曖昧さ回避
本項ではゲームキューブで発売された1作目について記述する。
ピクミンシリーズ全体の事についてはピクミンシリーズの記事を、作中に登場するキャラについてはピクミンの記事を参照。
概要
「ピクミンは、自分を引っこ抜いた人を親だと思ってついて行く習性が、あるんです。」
2001年10月26日に発売されたゲームソフト。正式タイトルは『ピクミン』。
2008年12月25日にはWii移植版の『Wiiであそぶ ピクミン』が発売。
2023年6月22日にはNintendo Switch移植版が『ピクミン1+2』として『ピクミン2』とセットで配信され、同年9月22日にはパッケージ版が販売された(なお、ここから記事名と同様の『ピクミン1』表記になる)。
宇宙を航海中、事故に巻き込まれ未開の惑星に墜落した主人公「キャプテン・オリマー」を操作し、惑星で出会った奇妙な生命体「ピクミン」を率いて、30日以内に30個の宇宙船のパーツを集めていく、というのがゲームの流れ。
一見ピクミンを率いて冒険するのほほんとしたアドベンチャーと思いがちだが、原生生物に食べられる、そのほかちょっとした要因で燃やされたり溺れたり潰されたり、
しかも上記の通り制限時間があり目的を達せられないままタイムリミットを迎えるとオリマーが思いもよらぬ方法で破滅を迎えるなど、見た目のギャップが見事なまでにすごいハードな世界観と話題を呼んだ。
のちの作品と比較して特筆すべき点はとにかくピクミンの命が軽い。基本的に原生生物に捕まったらほぼ助からないし、炎上や溺死の判定も非常にシビア。
一方でピクミンを増やす手段も豊富であるため、時には多少の犠牲を覚悟してでも目的を達成させることが前提のゲームコンセプトとなっている。開発者曰く「少しくらいなら死んでもいい」とのことであり、公式サイトにも「食べられちゃうピクミンはかわいそうだが弱肉強食が自然界の掟」と書かれている始末。加えて後の作品に実装されている道具ややり直し機能も本作にはない。
このためゲームエンド時に死亡したピクミンの数が表示されるが通常プレイの範疇だと3桁~4桁はザラであり、無犠牲クリアはもろもろの仕様も相まって相当にハードルが高い。
ただしどうあがいても犠牲を必要とするような場面は存在せず、また最善策にもならない。しっかりと攻略法を確立すれば必然と極力ピクミンを殺さないプレイを取ることができるようになる。
ピクミンを増やしては率いてパーツを回収するという特殊なゲームシステムに加え、どのように行動するかを計画し、かつ効率よくピクミンを運用することを求められるため上級者向けの難易度ではあるが、ゲームとしての完成度は高い。
慣れてくるとその洗練されたゲームシステムや世界観、そして完成度の高いCG空間の美しさに気づくこと間違いなし。
ピクミンのかわいらしさとテレビCM、CMソング「愛のうた」から抜群の知名度を誇り、特に「愛のうた」の悲哀溢れる歌詞は社会人層の共感を誘ったが、ストイックなゲーム内容から初心者層には入り込みづらかったため、初週売り上げ10万本、累計売上50万本と、知名度の割には商業成績は然程ではなかった。
ストーリー
ホコタテ運送に勤務するホコタテ星人のベテランパイロット、「キャプテン・オリマー」は、激務のご褒美として休暇を取り、一人気儘な宇宙旅行を楽しんでいた。だがその道中、不慮の事故に見舞われ、彼が駆る宇宙船「ドルフィン号」と隕石が衝突。ドルフィン号は制御を失い近くの惑星に墜落してしまった。
オリマーは一命を取り留め目を覚ますも、ドルフィン号はスクラップ同然の無残な姿に変わり果てていた。さらに追い討ちをかけるかのように惑星の大気はホコタテ星人にとって猛毒の酸素に満ちており、宇宙服の生命維持装置のバッテリーは30日しか持たない有様であった。
