天元(呪術廻戦)
てんげん
「初めまして、禪院の子、道真の血、呪胎九相図、そして宿儺の器」
存在そのものが日本の呪術界の基底とも言える存在であり、日本国内のあらゆる結界の強化・行使を行っている。呪術界上層部を含む多くの術師から敬意を込めて「天元様」と呼称されている。
その働きから呪術界にとって欠かせない存在であるが、「現(うつつ)には干渉しない」と表現されるように結界術の行使や星漿体との同化を除いて基本的には外界とはほぼ接触しない。結界術の効果によってか日本国内のほぼ全ての事象を細かく把握しているようでありながら、呪詛師の動静などをいちいち高専側に伝えたりする事はない模様。これが何らかの「縛り」によるものなのかは不明。
特殊な状況下では直接言葉を交わして提案や交渉などを行う事もあるが、そもそも総監部などの呪術上層部の通達に反するような行動や情報提供も平然と行ったり、上層部から敵視されている九十九由基、乙骨憂太、虎杖悠仁等とも普通に交渉をするなど、現在の上層部と同じ立場でいる訳ではないらしい。
本編登場時には後述の術式の効果によって人間から“進化”しており、「個としての自我は消え天地そのものが私の自我となった」存在であるという。そんな状況で形と理性と自我を保つ事が出来ているのは天元の結界術によるもので、現在の肉体の組成は最早人間よりも呪霊に近しいとのこと。
虎杖達の前に現れた下記する姿もアバターに近いものであるらしく、本体は別に存在しているという。また、既に性別の概念などは存在しなくなっているが九十九に「クソジジイ」と言われた際に本人は「どちらかと言うとババア」と返していたため、どうやら元々は女性だった模様。23巻のおまけで人間の姿の頃が公開された。
千年を生きた術者に相応しい穏やかだが威厳と存在感のある言動をする。
その一方で話をしにきた者に対してはしっかりと誠実かつ丁寧に対応する。しかもこの手のあらゆる事象を把握している超然的なポジションのキャラにしては珍しく、言葉遊びをしたり遠回しな表現で煙に巻いたりといった事はせず、分かり易く丁寧にしっかりと説明を行うのが特徴。
虎杖の外見に対する無遠慮な質問にも笑顔で茶目っ気のある返事を返したり、自身を敵視する九十九とも結界内の空間設定でコタツやリゾート空間を作ってくつろぎながら話す、バーを作って自分がバーテンダーになって九十九と脹相にカクテルを出したり(どこで作り方を習得したんだ…)と意外にもノリが良く結界も利用してかなり自由に振る舞っている。
加えて想定外の事が起きると冷や汗を流して焦ったりと、ビジュアルは完全に人外であるにもかかわらず意外にも人間臭い表情も見せる。一部ではこういった表情が愛嬌があって可愛いと好評を得ている。
一方で彼女が話した羂索の目的についてはレジィ・スターからはブラフであると評されるなど、説明が完全に一致していない点もあり、伏黒恵から疑問を持たれたりもしている。
羂索本人も九十九に対して「天元は重要な事を君達に話していない」と話しており、死滅回游と何らかの関係がある事を示唆しているが詳細は不明。しかし、羂索が後に天元の貼った浄界が死滅回遊の核であり、浄界を解除すれば死滅回遊は無に帰したと述べていることから、おそらく彼女の秘密はこのことと思われる。
とにもかくにも、このように重要なことを秘密にするなど、完全に清廉潔白な人物とは言い難いが、人類と今の世界を守ろうとする意志は確かな模様。ただ、そもそも何故彼女がそこまでして世界に奉仕しているのかは現状不明である。
円柱状の頭部に二対の眼、幅広の口を備えた特異な面相で髪や耳はない。これは人間から「進化」した姿であり、12年前に星漿体との同化に失敗してから老化が加速したという天元の言葉から、12年前より更に前は人間らしい容姿であった模様。首から下は人間のものと大差はない。
本人曰く「500年も老いれば君(虎杖)もこうなる」との事である。その一方で羂索からはその容姿が奇しくも千年前の当時の両面宿儺とよく似ている事を揶揄されている。
術式
不死化術式
天元が千年以上生きている理由であり、文字通り術者を不死にする術式。
これによって少なくとも寿命による死を迎える事はなくなる。
ただし、あくまで「不死であって不老ではない」ので一定以上(500年)老化すると術式の効果によって肉体が「進化」を始めてしまう。人間から「より高次の存在」へと進化すると彼女自身の意思は失われて、最終的には「天元が天元ではなくなってしまう」との事で、その結果として天元による結界運用や強化が失われるばかりか人間の敵となる可能性まで存在しているらしい。
それを防ぐために500年に一度、天元と適合する肉体を持つ「星漿体」と呼ばれる「器」となる人間と同化する事で肉体の老化の初期化(老化カウントを元に戻す)を行っている。
また、「星漿体」とその護衛となる「六眼」とは因果で繋がっている存在であり、同化の周期にはこの両者が確実に揃う。同化に失敗するという事は基本的にはありえない事である。
結界術
日本全国の結界を常時発動し、維持・強化する事ができる凄まじい規模の結界術を持つ。
高専・呪術界拠点の結界や補助監督の結界術(「帳」など)の強度の底上げを行っており、夏油傑曰く「あの方(天元)がいないと防護(セキュリティ)や任務の消化すらままならない」とまで言われている程である。
その言葉通り、例えば薨星宮・忌庫へのセキュリティも一手に担っており、この場合はシャッフルが繰り返される1000以上の扉から一つだけが薨星宮・忌庫へと通じるようになっている。このように彼女の結界はどちらかと言えば「守る」事よりも「隠す」事に特化しているという。さらに薨星宮自体は「空性結界」と呼ばれる結界で守っており、結界内の環境を自由に変えられる。
