ドラゴンガンダム
どらごんがんだむ
ドラゴンガンダムとは、アニメ『機動武闘伝Gガンダム』登場のモビルファイター。
「オイラだって少林寺再興を果たすまでは死ねないよ!」
劇中並みいるモビルファイター達の中でも頭一つ抜けた高い機動力と柔軟性により、ガンダムファイターであるサイ・サイシーの少林寺拳法を完璧にトレースした軽やかで多彩なファイトスタイルが魅力的な機体。
その高い運動性は陸上であればあらゆる地形を苦にせず、軽業師さながらのアクロバティックな動きを可能とする。
また、武装面では伸縮自在で噛みつき攻撃ができる龍頭を模した両腕「ドラゴン・クロー」、ドラゴン・クローに内蔵された火炎放射器「ドラゴン・ファイヤー」、繋げて旗や棍・槍にすることで攪乱や白兵戦に使用できる「フェイロン・フラッグ」、頭部には暗器である「弁髪刀」を装備と、かなり充実した機体でもある。
第4回大会に出場したサイ・フェイロン搭乗のGF4-005NCフェイロンガンダムとは非常に似通ったディティールをしており、後継機の可能性がある。
後年掲載されたマンガ『超級!機動武闘伝Gガンダム』では新宿で一度大破してしまうが、後に改修されてシャイニングガンダムのスーパーモードを参考にしたフェニックスモードが実装。
形状も所々変わっている。
加えて決勝大会用にガンダムダブルドラゴンという後継機が登場した。
フェイロン・フラッグ×12
両肩アーマーに4本ずつ、バックパックに4本の計12本装備している棒状の武装。
繋げることで単純に棍として使うことはもちろん、ビームの旗を展開してから投射・地面に突き立てることで相手の動きや視界を制限する壁としても機能する。
ビームの旗はビームサーベルと同等に機能するだけでなく弾性に富んでおり、ボルトガンダムの装備している重量級の武装「グラビトン・ハンマー」を弾き返すことも可能。
両端から飛び出すスパイクを穂代わりに槍とすることもでき、決勝大会においては追加改修されたのかビーム刃の穂を新たに発生できるようになっていた。
ちなみに引き抜くと自動で2~3倍程度に伸び、差し戻すと元の長さに縮むといったトンデモ機能を有しているほか、脳波コントロールによってある程度の遠隔操作もできる。
ドラゴン・クロー×2
龍の頭を模した伸縮自在の両腕(正しくはその先端)。
マニュピレータを引っ込めての噛みつきと噛み砕きや全方位からの放射自在な超高熱の火炎放射ドラゴン・ファイヤー、伸ばした腕で締め上げての拘束など、モビルファイターらしい戦法が魅力。
弁髪刀×1
頭部に装備された隠し武装。
弁髪状の多節フレキシブルアーム先端に仕込まれた超高カッターで、モビルファイターの首を難なく切り落とすことが可能な切れ味をもつ。
シャイニングガンダムとの初対決時はシャイニング・フィンガーで頭部を掴まれた際にその首へ巻きつけ、引き分けに持ち込むことに成功した。
サイシーの一本結びにされた髪とはシステムがリンクしているようで、ゴッドガンダム戦で破壊された際には彼の髪も破壊と同時にバラけてしまう描写がある。
無影脚
飛び上がった状態から放つ連続蹴り。
目にも留まらぬ速さで無数の蹴りを放つ蹴り技で、両足ではなく片足のみを用いる。
宝華教典・十絶陣
先ず上と下から旗を展開したフェイロン・フラッグを両手で持って回転させた後、相手を囲み込むように投射して動きを封じる。
「走れ!パオペイ!」の掛け声で旗によって竜巻状の結界を張ったところへドラゴン・ファイヤーを吹き掛け、炎の渦に閉じ込めて焼き尽くす技。
その拘束力と火力は凄まじく、ファラオガンダムⅣ世に使用した際には脱出されることも反抗されることも許さず、あっという間に焼き尽くしていた。
宝華教典・五火七令羽旗
フェイロン・フラッグで相手を囲んで動きを封じるところまでは十絶陣と殆ど同じ(十絶陣が正面から投射するのに対し、こちらはその場で独楽のように回転しつつ上から投射する)だが、その間に相手の死角に回り込んでフラッグの刃を突き下ろす技。
劇中ではギアナでのボルトガンダム戦で使用し、