ドルフィン号が大破し、猛毒の酸素で覆われた惑星に墜落した結果、"余命30日"という状況に絶望に見舞われ、途方にくれ歩いていると、奇妙な物体を発見。その物体はオリマーが近づくや否や1つの種を吹き出した。地面に埋まり伸びた芽を試しに引き抜くと、これまた奇妙な生命体が現れた。
オリマーが「ピクミン」と名付けた生命体は彼に危害を加えることもなく、むしろ彼の命令に従いついてきたのだった。
ピクミンを増やしながら周囲探索していると、なんとパーツの1つ「メインエンジン」を発見。ピクミンの協力により回収し、ドルフィン号は何とか離着陸ができる程度に復旧できたのだった。
果たしてオリマーは無事全てのパーツを回収し、故郷ホコタテ星へ帰ることが出来るのだろうか…。
探索エリア
遭難地点……パーツ数2個
パーツを失ったドルフィン号の墜落地点。
オリマーが初めてピクミンと邂逅を果たした場所でもある。
出現する原生生物も、対応さえ間違えなければ比較的安全なヤマシンジュ、攻撃時にピクミンが死亡せず、花状態に進化させてくれるミウリン、青ピクミンでしか対処できず時間もかかるが無犠牲で突破可能なミズモチしかおらず、比較的安全な場所であり、ペレットや大地のエキスも豊富に採取できることから、初日以降もピクミンの繁殖に役立つエリアである。
言ってしまえば、ピクミンが減りすぎて詰んでしまう事を防ぐ救済処置として設けられたエリア。
出現する原生生物
希望の森……パーツ数8個
2日目から探索可能な自然豊かな森林地帯。
主にチャッピーが繁殖している地域であり、北部の奥地に黄ピクミンのオニヨンがある。
東部のエリアに侵入するには岩壁をバクダン岩で破壊する必要があり、時間内に効率よく立ち回る計画性が求められる。
ちなみにここには水場を超えて橋をかけなければ取れないパーツがあるが、青ピクミンは次のエリアで出会う為、RTAなどではほぼ毎回赤ピクミンが泳ぐ姿を見る事になる(詳細は赤ピクミンの記事を参照)。
出現する原生生物
樹海のヘソ……パーツ数9個
回収したパーツが5個に到達すると探索できる、日中でも陽が差さない洞窟を思わせる空間。
随所で水場があり、その内の一つで青ピクミンと邂逅できる。
更にピクミンやオリマーが移動をショートカットするための棒や間欠泉などのギミックが登場しており、これらを使いこなす必要がある。
更に砂漠地帯のブタドックリや、間欠泉そっくりの間欠炎があり、黄・青ピクミンは接触すると焼け死んでしまうためこの立ち回りにも気をつけないといけない。
そして希望の森と異なりパーツを飲み込んでいる原生生物や回収ルートを塞ぐ敵が多く、どのパーツも回収が一筋縄ではいかない。
特に3色全ての特性をフル活用しなければならないリブラの回収は骨が折れるだろう。
ちなみに地形の関係かバグが発生しやすいエリアであり、普通にプレイしているだけでもいつのまにかピクミンがバグに巻き込まれて数匹死んでいるという事態も珍しくない為、無犠牲クリアなどを目指している場合は注意が必要である。
出現する原生生物
大水源……パーツ数10個
回収したパーツが12個に到達すると探索できる、樹海の奥に広がる広大な湿地帯。
全エリア最大の規模を誇り、最大種類の原生生物達がひしめく獣道を突破しなければならない。
当然生息する原生生物達も弱肉強食の生存競争を生き抜いてきた強靭な生命力の持ち主ばかりである。
特に注意しなければならないのが東部の湖の中央にある卵で、これに不用意に接触すると今作の裏ボスであるドドロが出現してしまう。
腕試しに燃えている上級者でもない限り、近づかないようにしよう。
