初出は2012年7月14日ニコニコ動画にて配信された動画による。
低予算、や少人数での制作ながらも巧みなCG技術、キャラクターデザインのクオリティから注目を浴び、Kotaku JAPANでもニュースとして取り上げられ、動画アワード2012では審査員賞を受賞するまでに至る。
作品内には過去のライダーシリーズやゲゲゲの鬼太郎を意識したと思われるネタが散りばめられている。
プロローグとなる『自主制作「仮面ライダーシンギ」作ってみた』は2012年に、本編となる『SINGI_-being usual-』は2014年に公開された。なお、あと2本ほど脚本が残されており、環境が整い次第、映像化するとの事。
仮面ライダーシンギ
カラス天狗と1号ライダーをデザインモチーフとした仮面ライダー。
改造人間ではなく、カラス天狗の魔人「シンギ」の力を発現させて変身したもの。変身ポーズはベルトの上面のスイッチを押して、風車に手をかざすという物。変身の際にはバックルの左右に付いた6つの発光機関が点滅する。
主に腹パンを得意としている描写があり、少々戦闘スタイルはダーティ。動きは素早く、敵の吐き出した弾丸も正確に弾くテクニックも持つ。
必殺技はベルトと目を光らせ、黒い風のオーラを発現させて姿を消した後、相手が油断した隙を狙って放つ飛び蹴り。また、マフラーは敵の注意を引くためにその場に残る。ガナリ戦ではマフラーが動きを拘束する事で命中率を上げた。
OPでは背に魔法陣を展開して、無数の光弾を放って街を爆撃するシーンも見られた。
なお、マフラーはそれ自体が意思を持っているかのように自動でシンギの元に戻ってきたり、後ろから飛びかかってきた怪人を殴って吹っ飛ばしたり、棒状の武器になったりと、どこかのちゃんちゃんこに似たような活躍を見せつけた。また、普段はうなじに収納されており、必要に応じてニョキッと生える…というより伸びる。また、走る際には巨大化してスタビライザーの代わりを果たす。
香坂曰くマフラーがベルトを持ってきたという趣旨の台詞を劇中で瑞に話している辺り、マフラーが何らかの秘密を握っているようである。
専用バイクのライドチェイサーは変身とともに普通のバイクから変身し、ジェット噴射で大ジャンプが可能。
ライドチェイサーといってもあの人のバイクのことではないので注意。というかこちらが先。
登場人物
- 香坂 悠真(演:田邊 明宏)
この物語の主人公。自分を知るために妖怪を退治しながら、旅をしており、性格はとてもぶっきらぼうだが、根はとても優しく正義感に溢れる青年。
彼によると、封印の儀式(陰陽師の頂参照)のあと、しばらく烏天狗の魔人『シンギ』として生きてきたらしい。香坂自身の自我があるのはここ20年くらいしかないとのこと。
現在自我を保っていられる理由はマントが持ってきたといわれるベルトの力のおかげらしいが……
なお、演ずる田邊氏は『仮面ライダーディケイド』の出演経験あり(ディケイドとWのオーディションも受けていたらしい)。現在は映像ディレクターとして「四畳半のジェメオス」というヒーロー映画を製作中。
神主に取材を申し込んだ際にはジャーナリストと偽った。
- 広森 瑞(演:宮國 優理)
主人公その2。
『Internet news service Truth Tells』に所属している。
小さいころからジャーナリストだった父に憧れ、スクープを追っている。
時々しゃべり方が本家様のあの人物のように関西弁になる。
ポジション的には仮面ライダー555の園田真理に近いキャラクター。
- 陰陽師(演:三上 享)
西洋からもたらされた悪魔憑きの儀式を用いることで、妖怪を生まれたばかりの赤ん坊の体に封印することに成功した。この儀式を生き永らえた赤ん坊が烏天狗の魔人を封じ込めた、シンギ=香坂である。しかしこの儀式が原因でのちに狼天狗のガナリが復活することになってしまった。
なお、この儀式の真の目的については不明。
- 望月 純太(演:松原 功)
神主。なのだが、服装がどう見てもお坊さんの格好である。
天狗に関する、古い絵巻を所持しており、瑞と香坂に天狗についての情報と手作りのお守りを授ける。
名前の由来は『仮面ライダーZO』のキーパーソン『望月博士』もしくは仮面ライダーJを演じた望月祐多と思われる。
- 島田 久(演:清水 たけし)
『Internet news service Truth Tells』に所属している。
編集長。
名前の由来は恐らく、『仮面ライダー龍騎』に登場する『島田奈々子』からだと思われる。
また、所属する社名の由来は仮面ライダー555の主題歌の歌詞『Tell me the truth』だろうか。
会社そのものの元ネタは仮面ライダー龍騎の『OREジャーナル』と思われる。
- 森下 愛美(演:ray)
瑞の後輩。
名前の由来は女優の森下千里と思われる。
- 杉山 加代子(演:藍澤 彩羽)
未来の母。
- 杉山 信夫(演:岩佐 邦男)
未来の父。
- 杉山 未来(演:岩佐 映花)
杉山家の一人娘。
赤ん坊で、隠れ座頭にさらわれそうになった。
- 謎の女(演:不明)
『SINGI -being usual-』アバンに登場。
赤ん坊時代の香坂の目の前に現れている。
ニコニコ動画のコメントではマフラーとこの女性には何か関係があるのでは?というコメントが飛び交っている。
それにしてもどこかの誰かさんにそっくりだが……?