①突きを受け止めたグラビトン・ハンマーを地面に叩き落とす
②ボルトガンダムの顔めがけてハンマーを打ち飛ばす
③躱された先の旗に反射させることでボルトガンダムをハンマーに引っ張られせて体勢を崩させる
④そのままビームチェーンで右腕を岩に縛り付けて動きを封じる
といったコンボを披露している。
真・流星胡蝶剣
「天に竹林!地に少林寺!目にもの見せるは!最終秘伝!」
劇中においてネオチャイナ総帥が曰く「今や失われたと言われる」少林寺最高奥義。
背中から胡蝶を思わせる四枚翅状のエネルギー波を発生させて飛翔、エネルギーを纏ったまま高速で相手へ迫って突進あるいは飛び蹴りを放つ。
その威力は絶大で、ボルトガンダムの「炸裂・ガイアクラッシャー」ですら崩壊に至らしめるまで時間を要した爆熱ゴッド・フィンガーを、満身創痍の状態だったにもかかわらずほぼ一方的に破壊してしまったほど。
ランタオ島での決戦においては、それまで誰一人として捉えることのできなかったガンダムヘブンズソードのスピードを超えて背後へ瞬く間に回り込んだことから、単純な飛翔スピードも群を抜いているものと思われる。
ちなみに劇中でネオチャイナ総帥の語るところによれば本来は「自身の命と引き換えに打たれるとされる技」らしく、絶大な威力相応以上に代償のある技と言える。
しかし初披露以降も数回使われており、視聴者からは「使えば必死の捨て身技なのに、連発し過ぎでは?」「そもそもなんでサイシーはそんなピンピンしてるのか?」といった疑問が放送当時から尽きない。
当然ながら様々な考察が出ており、一例として「初回は一瞬の隙を突いた左のゴッドフィンガーによって全力が出し切れなくなり、心身の限界によって内心で敗北を受け入れたタイミングにネオチャイナ総帥が投了を宣言したことで技が解除されたために無事だった。その後はサイシーの力量がさらなる高みへ至ったため、言い伝えを超克したのではないか?」といったものがある。
じつはサイシーは決勝大会でのゴッドガンダム戦前夜に行ったアレンビー・ビアズリーとの組手のさなか、一度生身の状態で繰り出しかけている。
しかしドモン・カッシュが見ていることを思い出したため、対戦前に奥の手を晒すのは得策ではないと瞬時に取り止めて煙に巻いていた。
『超級!』では「味方が後に続くことを信じて己の命そのものを叩きつけて勝つ、自己犠牲の技」とされ、未完成ながら生身で放った際には胡蝶の群れと化した膨大な気の奔流を発していた。
「気を消費し過ぎる=生命にかかわる」とサイシーは感じており、実際に彼の父サイ・ロンパイは少林寺再興のためにこの技を使いすぎて生命力を浪費し、体の抵抗力が弱まった結果若くして病魔に倒れ亡くなったとされる。
それ故に恵雲と瑞山は「自らをも滅ぼす禁断にして悪魔の技」として、サイシーに修得させまいとしていた。
『機動武闘伝Gガンダム外伝天地天愕』でも繰り出そうとしたものの、相手に技の強大さとその重すぎる代償を悟られ、またその代償を恐れぬ心意気を認められたことで強制的に不発にさせられた。
また、「発動前に両肩が外れて正面で輪を作る」→「更にその輪が回転して太極図を浮かび上がらせる」といったギミックが加筆されている。
初披露が両腕と武装すべてを失った状態だったために体当たりを仕掛ける技だと勘違いされがちだが、本来は「己の体と極限まで高めた気を剣と化して(見立てて)放つ技」であるため、厳密には体当たりや蹴り以外でも良いと思われる(実際にグランドマスターガンダムとの2戦目には連続蹴りで放っている)。
ちなみに初披露時は口上が微妙に異なり、「天に竹林!地に少林寺!目にもの見せよう!最終秘伝!」だった。
ドモン役の関智一は一番収録に気合が入ったのは第37話『真・流星胡蝶剣! 燃えよドラゴンガンダム』の回で、「サイ・サイシー役の山口勝平と台詞の叫び合いになって、きちんと芝居の中でファイト出来た」と語っている。
真・流星胡蝶剣の口上である「天に竹林~」には元ネタがあり、1982年の映画「少林寺」のキャッチコピーから来ているとのこと。
