バトル前半では負け筋を作りにくい優秀なキャラクターである。バトル後半のリカバリー、制圧力に長ける「制御不能の力」編成での運用が推奨される。
一応超サイヤ人ではあるが、名前に「超サイヤ人」とつかないので超サイヤ人系のカテゴリを貰えていない。
また純粋なサイヤ人なのだが、クローンだからか培養液と混じったからなのか「純粋サイヤ人」のカテゴリからも外されており、カテゴリとしては最早サイヤ人として扱われているかすら怪しい。
一方でリンクスキルには「超サイヤ人」と「サイヤ人の血」をちゃっかり貰っており、リンクスキルの定義が雑という古いキャラにありがちな現象が起きている。
巨大化バイオブロリー(NPC)
極技属性のバイオブロリーと同時に登場。
専用グラに立ち絵も存在するが、こちらは敵専用のNPCである。
極体属性(頂上決戦産LR/極限Z覚醒)
2024年の全世界同時CP第3弾で実装。
バイオブロリー初のLRキャラクターであり、バイオブロリーの新規カード自体7年ぶりの登場となる。頂上決戦イベントで入手可能で、極限Z覚醒も同時実装。
防御特化のキャラクターであり、「制御不能の力」カテゴリ編成ならば行動後にダメージを60%カット(常時30%カット+行動後30%カット)。更に6ターン目までは軽減率が上昇する(7ターン目以降は元に戻ってゆく)。
そしてアクティブスキルにより1ターン限定の全属性ガード効果とターゲット集中効果を得る。また与ダメージ効果もあるため行動後に発動するスキルも連動して発動する。その為そのターンは最大ダメージ8〜90%カット+全属性ガードと言う驚異的な防御性能を行動前から獲得出来る。いわば「制御不能の力」専用の廉価版セルマックスに当たるキャラクターである。
その分火力は貧弱な上に「制御不能の力」編成以外での実用性が皆無な尖ったキャラクターではある。しかしその「制御不能の力」編成は2024年9月現在のドッカンバトル環境トップクラスの編成であるため問題には全くならず、むしろこのバイオブロリーがいるか否かが編成の完成度に大きく影響する場面すら存在する。
イベント産ながら大型キャンペーン終盤の目玉キャラクターなだけあって非常に優秀であり、「制御不能の力」編成を作りたいなら必須級と言えるだろう。
しかしその後、極限z覚醒した「ジャネンバ」がバイオブロリーを遥かに上回る強さをしていたため、早々にパーティから弾き出されてしまった。
二次創作における扱い
ファンからはドロリー(ドロドロに溶けたブロリーの略)と呼ばれ親しまれている。
pixivなどのブロリーがらみの2次創作では、何故かペットのようにデフォルメされて可愛がられていることが多い。
また劇中に登場したバイオブロリーの前に存在したであろう、失敗作のクローンにも触れた作品もあり、大抵が所謂ガチブロ作品となっている。
体が培養液に溶かされる前の本来の状態で描かれる。
余談
あくまでもクローンであるため本物のブロリーとはまったく別の個体であり悟空と出会ったことが無く、そもそもその存在自体を知らないはずなのだが、ラストに巨大化して海中から現れた際に「カカロットォォ!」と叫んでいた。
悟空への憎しみが細胞単位で刻まれているのか…はたまたオリジナルのブロリーの魂が乗り移ったのかそれは不明である(一種のファンサービスと言ってしまえばそれでおしまいだが…)。
作品の内容やバイオブロリーの容姿などから賛否が分かれるキャラクターであり、黒歴史という扱いを受ける事も多い。
しかし一部この独特なキャラクター性に惹かれるドロリストなる人も居る。
今作は劇場版ドラゴンボールの中でも死者が多い部類だが、バイオブロリー自体が直接命を奪った描写は存在しない。
むしろ変質した培養液の方が多くの人の命を奪い作中ではバイオブロリー以上にパニックホラーの怪物的な扱いを受けている。