妖怪
敵組織。大天狗ガゼの復活を目論んでいる。その真の目的は大天狗ガゼを支配者とする、妖怪の世界を作ることである。また、ガゼからシンギまでの幹部魔人は4大魔人と呼ばれている。
本家にも妖怪をモチーフにした敵として仮面ライダー響鬼の魔化魍がいる。
また、天狗信仰とは彼らが人の世に害を為すために、人々が4大魔人を崇めた事が始まりである。
- 大天狗ガゼ
名前のみ登場。恐らく彼が首領格と思われる。
- 天狐のミガク
OPと台詞の言及のみ登場。
白狐の面を被った天狗が彼と思われる。三幹部の中で唯一天狗モチーフではない。
- 狼天狗のガナリ
幹部クラス。
香坂や未来とは別の赤ん坊を母体として復活。
翼を広げて飛行が可能。
腕をどこかの地獄星人のように赤熱化して敵を殴ったり、どこかの凄まじき戦士みたいに火を超能力で起こしたりなど強力な力を誇るも、最後はマントによって動きを封じられ、ライダーキックによって爆散した。
なお、復活の際には名前が判明していない妖怪数種が立ち会っている。
- 烏天狗のシンギ
OPに登場。赤いトサカに緑色の顔を持つ魔人で、彼こそが悠真に宿った魔人と思われる。
小妖怪(ゲスト怪人)
神社近くの洞窟に潜み、近づいた人間を襲っていた。
行方不明事件の犯人。
その証拠に洞窟内には白骨死体が転がっている。
本来野衾とは劇中のようなコウモリの姿ではなく、ムササビやモモンガのような妖怪である。
人語を喋ることもでき、シンギに会った際は『シンギ……』と口にしていた。
翼を活かした叩きつけ攻撃と口から放つ超音波が得意技だが、4大魔人の一角を担うシンギの前には通用しなかった。また、聴力も良いようである。
(余談ではあるが、元ネタとなった野衾自体は『超神ビビューン』にも登場。)
常に奇声を発している黒ずくめのローブに身を包んだ妖怪。口が耳まで裂けたイナズマンの帝王バンバを思わせる恐ろしい姿をしている。
掠れた声で話し、空を走るように飛行する。また、登場する際には気味の悪い笑い声がするのが特徴。
杉山家に予告状をよこし、未来をさらおうとたくらむが、作戦に失敗。逃走するも、ライダーキックに敗れる。
実際の伝承でも隠れ座頭は子供を拐い、隠れ里に拉致する妖怪とされている。
- クモ怪人(名称不明)
『作ってみた』に登場。通行人を襲おうとしたところ、香坂に妨害される。
口からは放つ糸は、拘束用として使用したり、弾丸のように発射したり、弾力性を活かしてトランポリン代わりにもできる。
ニコ動のコメントでは、その醜悪さと見た目から『Gの怪人』(※間違っても稲垣五郎の方ではない。)と呼ばれていた。
妖怪モチーフは茶色い体色とクモがモチーフであることから、土蜘蛛と思われる。
関連動画
本家を演じた門矢士が特撮制作のためにシンギを鑑賞するという内容。シンギの裏話も聞ける。
関連項目
自主制作 仮面ライダーディケイド:田邊氏が出演した本家作品。
射命丸文:ジャーナリストで烏天狗。
ベルトさん:後年放送された仮面ライダードライブのベルト。彼に例えてマフラーを『マフラーさん』や『マントさん』と呼ぶファンがいる。