演者
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概要
『カンフーパンダ』シリーズの主人公であり、翡翠色の瞳をしたジャイアントパンダの青年。
英語表記は「Po」。漢字表記は「阿宝」または「阿波」。
ピンの養子となって以降の名前は「ポー・シャオ・ピン」。『3』から判断すると、本名は「ロータス・リー」である。ただし、「ロータス」は「蓮の花」を意味するので、あくまでも実父からポーへの愛称とも取れる。
一人称は「僕」もしくは「自分」。小説版では「ぼく」。
二人称は「名前呼び」、「あなた」。ピンに対しては「父さん」コミカライズ版では「パパ」。
年齢は、1作目の時点ではピンの発言から20代前半あたりと推測される。
作中では散々デブやボテ腹などと言われるが、一作目のオーディオコメンタリーによると実はジャイアントパンダ的には標準体型。というか、本作の世界観のジャイアントパンダは皆デブであり、ポー自身も比較的背が高く、他のジャイアントパンダと比べるとむしろ痩せ気味であるため、決して中肉というわけではない。
そして、自身のコンプレックスだった脂肪を、強さと自信に変えていくことになる。
家族
ガチョウのラーメン店主であるミスター・ピンの息子で、親子でラーメン屋を営んでいる。ピンとの関係はもちろん義理の親子。
その他に、ブタの叔父であるヤンも登場している(しかも、本編の世界線に該当する『ホリデー・スペシャル』で)。ピンとヤンは義兄弟、または養親子、または最も可能性が高いのが、アジアの文化圏によく見られた、「家族ぐるみ」の関係にある存在を「叔父」や「叔母」などと呼ぶ風習に則った状態と思われる。
ピンとの親子関係は良好。映画シリーズ中では親子喧嘩すらしていない。ただし危険な目に合うカンフーより、ラーメンの道を選んで欲しいのが親の本音らしい。ただし、パラレルワールドであるアニメではピンに下着を売られている。
『3』では、実父のリーが登場した。しかし、悲劇的な過去のために二度と家族を失いたくないリー、ポーを失うことになるのではないかと戦々恐々とし攻撃的になったピン、そして、パンダ村に赴くことで自分のルーツを知り、カイを倒すための「気」の修行ができると思い込んでいたポーの間に思わぬすれ違いが生じることになった・・・。
性格
ピンに拾われてから自分以外のジャイアントパンダを見たことがないせいか、また、自信がなく、ジャイアントパンダが絶滅危惧であるために周囲からのブヨブヨの体への理解がないためか周りから下に見られることも少なくなかったためなのか、「自分とは何か」というものを常に追い求めていただけでなく、カンフーへの羨望と自身の実態の差に失意して「翡翠宮」を見上げてはため息をつくという毎日だった。
そのため、飲食業に関してもどこか乗り気になれず、料理の腕前は一流であるにもかかわらずミスをして客から不評を買うなどの場面もみられた。
重度のカンフーオタクであり、カンフーへの愛は人一倍。その知識量はカンフーにかかわる物なら記憶のみで語ることができ、シーフーが感心するほど。
- しかし、パラレルワールドでは、カンフーには昔は興味がなかったとされている。
ブヨブヨの体形、カンフーへの憧れと現状のズレによる自虐的な性格で、何かジョークを言う時も自虐を混ぜることも少なくない。
しかし、これまでの反動なのか、それとも強がりなのか、または元来の性格が起因しているのか、ムードメーカーであろうとする気が強い一方で調子に乗ることも多く、それが原因で失敗したり不評を買うこともある。
だが、自分と向き合う克己心、カンフーの素人ゆえの発想の自由さ、使命やこだわりに固執しない柔軟さ、憧れの存在たちに貶されても逃げずに奮起する点など、精神的なタフさはほかのキャラクターとと違った風味を持っている。
動物関係
これまで浮かばれない生活を送ってきたためか、恋愛沙汰には疎い。マスター・タイガレスは、自分に(カンフーマスターとして)憧れてきたポーを諸事情から辛辣に扱ったことへの贖罪か、またはポーによってシーフーや仲間との絆を取り戻せたことへの感謝なのか、ポーを信頼して気に掛ける場面が『2』以降多く、ポーを優しく抱きしめたりポーに抱き着かれても嫌な顔をしないなどの場面もあった。
- ただし、『3』でメイメイがタイガレスを警戒する場面があったが、ポーとタイガレスはあくまでも強い絆を持っているだけで互いに恋愛感情があるわけではない。
その他、マスター・バイパーもポーのことを「かわいい」と思っている節があり、一作目のエンディングではポーの姿を模した人形に軽くキスをしている。
『3』では、パンダ村のメイメイにアプローチをされたが、ポー自身は面食らっており、彼女をカンフーマスターとして励まし指導こそしたが、決して進展はしなかった。むしろ、終盤ではメイメイが別のパンダにアプローチをしていた。
