概要
『エアマスター』『ハチワンダイバー』で知られる柴田ヨクサルが『月刊ヒーローズ』に連載中のマンガ。
仮面ライダーシリーズを題材にした作品だが、同誌連載の漫画版クウガと違って仮面ライダーと呼ばれる変身ヒーローが怪人と激闘を繰り広げる漫画ではなく、あくまで仮面ライダーに憧れる人物達の日常を描く漫画である。
この為、物語はライダーと敵組織は架空の物とされている現実世界とよく似た世界観を舞台としている。尚、作中の台詞から察するに平成ライダー(恐らく令和ライダーも)はきちんと放送されている模様。
よって、あくまでこの漫画におけるバトルは仮面ライダーごっこの延長線上にある。
基本的に昭和ライダーが好きな登場人物が中心となるが、果たして歴代ライダーのポジションが全員揃うかは未だ不明である。
登場人物
ライダー(ごっこ)陣営
- 東島丹三郎(とうじま たんざぶろう)
御年40歳。
幼い頃から仮面ライダー1号に憧れ、20代を超えて尚、アルバイトの合間を縫って山籠もりをしては身体を鍛え続けており、その成果は野生の熊を倒すほど。ライダー愛は筋金入りで、部屋にはライダーグッズが所狭しと集められている他、修行中に山中にて『俺を攫って改造人間にしてくれー!』と叫ぶなど変な所にも現れている。
しかし、現実と空想の区別が付かない人間という訳ではなく、仮面ライダーはテレビの絵空事という事を理解しており、改造人間にはなれないという事も承知している。また、『自分が死んだらコレクションはどうなってしまうのか?』というオタクの抱える永遠のテーマについて真面目に考え抜いた末に処分するという答えに行き着いたが、その顔は悲哀に満ち溢れたものだった。
そんな中、ショッカー強盗が現れたというニュースを耳にして心が躍りかけるが、あんまりにも低クオリティであった為に興味を失う。
彼の楽しみである縁日に件のショッカー強盗が現れると、近くにあったお面屋で購入した1号のお面を被って『変身』し、持ち前の強さで撃退するも明らかに過剰暴力なレベルだった為にその場を立ち去った。
これ以降、彼の身の回りで奇妙な出来事が起こり始める…。
- 岡田ユリコ(おかだ ゆりこ)
画像左の24歳のナイスバディな高校教師。父親が仮面ライダーストロンガーの大ファンであった為、岬ユリ子に因んで名付けられた。
その縁からか父同様にストロンガーにどハマりし、父と一緒にストロンガーごっこでタックル役になったり、タックルが死亡した回で号泣しすぎて脱水症状で死に掛けた程のタックル推し。
タックルが退場したトラウマで1週間程寝込んでいたが、父親からお手製のタックルの衣装をプレゼントされて激励された事で、タックルの魂を受け継ぐべく、東島同様に己を鍛え続けた。つまりは彼女もただの人間。
そのような生い立ちであった為、衣装は(体型の都合上)ボディコンタイプになっている事はさておき、気合の入ったガチガチのデザイン(比較的平成版寄り。)であったのに対し、1号を愛する男を騙っている割に1号のお面を被っただけのショッカー強盗に負けず劣らずのクオリティである東島にブチギレた。
彼女も東島のようにショッカー強盗に遭遇し、撃退するもやっぱり過剰暴力なのでその場から立ち去った。おまけに生徒達に『変身』の様子を見られてしまった。
ちなみに、世代的には仮面ライダークウガから仮面ライダーアギト世代という事になる(ストロンガーはVHSで見ていた)。
- 島村一葉(しまむら いちよう)
仮面ライダーV3を最強ライダーと信じて疑わぬ男。特訓ではなく、アイテムで強化するなどのスタンスの違いから平成ライダーはあまり好んではいない様子で、初登場時に東島達にいきなり「最強のライダーは誰だ?平成ライダーとか腑抜けた事ぬかすなよ」と尋ねる程である(平成ライダーの作風に近い仮面ライダーBLACKRXはどう思っているかは不明だが。メタ的には漫画の都合上フォームチェンジや武器を多用する平成ライダーは扱いにくいからなのかもしれないが。)。某平成ライダー好き科学者と会わせたらどうなるのだろうか。
そして我らが魔王に会わせたら間違い無くあの理論をぶつけられることだろう。
鋭い目つきの青年で、近寄りがたい雰囲気を纏っている。2号の力と1号の技を受け継いだV3への愛ゆえに格闘技のパワーとテクニックを達人級にまで鍛え上げた。他の愉快な仲間達と違って、コスプレの類はしない。曰く『自分の魂はV3そのもので、見える者には自分の姿がV3に見える』らしい。ユリコにはドン引きされたが、東島には一発でV3の姿が見えた。この男、『物理的に変身』しているのではなく、『魂が変身している』のである。つまりは彼もただの人間。
癖の強い人物でありながら根っこは東島達と同じくライダーを愛する者に変わりはなく、紆余曲折の末に東島と意気投合し、彼らの頼もしい仲間になった。名前は1号ライダーみたいだが、あくまでV3ポジションである。
ショッカーが存在しないはずのこの世界で、祖父母はショッカーに殺されたと語っているが…?