「両腕の龍が伸縮したり火を吐いて攻撃したりする」という要素が当時の子供にウケたため、次番組『新機動戦記ガンダムW』でもシェンロンガンダム、アルトロンガンダムにこの要素が引き継がれている(ついでにパイロットも同じく一本結びの髪型で拳法に秀でた中国人男性である)。
以降『機動新世紀ガンダムX』のガンダムヴァサーゴシリーズまで「伸縮クローアームによる攻撃」は受け継がれ、ドラゴンガンダムは人気ギミックの先駆けとして地位を確立。
不動のものとしている。
ガンプラの展開は「1/144」「HG 1/100」「HGFC」「BB戦士シリーズ」「元祖SDガンダムシリーズ」にラインナップ。
※ローズとボルトはHG 1/100にラインナップされなかったが、元祖SDガンダムシリーズにてラインナップを果たしている。
「1/144」は腰が回らないためポージングが取らせにくく、腕も伸びないことに加えて長いバージョンの差し替えパーツも無く、フェイロン・フラッグも抜けないし繋げないしそもそも長いバージョンすら付いてこないため、かなりさみしい作り。
一応、別売の「グレードアップセット」を買えば腕を延ばすことが可能となっていた。
「HG 1/100」はプロポーションこそ優秀で腰も回るが、膝関節が非常に薄く折れやすい爆弾を抱えている(HGUCローゼン・ズールのような2つの回転軸が、薄い板一枚で支えられている造りなため)。
同スケールで非常に出来が良いと評されるガンダムマックスターと比べると、ギミックの省略が多く見劣りしがち。
ドラゴン・クローは伸縮するがほんの僅かでしかなく、おまけに代償として肘を曲げられなくなっているためむしろデメリットでしかなくなっている。
フェイロン・フラッグも全て固定な上、別途引き抜いたものが付くわけでもなく何故か代わりにビームサーベルが付いているという謎仕様だった。
「HGFC」は2024年8月にプレミアムバンダイ限定で予約開始。
もちろんドラゴン・クローは伸ばせるほか、フェイロンフラッグ用の差し替えパーツや真・流星胡蝶剣用エフェクトパーツなどが付属。
アクションベースを利用して宝華教典・十絶陣の再現も可能となっている(ただしドラゴン・ファイヤーのエフェクトパーツは用意されていない)。
昨今のガンプラ人気からか1個限定にもかかわらず鯖落ちが発生し、わずか3分で完売してしまった。
「BB戦士シリーズ」では小さいながらも全身が可動し、差し替えで腕を伸ばした状態の再現が可能。
コアランダーの脱着ギミックもあり、SDVオリジナルギミックで【ファイブドラゴンバスター形態】へ強化する事ができる。
「Gジェネシリーズ」にもラインナップ。
可動範囲やコアランダーギミックは同じだが、二種類のドラゴンクローが同梱する。
こちらの方が伸ばした腕の再現率は精工。
「元祖SDガンダムシリーズ」ではガンダムローズとセットでラインナップ。
※現在、入手困難。
他にも大型ABS製アクションフィギュア「モビルファイターシリーズ」や「DXシリーズ」が存在するが、これらも現在は入手困難となっている。
1990年代ではこのドラゴンガンダムに引き続き、シェンロンガンダムやアルトロンガンダム(ガンダムナタク)と中華系の人物が造ったと設定されているガンダムが出てきていたものの、当の中華人民共和国ではガンダムシリーズのアニメはこの時期放送されていなかった。
初めて放送されたのは2000年代を過ぎた機動戦士ガンダムSEEDからである。
そのため、現実の中国で実際に建造された等身大ガンダムはネオ・アメリカ代表MFの名前を模したあいつだった。
ガンダムダブルドラゴン ゴッドガンダム ガンダムマックスター ガンダムローズ ボルトガンダム
シェンロンガンダム/アルトロンガンダム:次作に登場する龍がモチーフのMS。こちらも龍の頭部を模した伸縮自在のアームを装備している。
天郷2号:フリーダムより前に造られた、ある意味リアルのネオチャイナ製ガンダム。