日本国内には天元の結界が張り巡らされており、結界術によるものかは不明だが日本国内の事はほぼ把握している。ただし決して全知という訳ではなく、例えば他人の心などは分からない。
少なくとも千数百年前の奈良時代から活動しており、日本仏教の広がりと同時期に、術師(少数派)に対する道徳を説いていたという。これが天元を信仰・崇拝する宗教「盤星教」の始まりでもあり、後に絶対的一神教と化した盤星教の「時の器の会」は天元が星漿体という穢れと融合(同化)する事を妨害するようになった。
過去の術師のレジィは伏黒の天元に関する問いかけに対して「そりゃ生きてるか、あの引きこもり」と返しており、過去のどこかの段階で薨星宮に隠遁した事が窺える。
天元の名前が作中で最初に登場したのは交流会編の中盤。
特級呪霊によって襲撃された際に夜蛾正道によって初めてその名前が言及されたが、本人が直接登場する事はなかった。さらに襲撃後に結界が呪霊によって破られた事を一同で振り返った際にその理由、そして五条によって天元の結界の性質についても言及されている。
より深くその性質が明らかにされたのが五条悟と夏油傑の過去編となる「懐玉・玉折」。
五条と夏油に星漿体の少女・天内理子の「護衛」と天元との同化遂行による「抹消」が命じられるが、結果として「時の器の会」の依頼による伏黒甚爾の介入により同化は失敗。天元の性質についてはこのエピソードにより多く語られたものの、天元自身は同じく登場しなかった。
そして死滅回游発生後、事態の解決の糸口を求めて高専最深部の薨星宮に赴いた虎杖らの前に遂に姿を現す。
黒幕たる羂索の目的となる「天元と人類との同化」を知らせ、進化した天元は最早夏油傑の呪霊操術の対象(=羂索に接触されれば呪霊操術て取り込まれる)であり、星漿体以外との同化も可能ではあると伝えた。さらに五条の封印の解放の方法についても述べ、一同に対して今後の指針を提供した。この際に永久追放が決定した五条の解放を助ける情報の提供や、死刑が決定した虎杖を気にせず見逃すなど明らかに上層部の意に反した行動をしている。
天元は引き続き薨星宮にて結界を強化して外部の全ての拒絶を行い羂索による接触を防ぐ予定であるが、羂索によって薨星宮の封印が解かれる可能性があるとし、交渉の結果として情報提供と引き換えに天元の護衛を九十九、脹相が行う運びとなった。
その後は2人と作戦を練りながら会話を行う。特に元星漿体である九十九からはこれまで星漿体を犠牲にしてきた事と、結局は進化を果たしたにもかかわらず自我を保てた事を非難され、それを真正面から受け入れつつもう少し話をしたかった事を伝えたところで羂索に結界を破られる。
そして尖兵である脹相が羂索の切り札たる3つ目の術式を引き出し、九十九との戦闘で羂索が領域展開をしたところで作戦通り天元が結界を中和する情報を打ち込んで領域解体を行う。
しかし、羂索の領域が閉じない領域だった事から中和すべき外殻が存在せず、アドリブで領域の必中効果範囲の外縁を領域の外殻と仮定して空性結界ごと解体にかかったが間に合わず、九十九は領域での攻撃で瀕死の重傷を負ってしまう。だが天元自身も意地を見せて何とか領域の解体自体は成功にこぎつけた。
天元に少なくとも死滅回游以前に接触していた。薨星宮を訪ねた当初に接触できなかった理由の一つとして「私(九十九)が拒絶されている」事を候補として考えるなど、元々天元とは対立していたらしく、実際に作中で天元を呼び捨てにしている数少ない人物の一人でもある。後に彼女は元星漿体だった事が明らかになり、その関係から天元とは対立していた模様。
天元の変質を食い止めるために天元と「同化」する事のできる「星漿体」の少女。
同化までの残された時間は出来る限り彼女の希望に沿うように指令を下しており、天元なりに気にかけたり思う所はあった様子。後に上記の九十九を含めて他にも星漿体候補達はいた事が明かされたが、中でも彼女が抜きん出て適性が高かったとの事である。
天元と同じく千年以上前から存在する術師。己の目的を達成する手段として天元と人類の同化を狙っているとされる。過去に二度に渡って星漿体との同化の阻止を画策しては失敗していた。しかし、伏黒甚爾の介入によって本人も予期せぬ形で同化の阻止は叶う事となる。
どうやら天元とはかつて何らかの関係があったらしく、天元から「あの子」と呼称される場面があり、後に羂索の方は天元の事を「友」と呼んでいるが、同時に羂索は天元の事を露骨に侮蔑している。
- 四つの目を持つ怪人風の姿からウルトラ怪獣のダダ等を思い出したファンも多かったという(ダダは多眼ではない)。その見た目は完全に人外ながらどこか愛嬌があるとして好評を得ている。
- 本作の鍵を握るまさにキーパーソンと呼べるキャラであり、物語に与える影響は大きい。具体的には天元と天内理子を巡る事件によって五条は最強の呪術師として覚醒しており、同時に伏黒と五条の出会いの原因にもなっている。また、夏油傑が呪詛師になった原因の一つでもあり、これが無ければ0巻の内容である『夏油傑と呪術高専、及び乙骨憂太との戦い』は起こらなかった。
- さらに本作で長らく暗躍している羂索の最終目標であり、ここまで記述した通り彼女の殊遇が誰の手に渡るかによって、文字通り作中世界そのものや物語の行く末や運命が大きく左右される。
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