- 島村二葉(しまむら ふたば)
島村三兄弟の真ん中っ子。ボーイッシュな女性で居酒屋店主。
上記の通りの兄のアレぶりに地獄の学生生活を送っていたため、顔を見ただけで兄をボコボコにしている。名前は2号ライダーを思わせるが、彼女が仲間に加わるかは謎。
兄をボコボコにするために虎先生なる覆面の女に弟子入りして以来彼女に変もとい恋している。
- 島村三葉(しまむら みつば)
一葉の弟。同じくV3を最強と信じて疑わぬ男。見た目は平凡だが、それなりに顔の整ったファミレス店長。
仮面ライダーV3ごっこではV3役を掛けて幼少期から身体を鍛えた末に、兄と決闘を繰り広げるが、敗北してライダーマン役の座に。左腕が折れているのもこの決闘による怪我。(原作のライダーマンは右腕失ったけど、利き腕の右手を失うのは可愛そうだから左腕を折っといてやろうという兄の優しいんだか厳しいんだかよく分からない気遣いでこうなったらしい。)
得意な格闘技は合気道。名前的にもV3だがあくまで彼はライダーマンポジションである。
ショッカーがいないはずのこの世界で幼少期にショッカーを目撃したと語っているが…?
- 東島夢三郎
8歳。丹三郎の腹違いの弟であり、ギャンブルによる借金まみれのダメ親父をヤクザ(ショッカー)に殺され、孤児院(ショッカーが運営している)からも逃げ出した所を丹三郎に救われる。
実はバトロワ系最年少プロゲーマーで、賞金や個人チャンネルで得られた投げ銭で収益を得ている。
最初は弟である事を疑われたが、父の最期の瞬間を収めたスマホや形見である時計を見て、弟だと確信を得た丹三郎共々号泣する。
- 瀬田セナ
元アイドルグループに所属していたアイドルであるが、引退後は肥満体系になってしまった。
ある日飢えから救った八極八郎にオニオンラーメンを振舞われてその美味しさに感動、結婚を申し込み、恋人同士になるが…。
- 八極八郎
雲田のそっくりさん。地下クラブで戦闘に明け暮れた末に北海道でオニオンラーメン作りの美味しさに目覚めたという異色の経歴を持っている。なお、彼の戦闘力は屈強な男をビンタ一発で倒すほど高い。
飢えていたところをセナに救われ、彼氏となったが、行方知れずとなり、その間に自分のそっくりさんである雲田がセナの今彼になっていた。
犯罪組織
- ショッカー強盗
最近、世間を震撼…いや賑わせるようになった強盗団。ショッカーを名乗る割に黒い覆面を被って『イーッ!』と叫ぶだけでクオリティは低い。しかしあまりのインパクトの大きさだったのでニュースで取り上げられる程度には有名。
なんで彼らがショッカーの格好をしているかというと、元締めのヤクザ・中尾がショッカーの大ファンだったから。しかし、部下が仮面ライダーに全く興味がないので渋々ショッカーの格好をしていたというのが真相である。
行く先々で東島と愉快な仲間達に遭遇してはボコボコにされている。それでもメゲずに悪事を続けているなど、ある意味悪役らしい悪役。
- 中尾八郎(なかお はちろう)
上記ショッカー強盗を最初に計画した暴力団員。他にもオレオレ詐欺などにも関与している。
幼い頃からテレビで何度ボコボコにされてもめげないショッカーを見て、親の離婚や失業などの辛い日々を乗り越えてきたせいで逆東島と言わんばかりの重度のショッカー好きになった。
