地球連邦軍はドズル・ザビ中将が指揮する宇宙要塞ソロモンを攻略し、ソロモンが陥落すれば、ジオン公国は降伏するであろうと考えていた。
実際、デギン公王はレビル艦隊の前に姿を現し、和平交渉を行おうとしていたことから間違いがないといっていいだろう。
しかし、地球連邦軍とレビル将軍の思惑は外れた。
ギレン・ザビ総帥の命令によるソーラレイ発射によりジオン公国の抗戦の狼煙が上げられたのだ。
ソーラレイ発射によりデギン公王は戦死、地球連邦軍もレビル将軍を含め艦隊およその30%を失った。
作戦内容の実態
当初の計画では宇宙要塞ア・バオア・クーをやり過ごして直接サイド3本土に侵攻する作戦だったが、地球連邦軍本部は、機密とされた作戦内容を知る現地の最高指揮官であるレビル将軍を失ったこと、ソーラ・レイを再度使用される事への恐れなどから、迅速かつ決定的な戦果を得るために作戦計画を変更、作戦時間を大幅に繰り上げてア・バオア・クーに目標を変更した。
迎え撃つジオン軍とギレン総帥の演説
ギレン総帥は連邦軍主力艦隊の殲滅に成功した事で勝利は確実であると考えていた。
決戦前の演説文
我が忠勇なるジオンの兵士たちよ。
今や地球連邦艦隊の半数が我がソーラ・レイによって宇宙に消えた。
この輝きこそジオンの正義の証である。
決定的打撃を受けた地球連邦軍に以下ほどの戦力が残っていようとそれはすでに形骸である。
あえて言おう。カスであると!
それら軟弱の集団がこのア・バオア・クーを抜くことはできないと私は断言する。
人類は我等選ばれた優良種たるジオン国国民に管理運営されて、はじめて永久に生き延びることが出来る。これ以上戦い続けては人類そのものの存亡に関わるのだ。
地球連邦の無能なる者どもに思い知らせ、明日の未来の為に我がジオン国国民は立たねばならんのである!
ジークジオン!
両軍の戦力配置
ア・バオア・クー周囲の防空管制は、太陽方向を南(S)にした東西南北の四フィールドに区分けされており、それぞれに兵力が展開されていた。また要塞の死角にはMS/MA機を多数搭載できるドロス級大型空母が配置されていた。ア・バオア・クーまで迫った連邦軍の兵力はサイド3方向と地球方向に振り向けられており、ジオン軍総帥ギレンは敵の主な攻撃位置を予測して戦力をNフィールドに集中させた。そして月面基地グラナダから妹のキシリア・ザビが直属艦艇と精鋭MS部隊のキマイラ隊を連れて増援の途中であった。
ジオン公国軍
Nフィールド・・・空母ドロスが配置された。各フィールドの中で最も多い兵力。
Eフィールド・・・月裏面を臨むエリア。カスペン戦闘大隊(ヨーツンヘイム)が配備された
Wフィールド・・・わずかな艦艇が配備。
Sフィールド・・・地球を臨むエリア。空母ドロワの部隊が配備された。
一方、地球連邦軍ではソーラレイによって第1大隊が壊滅状態であったが、ジオン側もソロモンの敗北で宇宙艦隊の大半を失っており、両軍の兵力差には諸説あるが連邦側が依然有利であったとされている。ただし要塞攻めに臨むには決して万全の数でなかったようである。
地球連邦軍
第1大隊
ホワイトベースを起点に集結。
その後Sフィールドへの展開準備にかかる。
第2第、3大隊
連邦艦隊の主力と位置付けられる。
Nフィールドに攻撃を仕掛ける。
投入戦力
地球連邦
マゼラン級戦艦18隻(14隻が撃沈)
サラミス級巡洋艦98隻(60隻が撃沈)
コア・ブースター等戦闘機900機(ほぼ全滅)
パブリク突撃艇110機(ほぼ全滅)
コロンブス輸送艦84隻
ジオン公国軍
グワジン数隻
ドロス級空母2隻(2隻撃沈)
パゾク級補給艦多数
ゲルググ、ドム、ザク、ヅダ等MS3600機(未帰還3000機以上)
MAビグロ数機
ジッコ等突撃艇46隻(全滅)
ガトル等戦闘機830機(未帰還120機)
オッゴ等駆逐ポッド32機
戦況
星一号作戦開始
当初ジオン軍は、Nフィールドで地球連邦軍本隊の攻撃を退けて優位にたっており、勝利の兆しが見えたとする余裕すらジオン軍司令部には見られた。
優勢に戦いを進めていたジオン公国軍だが、Nフィールドから総力戦で攻めてきていると思っていた矢先、宇宙艦艇25隻から構成される地球連邦軍第一大隊がSフィールドから侵攻を始めた。
多くの戦力をNフィールドへ投入していたジオン公国軍は、わき腹を突かれる状態となり、あわててシャア・アズナブル大佐率いる部隊で迎撃に向かわせる。
その頃、司令部では「父親殺しの大罪を犯した」としてキシリアが司令席のギレンを殺害、文字通り「後釜に座って」司令席に着いた。
このことは、指揮系統の混乱を発生させ、ジオン軍の防戦に隙を作ることになった。
地球連邦軍は激戦の中、ギレン殺害に伴うジオン軍指揮系統の混乱に乗じてジオン軍における防衛の要である2隻のドロス級大型空母(ドロス、ドロワ)を撃沈し、さらにSフィールドの別働隊もガンダムの勇戦もあってア・バオア・クー内部に侵入、ジオン軍は勝利の兆しどころか敗色が濃厚となった。
さらに、Sフィールドから、ア・バオア・クー上陸を目指していた地球連邦軍艦隊は、シャア・アズナブル大佐の防御網をすり抜け、上陸に成功。
当初、優勢に戦闘を進めていたジオン公国軍だが、ソロモン攻略戦の時と同様、地球連邦軍の行動を把握できず、Sフィールドからの攻撃に対応できなかった事と、一瞬の指揮系統の乱れによるスキを付かれ、一気に劣勢なってしまう。
これをうけ、ザビ家最後の指揮官であったキシリアは、グラナダに一部温存した戦力とサイド3も脱出準備中にシャア(キャスバル・レム・ダイクン)により暗殺(公式記録では乗艦の撃沈による戦死)されこうして、ジオン公国を治めていたザビ家は全員死亡となった。
これによりザビ家は事実上滅亡、ジオン軍も壊滅状態となった。
一方の地球連邦軍も、主戦力のほとんどをこの戦いで使い果たしてしまう。ホワイトベースとその搭載MS隊もア・バオア・クーに不時着の末撃破されるが、乗組員たちはかろうじて脱出に成功した。
こうして、指導者不在となった戦場はしばらくの戦闘ののちに停戦。
宇宙要塞ア・バオア・クーは陥落し、星一号作戦は終了を迎えた。
その戦いの後、グラナダにて地球連邦政府とジオン公国内部の穏健派による臨時政府ジオン共和国との間で終戦協定が結ばれ、1年近くに渡る戦争は終わった。