「「フューージョン! ハッ!!」」
概要
漫画『ドラゴンボール』に登場する、2人の人物を合体・融合させ、短時間だけ新たな超戦士を生み出すメタモル星の秘術。
孫悟空があの世でメタモル星人から教わり、孫悟天とトランクスに伝授した。
融合するためには合体する2人の体格と気の大きさが同程度でなければならず、左右対称かつ特定の手順でかなりカッコ悪いポーズを取る必要がある(孫悟飯のみ、美的感覚が独特なせいかドラゴンボールファイターズにて「カッコいい」と言っている)。
悟空とベジータは公式の値で身長差が10cm以上あるが、多少の違いは誤差の範囲内として許容されるらしく(実際、実現こそしなかったものの悟空がミスターサタンとのフュージョンを考えて)フュージョンにおいては誤差レベルと判断されるのか問題ないらしく、気の大きさも調整である程度は何とかなる。
原作では孫悟天とトランクスが合体したゴテンクスが登場。
アニメでは悟空とベジータが合体したゴジータ、ゲームではヤムチャと天津飯が合体したヤム飯が登場している。
また連載当時ジャンプ読者に夢のフュージョンを考えて貰うと言う企画で、鳥山明がクリリンとピッコロの合体ピリリンを書き下ろしている。 その他にもブルチ、ゴハンクス、悟仙人などがおり、ポチやセル仙人というカオスな合体も投稿されていた。
融合体はメタモル星人の衣装を身に纏い、原型の2人の面影が所々に残るが、どちらとも異なる別人にも見える。
アニメでは合体前の2人の担当声優が同時に喋るが、1つの体に2人の精神が入っているわけではない。実はフュージョンは肉体だけで無く精神も合体させてしまう技であり、フュージョン後は2人の性格が混ざり合った全く新しい自我が生まれる。
成功すると戦闘力が飛躍的にアップするが、変身時にポーズをちょっとでも間違えたりタイミングがずれたりすると失敗とみなされ、合体後にとんでもない肥満体やガリガリに痩せ細った姿になってしまい、戦闘はおろか移動すらままならないほどに貧弱な体になってしまうため、習得するためには、過酷さはないが「カッコ悪いポーズをうまくいくまで繰り返す」という通常の修業とはまた別種の精神的苦痛に耐えなければならない。
成功・失敗にかかわらず、合体していられる時間は30分。ただし、消費エネルギーが多いとそれ以前に合体が解けてしまう場合がある。また、強烈なダメージを受けた時に合体が解除されることもある。
分離した後は再びフュージョンするまで約1時間を要する。
原作ではゴテンクスの失敗後ただ待つしかなかったが、OVAのオッス!帰ってきた孫悟空と仲間たち!!では失敗して時間をおかず即再フュージョンしている(単に演出上の都合で描写をカットされただけかもしれないが)。
劇場版『復活のフュージョン!!悟空とベジータ』ではベクウはゴテンクス同様任意で分離できなかったが1時間のインターバルなしで再びフュージョンしており、劇場版『ブロリー』でも同様の設定になっている(こちらももしかしたら単にインターバルのシーンを省いただけかもしれないが、そうだった場合約3時間にわたりフリーザがボコボコにされるのを放置していたことになってしまう)。
OVAにせよ劇場版にせよ、短時間でまとめた作品という事情を考慮すると公式設定として取り入れるには無理があり、原作通りの「任意の分離も即再フュージョンも不可」という線が最も太いのではないだろうか。
合体に成功した時のパワーは凄まじい反面、「ポージングのために隙が生じる」、「失敗する可能性がある」、「失敗した時には恐ろしく弱い上に、時間切れを待たないともとに戻れない」等のデメリットも凄まじく大きいため、確実性の面ではポタラに軍配が挙がる。
ゲーム「ドラゴンボールフュージョンズ」ではブルマが製作した「メタモリング」の力による『EXフュージョン』が登場しこのリングの場合は合体対象となる二人の相性さえ良ければ戦闘力や体格といった制約がなくなり、時間制限も撤廃され、更に衣装は2人ものが混ぜあったものになる。このフュージョンで悟空とブロリーの融合戦士「カロリー」などこれまででは考えられないような融合戦士が誕生した。
また、本作では5人でフュージョンする、マキシフュージョンも存在するが、これは作中ではギニュー特戦隊が考えた物でポーズが異なっており、見た目も種族によって異なる。声はマキシフュージョンのコマンドを選んだキャラのみ。持続時間は30秒前後。
上記の凄まじいリスクが理由か、はたまた単に相手がフュージョンを知らないだけなのかは明言されていないが、『ドラゴンボール超』以降の話では『スーパードラゴンボールヒーローズ』のPRアニメも含めて「手元にポタラが無い場合はフュージョンを選択」し、「ポタラとフュージョンどちらでも合体可能な場合はポタラでの合体を優先する」傾向が見られおり、ゲームオリジナルを除いたアニメや漫画等の正史作品の新たな合体戦士は合体ザマス、ケフラと全員ポタラを使用した合体戦士のみである。
戦闘力について
フュージョン戦士がもとの2人からどれほど強化されるのかについては、今まで基準となる戦闘力について度々触れられたことはあっても、ブウ編で初登場してから測定されなかったため明確な所は不明である。
しかし、劇場版『ドラゴンボール超ブロリー』において、ゴジータ>ゴジータ(ドラゴンボール超)の発言していた「2人の強さを足しただけじゃないぞ、更に大幅アップだ」の発言により、公式設定として大幅なヒントが出された。
ポタラ合体であるベジットとの強さの比較については、原作で「ポタラ合体はフュージョンよりも強い。ライバル同士ならさらに効果大」老界王神が言っているが、本人の性格を考えると信用しきれないものがあり、困難を極める(『超』の扱いでは同格となっているが、時間の流れ方など曖昧な要素が多いためやはり決定打とはいえない)。
ドラゴンボールに限らずフィクション作品でよくあることだが、たとえ登場人物の証言があったとしても本人の捉え方による違いもあるため、公式で名言されていない以上は憶測の域を出ないと言わざるを得ない。
ゲーム作品では
原作やアニメにはない合体戦士が多数登場している。特に『スーパードラゴンボールヒーローズ』はその傾向が強い。
余談
フュージョンの発想は、原作者の鳥山明が「超サイヤ人より強いもの(のアイディア)がない」という話を桂正和にしたら、「合体するしかないんじゃないですか」と言われたことで生まれた。
ポーズの形に関しては「重要な技なのにくだらないポーズにしたかった」、「“ジョン”というところは、たぶんテレビを観ていて、芸人さんの決めポーズからヒントを得たんだと思う」と鳥山は語っており、アニメでの合体後の2人の声が二重になるというアイデアも鳥山によるもの。
また、後年鳥山は「男と女がフュージョンしたら、オネエみたいになるのかな? ムチャクチャ強いオネエ。面白そうです。連載時に描いておけばよかったな(笑)」と、ギャグ漫画好きらしいコメントを残している。