陸路は当初岩壁にふさがれており、これを開通するまでは青ピクミンでの探索を余儀なくされるだろう。
出現する原生生物
最後の試練……パーツ数1個
最後のパーツが落下した、大水源より先の深い森の最奥地。
他のパーツ29個を全て集めた状態で初めて探索に入ることが出来るこのエリアは、全エリア最小規模でありながら、水場の橋、岩壁、間欠炎の通路を通ってダンボール除去といった各色のピクミンをフル活用して初めて突破できるギミックがあり、下手をすると探索だけで半日を取られる。
その先では今作のラスボスを務めるダイオウデメマダラ只一匹が最奥の砂地で待ち構えており、最終決戦に相応しいBGMと共に襲い掛かってくる。
なお、このエリアで手に入るパーツ「へそくり金庫」は脱出に必要ないものの為、実はここに立ち寄らなくてもクリア自体可能である(ただし完全クリアにはならない)。
出現する原生生物
CM
ストロベリー・フラワーの歌うピクミンのCMソング「愛のうた」はキャッチーでメロディは穏やかながらもピクミンの過酷な世界を的確に表した歌詞になっており、空前のヒットとなり累計90万枚を売り上げた。
このCMソングは後に『大乱闘スマッシュブラザーズX』などで使われたり、フランス版のカバーが出ていたりする。
ピクミンでCMを歌ったストロベリー・フラワーは次回作の『ピクミン2』でもCMソング「種のうた」を担当している。
余談
『ピクミン』(オリジナル版・Wiiであそぶ版共通)と『ピクミン1+2』(各国共通)のパッケージは赤、青、黄ピクミンが花びらの描かれた中でたたずむかわいらしい内容となっているが、国外版(オリジナル版・Wiiであそぶ版共通)はイギリス版、オランダ版、その他ヨーロッパ版、アメリカ版のいずれもピクミンとオリマーがチャッピーと戦闘しながらあたふためいているというハラハラするような内容となっている。
ピクミン1匹に使われているポリゴンは、『スーパーマリオ64』のマリオより多く使われているとのこと。それがゲームキューブの性能上最大300匹は動かせるというものだからゲームキューブの性能を窺える。
ちなみに、ゲームキューブのイベント発表時に行われた「128人のマリオが画面狭しと暴れまわる」デモンストレーションを発展させたものをルーツとしている……と、長年ファンから思われていたが、『ピクミン4』のインタビュー(任天堂公式サイト)にて、全く関係なかったことが判明している(ちなみに、『大乱闘スマッシュブラザーズDX』には上記のデモを元ネタとしたと思われるイベントがある)。
ゲームキューブのメモリーカードにこのゲームを遊んだデータがセーブブロックにあると、『大乱闘スマッシュブラザーズDX』でキャプテン・オリマーのフィギュアを入手することができる。
なお、「30日以内に全てのパーツを回収する」ことがこのゲームの目的だが、裏を返せば「どれほど短い日数でパーツを回収できるか」ということであり、これに目を付けた廃人もとい上級者ゲーマーによる「ピクミン低日数クリア」というやりこみが行われいる。
理論上および最短記録は6日(遭難地点が初日チュートリアルの関係で2日、その他エリアは1日で全パーツ回収可能)。発売から長らくは9日が限度であったが、2011年ごろに大水源1日クリアされたことを皮切りに、樹海のヘソと希望の森が1日クリアされた。
『Wiiであそぶ ピクミン』では一部の原生生物の鳴き声が6倍早回しになるというバグが存在していたが、後に販売された海外版や『ピクミン1+2』ではこのバグは修正されている。
また、『ピクミン1+2』は日本版ではなく海外版に日本語したものになっており、これにより一部仕様が当時の日本版とは異なる(ちなみにこれは同時配信された『ピクミン2』も同様)。