概要
長い歴史を持つ『ゼルダの伝説』シリーズで悪役を務めるガノン(またはガノンドロフ)だが、作品によって別人、あるいは異なる容姿で登場している。
こちらの記事では「ゼルダ史」に基づいて出演作や作品ごとの設定について詳しく説明する。
(そのため、作品発売順で確認したい場合は「ガノン」または「ガノンドロフ」の記事を参照することを推奨。)
各時代でのガノンまたはガノンドロフ
伝承の時代
スカイウォードソード
ガノンやガノンドロフ本人ではないものの、その原点といえる存在が登場する。
個別記事はこちら⇒リンク先ネタバレ注意
時のオカリナ
「オレの名は ガノンドロフ! 世界の支配者となるものだ!!」
初登場作品。『ガノンドロフ』というキャラクターの設定が明確化された作品でもある。
個別記事はこちら⇒ガノンドロフ(時のオカリナ)
ハイラルヒストリアによれば、上記の時のオカリナのエンディング後から三つの歴史に分岐するとのこと。
即ち、
- ①「時の勇者が帰還した歴史(勇気のトライフォースを持つリンクがクーデターを未然に防いだ時代)」
- ②「時の勇者の伝説が語り継がれた歴史(リンクが元の時代に帰った後、知恵のトライフォースを持つゼルダが地上に残された時代)」
- ③「時の勇者が敗北した歴史(力のトライフォースを持つガノンドロフが勝利した時代)」
という風に分岐する。
①時の勇者が帰還した歴史
トワイライトプリンセス
「時のオカリナ」のリンクがガノンドロフを倒して元の時代に帰り、ゼルダ姫にこれから起こることを告げてクーデターが阻止された歴史(勇気のトライフォースを持つリンクが帰還し、ガノンドロフのクーデターを未然に防いだ時代)。
個別記事はこちら⇒ガノンドロフ(トワイライトプリンセス)
4つの剣+
魔の邪器トライデントを手にするために風の魔神グフーを復活させた黒幕として登場。
元々はガノンドロフという人間であったが、このガノンドロフは『トワイライトプリンセス』で死んだガノンドロフが生まれ変わったものである。
一人称は「俺」で気性が激しく、哄笑を上げたりリンクやゼルダを下に見た言動を取る。
怪物のガノンとしての姿は、後述の『神々のトライフォース』や『ふしぎの木の実』、『初代』などとほぼ同じデザイン。
攻撃はトライデントからの雷攻撃や魔法弾。神トラで見せた無敵移動も行う。
グフーが倒れ風の塔の崩壊が始まり、リンクとゼルダは階下へと落下。そこで邪気の集合体を見つけたゼルダが封印を試みるが、これこそが真の黒幕であるガノンであった。
ガノンは「つまらん……!」と一蹴し、逆にゼルダを捕らえてしまう。そして巨大な豚の怪物として実体化し、リンクたちにトライデントの猛威を振るう。
しかしダメージを受けたことで力が弱まりゼルダに脱出される。激怒したガノンは、リンクたち諸共ゼルダも始末するべく再び襲い掛かる。
死闘の末、ゼルダが放った光の玉とそれを貫いたリンクの光の弓矢の直撃を受け敗北。動けなくなったところをフォーソードに封印されたのだった。
②時の勇者の伝説が語り継がれた歴史
風のタクト
「時のオカリナ」にて大人リンクに敗れ、七賢者たちに封印された後の歴史の物語(知恵のトライフォースを持つゼルダ姫だけが地上に残された時代)。
個別記事はこちら⇒ガノンドロフ(風のタクト)
③時の勇者が敗北した歴史
神々のトライフォース
死闘の末にガノンドロフがガノンとなり、時の勇者に勝利した歴史(力のトライフォースを持つガノンドロフが勝利した時代)。
盗賊団を率いる頭領であり、またの名を魔盗賊ガノン。聖地の入り口を見つけ、血で血を洗う闘争の末に勝ち残りトライフォースを手にした。
「世界を我が手に」という願いによって聖地を闇の世界へと変貌させ、更にはそこにいる者たちをトライフォースの呪いによって動植物に変身するようにしてしまった。ガノンドロフもブタのような魔獣「ガノン」になっている。
