ボルトガンダム
ぼるとがんだむ
「来い!鳥野郎!フライドチキンにしてやるぜ!」
無骨で重厚なフォルムをしたモビルファイター。
一見すると国家の特徴に乏しい印象を受けるデザインだが、よく見るとボディはロシアの毛皮外套「シューバ」を、頭部はコサック帽を模しているなど、他国同様に国の特徴(アニメ放送当時のロシアに対するステレオタイプなイメージ)を再現している。
頭部のひげに当たる「へ」の字部分は横線一本しかないという珍しいデザイン。
他のモビルファイターと比べると全長は高いほうだが、これでも17.3mとアナハイム全盛期の宇宙世紀モビルスーツよりは小さい。
ネオロシアは非公式に他国のモビルファイターを鹵獲しており、それを解体・研究して得た最新技術がふんだんに流用されているという。
これとは別に、特筆すべき点として各部に「ビクトルエンジン」と呼ばれる独立駆動機関を搭載している。
これにより高いパワーと重装甲に見合わぬ機動性の両立を実現。その出力は一般的なモビルファイターの2倍を誇り、崖から落ちた重量級のモビルファイターであるランバーガンダムを片手で抜き上げることができるほど。
武装は頭部バルカン以外には左肩にマウントされた鉄球「グラビトン・ハンマー」のみと非常に少ないが、それだけ機体の持ち前の性能が信頼されているという証でもある。
その重装甲とパワーで全てを真正面から捻じ伏せる戦法、すなわちパワーレスリングを得意とする。
ガンダムファイターを務めるアルゴのタフネスと怪力もあって、シャイニングガンダムとの初戦ではパンチを顎に受けても物ともせず、反撃を受けて脱力していたとはいえその左腕を捩じ切ったほど。
上述したビクトルエンジンの恩恵で、鈍重そうな見た目に反して意外と機敏。
サイ・サイシーが本調子でなかったとはいえ敏捷性が売りのドラゴンガンダムと空中で打ち合ったり、その猛攻を最小限の動きで尽く躱したりできる程度にはフットワークも軽い。
そんな「歴戦の強者」を体現するボルトガンダムだが、劇中ではその強さからライバルの強大さを際立たせる役柄に据えられてしまうこともある。
代表例がノーベルガンダム戦で、バーサーカーモードの最初の被害者として48秒で敗北を喫してしまった。
また、どういうわけか腕を破壊される(する)ことが多かった。
名称の由来は不明。
といった推察がなされているが、どちらもロシアとの関連性は特にない。
強いて言えば
「多くのガンダムから技術を流用した"継ぎ接ぎ"のガンダム。継ぐということは繋げるということ=ボルト」
ということなのかもしれない。
継ぎ接ぎのガンダムである事やビクトルエンジンの名称からフランケンシュタインの怪物がモチーフのひとつであり、怪物の外見的特徴であるボルトから来ている説もある。
なお、フランケンシュタインの原作小説は「主人公が家族に宛てた手紙」という体で綴られているが、主人公が怪物を目撃したのとフランケンシュタインとの出会いはロシアでの出来事とされているため、あながち間違いではないのかもしれない。
『超級』では新宿で大破した後に改修され、シャイニングガンダムのスーパーモードを参考にしたパイレーツモードが実装された。
形状も所々変わっている。
加えて決勝大会用にガンダムボルトクラッシュという後継機が登場。
約20年を経て登場した後継機ボルトクラッシュは、両者の名前の通りのモチーフを持つようになった。
バルカン×4
ボルトガンダム唯一の射撃武装。4門とも頭部に存在する。
主に牽制用として使われるが、デスバーディ等のMSであれば十二分に撃破可能な威力を有している。
グラビトン・ハンマー×1
ボルトガンダムの必殺技でもあるメインウェポン。