ケンカは強いが昨今の情勢故に組のお荷物になりつつある。とある事情から人助けをしてしまい、新聞にも載ってしまった。それでも部下は彼を慕っているようである。
- 雲田(くもた)
ヤクザ(中尾の組の取引相手)の用心棒の男性。
ショッカー強盗を突如襲撃する。
その他
- アサノ
ユリコのクラスの男子生徒。ユリコの事が大好き。
- ユカリス
三葉のファミレスのウエイトレス。実はアサノの同級生。
その正体は…隠す必要もないか。メイン画像でばれてるし。
名前の由来は山小屋の床にたまたまリスがいたからという安直すぎる理由。
関連タグ
- 平成ジェネレーションズFOREVER:同じく現実世界に似た世界を舞台にした作品。
- 愛染マコト:彼もヒーローに憧れて自らも身体を鍛えているが、その本性は…
- 真・仮面ライダー序章:企画段階での内容が本作と非常に酷似している。当然ながら却下されて、我々のよく知る脊髄ぶっこぬき伝説が爆誕する事となった。(この没設定を石ノ森章太郎本人がリメイクしたのが『新形式絵コンテ漫画 仮面ライダー』であり、同作の主人公は変身能力が無い改造人間という設定でライダーの着ぐるみを着て戦っている)
- 仮面ライダーになりたかった戦闘員:仮面ライダーファンによる二次創作作品。本作の主人公は仮面ライダーとなることを夢見てショッカーに加入したが、そのまま戦闘員としてライダー達と敵対する立場に収まってしまった。
- ニンジャスレイヤー:ファンから「オメーン・ライダー」という忍殺語的表現を作られている。
- 怪奇カメムシ男:大の仮面ライダー好きで知られる漫画家島本和彦の短編集「ワンダービット」掲載作品の一つ。本作主人公である古田シュウは、東島丹三郎とまったく同じ境遇の人物である。仮面ライダーに憧れ、仮面ライダーとなるために勉学と運動を極め、自分を鍛え抜いてショッカーに攫われる日を待ち望んでいたが、終ぞショッカーが現れなかった事で現実を受け入れ絶望。ならば自分の夢は自分で叶えようと悪の秘密結社を立ち上げ、息子にライダーとなってもらう事を願うが、ある日その組織が反乱を起こしてしまい――……。
- 氷川誠:仮面ライダーで「ただの人間」と言えばこの人。ただし彼は東島達とは正反対なただの人間を名乗りながら仮面ライダーである男。また東島とは「物理的にマスクを被って変身する」という共通点がある。
仮面ライダーになろうとする男
ネタバレ注意!!
当作品の世界は確かに仮面ライダーが絵空事とされている世界観だが、確かにショッカーは実在しており、各地で暗躍しているという設定である。もちろん名前だけ借りたようなショボくれた存在などではなく、戦闘員も存在し、おまけに改造人間作成技術もまぎれもない本物。事実として蜘蛛男や蝙蝠男が作られており、人体を容易に溶かす毒針といった現代科学を超えた技の数々も見事に再現されている。
しかしながら、どこかおちゃらけた所があり、SNSで誹謗中傷を書き込みまくっていたオタクをスカウトして戦闘員に仕立て上げるなどの計画を行う事も。(無論、集会に参加していたオタクたちは当初は懐疑的な目で見ていたが、アイドルを多数用意してあっさり仲間に引き入れてしまうなど、妙な所で用意周到な面もある。)