やがて力を蓄えたガノンは、ハイラルがある光の世界への侵攻を目論む。
ガノンの邪気はハイラルへと押し寄せ、欲深い者たちを闇の世界へと引き寄せる。更にハイラルの空を暗雲が覆うなど各地で異変が起き始め、事態を重く見た王は7人の賢者と騎士団(ナイトの一族)に悪の原因を封じるように命令する。
そこで賢者たちは、伝説の剣マスターソードとその使い手を探すことを考えた。
トライフォースは善悪を判断せず願いを叶えるという性質を持つ。つまり邪悪な存在がトライフォースを手にする可能性もあった。
それを危惧したかつてのハイラル人たちは、神のお告げに従ってマスターソードを鍛えた。その剣はトライフォースをかどわかす魔を撃退でき、真の勇者にしか扱えないとされていた。
しかしマスターソードもその使い手も見つけ出せず、やがてガノンの邪気は王宮まで迫り、騎士団と悪しき者たちとの壮絶な戦いが引き起こされた。
だが七賢者の盾となったナイトの一族の犠牲によって闇の世界の出入り口は封印され、魔盗賊ガノンの陰謀は阻止されたのだった。
これが後世に語り継がれる「封印戦争」の結末である。
ちなみにこの時の戦いで、ナイトの一族は賢者たちを守るべく殆どが命を落とし、現代においてはリンクしか生き残りがいない。
諦めの悪いガノンだが元の世界に戻る方法がわからず、また自身の力では封印を破れずにいた。
そこで一計を案じたガノンは、光の世界にいる司祭アグニムに憑依し分身として暗躍させ始めたのだ。
ハイラル各地の災いを鎮めさせ、救世主として王の信用を得て接近。城に入ったところで本性を現し、ハイラル王を殺害し、兵士たちを操り、ゼルダ姫を始めとする七賢者の末裔たちを拉致させた。
目的は、七賢者の血を引く娘たちを生贄に捧げることで鍵として利用し、賢者の封印を解くこと。これによってハイラル城に闇の世界への道を築くことに成功する(用済みとなった娘たちはクリスタルに閉じ込められ、配下の魔物たちに与えられた=闇の世界のダンジョンに幽閉されている。ガノンを倒せばクリスタルから解放されるとのことなのでガノンが閉じ込めたようだ)。
だが通路としてはまだ狭いためガノンが通り抜けることはできなかった。そこで司祭アグニム(に憑依したガノン)は根城である「ガノンの塔」に結界を張り、道が開くのを待つことにした。
しかしリンクによって娘たちは救出され、塔の結界を破られたことで乗り込まれてしまう。アグニムが倒されると抜け出し、コウモリに変身して逃走。しかし閉ざされた世界では逃げ場などなくピラミッド内部へと着地。リンクとの死闘の末に討たれ、今度こそ彼の野望は阻止されたのだった。
なお、闇の世界にいるはずのガノンがどうやって光の世界にいるアグニムに憑依したのかは不明である(神父が序盤に「司祭は魔物に憑依されている」と口にしている)。
この矛盾を考慮してかメディアミックス版では設定が変わっている。
闇の世界に足を踏み入れた者はガノンによるトライフォースの呪いを受け姿形が変わってしまうが、ムーンパールと呼ばれる宝玉で聖三角の呪縛を防ぐことができる。
最終決戦ではトライデントをブーメランのように投げたり、火の鳥を飛ばすといった攻撃を仕掛ける。銀の矢がなければ攻略は不可能のように思えるが、別になくても倒せる。
と、このように、時のオカリナよりも先に発売されたため、時のオカリナのガノンドロフとは設定が若干異なる。
なお「ガノンドロフ」という名前がゲーム中に登場したのは発売順では本作が初。
封印やら結界やらそれっぽい単語が出るので誤解されがちだが、ガノンは闇の世界から出られなくなっただけで封印(身動きが取れなく)されたわけではない。
漫画版では設定が変わっているため混同に注意。
まとめると封印戦争=時のオカリナでの戦いということなのだが、何分にも神トラの方が先に発売された関係で設定が変更されている。