左肩のハードポイントにマウントされた鉄球で、撃ちだした後に腕アーマーから取り出した柄とビームチェーンで繋ぎ、振り回して相手に叩きつける(設定資料によると別名「重力分銅」)。
直撃すれば通常のMS程度なら十数体まとめて粉砕できるほどの威力を有するだけでなく、ビームチェーンの長さはある程度調節できるために射程距離も長い。
さらには鉄球そのものの強度も相当に高いといった特性から盾代わりにも使われ、劇中終盤でも後述する必殺技に比べて使用頻度は高かった。
また、純粋な質量兵器であるため、相手は攻撃を防ぎ切れない(防御できたとしても衝撃や運動エネルギーがもろに伝わるため、内部構造やガンダムファイターが無傷ではいられない)という強みを持つ。
ちなみに柄だけは両腕に1本ずつ収納されているため、2本装備している。
炸裂・ガイアクラッシャー
アルゴがギアナでの修行の末に得た必殺技。
強大なエネルギーを込めた拳を地面に叩き込むことで大地を崩壊させ、隆起させた岩盤で攻撃・包囲・拘束する。
見た目はまんま某セーラー戦士の必殺技や某モンスターゲームの岩タイプ技。
ゴッドガンダム戦ではこれを躱して頭部にゴッドフィンガーを放ってくるであろうことを予測していたため、頭部を囮に両拳で腕を挟み潰しつつエネルギーを流し込んで機体の崩壊・撃破を狙った(当然ながらこの状態で頭部を破壊されればアルゴは廃人になるリスクを伴う、捨て身に等しい技だった)。
しかし技のパワーが大きすぎるが故、気付かぬうちにボルトガンダムそのものにもダメージがきてしまうという欠点がある。
結果、1つのファイト中に2発も放ったのが原因か右の膝関節が耐え切れておらず、これを見抜いたドモン・カッシュ咄嗟の機転で出されたゴッドフィールドダッシュによって完全に故障、敗北を喫した。
なお、後にドラゴンガンダムが真・流星胡蝶剣でゴッドフィンガーを破っているが、膝関節の故障とそれにドモンが気付きさえしなければこの技もゴッドフィンガーを破っていた(どころかゴッドガンダムに土を付けていた)可能性が極めて高い。
スーパーロボット大戦シリーズではこの「直接パワーを流し込む」シーンをアレンジしたものが零距離ガイアクラッシャーという名前で登場している。
その後もゴッドガンダムとドラゴンガンダムも交えて放つ共同技として「トリプルガイアクラッシャー」が披露された。
必殺技でこそあったもののフィニッシュブローとしての活躍がなく、最終決戦が宇宙に移行したばかりか下手に使えばネオジャパンコロニーの崩壊に直結しかねないデビルコロニー内での決戦となってしまったこともあり、技そのものが使えなくなるなど不遇さが目立つ。
30年後に公開された公式外伝『天地天愕』にて、ガイアクラッシャーを撃ち出すシーンが登場。
決勝大会用のギミックにより、地上から放ったにもかかわらず宇宙空間にいる相手を一撃で消滅させるという凄まじい威力を見せた。
しかしやはりというべきかそのパワーに機体が耐え切れておらず、肩が溶け落ちてしまっている。
ガンプラは1/144スケール、アクションフィギュアはMS IN ACTIONにラインナップされたもののみと少ない。
どちらも劇中同様にコアランダーの合体ギミックやグラビトン・ハンマーの脱着が可能。
ガンプラはハイパーモード版も発売された。
グラビトン・ハンマーと柄を繋ぐビームチェーンはガンプラが成形色そのままのプラパーツ(つまり塗装必須)として、MIAはブルークリアのエフェクトパーツとして用意されている。
ちなみにガンプラの方はメタルチェーンで最初から繋げてあるものが「グレードアップセット」に封入されていた。
現在立体化されているのはこれらのみに留まり、最新フォーマットのガンプラでもROBOT魂でも発売されていない。
今後に期待したいところである。