概要
ウソつき、ホラ吹きを指す浄瑠璃界の隠語「与太」に由来するが、江戸時代以降に浄瑠璃や義太夫節が庶民の娯楽として浸透した頃に市井にも流通し、本来の意味が転じて
構成
噺によって振れ幅こそあるものの、様々な役をこなすバイプレイヤー(ニート、丁稚、大工など)であり、滑稽噺の中には彼を主題とした『与太郎噺』が幾つも残されている。
江戸落語では『八つぁん熊さん』(八五郎と熊五郎)、上方落語では『喜ぃ公清やん』(喜六と清八)に見られるボケ・ツッコミ関係にある汎用コンビの延長線上に位置し、同類の単体キャラクター『甚兵衛』(じんべえ)が熊五郎や清八の側面を持つ「一癖あるしっかり者」であるのに対し、八五郎や喜六の側面を持つ「間抜けな慌て者」の性格で描かれる場合が多い。
一部の例外を除けば言われた事を鵜呑みにして行動に移す上、その努力の方向性がてんで的外れという傍迷惑である一方、失敗を重ねても底抜けの明るさを振り撒く純真さも持っているため、関係者は総じて愚痴をこぼしつつも決して見捨てない「愛すべき馬鹿」として色々と世話を焼いている。
関連キャラクター
元来は着眼点が鋭く頭の回転も早い知性派ではあるが、自身を売り込むためのセルフプロデュース戦略に加え、演芸番組『笑点』登板を推挙した7代目立川談志の意向もあって「モノマネ・ダジャレ・とんちんかん」を売りとする与太郎ポジションを2024年3月末の笑点勇退まで半世紀近く守り続けた。
- 有楽亭与太郎(『昭和元禄落語心中』)
「懲役3年の肩代わり」を条件に極道から足抜けした元チンピラ。服役中の慰問会で耳にした有楽亭八雲の怪談噺『死神』に惚れ抜いて落語家を志し、満期出所したその日に八雲へ弟子入りの直談判をした折、その風変わりな様子を気に入った八雲から「与太郎」の通り名を与えられた。
- ヨータ・ロゥ(TRPG『翼の折れた愛と青春』)
科学技術が発達した異世界『ギャラクシーチルドレン』出身の人類。かつては「シュヴァルツシルトの死神」の異名で怖れられた歴戦の軍人だったが、戦いの日々に心底疲れ果てた末に脱走し、亡命した別の異世界『ブルースフィア』(ユグドラシル宇宙・枝世界の1つ)にあるアパート『縁栄荘』の一室を借り、家賃滞納を物ともせずブルースフィアで知ったゲームやアニメに1日中耽り込むマダオに成り果てた。
- 高校与太郎(実写映画版『BE-BOP-HIGHSCHOOL』)
作中に登場するヒロシ(加藤浩志)、トオル(中間徹)、菊リン(菊永淳一)、テル(藤本輝男)など「札付きの不良高校生」を総括した造語。なお、高校与太郎は実写映画版第2作から第6作までで使用されたサブタイトルの一部だったが、大ヒットも手伝って仲村トオル・清水宏次朗主演の同作品群は「高校与太郎シリーズ」と銘打たれた。