古代の石盤
神々のトライフォースから6年後を描いた続編。ラスボスとして登場。一人称が「ワシ」になっており、やや老人風の口調である。
設定が変わっており「ガノンはリンクが持つマスターソードの力で封印された」ということになっている。しかし封印されたのは肉体だけであり、邪悪な気までは封じられなかった。やがて“ガノン”の姿を象ったガノンの気は、異世界にいる光の勇者(プレイヤー)をハイラルへと呼び寄せる。
その力を奪うことで今度こそ世界を征服するために。
闇世界の残滓であるガノンの塔に潜んでおり、ゼルダ姫によって謎を解かれ塔までの道を切り開かれる。塔の入り口を守っていた結界もマスターソードによって破られ、主人公に塔の内部へと乗り込まれ最後の戦いを演ずる。
激戦の最中、主人公の力を褒め称え、それを奪えば世界征服を果たせると狂喜するも敗北。自ら引き寄せた存在によってガノンは討たれ、歪んだ野望は挫かれた。
なお「神トラの戦いでガノンは封印された」という設定は、神々のトライフォース2にも反映されている。
夢をみる島
↑上記絵の中央のモヤの魔物
ガノンそのものは登場しないが、ラスボスの変身形態に『神々のトライフォース』のガノンを模した形態がある。これ以外にもアグニムやデグテールなどにも姿を変える。
ふしぎの木の実
神々のトライフォースの戦いで倒されたガノンだが、双子の魔女ツインローバは聖なる生贄であるゼルダ姫を依代にすることで復活させようとする。手始めにゴルゴンには「嘆きの炎」を、ベランには「滅びの炎」を集めさせた。そしてついには「絶望の炎」までともし、総仕上げとしてゼルダ姫を拉致した。
しかしディンとネールに導かれたリンクが祭壇まで乗り込んで来たためツインローバ自らが応戦。敗北した老婆たちは、自らを生贄にすることでガノンを復活させた。だが不完全な状態で召喚されたため、知性をもたない魔物になってしまった(聖なる生贄が欠けていたためか、邪悪な力が暴走した状態になってしまった)。
『神々のトライフォース』と似て非なる見た目で、結構な巨体になっている。トライデントや魔法弾での攻撃がメインとなっているほか、空間を捻じ曲げてコントロールを逆にすることもある。
リンクとの一騎討ちによって倒され跡形もなく消滅。ツインローバの陰謀は阻止された……と思われた。
神々のトライフォース2
↑※上記絵の上段に居る魔物
『神々のトライフォース』から遠い未来を描いた続編。設定が代わっており、ガノンは倒されたのではなく封印されたことになっている。
ガノン自体は『ふしぎの木の実』とほぼ同じ見た目であるが、今作では利用される立場に置かれており意思なき存在として描かれている。
ロウラルの司祭ユガがトライフォースに触れようとして3つに分裂した際、力のトライフォースが封印状態のガノンに宿ってしまう。このためユガによって召喚され、力のトライフォースを求めるユガに取り憑いた(飽くまで人格はユガ)。ヒルダ姫によって封印されるが、このままでは倒せないためリンクは勇気のトライフォースの欠片を集める旅に出る。
合体後の「ユガガノン」の行動はトライデントや魔法弾など元のガノンと共通するものが多い。これが本作のラスボスとなる。
知恵のかりもの
冒頭にてゼルダ姫をクリスタルに閉じ込めて幽閉していたが、リンクとの一騎討ちに敗れ消滅した。しかし、ガノンが遺したトライデントが謎の裂け目を発生させ……。
実は今作には真の黒幕がおり、ガノンはその黒幕によって生み出された強大な魔物と言う設定となっている。その為、今回のガノンは作られた存在であり、従来の盗賊団の首領=ガノンドロフがトライフォースの力で変貌した魔王ではない。
ゼルダの伝説(初代)
CV:不明(BSゼルダの伝説、加藤精三が有力視されているが、声が加工されているため特定不可能)
シリーズ発売順的には初登場。