パラレル作品であるテレビアニメでは、タイガレスと(虎だけに)トラぶるになる場面が散見されるほか(タイガレスは変装していたポーに憧れたが、正体を知ると吐き気を催していた)、美しいユキヒョウのソンから好意を寄せられたり、雌ヤギのルーシと大人の事情で婚約をした後に改めて付き合い直したり、ツンデレ&ヤンデレ気味のアイベックスのミンに襲われて無理やりディープキスをされ、それを見たマスター・モンキーと喧嘩になったりしたこともある。
『龍の戦士たち』では、イングランド出身の女騎士のヒグマのルテーラ・サクソンガードと互いに抱きしめ合う場面が何度かあるが、それはルテーラにとっての「初めての友」であり、ルテーラがポーを見捨てたのにも拘らずポーがルテーラを救ったことへの感謝の表現であるため、恋愛沙汰ではない。ただし、ルテーラは終盤ではかなりポーに信頼と親愛を寄せている(しかし、ルテーラにも本命が別にいる)。
むしろ、凶悪な白イタチであるヴェルーガ・デュモントに惚れられており、ルテーラの命を救うのと引き換えにヴェルーガの恋人になることを渋々ながらオファーした場面もあった。
特技
料理の腕前は一流であり、料理中にアクロバティックなスタントもこなせる。一作目の時点ではポーの作ったラーメンに、食べることを拒否したマスター・タイガー以外のマスターファイブが舌鼓を打つレベルである。
また、料理で培ったのか手先がかなり器用であり、模写や想像力にも長けており、木製のアクションフィギュアを自作できる。このフィギュアが、『2』で思わぬ活躍をすることになる。この手先の器用さは戦闘にも活かされる場面が見られており、更に「龍の戦士」として台頭したことによって自信とモチベーションを取り戻したため、料理業にも以前よりも前向きになった。
戦闘力
当初は自他ともにカンフーの素質などないと思っていたが、実際は並々ならぬ天賦の才を有している。タイ・ランが噂で聞いた「世界がこれまで見たこともない戦士」という風評に違わぬキャラクターであり、「柔よく剛を制す」を体現している。
下記の通り、ド素人だったにも拘らず、極めて短期間で実戦レベルのカンフーを習得しただけでなく、カンフーにおける究極の奥義を複数習得し、「気」のコントロールを多数の一般動物にも習得させていることから、「料理人として培った器用さと気前の良さ」「戦闘に不向きなジャイアントパンダ故の素質」「素人としての柔軟な発想」「カンフーオタクとしての長年の妄想や考察」などが良く作用している。
つまり、ウーグウェイ導師が(ポーが「龍の戦士」に選ばれたことに関して)「偶然は存在しない」や「宇宙の意思がポーを選んだ」「信じてチャンスを与え、育てることが重要」と述べたことが裏打ちされている。
本作の世界観におけるジャイアントパンダの普遍的な特徴であるが、食欲がとても強く、食が絡むと非凡な才能を見せる。
見た目こそ戦闘向きではないが、『3』を見る限り、ジャイアントパンダとしては標準体型どころかむしろ痩せ気味であり、カンフーの戦士としての立場を確立させて以降は素早い動きやアクロバット、強い筋力など、持久力以外は一般獣人とは比べ物にならないため、皮下脂肪の下に強い筋肉を備えている。
一作目では本格的にカンフーを学んでから数日から数週間前後しか経過していないにも拘らず、マスターファイブが束になっても勝てなかったタイ・ラン相手に、タイ・ランが「龍の巻物」に執着していたのを利用したとはいえ奮起して立ち回り、記憶頼りにカンフー究極の技の一つである「ウーシィの指固め」を自力で会得し、勝利を収めた。
また、肉厚な体型ゆえか、秘孔やツボを突いて相手の動きを阻害するような攻撃には耐性があるらしく、マスター・ファイブの動きを封じ込めたタイ・ランの秘孔攻撃が上手く効かず、動きを止めるどころかくすぐって笑い転げ、同じく肉厚さ故に物理攻撃が上手く通らないため、タイ・ランが渾身の打撃を叩き込んでも、吹っ飛んだ後壁に当たって跳ね返ってきて体当たりをかましたり、衝撃で全身の肉をぶよんぶよんさせながら仰け反り、その反動で跳ね返りカウンターを返したりと、とにかくトリッキーな動きをする。
『カンフーパンダ2』では、己の出自と向き合うことで「内なる平和」とそれによる物質の力の流れを利用する究極奥義の一つを会得し、「カンフーを滅する兵器」であるシェン大老の火薬兵器(花火砲)を一方的に封殺して皆を仰天させた。
また、ジャイアントパンダであることとカンフーマスターであるために多大な量の強い「気」を持っており、これが『3』において重要な要素となる。
ウーシィの指固め
- 指を摘んで光を放ち、一瞬で対象を痛みもなく死後の世界へ肉体ごと送る究極の奥義の一つである。つまり、生きたままあの世に強制送還するという絶技。
