フィフス・エレメント
ふぃふすえれめんと
1914年、エジプト。遺跡の壁画より、生命を繁栄させ悪から世界を救う《5番目の要素》、風、土、水、火の四大元素に続く何かがあるという言い伝えが発見される。そこへ宇宙船に乗ったモンドシャワン人が現れ、碑石を回収していった。
それから300年後の未来。西暦にして2214年。人類は宇宙にまで進出していたが、すべての生命を滅ぼさんとする邪悪なる小惑星《ミスター・シャドー》にまったく歯が立たないでいた。そこへモンドシャワン人の使いが現れるが、使いの乗った宇宙船は武器商人ゾーグに雇われた宇宙海賊に撃墜されてしまう。
地球の科学者はモンドシャワン人を細胞から復元する。そこに現れたのは完璧とも思える美しさを持った少女リー・ルーだった。記憶を持たず野生児のようなリー・ルーは、施設を脱走し、自動車がビルの間を飛ぶニューヨークへ飛び降りる。
コーベン・ダラスは、かつては優秀な軍人でありながら現在は除隊、危険運転で免停寸前のタクシードライバー。女房には逃げられたばかり、実家の母からは小言を言われる。
いつものようにタクシーを飛ばしていると、天井を突き破って空から女の子が落ちてきた。ダラスとリー・ルーは言葉の通じないなりに仲良くなる。宇宙の運命を握る運ちゃんの冒険が始まるのだった。
原型はリュック・ベッソンが16歳のときに考えたお話だという。
フランス人のベッソンがハリウッド進出に当たって制作していたものの、資金がなく先に進まなかった。そこで何かの足しになればと制作した『LEON』が大ヒットしたため、今作には実に100億円もの予算をかけることができた。当時の最新技術と贅沢な特撮、特殊メイクで未来の風景を妥協なく表現している。
ミラ・ジョヴォヴィッチは、今作でヒロインを演じたのを機にモデルから女優への転身を遂げた。その後ベッソン監督と結婚(1997年~1999年)。
後半は宇宙へも行くSF大作だが、小難しい理屈はなく、ハリウッドのお約束を踏まえた愉快なアクション映画である。allcinemaには「実写版『COBRA』のようなもの」と書き立てられているが、日本語吹き替えにはコブラ役野沢那智が声を当てている版がある(ソフトに入っているのは大塚芳忠)。
コーベン・ダラス - ブルース・ウィリス
リー・ルー - ミラ・ジョヴォヴィッチ
ゾーグ - ゲイリー・オールドマン
コーネリアス神父 - イアン・ホルム
ルービー・ロッド - クリス・タッカー
ディーヴァ・プラヴァラグナ - マイウェン・ル・ベスコ / インヴァ・ムラ(歌)
ミスター・シャドー - ジャン・レノ(声)
脚本 - リュック・ベッソン / ロバート・マーク・ケイメン
製作総指揮 - パトリス・ルドゥー
音楽 - エリック・セラ
撮影 - ティエリー・アルボガスト
編集 - シルヴィ・ランドラ
衣装 - ジャン・ポール・ゴルチエ
配給 - ゴーモン(フランス) / 日本ヘラルド映画(日本)
ソフト発売 - パラマウント映画
本作のオリジナル曲でおそらく一番有名なディーヴァ・プラヴァラグナの唄うオペラ曲であるが、地球外人物が歌っているという設定のもの足り得る物にする為なのか、実は常人のみならずどれだけ訓練された声楽家であろうと不可能な音域で作曲されており、ベースとなる音声を部分的にデジタル音声加工する事で完成されている。
どれだけ不可能なシロモノであるかと言うと、実際に加工前のベース曲を唄ったインヴァ・ムラが収録前に(後で加工・編集される事を知らされぬまま)完成後の楽譜を見せられるや否や「無理!こんなの無理です!」と大慌てで監督に訴え掛けた程のものであるらしい。