小国に攻め込んで力と知恵のトライフォースを奪い取ろうとした。しかしゼルダ姫によって知恵のトライフォースを8つに分割されて隠されたため力の分しか奪えなかった。怒ったガノンはゼルダ姫をデスマウンテンの迷宮に幽閉する。
トライデントは持っておらず、姿を消した状態で部屋を動き回って魔法弾を放つという行動パターンとなっている。迷宮内の雑魚戦は複数同時に相手をする分、攻撃が苛烈を極める為、単体で戦うガノンの方が攻撃の手数が少なく、アッサリ倒せるため拍子抜けする。ガノンを倒してトライフォースを取り戻した後は、ゼルダを救わずに迷宮から出る事も可能。
リンクの冒険
『初代』において死亡し灰と化したため直接の登場はない。
ただし「ガノンを倒した者の血」を捧げることで復活するため、各地の魔物はリンクを葬りその血を入手するべく躍起になっている。
ゲームオーバーになるとガノンが復活してしまった旨のメッセージが表示され、ファミコン版では彼のものと思われる笑い声が響く。
海外版のみ、ゲームオーバー画面にシルエットが登場する。
①②③のどれにも該当しない、または時代不明
ブレスオブザワイルド
作中では「厄災ガノン」(たんに「ガノン」とも)と呼ばれる。魔獣ガノンのそれに近い非常に禍々しい異形の姿となり、その怨念は具現化してハイラル城やハイラル各地に泥のように染み付いている。
肉体はおろか自我や知性までも完全に失われており、もはや人であった頃の面影は全くなく、禍々しい怨念の塊として描写される。
後に続編であるティアーズオブザキングダムにガノンドロフ本人が出演、『マスターワークス』にて彼の怨念から生じたものであることが判明した。そのため、関連性こそあれ従来のガノンドロフの変貌した姿としてのとしてのガノンというわけではない。
詳しくはこちらを。
ティアーズオブザキングダム
ブレスオブザワイルドの続編に当たる今作ではハイラル王国の地下遺跡に胸の部分に謎の手が食い込んだミイラらしきものを発見。
このミイラにいくつかの特徴的な点がガノンドロフの特徴と合致していたためこれがガノンドロフのミイラなのではないかと考察されていたが、トレーラー3rdとその後に公開されたツイッターにて、ついにガノンドロフ本人であることが確定し、完全復活を遂げたことが明らかになった。本編作品で『ガノンドロフ』としての姿で登場するのはトワイライトプリンセス以来。トワプリの発売日が2006年であるため、実に17年ぶりである。
詳しくはこちらを。
ゼルダ無双
使用武器:大剣(二刀流)・トライデント(3DS版追加武器)
シアを陰で操っていた真の黒幕としての登場。
何気に「ガノンドロフ」としてはトワプリ以来の登場である(それ以後だとスマブラへの出演のみ)。大剣による二刀流をメインに、闇の力で戦う。
個別記事はこちら⇒ガノンドロフ(ゼルダ無双)
ケイデンス・オブ・ハイラル
オクターヴォがハイラルを乗っ取ってまで対抗手段を探していた真のラスボス。
未来のハイラルを支配しており、完全に理性を保っている。
ガノンは未来にいるためケイデンス、リンク、ゼルダは時空を越えて未来へと向かうこととなる。
先行して討伐にやって来ていたオクターヴォを打ち倒した後、主人公3人と戦いとなる。
音楽の才に優れ、リンクたちの攻撃が届かない上層でオルガンを演奏し数多の魔物を召喚する。時々リンクたちを踏みつけに下層に降り、破壊すると麻痺するバリアで身を守っている。
ある程度ダメージを与えると床に三角形のマークが3つ現れるので、そこに3人を移動させればトライフォースの輝きでガノンを消滅させて勝利となる。
書籍作品では
初期のメディアミックスではガノンの設定が明確でなかったこともあり、作者独自の設定が付けられていることが多い。ガノンドロフに関しても神々のトライフォースの書籍では、人間時代の容姿を描いたものがある。