- この技は秦の始皇帝時代に生まれた技であり、編み出したウーシィ老師の名前から付けられた。相手の人差し指を掴み、その指をボタンを押すようにひねりつぶす。すると、敵は金色の光と衝撃波の元に消え去る。
- 原理は不明だが、「気」に関する技なのかもしれない。
- タイ・ランは、ポーに対して「シーフーは教えてないはずだ!ハッタリだ!」と絶叫しており、ポーもそれを認めた瞬間は安堵していたが、「自力で会得した」と聞くと一転して絶望した表情をしている。
- タイ・ランのこの最期は一部の視聴者によってはトラウマを生んだとの事。「タイ・ラン 最期」「タイ・ラン どうなった」とググるとヒットする。
ストーリー
カンフーパンダ1
偶然かはたまた運命によるものなのか、想定外のアクシデントの末に、伝説に伝えられる「龍の戦士」に選ばれ、翡翠宮に入門することに。
しかし、カンフーなんて習ったことがない彼がいきなり達人になれる訳もなく、シーフー老師やマスター・ファイブもウーグウェイ導師に逆らえないため渋々ポーを教えることになったが、本心ではあわよくば彼を追放しようと考えており、無謀な修行を課したり辛辣な対応をするなど邪見に扱っていた。
それゆえにへこんでいた所、ウーグウェイの助言を聞いて一念発起し、まずは現状を楽しむことから始めた矢先、カンフーを身に付ける暇なく、復讐を誓うタイ・ランが脱獄。ポーは恐怖から逃亡しようとした。
しかし、ウーグウェイに諭され半ば意地でポーを鍛えると宣言したシーフーと押し問答となるが、そこでシーフーに本音を吐露し、さらにやけ食い中の現場でポーの眠っていた才能(食い物が関わると食欲によって本来のポテンシャルが解放される)を見たシーフーによって、ポー向きの修行(食べ物の取り合いや、腕立て伏せでスープを舐める等)を施されたことで、一気に才能を開花させていった。
カンフーパンダ2
マスターファイブと共に中国支配を企む新たな悪党であるクジャクのシェン大老と戦う。
その最中に、自分が、20年前にシェンが起こしたパンダ村虐殺事件の生き残りであると知る。
当時の出来事は赤ん坊であったため覚えていなかったが、両親が命がけで逃がしてくれたと後に思い出す。改めて戦う力を取り戻す。
そして同時に「内なる平和」にも目覚め、大砲の弾を素手で投げ返す技を身に着けシェンを倒す。
カンフーパンダ3
「宇宙の導き」により、実父である「リー」とも再開。しかし、時同じくしてカイが蘇り、中国のカンフーマスターの全滅を阻止する為に、山の奥にあるもう一つのパンダ村で気功を学ぼうとする。
カンフーパンダ4
パラレル作品にて
テレビアニメでは、食べ物で遊ぶ、非常に汚い食事マナーなどの行動が見られ、腐っても食事処の出身ながらそれにあるまじき行いをしでかすなど、正史のポーよりかなり子供っぽい。他のキャラクターにも言えるが、年齢を気にしたら負けである。
『秘密の巻物』によると、カンフーオタクに目覚めたのは10年前。さらに彼が切っ掛けで今のマスターファイブが結成されたが、これも他のテレビアニメと矛盾している。
前述にて天賦の才と記載したが、パラレルワールドと思われるアニメシリーズでは拍車がかかっている。闇堕ちするエピソードではポーVSシーフー&マスターファイブの6人がかりでも圧倒し、さらに波動拳のような技を繰り出したり、素手で石柱を切断したり、火球を生み出すような技を即座に体得している。
同じくテレビアニメでは人並に邪心があることを描写されるが、その邪心が分離したりすると一人称は「俺」になったりする。
マスターファイブをこてんぱんにし、侮辱した初代マスターファイブのシーフー以外の4人を1人だけで蹴散らす実力を持っている(『師の不名誉は弟子が取り返せ!』)。
お人好しで人を簡単に信じ込んでしまう欠点がある(『昨日の敵は今日も敵』、『子供を甘くみるべからず』、『時には敵をも信じよ!』など)。
名台詞
- 「好きだ!カンフー!」
- 「でもここに来る前の、何物でもない自分のほうがもっと嫌だった。」
- 「腹減ってません。」
- 「秘密の材料は無いんだ。在るのは自分だけ。」
- 「シュカボーン!」
関連イラスト
余談
- ポーにちなんで子パンダがポーと名付けられたことがある。
- 『2』での幼少期のポーのデザインのモデルになったのは、実在する個体の「功仔(ゴンザイ)」だとされる。
- 一時期、中国では十二支の辰の位置にジャイアントパンダがおかれていた。
- デザイン段階では、老体であるマスター・ゴールデンベアもいる(参照)。
関連動画
(「龍の戦士」に選ばれる場面。)
(ポーの修行は、マスター・モンキーのCVを務めたジャッキー・チェンが実際に行った修行を基にしており、当然ながらジャッキーの監修と演技指導が入っている。)