演:浜辺美波
概要
『ゴジラ-1.0』のヒロイン。太田澄子と共に東京大空襲の被災者であり、偶然にも物語の主人公である敷島浩一と出会う。
以下、本作のネタバレです。未見の方は注意!
空襲で両親を失うと共に、同じく被害に遭った見知らぬ女性から、死の間際に赤ん坊の「明子」を託されている。地獄のような経験をしながらも、両親が今際に遺した「生きろ」という言葉から、生を全うするという想いが強く、託された明子を育てながら生き抜こうとするまっすぐな女性。
天涯孤独の身でお金も持っておらず、強姦被害を防ぐため浮浪者のような格好をしながら、闇市で食料品を盗みながら宿無し生活を送っていたところで敷島と出逢い、明子と共に彼の家に住み着いた。当初敷島は経済的な都合(本人も家族や実家を失っているので女子供を救う前に自分が餓死する可能性もある)から拒否するも、心の傷から強く出られない敷島につけ込む形で居座り続け、澄子の手伝いを受けながら奇妙な共同生活を続けるうちに、危険な機雷掃海任務に就いてまで自分と明子を養う敷島を本心から気にかけるようになる。
共同生活の中で敷島を「浩さん」と呼び慕い好意を抱くことになるが、同時に彼が深い心の傷を負っていることも察しており、居候という気まずさもあって彼の人生深くに関わることができないと悟った典子は、敷島を解放しようと自立を決意し、銀座のデパートに事務員として就職を決める。しかしその後敷島はゴジラと再遭遇し負傷、その夜彼を問い詰めて彼の過去を全て受容、敷島に生きる意欲を蘇らせ、ようやく心を通じ合わせるのだった。
しかし、程なくして勤務先の銀座に突如ゴジラが襲来。出勤中の彼女を乗せた電車が襲撃され絶体絶命の状況に陥るものの、運良く外堀川に逃げることができ間一髪のところで脱出に成功する。
その後、茫然自失の状態でずぶ濡れのま逃げ惑う群衆の中を彷徨っていた(この時真後ろにはゴジラが迫っている危険な状況であった)所を、助けに来た敷島に発見され共に避難していたが、直後にゴジラの放射熱線による爆風から咄嗟に身を挺して浩一を建物の隙間に押し込んで助ける。
しかし、それと引き換えに自身は爆風に巻き込まれ消し飛ばされてしまったのだった。
被災地一帯の放射線濃度が高いことから早急の救助と捜索ができず、多くの死者や行方不明者が出たことから彼女の生存は絶望的と思われ、公的には死亡という扱いとなった(その後、机に遺影が置いてあった)。
※この先、更なるネタバレ
浩一らがゴジラを倒した直後の電報にて、実は彼女が辛うじて生存していることが分かった。右腕の骨折、左腕の裂傷、頭部・右目付近の負傷…そして、本人や浩一は気づかなかったが当初なんともなかった首筋には黒い影のような不気味な痣(ゴジラの背びれの様な形)が浮かび始めていた。明子もそれに気づいているかのように強張った表情で彼女を見ていたが、典子本人は至って元気であり、浩一とともに再会を喜んでいた。
果たして首筋の痕跡は彼女の生還やゴジラと何か関係があるのか、そして今後の彼女への悪影響は無いのか……それは誰にも解らない。
余談
- 首筋の痕跡の演出の理由は上述した事態にあいながら典子が生きていた理由を示唆するためもの。最後に敷島を典子と会わせてあげたかったが、(テーマも考慮して)単純なハッピーエンドやバッドエンドにしたくない故の着地点とのこと。監督曰く、ずっと生きて女性視点で物語を見据える展開も考えられたそうだが、様々な年齢層の女性陣に脚本を見てもらった際に、死んだ方が物語がよりロマンティック等の意見受けて本編の展開になったが、敷島があまりに可哀そうという理由もあったとのこと。
- ネタバレありの場では監督や演者たちに典子を絡めた続編ネタが語られることもある。
- アカデミー賞授賞式を終えて帰国した後のインタビューで、山崎監督は続編を制作するとすれば『-1.0』の後日談的な内容にしたい旨を述べており、もし制作されれば、そこではじめて典子の身体に何が起きていたのかが明かされることになるのかもしれない。
- 2024年のゴジラ・フェス大阪において、監督の山崎貴が典子の首筋の黒い痣がG細胞である事を正式に認めた。これによって、WEB等では続編への期待と共に、ゴジラに代わる更なる厄災や、彼女の体への悪影響を心配する声が上がっている。
- ゴジラ銀座襲撃の際に、ゴジラに乗っていた電車を持ち上げられてしまい、電車がちぎれて典子が電車にしがみつくシーンがあるのだが、かなりの腕力を持っていないとしがみつくことは不可能では?の声があり、(彼女が事務を仕事にしていることから)
- 「ジム通いってそういうこと?」なんてことも言われていた。