概要
2005年4月14日にハドソン(現:コナミデジタルエンタテインメント)から発売された、和風RPG「天外魔境シリーズ」の第10作目。天外魔境ZIRIA、天外魔境II 卍MARUに続く三部作の完結編である。
天外魔境シリーズのウリである個性的なムービーや魅力的なキャラクターたちに、PS2の性能を生かした美麗な3Dグラフィックが相まって、天外魔境の新たな可能性を開いた。
後述するが、発売までに長い時間と数奇な運命を辿った作品である。
世界設定
物語の舞台はジパングの「九洲(つくす)」と呼ばれる地方。封印から解き放たれた邪悪な存在「アミ」に、自らの宿命を知った少年・ナミダと仲間たちが立ち向かう姿を描く。
なお、ZIRIA・Ⅱ・Ⅲの3作品には日本神話の三種の神器が重要なファクターとして登場しており、今作では「鏡」が重要アイテムとなっている。
戦闘システム
本作の戦闘は完全3Dになったため、敵も味方も全て戦闘画面でも見えるようになり、派手なアニメーションもするようになった。『天外魔境ZERO』と同様、全員が「瀕死」状態になるとゲームオーバーとなり、記録した時点からのやり直しとなる。
ストーリー
ジパングの西方、九洲地方にある小さな島国「高千穂村」の浜辺に、一人の少年が打ち上げられていた。
少年は壱与(いちよ)という少女に助けられるも、過去の記憶を失っていた。彼は「ナミダ」という名を与えられ、以来、壱与の家で実の兄妹同様に育てられてきた。
そして、ナミダが17歳になった年の祭りの夜、村に祀られていた「神鏡」が割れ、鏡に封じられていた邪悪な存在「アミ」が封印から解き放たれてしまう。
九洲の各地でさまざまな混乱を巻き起こす彼らの目的とは?
やがてナミダは、自らが背負った宿命を知り、アミたちとの戦いに身を投じるのだった。
主要キャラクター
パーティキャラクター
CV:櫻井孝宏
本作の主人公。17歳。武器は大剣。喋る時期はオープニングとエンディングの2種。
CV:日高のり子
本作のヒロイン。15歳。高千穂村に住む火の一族の少女。武器は短刀。
CV:横山智佐
2丁拳銃を操るくの一。
CV:西村知道
寺の坊主。子供達がイチモツにさらわれたと聞いて打倒アミに燃える。武器は槍。
CV:金田朋子
意思を持つ謎の埴輪。
CV:柊瑠美
化け猫だが、本人は「猫神」と自称している。
CV:置鮎龍太郎
稀代の弓の名手。
CV:高木渉
鬼族最強の鬼。武器は金棒。
CV:小山力也
犬の頭を持つ剣豪。武器は二刀流。
アミ
その他
スタッフ
制作総指揮:工藤浩、遠藤英俊
原作:P.H.チャダ
企画・監修:広井王子
監督:芳賀タカヒロ
絵師:辻野寅次郎
美術:久保久
映像演出:水野祥司
デザイン:安保英樹、丸山浩平、関口暁信
脚本:竹下功一
プログラム:坪田和男
音楽監督・作編曲:加藤和彦
オーケストラ指揮:佐渡裕
演奏:新日本フィルハーモニー交響楽団
主題歌:『NAMIDA (When Firebird Cry)』(サラ・ブライトマン)
幻のPC-FX版
概要
この「天外魔境Ⅲ NAMIDA」は、本来PCエンジン SUPER CD-ROM²用ソフトとして開発がスタートしたものだった。開発は名作「天外魔境Ⅱ」のスタッフが行い、Ⅱと同じく桝田省治氏が脚本を手がけることになっていた。
途中プラットホームをPCエンジン用の周辺機器「アーケードカード」に移し、更にプレイステーションやセガサターン等の次世代機に対するキラーソフトとするべく、PC-FXへと移行して開発は続けられた。
桝田氏の脚本も完成し、ゲームショウや雑誌ではキャラクターデザインやイメージイラスト、PVも公開されていたのだが、肝心のPC-FXの業績が振るわず開発は中断、そのまま自然消滅的な形で開発は中止となってしまった。
だがファンからの発売希望の声は多く、たのみこむ等で発売運動が行われた。そして遂に2003年に開発再開が発表され、2005年4月14日にプレイステーション2で上記の製品版が発売となった。
しかし、実際に発売されたこの「Ⅲ」には当初の桝田氏の脚本は使用されず、竹下功一氏によって新しく作り直された脚本が使用された。このため、当初発表されていた情報とは全く違った作品として完成したのである。
こうして日の目を見た「天外魔境Ⅲ」であるが、やはり当初のシナリオで作ってほしかったというファンの声はいまだに多く、それがファンの間で物議を醸し出している。
主要キャラクター
当時発表されたキャラクターは以下の4人
- ナミダ(南弥陀)
- マユ
- ヒミコ
- セツナ
製品版ではデザイン・設定が変更されているので、pixivでNAMIDAと検索すると見慣れないキャラクターがヒットするのはこのためである。
幻のPC-FX版をベースにした小説
桝田氏は2007~2008年にかけて「ハルカ 天空の邪馬台国」「ハルカ 炎天の邪馬台国」という前後編の小説を発表しているが、実はこれは自身の作ったⅢの初期脚本を基にして執筆したものである。
余談
配信動画で『ジパングの第三の地方は「竜宮(りゅうぐう)」なのかそれとも「九洲(つくす)」なのか』という質問があり、それに対して『作る人による(みんなありえます)』と回答されていた。